電磁気学/静電場
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電荷
[編集]さまざまな電気現象を引き起こすものを電荷という。電荷は正と負の2種類がある。あらゆる物質を構成する原子は、さらに陽子と電子を構成要素としてもつが、陽子は正の電荷を、電子は負の電荷を持つ。多くの場合、原子中には正の電荷と負の電荷が同量ずつ含まれ、巨視的には電荷を持たないと見ることができる。この状態を電気的に中性であるという。
電荷の間に働く力
[編集]電磁気学の現象のうちで最も簡単なものは、時間的な変動の無い2つの点電荷によるものである。点電荷は、空間的な広がりを持たない電荷である。実験的に電荷から距離r離れたところに、電荷を置いたとき、その間には2点電荷を結ぶ直線方向に力fが働く。この力は2つの電荷が互いに同符号であれば斥力となり、互いに異符号であれば引力となる。また力の大きさは2つの電荷の大きさの積に比例し、距離の二乗に反比例する。すなわちこの力fは、Kを比例定数として、
と表すことができ、f>0であれば斥力、f<0であれば引力とみなす。このような力は電磁気力あるいはクーロン力と呼ばれる、力の一種である。さらに、点電荷が3つ以上存在する場合、ある点電荷に働く力は、自分以外の点電荷それぞれから受ける力の合力となる。以上をクーロンの法則(Coulomb's law)という。
通常、電磁気学ではこの比例定数Kを
とし、
と表現する。ここでを真空の誘電率と呼ぶ。誘電率については後の章で詳しく述べることにする。
国際単位系(SI)では、距離の単位は[m]、力の単位は[N]であり、電荷の単位は[C](クーロン)である。[C]の定義については後ほど述べることとするが、このとき、比例定数Kの値は
となることが知られている。ただし、は光の速度である。
この式では、電荷の間の距離をrとすると、電荷間にに比例する電磁気力が働くことが示されている。このような力を逆2乗力と呼ぶことがある。電磁気力は逆2乗力であるが、他にも万有引力は逆2乗力であることが知られている。
- SIにおける [C] の定義
-
- 電気素量
静電場
[編集]電界
[編集]このように静的な電荷に互いに働き合う力は、 逆2乗則によって完全に記述される。しかし、電荷の数が増えて来たときに、 このような記述法は計算が大変になることがある。 そのため、これとは異なった電荷の間の力を導入するのが便利になる。
ここで、そのような記述法を与える。 ある点に電荷qが合ったとする。このとき、その点の回りには
の場が生じていると見ることが出来る。 ただし、ここでは
は、その電荷からの距離を表わしており、
は、その電荷を原点としたとき、有る点Aに対して ベクトル
をとり、その方向の単位ベクトルをとるようにして得られるベクトルである。 つまり、電荷を中心として放射状に広がるベクトルの集合である。
- 電界ベクトルの図
ここでいう場とは、2つの電荷が与えられたとき、 その間に何も媒介するものがなく力が働くということが直観に反していることから 導入された量である。つまり、何もないところを通じて力が生じているのでは なく、ある2つの電荷の間に何ものかが現われて、電磁気力を媒介している ということを予想して導入された量が場の考え方である。
現代的には、実際にそのような場が存在していることが知られている。 このような場を歴史的事情により光子場と呼ぶことがある。 つまり、ある2つの電荷が存在したとき、その間に光子と呼ばれる 粒子が受け渡され、それによってこのような相互作用が生まれていると 見ることができる。
いずれにせよ、ある点電荷の回りに何らかの場が放射状にとびでており、 それにあたった電荷が力を受けるという描像は非常に直観的であり、 このような量はよく用いられる。
電位
[編集]上で導入した電界という量は直観的な量だが、実際の計算においては もう少し簡単な量を導入することが出来る。
古典力学に置いては、ある保存力に対してその保存力に対する 位置エネルギー
を、
によって定めることが出来た。ここで、
が上で述べた保存力を表わすベクトルである。
この量の類似に頼って、電磁気の逆2乗力に対しても位置エネルギーを 導入することが出来る。ただし、この量は力よりも電界に沿って 定義されるため、電位と呼ばれる。電位は通常Vで書かれ、
で定義される。
古典力学の場合と同様に、この式での
は、任意に選ぶことが出来るパラメーターであり、計算し易いように 取ることが出来る。
この量は、ある電荷eを持った物体に対して、電界が
を満たすことを考慮すると、
を満たすことが分かる。このことから、電位とは単位電荷をもった物体に取っての 電界の位置エネルギーと考えることが出来る。
特に、ある点電荷qの回りの電界に対する電位を考えてみる。 このとき、慣習的に
ととると、この場合の電位は、
となり、
に比例した電位が得られる。
電位を計算した後、その量の勾配を取ることで電界が計算されることが、 古典力学の類似からわかる。 簡単のため
を省くと、この例では、
となり、確かに元の表式が取り戻された。
電荷鏡像法
[編集](未記述)
誘電体
[編集]誘電体やコンデンサーを、ベクトルの数式で扱うさい、次のように電束密度(記号はD)というベクトル量を定義する。
Dは電束密度(でんそく みつど)といい、式 によって定義される。
コンデンサーにおける「電束密度」とは、誘電体の分極の影響にかかわらず、コンデンサーの正電荷から発生し、負電荷に吸収されて消滅する量として、コンデンサーにおける「電束密度」を定義をする。
また、電束密度の単位は、クーロン([C])である。
Eは電界ベクトルである。 Pは分極ベクトルであり、誘電体全体の負電荷側から発生し、誘電体全体の正電荷側で吸収されて消滅するベクトルである。
分極の現象では、電界を打ち消すように分極が発生するので、なので分極ベクトルの方向の定義では、誘電体の負電荷側から正電荷への向きのベクトルを定義する必要がある。 また、分極ベクトルの単位は、クーロン([C])である。
εは誘電率の記号である。そして ε0 は真空の誘電率である。
物質 | 比誘電率 |
---|---|
空気 (20℃) | 1.0005 |
パラフィン (20℃) | 2.2 |
ボール紙 (20℃) | 3.2 |
雲母 | 7.0 |
水 (20℃) | 約80 |
チタン酸バリウム | 約5000 |
いっぽう、誘電体の比誘電率を、つぎの式で定義する。
が、比誘電率の定義である。
比誘電率の記号では、添字にゼロがつかない事に注意せよ。
よって、
である。
では、物質の比誘電率を、どうやって、測定するのか。
(※ 出典となる参考文献が、手元にないので、紹介できない。以降の比誘電率の測定原理は、丸善の電磁気学の教科書に、書いてあった測定方法である。)
比誘電率の測定方法は、原理的には、右図のような実験をすれば、比誘電率が分かる。
まず誘電体内での電束Dを測定する必要があるのだが、 その測定のために、図のように、電束の方向に(つまり、外部電界の方向に)直角に、図のような薄くて長い穴をあけて、その穴の電界Eを測定すれば、良いのである(かりに、この電界の測定値をEaとしよう)。
電界Eを測定するだけなら、通常の物理学の測定方法で可能である。
電束は、その定義上、誘電体内では絶対に連続であるので、ここで測定した電界Eに真空の誘電率をかけ算する事によって、この誘電体内での電束Dを測定できる。
一方、比誘電率の測定のためには、誘電体内での電界も測定する必要があり、そのため、同じ誘電材料に、電束の方向に(垂直ではなく)平行に、薄くて長い穴をあけて、その穴の中の電界Eを測定する事になる(かりに、この電界の測定値をEbとしよう)。
あとは、われわれの得た2つの測定値である「Ea」と「Eb」を比較すれば、その物質内の比誘電率を、実験にもとづき得たことになる。
コンデンサー
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電束密度
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誘電体での電荷鏡像法
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