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高校化学 元素と周期表

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

古典元素と遷移元素

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★ - ランタノイド(15元素 詳細略)
★★ - アクチノイド(15元素 詳細略)

3~12族までの元素を遷移元素、1,2族、13~18族の元素を典型元素という[1]。周期表の全体と、元素のおもな分類を次の図に示す。


典型元素は、1族から順に18族まで価電子数が規則的に変化する。価電子の数は18族は0であり、その他は族番号の1の位と等しい。価電子の数が周期的に変化するため、それに伴って性質も周期的に変化する。したがって、同じ族に属している元素(同族元素)は互いに似た化学的性質をもつ。

典型元素はさらに、それぞれの性質から次のような分類がされる。

  • アルカリ金属: Hを除く1族
  • アルカリ土類金属: 2族[2]
  • ハロゲン: 17族
  • 貴ガス[3]: 18族


一方、遷移元素は価電子の数がほとんど変化せず(多くは1個か2個)、周期性は見られないが、周期表で隣り合う元素どうしも互いに似た化学的性質をもつことが多い。また、イオンや化合物は有色であることが多いほか、酸化数のとり方が複数あることも特徴である。

典型・遷移元素という分類の他、次のような分類のしかたもある。

  • 金属元素: 単体が金属であるもの
  • 非金属元素: 単体が非金属であるもの

金属とは、金属光沢があって、展性・延性をもち、電気や熱を伝えやすい性質をもった物質のことであり、単体がこの性質をもつ元素を金属元素と呼んでいる。遷移元素はすべて金属元素であり、典型金属に比べて密度が大きく融点が高い傾向にある。金属元素の原子は陽イオンになることが多い。また、単体が金属でない元素を非金属元素と呼び、17・18族はすべて非金属元素である。18族はイオンになりにくく、また1族の水素は陽イオンになることが多いが、その他の非金属元素は陰イオンになることが多い。

周期表の左側の1・2族と、中央の遷移元素は金属元素であり、右上に非金属元素が集まる。金属元素と非金属元素の境界付近にある元素の単体は、金属と非金属の中間的な性質をもつことがある。

周期表と性質の変化

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物質の構成の章で学んだように、元素を原子番号の順に並べた表を周期表と呼ぶ。原子番号が増えると、元素の性質は周期的に変化する。これを周期律という。

周期表の中で、左上の水素と、右上にある典型元素は非金属元素であり、その他中央~左下にかけては金属元素が分布している。ただし、ホウ素やケイ素など、金属元素と非金属元素の境目にあるような物質は、金属と非金属との中間的な性質をもつものが多い。

周期表と電子配置

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周期表の周期は、原子の最も外側の電子殻(最外殻)の番号に対応する。同じ周期の元素は、同じ電子殻に電子が入り始めた元素である。同じ族の典型元素は、価電子の数が等しいため、似た性質をもつ。

たとえば1族の Li、Na、K は、いずれも価電子を1個もち、1価の陽イオン LiA+、NaA+、KA+ になりやすい。17族の F、Cl、Br、I は価電子を7個もち、1価の陰イオン FA−、ClA−、BrA−、IA− になりやすい。18族の貴ガスは、最外殻電子の配置が安定で、他の原子と結合しにくい。

原子半径

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原子の大きさは、周期表の中で次のように変化する。

  • 同じ周期では、原子番号が大きくなるほど(右へ行くほど)原子半径は小さくなる。最外殻が同じであるのに、原子核の正電荷が増して電子を強く引きつけるためである。
  • 同じ族では、周期が大きくなるほど(下へ行くほど)原子半径は大きくなる。電子殻の数が増えるためである。

したがって、原子半径は周期表の左下の元素ほど大きく、右上の元素ほど小さい(貴ガスを除く)。

イオン化エネルギー

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ある原子から、電子を1個取り去って陽イオンとするために必要なエネルギーを、第1イオン化エネルギーと呼ぶ。これを単にイオン化エネルギーとも呼ぶ。たとえばナトリウムでは、次の変化に必要なエネルギーが第1イオン化エネルギーである。

Na⟶NaA++eA−  496 kJ/mol

イオン化エネルギーが小さいほど陽イオンになりやすく、そのような性質をもった元素を陽性が強いという。

第1イオン化エネルギーは、次の図のように周期的に変化する。

元素順の第1イオン化エネルギー

  • 同じ周期の中では、おおむね原子番号とともに大きくなる。1族のアルカリ金属が最も小さく、18族の貴ガスが最も大きい。
  • 同じ族の中では、周期が大きくなるほど小さくなる。電子殻の数が増えて、最外殻電子が原子核から遠くなるためである。
  • 同じ周期の中でも、Be と B、N と O のように、増加の傾向からはずれる部分がある。これらは最外殻の電子配置の違いによる。

一般に、第1イオン化エネルギーよりも、原子から2個目、3個目の電子を取り去るために必要なエネルギー(第2、第3イオン化エネルギー)のほうが大きい。これは、陽イオンから電子を取り去るほうが、静電気力による引力に逆らう量が大きいためである。次の表に、Na と Mg の値を示す。

元素 第1 第2 第3 (kJ/mol)
Na 496 4562 6910
Mg 738 1451 7733

Na は第1と第2の間で値が大きく増え、Mg は第2と第3の間で大きく増える。これは、Na は価電子が1個、Mg は2個であり、それより内側の閉殻の電子は取り去りにくいことを示している。このため、Na は1価、Mg は2価の陽イオンになる。

電子親和力

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ある原子の最外殻に電子を1つ加えて陰イオンとするときに、原子が放出するエネルギーを電子親和力と呼ぶ。たとえば塩素では、次の変化で放出されるエネルギーが電子親和力である。

Cl+eA−⟶ClA−  349 kJ/mol

電子親和力が大きいということは、陰イオンの状態のほうが安定であり、陰イオンになりやすいことを意味する。このような性質を陰性が強いという。

電子親和力は、同じ周期ではおおむね族番号が大きいほど大きく、17族のハロゲンで最大となる。ただし、貴ガスは電子を受け取って安定な陰イオンをつくらない。同じ族では、周期が大きくなると電子親和力は小さくなる傾向があるが、F は Cl よりも小さいという例外がある。

元素 Li C O F Na Si S Cl Br I
電子親和力 (kJ/mol) 60 122 141 328 53 134 200 349 325 295

同じ周期の中では、族番号が大きいほどイオン化エネルギーは大きく、電子親和力も大きい(貴ガスを除く)。同じ族の中で比較すると、周期が大きくなるほどイオン化エネルギーは小さくなる。したがって、周期表の中では、右上の元素ほど陰性が強く、左下の元素ほど陽性が強いということがいえる。

電気陰性度

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化学結合している2原子のうち、結合に使われている電子を引きつける強さを表す尺度を電気陰性度という。電気陰性度が大きいほど、電子を引きつけやすい。電気陰性度には、イオン化エネルギーと電子親和力の両方が関係している。

電気陰性度の代表的な値(ポーリングの値)を示す。

族 1 2 13 14 15 16 17
第2周期 Li 0.98 Be 1.57 B 2.04 C 2.55 N 3.04 O 3.44 F 3.98
第3周期 Na 0.93 Mg 1.31 Al 1.61 Si 1.90 P 2.19 S 2.58 Cl 3.16

電気陰性度は、周期表の右上の元素ほど大きく、左下の元素ほど小さい(貴ガスは通常、値を定めない)。フッ素が最大である。

結合する2原子の電気陰性度の差が大きいほど、結合の電子の偏り(極性)が大きい。たとえば H(2.20)と Cl(3.16)が結合した塩化水素 HCl では、電子が Cl 側に偏り、Cl がわずかに負、H がわずかに正に帯電する。

例題

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次の問いに答えよ。ただし、Na の原子量を 23、第1イオン化エネルギーを 496 kJ/mol とする。
  1. 次の原子のうち、第1イオン化エネルギーが最も大きいものを選べ。Li、Na、K、Ne
  2. 次の元素を、電気陰性度の大きい順に並べよ。O、F、Cl、Na
  3. Na の気体原子 1.0 g から電子を1個ずつ取り去るために必要なエネルギーは何 kJ か。
解答
  1. Ne。貴ガスは同じ周期で第1イオン化エネルギーが最大であり、また同じ周期の Li や、周期が大きい Na、K よりも大きい。
  2. F > O > Cl > Na。右上の元素ほど大きく、F が最大である。第2周期の O(3.44)は第3周期の Cl(3.16)より大きい。
  3. Na の物質量は 1.023=0.0435 mol であるから、0.0435×496=21.6≈22 kJ。

  1. ^ 12族を含めず3~11族を遷移元素とする場合もある。
  2. ^ 令和4年度実施の教育課程からBe、Mgも加わった。
  3. ^ 2005年に英語での名称が「rare gas」から「noble gas」に改称されたのに合わせ、令和4年度実施の教育課程において希ガス(正字:稀ガス)から改称された。