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高校化学 溶液の性質

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

溶液

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水に食塩を溶かし食塩水を作っている時の画像。

水 HA2O に塩化ナトリウム NaCl を混ぜると、塩化ナトリウムは水中に拡散していき、やがて肉眼では見えなくなる。混ぜた食塩の量が少なければ、水中に食塩が沈殿することはない。このように、液体に混ぜた物質が沈殿や凝集物を作らず、液中に均一に拡散することを溶解という。水のように他の物質を溶解する物質を溶媒といい、塩化ナトリウムのように溶けた側の物質を溶質という。 溶媒が液体の場合に、溶解によって生じた均一な混合液体を溶液という。

この例で食塩の量を増やしていくと、やがて、かき混ぜても溶けきらずに、時間が経つと底に食塩が沈殿するようになる。

このように、一定量の溶媒に溶ける溶質の量には限度がある。溶質が限界まで溶けている状態の溶液を飽和溶液といい、溶質がまだ溶ける状態の溶液を不飽和溶液という。

濃度の表し方

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溶液の濃度は、次のように表す。

名称 定義 単位
質量パーセント濃度 溶質の質量溶液の質量×100 %
モル濃度 溶質の物質量溶液の体積 mol/L
質量モル濃度 溶質の物質量溶媒の質量 mol/kg

モル濃度は、温度による溶液の体積の変化で値が変わる。質量モル濃度は、溶液の体積に依存しないので、温度が変わっても値が変わらない。沸点上昇と凝固点降下では、質量モル濃度を用いる。

電解質

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塩化ナトリウム NaCl を水に溶かすと、ナトリウムイオン NaA+ と塩化物イオン ClA− のように、正負のイオンに分かれる。このように、溶解の際に物質がイオンに分かれる現象を電離という。そして、水に溶けて電離する物質を電解質という。 グルコースは水に溶けても電離しない。このように、水に溶けても電離しない物質を非電解質という。 電離と溶解とを混同しないように注意する。

電解質のうち、塩化ナトリウムの水溶液と酢酸の水溶液とを比較すると、酢酸は溶解して電離もするが、塩化ナトリウムよりも電離しにくい。 電解質のうち、塩化ナトリウムのように、ほぼ完全に電離する物質を強電解質という。酢酸のように、電離する割合が小さい物質を弱電解質という。

水和

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水分子の極性の概念図。
水分子によって水和したナトリウムイオン。

水分子の酸素原子は分子中の電子を引き付けるため、酸素原子は負の電荷を帯び、水素原子は正の電荷を帯びる。このように、分子内で電荷に偏りがある分子を極性分子という。

塩化ナトリウムを水に入れると、電離したナトリウムイオン NaA+ は水分子の負に帯電した酸素原子と引き合い、塩化物イオン ClA− は水分子の正に帯電した水素原子と引き合う。その結果、イオンは周囲を水分子によって囲まれる。 このように、溶質の粒子が水分子によって取り囲まれる現象を水和という。溶媒が水でない場合のこのような現象は、溶媒和と呼ばれる。 このように、溶質原子が水分子によって取り囲まれる現象を水和という。溶媒が水でない場合には、イオンが溶媒に取り囲まれるこのような現象は、溶媒和と呼ばれる。

食塩の水和では、ナトリウムイオンの隣には水分子の酸素原子の側が来る。塩化物イオンの隣には、水分子の水素原子の側が来る。

水和しているイオンを水和イオンという。

親水基と疎水基

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エタノール CA2HA5OH やグルコース CA6HA12OA6 などは水によく溶ける。エタノール分子は、分子中にヒドロキシ基 −OH をもつ。このヒドロキシ基の部分が水分子と水素結合を作り、エタノール分子が水和する。グルコース分子もヒドロキシ基をもっており、同様に水分子と水素結合を作って水和する。

エタノール分子中のヒドロキシ基のように、水和されやすい原子団を親水基という。水和されやすい性質を親水性という。

これに対して、ベンゼン CA6HA6 などは水に溶けない。ベンゼンは極性をもたない無極性分子である。一般に、親水基をもたない無極性分子は、水に溶けにくい。

また、エタノール分子中のエチル基 −CA2HA5 の部分は極性をもたず、水和に寄与しない。一般に、炭化水素基 CmHn の部分は無極性で水和されにくい。このように、水和されにくい原子団を疎水基といい、水和されにくい性質を疎水性という。

無極性分子からなるヨウ素 IA2 やナフタレン CA10HA8 は、無極性分子の液体であるベンゼン CA6HA6 や四塩化炭素 CClA4(テトラクロロメタン)によく溶ける。 このように、無極性分子の物質は無極性分子の液体に溶けやすい。一方、極性分子やイオンからなる物質は、極性分子からなる水に溶けやすい。 一般に、極性の似ている物質どうしは溶け合いやすい。

エタノールの構造式

溶解度

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様々な物質の溶解度曲線

一定の温度で、一定の質量の溶媒に溶質を溶かして飽和溶液としたとき、溶媒に溶けている溶質の量を溶解度という。溶解度は、その溶媒がその溶質をどれだけ溶かせるかを表す量であり、溶液の濃度とは別の概念である。

固体の溶解度は、水 100 g に溶ける溶質の最大の質量(g)で表す。単位は g/100 g 水とする。

溶解度は温度によって変化する。 水に溶かす固体の多くは、水の温度が高いほど溶解度が大きくなる。ただし、水酸化カルシウム Ca(OH)A2 のように、温度上昇によって溶解度が小さくなる物質もある。

溶解度の温度変化をグラフで表したものを溶解度曲線という。

再結晶法

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不純物の混ざった固体を、熱した溶媒に飽和するまで溶かし、冷却すると、溶解度が温度によって大きく変わる物質が結晶として先に析出するので、不純物を取り除ける。このように、溶質の結晶を析出させて不純物を取り除き、精製する方法を再結晶法という。

再結晶という語は、水溶液を用いる場合に限らず、結晶をいったん溶解または融解させたのち、再び結晶を析出させる操作全般に用いる。

なお、溶液を冷却していくとき、溶解度を超える量の溶質を含んでいても結晶が析出しない場合がある。このような状態を過飽和といい、過飽和の状態にある溶液を過飽和溶液という。過飽和の状態は不安定であり、少量の撹拌や振動、種結晶の添加などで結晶が析出し始める。

溶質の種類によっては、再結晶で、結晶中に水分子が含まれた結晶が得られる場合がある。結晶中に含まれる水を結晶水(水和水)という。結晶水は、加熱などによって除ける場合が多い。 結晶から結晶水を除くことを無水化といい、無水化して得られた結晶水をもたない固体を無水物という。 結晶水をもつ物質の溶解度は、無水物の質量を溶質の質量として定義する。

例題

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物質 X の溶解度は、60 ℃で 60 g/100 g 水、20 ℃で 30 g/100 g 水である。60 ℃の飽和水溶液 160 g を 20 ℃に冷却すると、X の結晶は何 g 析出するか。ただし、X は結晶水をもたない。

解答 60 ℃の飽和水溶液 160 g には、水 100 g と X 60 g が含まれる(100+60=160)。20 ℃では水 100 g に X が 30 g まで溶けるので、析出する量は

60−30=30 g

である。

例題(結晶水をもつ物質)

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硫酸銅(II) CuSOA4 の溶解度(無水物として)は、60 ℃で 40 g/100 g 水、20 ℃で 20 g/100 g 水とする。60 ℃の飽和水溶液 140 g を 20 ℃に冷却すると、硫酸銅(II)五水和物 CuSOA4⋅5HA2O は何 g 析出するか。式量は CuSOA4 が 160、CuSOA4⋅5HA2O が 250 である。

解答 60 ℃の飽和水溶液 140 g には、水 100 g と CuSOA4 40 g が含まれる。析出する五水和物を x g とすると、その中の CuSOA4 は 160250x、水は 90250x である。析出後の溶液は 20 ℃の飽和溶液であるから、

40−160250x100−90250x=20100

これを解いて、x=250071≈35 g となる。

気体の溶解度

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気体の溶解度は、固体とは逆に、温度が高いほど小さくなる。また、溶解度があまり大きくない気体では、温度が一定のとき、一定量の溶媒に溶ける気体の物質量(質量)は、その気体の圧力(混合気体では分圧)に比例する。これをヘンリーの法則という。一方、同じ圧力のもとで溶ける気体の体積は、その圧力で測ると、圧力によらず一定である。

塩化水素 HCl やアンモニア NHA3 のように水と反応したり、水和したりして非常によく溶ける気体には、ヘンリーの法則はあてはまらない。

例題

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20 ℃、1.0×105 Pa の酸素 OA2 は、水 1 L に標準状態に換算して 0.031 L 溶ける。20 ℃で、1.0×105 Pa の空気(体積比 NA2 : OA2 = 4 : 1)に接している水 1 L に溶けている酸素の質量は何 mg か。ただし、酸素のモル質量は 32 g/mol、標準状態での気体 1 mol の体積は 22.4 L とする。

解答 酸素の分圧は、全圧の 15 であるから、0.20×105 Pa である。ヘンリーの法則より、溶ける酸素の物質量は分圧に比例するので、

0.03122.4×15×32×103≈8.9 mg

となる。

沸点上昇

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砂糖水や食塩水は、100 ℃では沸騰しない。 不揮発性の溶質を溶媒に溶かした溶液の沸点は、純溶媒の沸点より高くなる。この現象を沸点上昇という。 純溶媒の沸点 t1 と溶液の沸点 t2 との差 Δtb=t2−t1 を沸点上昇度という。

溶液の蒸気圧は純溶媒の蒸気圧より低い(次項の蒸気圧降下)。そのため、純溶媒の沸点では、溶液の蒸気圧が外圧に達せず、さらに温度を上げないと沸騰しない。

希薄な溶液では、沸点上昇度 Δtb は溶質の質量モル濃度 m に比例し、溶質の種類によらない。

Δtb=Kbm

質量モル濃度は、溶媒 1 kg あたりに溶けている溶質の物質量である。

比例係数 Kb をモル沸点上昇といい、溶媒に固有の値である。単位は K⋅kg/mol である。水では Kb=0.52 K⋅kg/mol である。

電解質を溶かした場合は、電離して生じたイオンも含めた全溶質粒子の質量モル濃度で考える。たとえば、NaCl 1 mol は NaA+ 1 mol と ClA− 1 mol に電離するので、完全に電離すれば、粒子の物質量は 2 mol として扱う。

例題

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グルコース CA6HA12OA6(分子量 180)18 g を水 200 g に溶かした溶液の沸点は、何 ℃か。ただし、水のモル沸点上昇を 0.52 K⋅kg/mol とし、圧力は 1.013×105 Pa とする。

解答 質量モル濃度は m=18/1800.200=0.50 mol/kg である。

Δtb=0.52×0.50=0.26 K

したがって、沸点は 100.26 ℃ である。

蒸気圧降下

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水の蒸気圧を縦軸に取って、温度(単位は℃)を横軸に取ったグラフ。
水は通常は100度において沸騰し、その時の蒸気圧は101.325kPaという標準的な大気圧に等しい。

液体は、表面から蒸発する分子と、蒸気から液体に戻る分子とがつり合って、見かけ上、変化しない状態(気液平衡)になる。このときの蒸気の圧力を飽和蒸気圧(蒸気圧)という。飽和蒸気圧は温度が高いほど大きく、液体は、飽和蒸気圧が外圧に等しくなる温度で沸騰する。外圧を下げると、沸点は低くなる。

不揮発性の溶質を溶かした溶液では、溶媒の蒸発する表面に、溶質の粒子が存在する。そのため、同じ温度での溶媒の飽和蒸気圧は、純溶媒より小さくなる。この現象を蒸気圧降下という。

溶媒の物質量を n1、溶質の物質量を n2 とするとき、溶液の蒸気圧 p は、純溶媒の蒸気圧 p0 に、溶媒のモル分率をかけた値になる(ラウールの法則)。

p=p0×n1n1+n2

蒸気圧降下のために、溶液の蒸気圧曲線は、純溶媒の曲線より下に位置する。外圧に等しい蒸気圧になるまでには、より高い温度が必要であり、これが沸点上昇である。固体の溶媒(氷など)の蒸気圧曲線と溶液の曲線との交点は、純溶媒の場合より低い温度にあり、これが凝固点降下である。

凝固点降下

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砂糖水や食塩水を冷やしても、0 ℃では凍らない。このように、不揮発性の溶質を溶媒に溶かすと、溶媒の凝固点が下がる。 溶液から純粋な溶媒の固体(水では氷)が析出するとき、溶質は固体に入らない。溶液の蒸気圧は純溶媒より低いので、溶液の蒸気圧が固体の蒸気圧に等しくなる温度は、純溶媒の凝固点より低くなる。

不揮発性の溶質を溶かした溶液の凝固点が、純溶媒の凝固点より低くなる現象を凝固点降下という。 純溶媒の凝固点 t1 と溶液の凝固点 t2 との差 Δtf=t1−t2 を凝固点降下度という。

希薄な溶液では、凝固点降下度 Δtf は溶質の質量モル濃度 m に比例し、溶質の種類によらない。

Δtf=Kfm

比例係数 Kf をモル凝固点降下といい、溶媒に固有の値である。単位は K⋅kg/mol である。水では Kf=1.85 K⋅kg/mol である。沸点上昇と同様に、電解質では、電離して生じたイオンを含めた全溶質粒子の質量モル濃度を用いる。

例題

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塩化ナトリウム NaCl(式量 58.5)5.85 g を水 500 g に溶かした水溶液の凝固点は、何 ℃か。ただし、NaCl は完全に電離するものとし、水のモル凝固点降下を 1.85 K⋅kg/mol とする。

解答 NaCl の物質量は 5.8558.5=0.100 mol である。NaCl⟶NaA++ClA− と電離するので、溶質粒子の物質量は 0.200 mol となる。したがって、

m=0.2000.500=0.400 mol/kg
Δtf=1.85×0.400=0.74 K

凝固点は −0.74 ℃ である。

過冷却

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過冷却

冷却による温度と時間の関係を表したグラフを冷却曲線という。右図は、液体の冷却曲線である。

液体を冷却していって凝固点に達しても、すぐには凝固しないことがある。凝固点より低い温度でも液体のままである状態を過冷却という。

過冷却の状態は不安定であり、いったん凝固が始まると、凝固熱が放出されて温度が凝固点まで上がる。

溶液の冷却曲線では、溶媒だけが凝固するにつれて溶液の濃度が大きくなるので、凝固点が少しずつ下がり、グラフは右下がりになる。凝固点は、凝固が始まったあとの右下がりの部分を、時間の小さい側へ延長して、凝固前の冷却曲線と交わる点の温度とする。

浸透圧

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半透膜

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セロハンは、水分子のような小さな分子は通すが、スクロース分子のような大きな分子は通さない。このように、小さな分子を通し、大きな分子を通さない膜を半透膜という。

半透膜には、セロハン膜のほかにも、動物の膀胱膜、セルロースを硝酸でニトロ化して得られるコロジオンから作られるコロジオン膜、生物の細胞膜などがある。

ろ紙は、溶質の粒子も通すので、半透膜ではない。

浸透圧

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濃度を均等にしようと、浸透がされる。

U字管の下部を半透膜で仕切り、片側に純水を、もう片側にスクロース水溶液を、同じ高さまで入れる。すると、純水の一部が半透膜を通って水溶液の側に移動し、水溶液側の液面が上がる。この現象を浸透という。

液面の高さの差ができると、水溶液側の液柱の圧力が大きくなり、浸透が進まなくなる。浸透を止めるために、水溶液側に加えなければならない圧力を浸透圧という。純水と水溶液の液面を同じ高さに保つために必要な圧力としても表せる。

溶媒が半透膜を通って移動する向きは、溶質の濃度が小さい側から大きい側である。

ファントホッフの式

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希薄な溶液の浸透圧 Π は、溶液のモル濃度を c、絶対温度を T、気体定数を R として、

Π=cRT

である。浸透圧は、溶質の種類によらず、モル濃度と絶対温度に比例する。

溶質の物質量を n、溶液の体積を V とすると、モル濃度は

c=nV

である。これを Π=cRT に代入して、

ΠV=nRT

となる。気体の状態方程式 PV=nRT と同じ形である。この ΠV=nRT を、浸透圧に関するファントホッフの式という。

電解質の水溶液では、電離して生じたイオンを含めた全溶質粒子のモル濃度を c とする。

例題

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0.10 mol/L のスクロース水溶液の 27 ℃での浸透圧は、何 Pa か。気体定数を R=8.3×103 Pa⋅L/(K⋅mol) とする。

解答 T=27+273=300 K であるから、

Π=cRT=0.10×8.3×103×300≈2.5×105 Pa

例題(分子量の測定)

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ある高分子化合物 2.0 g を水に溶かして 1.0 L とした水溶液の浸透圧は、27 ℃で 1.0×103 Pa であった。この高分子化合物の分子量を求めよ。ただし、R=8.3×103 Pa⋅L/(K⋅mol) とする。

解答 高分子化合物のモル質量を M g/mol とすると、n=2.0M mol である。ΠV=nRT より、

1.0×103×1.0=2.0M×8.3×103×300

これを解いて、M≈5.0×103 g/mol となり、分子量は約 5.0×103 である。

コロイド溶液

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牛乳は脂肪が分散したコロイドである。

直径がおよそ 10−9 m(1 nm)から 10−7 m(100 nm)の粒子をコロイド粒子という。デンプンやタンパク質の分子は、コロイド粒子の大きさをもつ。

コロイド粒子は、ろ紙は通過できるが、半透膜は通過できない。

コロイド粒子が液体中に均一に分散している状態をコロイドといい、液体に分散しているものをコロイド溶液という。

コロイド粒子を分散させている物質を分散媒といい、分散しているコロイド粒子を分散質という。

コロイドの種類

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会合コロイド

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ミセル

セッケン分子は、水和しやすい親水性の部分と、水和しにくい疎水性の部分とからなる。水中では、疎水性の部分を内側に、親水性の部分を外側に向けて、多数の分子が集まる。この集合体をミセルという。ミセルは外側に親水基が並ぶので、水に分散して沈殿せず、コロイド溶液となる。

このように、親水基と疎水基をもつ分子が多数集まって生じるコロイドを会合コロイド(ミセルコロイド)という。会合コロイドは、親水コロイドの一種に分類される。

セッケン分子の構造
セッケン分子の構造

分子コロイド

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デンプンやタンパク質は、分子1個がコロイド粒子の大きさをもつ。このようなコロイドを分子コロイドという。

分散コロイド

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水に溶けない物質が、細かい粒子となって分散してできたコロイドを分散コロイドという。炭素や水酸化鉄(III)など、疎水コロイドの多くがこれにあたる。

水酸化鉄(Ⅲ)のコロイド溶液

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沸騰している水に、塩化鉄(III)水溶液 FeClA3 を少量加えると、赤褐色の水酸化鉄(III) Fe(OH)A3 のコロイド溶液ができる。

FeClA3+3HA2O⟶Fe(OH)A3+3HCl

Fe(OH)A3 は水に不溶であり、このコロイド溶液は、Fe(OH)A3 の微粒子が水に分散したものである。

電気泳動

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U字管にコロイド溶液を入れ、電極を用いて直流電圧を加えると、コロイド粒子がいずれか一方の電極の側に移動する。 このように、電圧を加えたときにコロイド粒子が移動する現象を電気泳動という。

電気泳動が起こることから、コロイド粒子は電荷を帯びていることがわかる。コロイド粒子の電荷の符号は、物質によって異なる。

水酸化鉄(III) Fe(OH)A3 のコロイド粒子は、正に帯電している。正に帯電したコロイドを正コロイドという。水酸化アルミニウム Al(OH)A3 のコロイドも正コロイドである。 一般に、金属の水酸化物のコロイドは、正コロイドであることが多い。

負に帯電したコロイドを負コロイドという。負コロイドの例には、粘土、硫黄 S、硫化銅(II) CuS などの金属硫化物、金 Au、銀 Ag、白金 Pt のコロイドがある。

コロイド粒子が沈殿しにくいのは、同じ符号に帯電した粒子どうしが、互いに反発し合うからである。

コロイド粒子が電荷を帯びるのは、粒子の表面に、溶液中のイオンが吸着したり、粒子の表面の原子団が電離したりするためである。水酸化鉄(III) のコロイドが正に帯電するのは、粒子の表面に、溶液中の陽イオン(たとえば FeA3+)が吸着しているためと考えられている。

セッケンのミセルは、親水基が電離して、負に帯電している。セッケン RCOONa は

RCOONa⟶RCOOA−+NaA+

と電離する。

疎水コロイド

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水酸化鉄(III) Fe(OH)A3 のコロイド溶液に、少量の電解質を加えると、コロイドが沈殿する。 粘土のコロイド溶液に電解質を加えても、同様に沈殿する。 水酸化鉄(III) は正コロイド、粘土は負コロイドであるから、この沈殿現象は、コロイド粒子の電荷が正負どちらでも生じる。

少量の電解質で沈殿するのは、コロイド粒子と反対符号のイオンが粒子に吸着して、粒子間の電気的な反発が弱まり、粒子どうしが集まって大きな粒子になるからである。

このように、少量の電解質で沈殿するコロイドを疎水コロイドといい、疎水コロイドが少量の電解質によって沈殿する現象を凝析という。凝析に有効なイオンは、コロイド粒子と反対符号で、価数が大きいイオンほど有効である。たとえば、負コロイドの粘土では、NaA+ よりも CaA2+ や AlA3+ が有効である。

河川水に含まれる粘土のコロイドは、海水中の陽イオンによって凝析する。これが、河口で三角州が形成される一因である。

親水コロイド

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これに対して、デンプンやタンパク質のコロイドは、少量の電解質を加えても沈殿せず、多量の電解質を加えると沈殿する。デンプンやタンパク質の分子は、−OH、−COOH、−NHA2 などの親水基をもち、粒子のまわりに多数の水分子が水和している。 多量の電解質を加えると、電解質のイオンが水分子と水和し、コロイド粒子から水和水を奪うので、コロイド粒子が沈殿する。

デンプンやタンパク質のように、水和によって安定に分散しているコロイドを親水コロイドという。 親水コロイドに多量の電解質を加えて沈殿させることを塩析という。

保護コロイド

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疎水コロイドに親水コロイドを加えると、疎水コロイドは、電解質を加えても沈殿しにくくなる。

親水コロイドが疎水コロイドの粒子のまわりに吸着すると、親水コロイドの水和のため、少量の電解質を加えても、疎水コロイドの粒子どうしが集まりにくくなる。

このように、疎水コロイドが親水コロイドに保護されて、少量の電解質では沈殿しにくくなる現象を保護作用といい、疎水コロイドを保護する目的で加える親水コロイドを保護コロイドという。

保護コロイドの例として、ゼラチンやニカワ(いずれもタンパク質)がある。ニカワは墨汁に含まれ、墨の粒子の凝集を防ぐ。 アラビアゴムも保護コロイドであり、インクなどに用いられる。アラビアゴムは多糖類であり、水に溶けやすい親水コロイドである。

コロイドの生じる要因

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コロイド粒子は、次の二つの方法で作られる。

  • 凝縮法: 分子やイオンを集めて、コロイド粒子の大きさにする。FeClA3 の水溶液を熱水に加えて Fe(OH)A3 のコロイドを作る方法が、この例である。
  • 分散法: 大きな粒子を細かく砕いて、コロイド粒子の大きさにする。

コロイド粒子が安定に分散しているのは、粒子が同じ符号に帯電して反発し合うこと、または粒子が水和していること、によって、粒子どうしが集まりにくくなっているからである。

ゾルとゲル

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ゲル

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こんにゃく。ゲルの例。

ゼラチンのコロイド溶液や寒天のコロイド溶液は、冷やすと、全体がゼリー状に固まる。 このように、コロイド粒子が連なって網目をつくり、その隙間に分散媒を含んで固まったものをゲルという。

ゲルを乾燥させたものをキセロゲル(xerogel)という。高野豆腐やシリカゲルは、キセロゲルである。 乾燥した寒天やゼラチンもキセロゲルである。キセロゲルを水につけると、水を吸って膨らむ。これを膨潤(ぼうじゅん)という。

ゾル

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コロイド粒子が分散して、流動性のある状態のものをゾルという。コロイド溶液は、ゾルである。ゾルは、冷却などによってゲルになる場合がある。

チンダル現象

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コロイド溶液に横から強い光を当てると、コロイド粒子が光を散乱させるので、光の通路が輝いて見える。この現象をチンダル現象という。ふつうの溶液は、溶質の粒子が小さいので、光をほとんど散乱せず、通路は見えない。

ブラウン運動

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コロイド溶液を顕微鏡(限外顕微鏡)で観察すると、コロイド粒子が、不規則に動いているのが見える。この運動をブラウン運動という。ブラウン運動は、熱運動する分散媒の分子が、コロイド粒子に不規則に衝突するために起こる。

透析

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コロイド溶液に、コロイド粒子より小さいイオンや分子が混じっているとき、半透膜の袋にコロイド溶液を入れて、流水中につるすと、小さい粒子だけが膜を通って出ていき、コロイド粒子だけが袋に残る。このようにして、コロイド溶液を精製する操作を透析という。

その他(※ 範囲外)

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水 50 mL とエタノール 50 mL を混ぜると、合計の体積は約 97 mL になり、単独の液体の体積の和(100 mL)よりも小さくなる。

これは、水分子とエタノール分子が混じり合うとき、一方の分子が他方の分子の間に入り込み、分子間の隙間が小さくなるためと説明される。