高校受験ガイド/受験制度や手続きなど

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県立・私立・国立の高校受験の違い[編集]

高校入試の入試科目は、県立高校などの公立高校や国立高校と私立高校では異なる場合があります。

※ 本ページでは字数の都合上、東京都立や大阪・京都の府立や北海道立などもまとめて「県立」と説明することがあります。

公立と国立の違い[編集]

「公立(こりつ)高校」と「国立(こくりつ)高校」は違います。「公立高校」とは、都道府県立または市立の高校のことです。大学受験では公立と国立とをまとめて「国公立」大学という場合もありますが、しかし高校受験では公立と国立とは大きく制度が異なるので(たとえば学区や入試問題など)、高校受験の段階では公立と国立とは別々に考えましょう。

なお、「私立「と「市立」の発音がともに「しりつ」で紛らわしいので、区別のため、市立のほうを「いちりつ」と読むことが慣用的に広く行われています。

多くの公立高校は県立高校ですが、県庁所在地などの大きな市では市立の高校もあります。

県立などの公立高校を受験する場合[編集]

受験科目など[編集]

学力試験[編集]

公立高校の受験の場合、試験科目は原則的に5教科(国数英理社)です。ただし、普通科以外の専門学科の受験においては3教科(国数英)で行われたり、体育系・芸術系の学科などで実技試験が行われたりすることもあります。

ほとんどの道府県では入試問題が共通しています。しかし、東京都の日比谷ひびや高校や西高校のように高校自らが作った問題、いわゆる自校作成問題を出すところもあります。

公立高校の受験では内申点と入学試験の点数との総合点で合否が決まりますが、内申点と入学試験の点数の比率は都道府県ごとに異なります。なお、学校ごとに内申点と入学試験の点数の比率が異なる場合もあります。志望校を決める前に、各都道府県の公立高校の入試要項をよく確認しておきましょう。

日程[編集]

公立高校で面接を実施する場合、試験日が2日にわたる場合があります。教科数が多いので、3教科だけ前日、残り2教科+面接が翌日、という例があります。

他の例では、筆記試験の翌日に、面接の受験、という日程もよくあります。

どちらにせよ、試験期間中に土日などの休日を挟む場合は、2日目が月曜日になる事もよくあります。なお、このように、土日などを休日を除外した次の日のことを、社会人の用語で「翌営業日」(よくえいぎょうび)と言います。

多くの地域の公立高校で「第2次選考」(または「後期募集」)という日程がありますが、これは単に1次選考(前期募集)で定員割れが起きた高校での入学者補充用の入試であり、定員の枠も小さいです。べつに1人の受験生が2段階の選抜をくぐりぬけないと合格しないという仕組みではないので、誤解なきよう。

なお、後期募集は、試験教科が3教科(国語、数学、英語)だけになることもあります。おそらく、日程の都合でしょう。

面接[編集]
※ 具体的な質疑応答のノウハウは下記リンク

ほか

面接がある高校の場合、2020年代の現代では、中学生みずからが事前に書く自己評価シートの記入が必要な地域もあり、すでに広島県や群馬県で実施されています[1]。どういう事かというと、21世紀では日本の中学生の活動内容が多様化してきて、もはや中学教師だけでは生徒を評価するのが労力的に困難になり、そこで生徒自身が申告するように方式が変わってきています[2]

このような中学教員の労働状況の改善という背景事情があるため、今後、面接および自己評価シートを実施する公立高校は増加していくと思われます(でないと、中学教師の負担が増えるので)。

なお、すでに広島県の公立高校で「自己表現入試」というのがありますが、これは単に面接の方式が、上記のような自己アピール方式に変わったものです。広島県の公立高校受験でも5教科の筆記試験はありますので、勘違いしないように。

学校推薦入試の廃止[編集]

少なくない県で、中学の学校長の推薦による推薦入試が廃止されています。

代わりに、それらの県では、新しく生徒自身の自己推薦の方式が導入されます。この新方式の自己推薦の方式を、いくつかの県では「特色選抜」と言います。また、基本的には特色選抜には学力試験があります[3]

普通科だけでなく体育科などの専門学科も例外ではないです。普通科以外の学科では、実技試験もあるかもしれません。詳しくはそれぞれの県ごとに異なるので、お住まいの県の教育委員会のwebサイトなどで確認してください。

一般入試を残したまま特色選抜が加わるのか、それとも一般入試と特色選抜を一本化するのか、詳しくは教育委員会などのwebサイトで確認してください。

受験可能な高校[編集]

公立高校を受験する場合、原則として都道府県外からの受験はできません。ただし、保護者の転居など正当な理由がある場合は,所定の手続きをすることで都道府県外からの受験が認められます(各都道府県教育委員会のHPをよく確認しておきましょう)。公立高校に進学する場合は、それぞれの地区ごとに設けられた学区内の高校に進学することが原則です。ただし、東京都などのように学区が廃止された自治体もあります(全県一学区)。また、学区外の高校を受験する場合には、学区内よりも高い点をとれば入学できる制度が設けられている場合もあります。

また、県境にある一部の市町村では、県どうしが次に述べる協定を結んでいる場合があって、隣の県の近隣にある高校を受験可能な特例が認められている場合があり(隣接県協定)、たとえば埼玉県と千葉県との境目の付近にある一部の市町村では、千葉県・埼玉県の隣接県協定によって県を越境した受験が可能です(ただし県境の近隣に限ります)。なお、東京都は隣接県協定を結んでおらず、他県から東京の公立高校への受験は不可能です。

関東地方では、千葉県・茨城県・埼玉県・群馬県・栃木県で、隣接県協定により、県境付近では他県の公立高校の受験が可能です。

公立高校の専願の規制とその志願取消の方法[編集]

多くの地域の場合、公立高校の受験は専願(せんがん)です[4][5]。「専願」とは、「合格したら、必ずその高校に進学する」という約束をすることです。また、基本的に1校しか受験できません。(ただし地域によっては2校まで認められる場合もある。)

このため、もし私立高校に進学したい場合、公立高校の受験前の出願取消期間中に辞退の連絡を入れなければ行けません。学校の担任の先生に相談しましょう。定員割れをしている過疎地の公立高校などだと、未受験でも公立に合格してしまう可能性もありうるので、確実に取消をしましょう。

たとえば埼玉県は、下記のように志願の取消の制度を定めています[6]。(なお、千葉県にも同様の志願取消(しがんとりけし)の制度があります[7]。)

埼玉県教育委員会

公立高校の志願を取り消す場合、ただちに中学校に連絡し、中学校長を経由して「志願取消届(様式10)」を速やかに志願先高等学校長へ提出してください。特に、公立高等学校の入学許可候補者発表までの日数が少ない場合は、至急お願いします。なお、特に定めのあるものを除き、提出された書類はお返ししません。

例外として、公立高校の合格発表後の取消が認められるのは、たとえば私立の受験日と合格発表日の期間が、公立高校の合格発表日をまたぐような場合といった(公立受験の時点では、まだ受験した私立合格が分からない場合)、正当な理由のある場合だけです[8]。大抵の地方では、その地域の私立高校の合格発表日と公立高校の受験日とに余裕をもうけているでしょうが、しかし他県の私立を受験する人もいるので、そういう例外が発生する場合もあります。

ともかく、公立高校の合格後の入学辞退はかなり厳しく自主規制されており、また社会的にも、正当な理由なき辞退への批判は大きいです。世の中には、お金が無くて公立にしか行けない人もいるので、正当な理由が無い辞退は、そういう人の教育機会を不当にうばう事として、世間ではきびしく批判されます。

このため、正当な理由のない限り、公立合格後は絶対に辞退しないのが安全です。

地方公立高校の全国募集[編集]

北海道や青森県[9]や香川県[10]など一部の地域の一部の高校は、生徒を全国から募集しており、県外から出願できます。しかし、たとえば熊本県のように「県外からの出願者については、入学を許可する数を募集人員の20%以内とする」のように制限のある場合もあります[11]

東京や大阪などでは、高校受験の全国募集は行われていません。東北・北海道や九州・四国などの一部の県やその県内の一部の高校で、生徒の全国募集が行われています。

ただし、岡山県や高知県の全国募集のように、親代わりの身元引受人が必要な場合もあります[12][13]。保護者自身がその地域に住んでいる必要はありませんが、親族などが住んでいて身元引受人にするのが一般的です。

高校受験生本人が東京都や神奈川県などの大都市の中学出身の住民であっても、他県の全国募集している県立高校に出願することは可能です[14][15]。寮などの費用は有料になってしまいます[16]

私立高校を受験する場合[編集]

試験科目や範囲など[編集]

私立高校の入試科目は、学校によって違いますが、多くの高校では2パターンのうちのどちらかの試験科目です。

  • パターン1:入試科目は3教科(国数英)、面接(学校による)
  • パターン2:入試科目は5教科(国数英理社)、面接(学校による)

私立高校受験での面接の有無は、高校ごとに違います。面接をする私立高校もありますし、面接をしない私立高校もあります。

一部の私立高校の入試問題では、中学教科書で習わない範囲から出題される可能性があるので注意が必要です[17]。入試の過去問で教科書の範囲外の問題が出題されているかどうかを確認しておきましょう[18]。なお、私立高校入試の成績評価の方法は、学校によって異なっていますので、志望校の入試要項を確認しておきましょう。

単願・併願・推薦など[編集]

なお、私立高校入試については、次の4つの用語を目にする機会があると思いますので、ここで解説しておきます。

  1. 「単願(専願)」:受験する私立高校に合格した場合、必ずその高校に進学することを約束して願書を提出すること。次の併願の受験生に比べて、単願すると加算点や合格最低点の引き下げなど優遇措置が取られていることが多い。「単願受験」といって単願者だけの入試の機会を追加で設けている高校もある。
  2. 「併願」:願書を提出する私立高校以外の公立高校や他の私立高校も受験するという場合は併願の方で願書を提出します。
  3. 「回し合格」:例えば、選抜特進・特進・総合の3コースがある私立高校を受験したと仮定しましょう。願書では選抜特進コースを第一志望とし、他のコースをそれぞれ第二・第三志望として出願したが、入試の点数は選抜特進の合格点に足らなくても特進コースの合格点に達している場合は、特進コースで合格と判定される制度のことです。複数の学科・コースが設けられている私立高校では回し合格制度が用意されていることが多いです。
  4. 「推薦」:指定された内申以上の生徒を中学が高校に推薦すること。単願でも併願でも存在する。県によってはほとんど存在しないケースがある(埼玉県等)。推薦入試の詳細は下段参照。

もし、単願(専願)や併願の約束を守らないと、信用が無くなります。単願などの約束は守りましょう。

なお、単願は本来、その高校しか受験できません。ですが、単願は受験日の開始が併願よりも1か月ほど早い場合が多く、そのため、もし最初の単願で落ちても、後日の併願で他の高校を受験できるのが実態です。単願シーズン後にも出願の願書を受け付けている高校が多いのが普通です。

例外的に、受験日の遅い単願や、受験日の早い併願とでシーズンが重なる場合があるかもしれません。もし何らかの理由で、単願しているのに他の高校も併願で受験している場合、単願以外の他高校は原則「すべり止め」にしなければなりません(もし単願以外の他高校に合格しても進学してはいけない)。

基本的には、第一志望の高校が私立の場合なら、第一志望を単願にしておけば、特に問題は無いでしょう。単願受験日シーズンと併願受験日シーズンは時期が違う場合が多いので、単願している第一志望校に落ちても、あとで併願で他校を受験できます。(第一志望校を併願で受験できる場合もあります。)


また、得に単願は、高校側から確認のため中学側の担任などに連絡が行く場合もあります。そもそも中学教師が調査書を書かないといけないので、むやみな単願の乱発などは避けたほうが良いでしょう。

推薦について

なお、推薦入試にも、「単願推薦」と「併願推薦」といった区分もあります。意味は文字通り、「単願推薦」なら単願での学校推薦、「併願推薦」なら併願での学校推薦、という意味です。ネット上には「単願すると他の高校を受験できない」みたいなデマもありますが、おそらく単願推薦による確約と混同しているデマかと思われます。推薦でない単願入試の場合、合格の保証はないので、すべり止めとして他校を併願で出願するのが慣習的です。

また、難関校の私立高校だと、学校推薦の推薦入試を受けられても不合格の場合があります[19]。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります[20]。学校推薦だからといって志望校に合格前提にしないよう、受験勉強はしましょう。

単願すべき時期と併願すべき時期[編集]

高校受験は、受験シーズンが1月、2月、3月と分かれており、普通、1月の受験シーズンは単願で出します。

そして、すべり止めとして、2月の受験シーズンに併願で受験します。(もし2月になっても単願で出してしまうと、同シーズンの他校を受験できなくなってしまい、すべり止めとして2月が機能しなくなってしまう。)

原理的には単願を1月から2月まで2回続けるのも可能ですが、2月になっても他校を受験できないので、とても高リスクです。単願受験は1月中か、遅くとも2月初めあたりに終わらせるのが安全です。


私立高校受験の場合、よほどの人気校でない限り、2回か3回くらい、受験シーズンがあります。(人気校は推薦以外の受験は1回だけ、と言う場合もありうるかもしれない。※ 未確認)

なので、同じ高校を、1回目は単願で受験、2回目は併願で受験、といった使い分けもできます。

ただし、2回目以降の受験は、すでに1回目の受験で席の埋まった、残りの枠を奪い合うので、競争はきびしくなります。


1月の入試で単願の志望校を不合格になった場合、不合格後には別の高校を受験できます。


原理的には、併願高校のうち試験日が最後の高校を単願で出す、という曲芸(きょくげい)も可能ですが、しかし合格しても手続きミスすると大トラブルの原因になりかねませんので、避けるのが安全です。学校説明会などでの十分な下見が出来なかったり、なのに単願として強い意志を示すのは、仮に合格できたとしても入学後のミスマッチなどの原因にもなりかねず、複数校への単願は、原理的には可能でも実用化は難しいと思ったほうが良いでしょう。

単願を時期を変えて3つも4つも出すのは、仮に生徒のスケジュール的には可能だとしても(とても難しいとは思いますが)、そもそも中学側の教師の調査書を書くスケジュールの問題があるし、また、高リスクなので避けたほうが良いでしょう。

基本的には、第一志望校、第二志望校、第三志望校、といった志望順位どおりに、合格した高校のうち上位の高校に進学するのが安全です。

なお、もし面接などで、志望校の順位を聞かれたり、そういう用紙を書かされたりする場合、決してウソをつかずに、素直に志望校の順位を書きましょう。


なので、中学の担任が三者面談などの志望校を決める指導で、むやみに偏差値を高い高校を志望にしないように指導し、地元の受かりそうな高校を志望しろというのは、なるべく1月入試で志望校に合格しやすくするために意味のある事です。


ほか、一説には「地元枠」という加点があるというウワサ話もありますが、しかしウワサの域を出ません。もっとも、特別な事情がないのに、わざわざ遠くの私立高校を受験しても、面接などで志望をアピールしづらいので、なるべく地元の近くで、行きたい高校を探すのが無難でしょう。

北海道に住んでる中学生でも原理的には沖縄の私立高校を受験できますが、保護者が沖縄に転勤するのでもなかいぎり、面接でのアピールは難しいよね、って意味です。交通費などで家計も圧迫するし。

デマとして「内申点が低いと難関校の単願をできない」というデマもありますが、デマです。おそらく、単願推薦と混同しているデマでしょう。単願推薦はもらえませんが、単願入試の受験は一般的に内申点に関係なく可能です。

国立高校・高専を受験する場合[編集]

国立高校[編集]

日本の国立こくりつ高校は国立大学附属高校です。問題は自校で作成するのが一般的で、教科は公立高校と同じく5教科(国数英理社)です。

学区のようなものがある場合も

高校にもよりますが、国立(こくりつ)高校にも学区のような「通学可能地域」が指定されている場合があります。その「通学可能地域」に住んでいるか、地域内に引っ越す予定が無いと、その国立高校を受験できないという制度です。

たとえば筑波大学附属駒場中・高等学校の場合、首都圏の定められた区市町村に在住していないと受験できません。なお、通学時間(90分以内。シミュレーションソフトで確認)が受験許可の基準になっているので、東京都内の市町村ですら、東村山市が受験可能な地域である一方で武蔵村山市が受験不可能な地域になったりします[21]

世間には、国立大学の日本全国からの受験と混同して、「国立高校には学区が無い」と誤解している人も多いです。地域格差の解消だとか、そういう目的は、国立高校には全くありません。むしろ地域格差を助長する構造になっています。制度的に、機会が与えられている層は、国立大付属高校の近くの通学可能地域内の地価の高い場所に住める裕福な家庭かそこに引っ越しできる裕福な家庭だけ、鉄道のJRの路線沿いの町だけ(高校の最寄り駅がJR沿いなので)、です。

高等専門学校[編集]

高専とは[編集]

高等専門学校(高専)は専門の高等教育をほどこすことを目的としており5年制となっています。卒業すると短大相当(準学士)の学歴になります。なお、国立の短大はがありません(あるのは県立短大などの公立短大)。

高専は大半が工業系のため(4校だけ商業系)、3年生くらいまでは理科系の高校に近い内容をあつかい、4年生ぐらいから大学で習うような内容の初歩も教わります。そして、卒業すると準学士の称号を得て、短大卒と同じ扱いとなります。成績優秀かつ希望すれば、卒業後に提携する大学に3年生として入ることも可能です。あるいは専攻科に進むことで事実上の大卒扱い(学士の称号を得る)となります。

ただし、埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県には、高専がありません。このように地元に高専のない地域の場合、他県の高専を受験することになります。

なお、少数ですが、公立と私立の高専もあります。

福島・富山・広島・宇部の4地域にだけ文系(商業・経営系)の高専があります[22]


国立高専の学費は公立高校と同程度であり(公立高校の学費の変動は置いとく)、2023年では年間およそ23万円です[23]


国立大学の学費は学部に関わらず年間60万円なので、理工系大学に進学したい場合は学費だけを見れば30万円×2年分(高専4~5年生は大学1~2年生に相当)ほど得です。


高等専「修」学校とは別

さて、名前の似ている「高等専(せんしゅう)学校」とは高等専門学校は別物です。「高等専修学校」とは、中学を卒業したばかりでも入学できる専門学校のことであり、普通、日本の一般の高校や大学に準じた授業はしていません。 (なぜなら、もし高校に準じた授業をするなら、普通に高等学校の専門学科(工業高校や商業高校や美術高校、音楽高校など)として自治体に申請すればいいので。)

「高等専学校」はいわゆる「一条校」という種類の学校であるので、普通の小中高大学に準じた学校であり、よって大学進学資格なども普通に得られます。

しかし、「高等専学校」は非・一条校です(つまり一条校ではない)。

大学進学をする場合、一条校を出ないと、大学受験資格などを得るのが難しくなりますので、高等専門学校と高等専修学校とを決して間違えないでください。


以下、本ページで「高専」と言ったら、一条校の「高等専門学校」の略称のことだとします。

入試[編集]

高等専門学校(高専)の入試は、こちらも教科は公立高校と同じく5教科(国数英理社)ですが、問題は独立行政法人国立高等専門学校機構が作成しており、全国共通問題で、マークシート式となっています。

公立高専の入試問題は国立高専と同じ問題で行われることもありますが、自校作成の場合もあります(試験科目が5教科でない場合もあります)。過去問を購入する場合に良く確認しましょう。私立の高専はすべて自校作成問題です。

高専の入試は公立高校入試よりも早い2月中旬に行われるため、公立高校との併願は可能です。しかし、高専に合格した場合には事実上、公立高校の受検はできないようになっています(公立高校入試日に合格者説明会を開くなどするため。公立高専の場合は高専合格と同時に公立高校受検資格を失う場合もあります。)

高専のほとんどは工業系の学校で、入試も理科・数学が重視されています。特に数学は配点が2倍となっている場合があります。そのため、数学は塾や家庭教師のサポートをつけて学校よりも早めに進めた方が良いでしょう。


大学進学[編集]

高専は5年生であるため、大学進学したい場合は編入試験を受けることになります。

このため、競争相手の多い大学一般入試を受けなくて済みます。

大学への編入試験の注意事項ですが、大学の理系の学部への編入の場合、高専時代の出身学科が理系の学科であることに限定されることが、募集要項などに定められているでしょう。つまり、(工業ではなく)商業系など文系の高専からは、理学部・工学部は一般に編入を受け付けない事になります。これは別に高専卒に限ったことではなく、短大卒や場合によっては大卒などの編入学でも同様です(もっとも国立の工業短大は日本には存在しませんが)。


(国から税金で補助を受けていて学費の安い)国立大学に進学する人も多いですが、べつに高専卒業組は大学入試新共通試験(旧センター試験に相当)で高得点を取っているわけではありません。2010年代ですが日経新聞でもそう報道されています。

編入試験の内容は一般に、大学1~2年の数学・英語・物理なので(国公立大への編入試験でもそうです)、一般に高専卒業者の編入試験では地歴公民などを受ける必要はありません。


高専は短大なのですが、そもそも理系の短大が日本にほとんどありません。なお、国立の短大はありません。県立など公立の短大は、日本で合計14校ていど、北海道や山形県などの地方に存在しますが、学科が限られており、工学系の国立短大が見当たりません[24]

このため、まるで高専の4~5年生の課程が事実上の唯一の、理工系学科の国立短大に相当の進路になっているようなのが現状です。

この事はつまり、高専のない埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県にはつまり国立理工系に相当する短大もまた存在しないことになるので、日本政府による埼玉県などに対する差別構造です。


  • 高専や短大からの大学編入と単位認定の問題

なお高専や私立の工業短大から大学編入した場合、仮に大学3年次に編入したとしても、その大学としての単位数の認定などの関係で、卒業するために3年以上を要する場合もあります。特に学科が変わった場合(たとえば高専の土木工学科 → 大学の機械工学科)、大学の学科に対応する科目の無い高専科目は単位認定されないでしょう。

単位数自体は60数単位を限度として認定されますが、しかし必修科目などが認定されない場合もあり(高専の内容が、その大学の教育内容と対応していない等)、そのため場合によっては、3年次編入ではなく2年次編入になる場合もありえます。

どんなに勉強熱心でも、理系の大学では、大学の学科(たとえば機械工学科)の各学年の必修科目の時間が重なっていたりすることが多く、そのため、卒業に要する最低年数をくつがえません。


なお、高専ではなく「高等学校」を卒業した人間は、どんなに大学範囲の予習をして身につけていても、まずどこかの大学の理系学部に入学して2年次修了までいかないかぎり他大の理系学部の編入試験を受けることができません。

なので編入試験は、実力主義ではなく事実上の半・経歴主義です。日本の大学入試は比較的に高等学校を差別して高専出身者を優遇しているという差別的構造があります。もっとも、上述のように神奈川県・埼玉県などには高専が無いため、事実上高専は、国立大学入試の編入試験をもちいた地方枠のような意味合いを持ってしまっています。まあ、東京に言い訳ていどに高専がありますが。

埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県に高専がありません。埼玉と神奈川は首都圏ですが、山梨・滋賀・佐賀は地方なのに高専がないので国立大学の編入試験において不利な県であり、たまったものではありません。


いっぽう、(高専ではなく)工業高校の出身者は、習った内容がどんなに大学進学後の工業系の学科の教育内容と重複してしていても、何ひとつとして大学の単位としては認められません。そのため、学科によっては機械工学科や土木工学科などで、ほぼ高校時代と共通する授業内容を習うのに(若干、新しい式も習いますが)、また2年間を使うことになります。

裏を返すと、高専の授業内容のかなり多い部分は工業高校と一致しているのが現状なのに、高専は大学編入後に単位として認められ(ただし全部の科目が認められるかは知りません)、いっぽうで工業高校は大学の単位として認められないという、深刻な肩書き主義による差別構造があり、それに日本政府が加担しています。

どんなに偏差値が高い工業高校(たとえば国立の東京工業大学付属工業高校)からの大学編入でも、日本では制度的に大学の単位として認められません。

いっぽう、どんなに偏差値が低い地方の高専でも、大学に編入できてしまえば、学科が同じなら、大学の単位として認められます。


特に(実験ではなく)実習の授業内容は、大学にも寄りますが、工業高校と高専と工業大学はほぼ同じです。ほぼ同じですが、大学だとレポート提出までの時間が短かったり他の座学の時間と重なったりするので、大学だけヤタラと忙しいです。「忙しそう → 勉強してそう」という、かなり深刻に頭わるそうな評価基準をよりによって政府がしています。

日本の大学の教育および評価基準や評価方法は、普通科高校の卒業生を基準としています。

昭和のまだ大卒が珍しかった時代やまだ大学にしかなかったような高額なコンピュータなどが珍しかった時代は、まだ問題点が露呈されず、工業高校から工業大学に進学することも意義があったかもしれませんが、しかし現代は単に大企業の就活フィルターを潜り抜ける以外の価値が見出しづらいのが現状です。

もし「普通科高校と比べて高専は実習が多いから優遇しても良い」とか理由づけをするなら、工業高校出身者が編入試験を受けられないと辻褄(ツジツマ)が合いません。また、一般に日本の理系の大学では工業高校などと比べて実習が少なく、実習重視を理由とする主張は辻褄が合いません。普通科高校の卒業生が気軽に工業高校に編入学できるようになってないと辻褄があいませんし、普通科高校と工業高校の2つの高校をダブルスクールなどして5年程度で卒業できる仕組みがないと辻褄が合いませんし、その普通科と工業系学科の2つの高校を卒業した人材を高専卒業者と同等にあつかわないと辻褄があいません。

あるいは、高専の校内の定期試験レベルの問題で、国公立を含む大学入試に入学できないと辻褄が合いません。

このように、日本政府の教育政策は矛盾だらけです。あいにく日本の政治家にそこまで考える知力は無いようであり、このような矛盾が解決されずに放置されています。


だから素直に「高専優遇」と認めれば済むのですが、しかし日本にそういう事を言える政治家は言ません。まあ、高専の立地の地方民・地方出身者どうしで勝手にすれば良いのではないでしょうか。

言い訳としてもし「高専の教育が優れているから」などと主張するなら、ではその「優れた教育」とやらを神奈川県や埼玉県などは地元で受けられないのは差別であるので、どうあがいても日本の政治家および官僚は差別構造を放置している事になり、日本政府は言い逃れが出来ません。


さて、日本では、口先では「製造業の職人の育成が重要だ」とか言いながら、自分や自分の子供などは製造業につけたくないという差別主義者の偽善者がわらわらいます。

中央大学の理工学部の教授(電子情報系)の竹内健はこのような風潮を批判し、自身の大学教授として体験談として、文部科学省の官僚からの相談で「もっと理系の人材を増やしたいのだが、どうすればいいいのかアイデアが欲しい。アイデアを出してくれないか」といった感じで竹内に相談をもちかけたところ、竹内は「簡単なことですよ。あなたが理系や製造業を目指さずに官僚を目指すにいたった理由を、ひとつずつ潰せばいいんですよ」といった感じの内容で皮肉交じりに返しました。官僚は、気まずそうな顔になってしまいましたとさ。

理系の労力に対する低待遇みたいなのを解決する気がないくせに、政治家あたりの命令で「理系重視」とか言い出す公共機関などの宣伝を真に受けて、自分を棚に上げて「理系重視すべき」とか言い出す、もはや自分の言ってる内容をなにも理解できてない頭のわるい偽善者の有権者はたくさんいます。

そういう偽善者たちにとって、どうやら高専は玉虫色で都合が良いようです。ロールシャッハ検査のように、都合の良い妄想を、高校でも大学でもない高専に抱くのでしょう。高専を崇拝するくせに全く機械工学も電気工学も勉強しない偽善者、物理や化学の知識も乏しい偽善者がSNSなどにもよく生息しています。


YouTube を見てたら、次のような番組を発見しました。『ビジネススキルが磨ける『最強大学』はどこなのか?東大、早慶、青学の教授陣が徹底討論します! 』、12:20 あたり、 2023/09/27 早稲田大の教授が言うには、高専で奨学金をもらう人は、働きながら高専に通ってるから立派だとさ。

工業高校や商業高校の学生はバイトで働きながら高校に通っても編入学試験の資格自体をもらえないんですけどねえ。まあ、言い訳ていどに推薦入試はあるけれど。

一般入試と推薦入試の違い[編集]

基本[編集]

入試には、一般入試と推薦入試があります。一般入試では学力試験を受けてその点数と内申点との総合点で合否を決めます。推薦入試は内申書と面接、加えて学校によっては作文で合否を決めるものです。2つの大きな違いは学力試験の有無と面接のウェイトです。推薦入試では学力試験がない学校が多数ですが、一部では学力試験も課されるケースがあります。一般入試にも面接はありますが、一般入試では本人確認の意味合いが強く、よほどのことがない限り選考材料にはならないのにたいして、推薦入試では面接は選考材料の一つとして重視されます。

なお、公立高校については、2010年以降の現代、学校推薦の入試を行わない自治体も多くあります。90年代の一時期、公立高校で学校推薦をためしに行った事もありますが、それは昔の話であり、2020年以降の現代の公立高校とは違います。ただし、公立の学校推薦はない地方自治体でも、内申点や部活での好成績は、公立入試の面接点などでの加点の対象になるので、定期試験も部活も頑張ったほうが得です。

なので、基本的に学校推薦は、私立志望の場合の受験システムです。


色々な推薦入試[編集]

基本[編集]

一般入試はすでに説明していますので、ここでは特に推薦入試について解説します。推薦入試には単願推薦(専願推薦ともいいます)と併願推薦があります。

推薦にも、「一般推薦」と「特別推薦」と「自己推薦」というのがあります。特別推薦は、部活などで公式の大会(都道府県レベルや全国レベルなど)などで好成績を取った人が取れる推薦です。一般推薦は、内申点が良い人が取れる推薦です。


公立高校にも、スポーツ推薦などはあります。たとえば東京都は、都立高校のスポーツ推薦の基準を定めています[25]

一般推薦と特別推薦は、中学校長からの推薦が必要です。なので、一般推薦と特別推薦をまとめて「学校推薦」とも言います。

一般に、一般推薦の条件は学校の教科の成績です(ただし、授業態度などで成績は加点される)。

ただし、高校によっては、英検3級以上や漢検3級以上、TOEICの高得点などが高校独自の内申評価に加点される場合があります[26]。または、部活の公式大会(都道府県以上)などでの好成績や、委員会活動などの熱心さで、高校独自の評価基準に加点される場合もあります。高校によっては自己推薦入試を行わない代わりに、一般推薦で資格試験や部活成果などによる加点を行っている場合もあります。

とはいえ、基本的には一般推薦の要件は、学校の教科の成績による内申点です。


なお、文化部での特別推薦の場合、実技が試験会場で要求される場合があります。たとえば吹奏楽部なら、実際に楽器を演奏したり、美術部なら鉛筆デッサンなど、でしょうか。持ち運べるサイズのものなら、持っていきましょう。

スポーツ推薦[編集]

スポーツ推薦では、基本的に次の条件があります[27][28]

  • 部活動またはクラブチームに関する推薦であること。その部活・クラブチームに原則、中学の3年間、入り続けていること。
  • 高校入学後も、同じ部活をつづけること[29]

ほか、高校によって、競技の種類が指定される場合もあります(たとえば「バレーボール部 5名」とか)。公立高校でもそうです。

「強化指定部」などといって、特定の部活だけ募集しています。その強化指定部に高校進学後に入る意思がないと、スポーツ推薦を受けられない場合があります。


公立はどうか知りませんが、私立の強豪校などでは、県大会ベスト8以上とか、順位が指定されることもありまうs。

ほか、「通知表で1が無い」とか追加の要件が指定される場合もあります[30]

単願推薦と併願推薦[編集]

単願推薦[編集]

合格すれば必ずその高校に行くことを約束した上で推薦入試をうけるのが単願推薦です。単願推薦は私立高校のみで行われています。単願推薦は少し内申点が低くても推薦を受けられ、入試も面接のみということが多く、合格率が非常に高い(ほぼ100%)のが特徴です。その代わり合格した高校に必ず入学しなければなりません。仮にあなたが単願推薦で合格が決まっていたのに公立高校を受験し、この公立高校に行った場合にはもう、その私立高校はあなたの母校からの単願推薦を受け付けることはないでしょう。高校と中学校との信頼関係が壊れてしまったからです。(そもそも、単願推薦が決まった場合には学校の先生が他の高校の願書を用意しないでしょう)

見てきたように、単願推薦には、「合格がほぼ確実で、入試も面接のみ」というメリットと、「合格したら進路変更が出来ない」というデメリットがあります。「楽だから」という安易な理由で単願推薦を受けるのは避けましょう。

併願推薦[編集]

併願推薦は、推薦・一般を問わず、複数の高校を受験できます。これは全公立高校とほとんどの私立高校で実施されています。単願推薦との違いは、「いくつも受験できるが、合格は確実ではない」というのが最も大きい点です。特に公立高校の併願推薦は募集人員が少ないこともあって、倍率が非常に高く、低くても5倍(5人に1人しか受からない)、場合によっては10倍以上になることもあります。ですから、公立高校の併願推薦は「合格したらラッキー」ぐらいのつもりで受けましょう。

また、併願推薦では内申書と面接で合否を決めることが多いのですが、いわゆる進学校や人気校では作文の試験を行うこともあります。特に作文を課す学校は作文と内申で合否が決まる可能性が高いです。普段の成績も大切ですが、作文対策はしっかり行っておきましょう。しかし推薦入試でも、簡易な学力試験をしている場合もあります。学校推薦だからといって学力試験が無い前提で中学3年をすごさないよう、注意が必要です。

また、高校によっては、併願推薦を受け付けてない高校もあります。第一志望の単願の人のみ推薦してほしい、という高校も多いわけです。

自己推薦入試[編集]

「自己推薦入試」と言うのがあり、高校によって、中学校長からの推薦は不要な場合と、中学からの推薦が必要な場合があります。

「推薦」という用語から、てっきり倍率が低いかと想像しがちですが、そうではありません。私立の自己推薦の場合、英検とかで中学なのに英検2級を持ってるとか、そういう人が自己アピールする仕組みの入試が自己推薦入試です。

あるいは、英検3級だけど、部活も地区予選で1回は勝てた、みたいに、スポーツ推薦の特別推薦をもらえるほどではないけど、かといって怠惰でもない、という人が私立の自己推薦では自己アピールしたりもできます。あるいは、帰国子女とかの自己アピールの入試です(英語以外の成績が悪ければ、内申点の必要な学校推薦は取れないので)。

私立高校での自己推薦入試は、学力試験が課される場合もあります。普通に受験勉強もしておきましょう。

なお、自己推薦入試は審査にも時間が掛かるので、基本的には実施の時期が早いです。なんとなく学力試験が無いかと誤解されがちですが、しかし自己推薦は受験者が多いのこともあってか無試験とは限らないので、注意が必要です。

出願時の注意[編集]

ネット出願の必要な高校[編集]

2020年以降の現代、多くの私立高校と(都道府県立ではなく)国立高校では、出願としてweb出願しか認めていない場合があります。出願の際、証明写真のような顔写真も登録しますので、事前に用意してください。

また、受験票も自分で印刷する必要がある場合がほとんどです(郵送してこない)。

※ 出願については『[[高校受験ガイド/私立志望の最低限の注意事項]』で説明してあると思います。


出願の志望理由書[編集]

高校への出願の際、先生の書く調査書とは別に、生徒が自分で「志願理由書」を書きます。

※ 書き方のノウハウ的なことは下記リンク

志望校の受験に面接がある場合、この志望理由書をもとに面接官から質問されることもあるので、質問されたら答えやすい内容を書きましょう[31]

志望理由書は文字数が限られているので、その文字数の範囲内で説明する必要があります。

私立志望の注意事項[編集]

リンク

高校は転校できないのが普通[編集]

高校の転校は、親の仕事の転勤などによる引越しなどの正当な理由がないかぎり、転校できないのが普通です。

なので、高校受験では志望校についてはきちんと調べて選ぶ必要があります。


例え転校理由が正当な理由でも、「この高校に転校したい。」というような転校先の細かい指定は普通は出来ません。


私立高校などへの転入・編入では、編入試験(へんにゅう しけん)などに合格しないと、編入学が出来ない場合もあります。また編入の定員も、中退者などの欠員を補充するための数名程度ととても少ないです。私立学校によっては、そもそも編入者を一般からは募集しない場合もあります。年度によっては欠員が無い場合や、例えば欠員があっても一般からの編入者を募集していない場合もあります。

一般の入学試験とは違い、高校の編入試験では試験で高得点を取ったからといって必ずしも編入を認めるとは限りません。「転校の理由が正当な理由で無い」と受験先の高校側が思えば、編入を認めない場合もありえます。


学科の異なる学校への転校は(例えば 普通科→工業高校 などは)困難です。たとえ他の学科への転学科が認められたとしても、単位数の関係で、卒業するのに年月が1年ほど多くかかることになります。転校というより、事実上の再入学でしょう。

ともかく高校受験では、志望校についてはきちんと調べて選ぶ必要があります。


また、このため、志望先の学校説明会などに、受験前に事前に積極的に参加しましょう。公立高校も私立高校も、学校説明会を開いています。第一志望 ~ 第三志望くらいはwebサイトなどで日程を確認し、説明会に親子で(または保護者・生徒の同伴で)、行ってみるのも良いでしょう。

学校説明会[編集]

とりあえず基礎知識として・・・

ネット地図は信用しない

ネットの地図は信用してはいけません。ネットの地図は、間違っている場合もあります。ネットの複数の別々の会社の地図を見ても、一緒に間違っている事もあります。ネット上の無料コンテンツの品質なんて、その程度のものです。決して信用してはいけません。

なので、近場なら事前に下見をしたほうが安全です。当日にいきなり初めて行こうとすると、地図そのものが間違っている場合、道に迷ってしまいます。

遠いなら、書店などで地図を買うとかしましょう。地元の書店やコンビニなどで、きちんと地図を買いましょう。


基本[編集]

参加資格の例

高校の学校説明会に参加できるのは、たいてい、基本的に中学生と、同伴で保護者1名のみです。つまり、高校受験する予定をもつ家庭だけ、参加できます。

なので、他の目的では、学校説明会には参加できません。説明内容も、後述するように高校受験に関する話題が主です。

※ 中学教員なども高校の学校説明会に参加できる場合もありますが(なぜなら中学の新任教師とかは、生徒の進学先の高校を知らないといけないので)、しかしこれは受験生および家族には関係のない話題です。


※ 地方の生徒や男子には分かりづらいかもしれませんが、都心の女子高とかだと、防犯にも高校側が気を使わないといけません。このため、実際に子の中3女子がいないと、女子高の説明会には参加できない場合があります。

また、このような防犯上の理由などから、中3学生は制服着用をした上で、中学側の身分証明書などを所持・提示した上でないと入場できない場合があります。


説明内容の傾向

説明内容は、基本的には、その高校への受験に関係する情報や、入学後に覚悟しなければならない事(たとえば「うちの高校には、こういう校則がありますので、嫌なら他校に進学してください」的な)、そのほか、受験生への多少のアピールなど、です。


注意事項

近年の高校の学校説明会は、公立とも私立とも、事前にネット上での予約や、メールなどでの予約が必須です。(なお、ネット普及前の時代でも、申し込み書などによる事前の説明会の申し込みが必要でした。)

なので、もしインターネット環境など不足していれば、事前にそろえましょう(もっとも、すでに小中学で学校からの連絡などのためにネット環境を使っていると思うので、その環境のパソコンで十分でしょう)。

なお、学校説明会に参加したからといって、特に高校入試での加点などは無いはずです(少なくとも国公立はそうです)。


受験校のことが分かっていても、念のため、少なくとも第3志望くらいまでは説明会に参加しましょう。公立高校の場合、説明会に参加したからと言って一般入試で加点とかないと思いますが、しかし高校進学後のミスマッチを減らすなどの意味でも高校説明会には参加すべきです。

受験勉強の時間が1日ぶん減ってしまうリスクはありますが、しかし説明会に参加したほうが安全です。


文化祭の見学では駄目なのか?

駄目なのです。

理由1 高校によっては、そもそも文化祭がチケット制での限定公開だけの場合もあります。限定公開の場合、その高校の生徒の友人1名または家族数名しか高校に入場できないような場合もあります。このような限定公開の高校の場合、受験生は文化祭を見学できない可能性が高いです。(たまたま兄や姉がその高校の生徒でない限り、チケット入手できない場合もある。)
理由2 そもそも文化祭では、高校教員による説明が聞けません。


なので、基本的には学校説明会でその高校の情報収集をするのが、まずは優先事項です。


道順[編集]

また、受験本番での道順など、意外と迷いがちです。特に中学での学区外の高校を受験する場合、なれない土地なので、道に迷いやすくなります。

まあ、説明会に参加せずとも、道順を確認すれば済む話ではありますが。

ともかく、受験勉強以外にも、道順の確認とか、学問以外にも調べなければならない事が多くあります。第三志望くらいまでは受験前に道順を覚えておきましょう。

また、前提として、よほどの名門の高校でもない限り(たとえば有名大学の付属高校とかでもない限り)、道順を覚えるために何度も中学のうちに学校前まで行ける近隣の高校を志望校にするのが安全でしょう。

なので、道になれる意味も込めて、学校説明会には参加するのが安全です。なお、説明会は、1校あたり1度でも参加すれば充分です。別に何回も説明会に参加したからといって、入試で加点されたりとかの話は聞きません。


交通手段

私立の説明会への登校のための交通手段について、近隣の人は、自転車での説明会の日の登校が認められる場合があります(ただし説明会が大規模でない場合にかぎります)。

ただし、それは私立高校の受験日の交通手段とは別です。一般的に、私立の受験日の受験生の登校は、バスなどの公共の交通手段になります。一般に、どの高校も、駐輪場はそんなに広くありません[32]

また、一般的に文化祭のさいは、私立も公立も、その高校の生徒以外の自転車の登校も禁止されています。

よって、受験日の交通手段と、私立の説明会での交通手段とが、異なる場合があります。

なので対策として、受験前にかならず、受験日における交通手段を確認しておきましょう。

もし少し離れた高校を志望している場合、文化祭の見学は、受験日の交通手段を想定して、電車とバスで登校してみるのが良いでしょう。


なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。

ほか[編集]

1980年代ごろの「業者テスト追放運動」といった歴史があるので、偏差値など業者テストや模試が絡んでくるような話は、基本的には公立の高校説明会では聞けません。

なお、高校の説明会に参加するにあたり、特に中学への申請や報告などは不要です。

また、一般に、中学3年にならなくても説明会には参加が可能な場合もあります[33](高校にもよる)。常識的に考えて、さすがに小学生の中学年のうちに高校説明会とかは拒否される場合もあるでしょうが、しかし中学2年なら高校説明会は参加が可能な場合も多いでしょう。ただし、説明会の人気が多い場合などは、もしかしたら3年生が優先される場合もあります。

1年や2年で説明会に参加した場合、第1~2志望校に関しては、3年生でもう一度説明会に参加するのが安全でしょう。1年間のあいだに、高校の制度とか微妙に変わっている場合があります。

説明会で何度か訪問したからといって、合格の保証はありません。ついつい慣れて高校生活を想像してしまうかもしれませんが、あくまで想像に過ぎないのは、肝に銘じておくべきです。

説明会の時期として、基本的には1学期から1学期の終わり(12月)あたりまで、です。3学期は入試シーズンなので、説明会は無い高校がほとんどです。


説明会とは違いますが、動画サイトなどに、ある程度の有名な高校を取材した動画などもありますので、もし地元の有名高校を取材した動画があれば、いくつか見ましょう。塾講師などの解説動画ではなく、できれば実際にその高校の校長や教頭などにインタビュー出来ている動画なら、なおさらベストです。動画で、校舎の大まかな位置や形が分かるだけでも、とても高校の所在地などを覚えるのがラクになります。アニメ番組とか見てる暇があるなら、高校取材の動画を見ましょう。


第1志望しか説明会に行かない自己アピールは逆効果

私立高校の受験においてですが、第1志望校だけしか説明会を参加・見学しないのは、やめたほうが良いでしょう。自己アピールとして受験日の面接で「志望校に一途さ(いちずさ)をアピールしよう。そのために他校の高校説明会はパスしよう」と思っても、おそらく逆効果です。別に面接点で減点はされないでしょうが、しかし大したアピールにはならないでしょう。

なぜなら、第2志望以下の「将来、自分が行くことになるかもしれない高校」を比較調査と現地調査で事前調査できないという点で、調査能力に疑問符だからです。

また、大学生むけの合同就職説明会でも、志望企業だけでなく他の企業の説明も聞くように企業側からもそれを推奨します。

まして高校受験では、多くの子が人生で初の受験ですので、受験を通して色々なことを学んでほしいです。


私立高校側だって、のちの就職活動で苦労しそうな学生は、やや遠慮したいでしょう(入試の成績が良ければ、別に不合格にはならないでしょうが)。

個別相談会にまで第2志望校以下まで行くかは人それぞれですが、しかし説明会については、例外として「地元に私立校が1つしかない」とかいった地域とかでない限りは、説明会だけは第1志望以下もいくつか行くのが安全でしょう。



2年終了前に学校見学を開始するとベター[編集]

高校主催の文化祭、学校説明会、その他のイベントなどは、できれば2年生が終わる前までに行けるなら行っておくのがベターです。なぜなら、3年生になってからだと、スケジュール的に受験勉強などと重なって、行きづらいからです[34]

2年生はまだ受験勉強が本格化していないので、そのうちに、志望校のうち近所にある高校の文化祭などは見学してしまうと良いでしょう。

特に文化祭は、時間が掛かるので、2年生の終わりまでに済ましておくと、3年生の時間を節約できます。

気になってる高校が多い人は、2年生が終わる前に学校説明会や文化祭を見学しておくのが良いです[35]

中3では、本命上位のところだけイベントに見学に行くのが良いでしょう[36]


ただし、高校によっては文化祭を生徒の保護者・家族以外に公開していない場合もありますので、その場合は文化祭はあきらめて、学校説明会などで情報収集をしましょう。


もっとも、文化祭は体験しなくても、学校説明会で、大体は解決します。


ネット地図は信用しない

なお、ネットの地図は信用してはいけません。ネットの地図は、間違っている場合もあります。ネットの複数の別々の会社の地図を見ても、一緒に間違っている事もあります。ネット上の無料コンテンツの品質なんて、その程度のものです。決して信用してはいけません。

なので、近場なら事前に下見をしたほうが安全です。当日にいきなり初めて行こうとすると、地図そのものが間違っている場合、道に迷ってしまいます。


SNSの学校アカウントは参考に留める

また、その学校のSNSなどのネットのアカウントや部活のアカウントも、たとえ公式アカウントであっても、決して信用しすぎないようにしましょう。なぜなら公立学校でもSNSの部活アカウントは、たとえば外注だったりして、アカウントの中の人がその学校の人ではない別会社の民間企業の人が注文を受けてSNS運営している場合もあり、そのためか微妙に広報内容・宣伝内容が間違っている場合もあります。文化祭ていどの情報だと、広報・宣伝内容が微妙に間違ったりしている場合もありえます。

なお、市役所などのアカウントも外注だったりします。過去、自治体の外注SNSアカウントが不謹慎な発言をして炎上してネットのニュースになった事件もあります。

ネットのアカウントによる文化祭などの情報は真に受けず、なるべく事前に現地を下見しましょう。入場できなくても前日や2~3日前などに校外からでも見れば、ある程度の様子は分かるでしょう。

学科選び[編集]

次のページを参照してください。

学科は、受験後・入学後には変更できません。


模試について[編集]

「模試」(もし)とは、入試問題を模した業者テストのことです。

模試は、決して単に順位や偏差値を出すだけでなく、さらにコンピュータ分析だろうか弱点の指摘をしてくるので(たとえば「英語の関係代名詞が苦手なようです」とか得点傾向から指摘してきたりする)、中3は模試を受けてください。私立志望かどうかに関わらず。

学校の定期テスト対策だけでは、そういう弱点分析ができません。


私立高校によっては、模試で好成績を取ると加点することを説明会などで明言している私立高校も普通にあります。なので、私立志望の場合、機会があれば模試をどんどんと受けるのが良いでしょう。ただし、あくまで加点ていどなので、本番の入試で好成績を取るのを第一目標にして受験勉強すべきです。

なお、模試による加点については、あらかじめ高校の入試相談会などに模試の成績書を持っていくなどの必要があります。

審査などに時間が掛かるので、入試当日の面接では模試の成績章を見せても加点を受け付けない場合があります。


どの模試が加点対象かは、特に志望の私立高校がその模試に試験会場を提供している場合、その私立高校は明らかにその模試と提携しており、なのでその模試は明らかにその私立高校の面接点の加点対象に入っている模試であるので、優先的にその模試を受験しましょう。

地域にどのような模試があるかの情報は、公立中学校では入手しづらいでしょうから、公立中学生で私立高校志望のかたは塾などに通われると良いと思います。塾のこういう情報は、夏期講習だけを受けていても入手しづらいので、せめて3年生になってからでも良いので塾に通うのが安全だと思います。

塾に通える金持ち有利の私立受験のシステムですが、そもそも私立高校の学費自体が高いので、私立を目指すというのはそういうものです。


さて、模試について、公立中学では歴史的な経緯により、平成以降は公立中学校を模試の試験会場にしません。かつて、模試の成績をもとに、公立中学が、成績の悪い生徒の高校受験に規制をかけていた経緯があるので、それが問題視されて、その結果、中学校では模試は受験できなくなりました。

しかし、私立中学や塾には関係のない話です。また、どんなに中学の成績が良くても、一般入試では試験の得点が悪ければ不合格です。

私立志望にせよ公立志望にせよ、模試を受けて、試験慣れしましょう。どちらにせよ。


また、公立中学の三者面談などで業者テストの成績や順位や偏差値を言うと、教員には話をそれ以上は止められますが、それは1980年代の文部省の(中学現場での)「業者テスト」追放の指導と言いった事情があるからです。

なお、べつに業者テストの成績が好かろうが悪かろうが私立は受験できる地方が多いですし(ただし神奈川県は少し特殊らしいです)、合格点以上に好成績なら合格します。


なお、模試では、私立高校が業者テストの試験会場になったりすることもあります。そして、私立が志望校の場合で、もしその高校を会場にしている業者テストや模試があるなら、ぜひその業者テストを受験をするべきです。

たとえ業者テストによる加点システムの無い私立高校の場合でも(単に業者テストの模試の会場を提供してるだけでも)、学校見学も兼ねて、その学校に訪問してみるのは良い経験です。

試験当日に迷子になって遅刻して不合格とかになったら馬鹿馬鹿しいので、予行練習の意味も含めて、機会があれば、何度も志望校私立を会場にした業者を受けるべきです。

また、もし志望校が業者テストに会場を提供していなくても、学校説明会および入試相談会などには最低でもそれぞれ1回は参加すると良いでしょう(あまり多く参加する必要はありません)。


私立志望の場合、第三志望くらいまでは、受験本番の前に、何度もその高校でのテストまたは説明会に参加して訪問したことがある、といった状態に持っていくべきです。もし、そういった訪問のイベントに参加できてない場合、受験勉強の時間だけを増やすよりも先に、まず普通に高校説明会などの機会で訪問してください。訪問機会を増やすのが先です。

試験直前の倍率こそが本当の倍率[編集]

模試で倍率と、試験直前での出願中の倍率は違います。特に、1月後半以降から出願できる高校の倍率は、それ以前の春~秋の模試の倍率とは違う傾向があります。

この理由は、主に1月の名門高校の第1志望に落ちた受験生が、第2志望以下として急に志望校を追加するからです。

このように、真の倍率、真の偏差値と、模試の倍率・偏差値とは、微妙に異なります。

もっとも、たいていの模試や志望校調査では第3志望まで書かせるので、ある程度は模試側でも予想・調整できます。

ズレやすいのは、第4志望あたりの高校からです。すべり止めとして受けた第4志望以下の高校で、意外とすべり止まらないこともあります。

偏差値と倍率[編集]

合格発表のweb化[編集]

私立高校では、合格発表は、web発表のみ(インターネット発表)なのが、もう2010年代から基本です。つまり、昭和の時代にあったような、掲示板での発表は、現代の私立高校では、無いのが基本です。

公立高校でも2024年以降、掲示板をとりやめ、web発表に切り替える高校が増加していく予定です[37][38][39]

合格通知を送るかどうかは各学校によると思いますので、詳しくは学校の要綱などで確認してください。

メール連絡先を携帯電話に指定している場合、もしスマホのバージョンが古すぎると、うまく届かない可能性があります。携帯電話が古すぎる場合、新品に買い替えてください。

そもそも携帯電話がガラケー(OSがAndroidやi-OS でないケータイ)だと、高確率で送受信エラーになる可能性がありますので(たとえばワンタイムパスワードのメールが届かない等)、たとえ電話会社のサポート中でも安全のためスマホに買い替えてください。サポート中というのは、単に昔からある旧式のメールサービスが使えるというだけであり、新しい新式のメールサービスは使えませんので、そのため合格発表の連絡などの送受信エラーの可能性がとても高くなります。

定員割れと二次募集[編集]

定員オーバーと定員割れ[編集]

高校入試も大学入試も、募集の定員よりも多めに合格者を出すことがあります。特に私立がそうですが、高校の場合は公立高校でも定員よりも多めの合格者を出すことがあります。(公立高校の場合、税金の補助があるので、定員オーバーを多数受け入れるのは財政的に厳しく、(公立高校では)せいぜい数名のオーバーです。)

私立高校の場合だと、この理由は、併願している合格者がどれだけ自分の学校に進学してくるか不明なので、私立高校側が多めに合格者を出しているのです。


なので高校では、私立の場合、人気のある学校は募集者よりも実際の学生数が多いのが普通です。文科省も、こういうのを容認しています。(ただし大学では、都心などであまりにも過密な場合、文科省から行政指導が入る場合もある。)

さて、最終的に併願合格者で定員オーバーするような人気高校でも、単願入試の時点だと倍率0.9倍とか、単願倍率だけ1倍未満の場合もあります。別の節で述べたように倍率1未満だからといって絶対合格とは限らないのですが、それでも人気校にかなり入学しやすくなるのは変わりありません。

定員割れ

入学者が募集人員に満たない状態を定員割れと言います。

たとえ高い偏差値の高校でも、併願者に人気がなかったりすると、定員割れをする場合もあります。たとえば、ときどき偏差値の高い高校でも倍率 0.95 とかになって、1を下回る場合もあります。

「定員割れ」と聞くと世間では、何となく「成績の悪い底辺校」「不良の多い高校」みたいなイメージだったりするかもしれませんが、しかし実態は違うので勘違いしないようにしましょう。

また、昨今の不景気や少子化により、私立高校の「定員割れ」と聞くと、受験生はなんとなく「この私立は経営の危機か!?」みたいに思いそうですが、しかし、けっこう定員割れは時々よくあることで、高校受験では20世紀の頃からある現象なので、誤解しないようにしましょう。

  • 定員そのものが減らされた「隠れ定員割れ」高校

倍率だけを見ても実態は分かりません。なぜなら、少子化に合わせて、定員を下げた高校が多くあるからです。つまり、昭和の昔は1学年8学級や10学級あったのが(生徒数は1学年あたり320~400名)、今は5学級になって1学年の生徒数が200名の前後になった高校も多くあるからです。

なお、例外として首都圏や、一部の人気高校を除き、日本各地の多くの公立高校がそういう、いわば「隠れ定員割れ高校」(← 造語)です。

なお、工業高校では募集人員が「40名」とか少数の高校がありますが、これは別に少子化の影響ではなく、工業高校では学科が機械科・電気科・建築科などと細分化されるので、それぞれの学科ごとの募集人員を公表しているだけです。ただしそれも昭和の昔は「機械科 80名」(2学級ぶん)とかだったりしたわけで、やはり少子化の影響はあります。

二次募集[編集]

定員割れをした高校では、3月に受験生の二次募集をすることがあります[40]。私立でも公立でも、あります。

ただし、もし一次募集で定員割れをしても若干名だけの場合、二次募集を実施するかどうかは不明です。その高校の方針によっては、二次募集をしない場合もあります。

また、たとえ二次募集をするとしても、試験日がかなり遅くなる場合があります。3月7日とか8日が試験日になる場合もあります(なお、私立の進学高校の受験日は1月中旬とか1月下旬とか早めのことが多い)。このため、もし二次募集を当てにしてしまうと、他校を受験できずに高校浪人の可能性が高まりますので、けっして最初から二次募集を当てにしてはいけません。

特に人気校や進学校の二次募集は、応募倍率が30倍以上とか高い値になり超難関になる可能性があるので(2019年度の都立日比谷高校の事例)[41]、けっして最初から二次募集を当てにしてはいけません。

また、公立の場合、二次募集にも合格最低点があり、もし二次募集でも定員割れをしても、受験生の得点が極端に悪ければ不合格です。

注意点[編集]

一般的に公立のほうが倍率が高いです。たとえば、首都圏ですら、ある地域では偏差値55の公立高校が倍率1.5倍ないっぽう、偏差値65の私立高校が倍率1.1倍なんて事例すらあります。

また、模試の倍率と、高校の発表する倍率は違います。上述したように、模試では受験しない人でも志望校に書いたりするので、あまり精度が良くありません。

実際の受験生の倍率は、高校側の発表する倍率です。

補欠合格と繰り上げ合格[編集]

私立高校の受験において、自分はギリギリで不合格でも他の合格した受験生が、他校に進学手続きをするなどして合格枠が空いて、ギリギリ不合格だった受験生に合格が回ってくるのを「繰り上げ(くりあげ)合格」と言います。

いっぽう、まだ繰り上げ合格してないが、志望校側が余裕をみて、ギリギリ不合格だった人に、繰り上げ合格が回ってきたら進学手続きをするかどうかの意思確認をすることを「補欠(ほけつ)合格」と言い、ます。


基本的に、繰り上げ合格は、正式な合格です。

いっぽう、補欠合格は、名前に反して、まだ合格していません。ただし、補欠合格の段階で進学の意志を伝えないと、繰り上げ合格はもらえません[42]


補欠合格になった場合、ネット発表されるとは限らず、電話または郵便の封書[43]で志望校側が伝えてくるので、電話に出なければいけませんし、郵便物も確かめなければなりません。電話に確実に出れる環境を、保護者が用意しなければいけません。

繰り上げ合格の分かるタイミングは志望校ごとに異なり、一概に言えません。3月になる場合もあります[44]

電話連絡の対応

私立受験では、補欠合格や繰り上げ合格などの連絡は、電話で行います。なので、家に保護者が在住するか、あるいは志望校に伝える連絡先をスマートフォンなどに指定しましょう。

固定電話は、もし古くて留守録などの機能が無いなら、留守録などの機能のあるものに買い替えなければいけません。

裏を返すと、「そのような投資ができない貧困層の家庭は、そもそも私学を受験するな」という意味合いでしょう。


公立高校には繰上げ合格は無いのが原則

なお、基本的に都立高校などの公立高校の受験には、補欠・繰り上げ合格の制度は無いのが原則です[45][46]。この理由はおそらく、公立高校の受験は専願であるべきだと厳しく自主規制されているからでしょう。(もし合格した私立高校に進学したい場合、公立高校は受験前に辞退の届け出をしなければならない。)

もし公立高校で定員割れがいちじるしく起きた場合は、補欠・繰上げではなく、二次募集を行うのが一般的です。

人気校の受験シーズン[編集]

私立の場合、有名大学の付属校などの人気校の受験シーズンは傾向として、1月下旬や2月上旬など、早い場合が多いです(あくまで人気校の場合です)。

これは、理由は特に明言されてませんが、もし人気校の受験シーズンが3月だと、その人気校を目指して単願で多くの受験生が受験しかねないので、多くの不合格者を出しかねず、なので多くの高校浪人を出してしまいかねないからでしょう。

中高一貫校について[編集]

高校受験での募集停止した中高一貫校[編集]

付属の中学をもっている私立中学や、国立・私立の中高一貫校では、高校受験での外部募集を2010年代以降、停止した高校もあります。これを「完全中高一貫校」と言います。

応募枠が無い以上、外部の中学からは完全中高一貫校には進学しようがないので、一般の公立中学生は他の高校を受験しましょう。

2010年以前のかつては高校受験からも募集していた高校でも、令和では高校受験の募集停止をしている高校もあります。保護者などのアドバイスを聞く場合、この変化に注意しましょう。

公立でも、多くの公立の中高一貫校は、高校受験での募集を停止して完全中高一貫校になっています。


大学付属校でも募集停止をしている場合があります。東京都内の麻布大学付属、早稲田大学付属、成城大学付属の高校は、高校募集を停止しています[47]。神奈川の相山学院付属横浜英和も高校募集停止です。その他、立教女子や学習院女子も高校募集停止です。

大学付属校ではないですが、進学校として有名な海城高校(男子校)や桜蔭高校(女子高)も高校募集を停止しています。

ほか、傾向として、公立の中高一貫高校は、完全中高一貫校である傾向があります[48][49]

内部進学組と高校受験組が1年次は別クラス[編集]

高校受験生を募集している中高一貫校でも、高校1年では、付属中学から進学してきた内部進学組(俗(ぞく)に「内部生」という)と、高校受験で入ってきた高校受験組(俗に「外部生」)とが別クラスという例もよくあります。

内部進学組では一部の学校行事が1年ほど先倒しをされていることもあるので、高校1年でクラスを同じにするのは、なかなか難しいです。たとえば高校受験組が高校1年で体験する行事が、内部進学組はすでに中学3年で体験しているような場合もあります。外部受験組がどんなに受験勉強を頑張って高校1年の範囲を先取り学習していても、行事だけはどうにもなりません。

なので、外部受験組が内部進学組と早く交流を開始したいなら、高校入学後に部活に入るなどして、交流の機会を積極的に増やすなどの工夫をしてください。


文理のコース制との兼ね合い

なお、近年は文系コース、理系コースとコース制がしかれている高校も多いので、コースが違う同学年生徒とは、絶対に同じクラスにはなりません。なので、そういった理由もあるので、できれば高校進学後も部活に入ったほうが良いでしょう。(せいぜい、体育や芸術科目での2学級合同の授業で、同じ授業を受ける可能性があるくらいです。)

一条校と非一条校[編集]

参考文献[編集]

書籍[編集]

  • ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P55

脚注[編集]

  1. ^ 『公立高全校で面接試験 県教委入試改正素案』、読売新聞オンライン、 2023/10/17 05:00 2024年03月31日に確認.
  2. ^ 『埼玉県教委 “全公立高で面接実施”新入試方法の素案を公表』、NHK首都圏NEWS WEB、10月17日 17時15分 2024年03月31日に確認.
  3. ^ 林利香 著『滋賀県立高校、26年度入学から入試変更 推薦も学力検査、日程集約』、朝日新聞、2023年12月26日 10時30分、 2024年03月31日に確認.
  4. ^ Yahoo!知恵袋 『高校進学について。公立、私立とも合格した場合、必ず公立高校へ進学しなく』2011/3/8 0:41 2024年03月31日に確認.
  5. ^ 教えて!goo 『至急!!!!! 私は私立を併願で受け合格し公立も合格しました。 その場合私立に行くことはできないので』2020/03/16 09:57 2024年03月31日に確認.
  6. ^ 埼玉県教育委員会『令和5年度入試についてのQ&A(令和4年11月24日掲載)』掲載日:2022年12月15日 2024年03月31日に確認.
  7. ^ 千葉県総合教育センター学力調査部 リンク切れ
  8. ^ ツイッター 東京高校受験主義 2024年03月31日に確認.
  9. ^ 高等学校教育改革推進室 著『県立高校における全国からの生徒募集について』更新日付:2023年1月16日 2024年01月27日に確認.
  10. ^ 香川県教育委員会 著『せとうち留学(全国からの生徒募集)』公開日:2024年2月20日 2024年03月31日に確認.
  11. ^ pdf 熊本県教育庁県立学校教育局高校教育課 著『熊本県立高校の7つの学科・コースは 全国から広く生徒を募集します!』2024年 2024年03月31日に確認.
  12. ^ pdf 『全国募集を利用して 岡山県立高校の受検を考えている皆さんへ』 ※リンク切れ
  13. ^ 高知県『高知県立高等学校 生徒全国募集について』公開日 2023年12月22日 2024年03月31日に確認.
  14. ^ (動画)日テレNEWS『【高校】町長が身元引き受け人!? 全国から公立校に生徒呼び"少子化対策" 宮城 NNNセレクション』2023/04/18 2024年03月31日に確認.
  15. ^ (動画)【公式】南海放送NEWS(チャン4)『母校がなくなる? 県立高校の未来は…<NEWS CH.4>』 2022/10/20 2024年03月31日に確認.
  16. ^ (動画)日テレNEWS『【高校】町長が身元引き受け人!? 全国から公立校に生徒呼び"少子化対策" 宮城 NNNセレクション』2023/04/18 2024年03月31日に確認.
  17. ^ ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P55
  18. ^ ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P55
  19. ^ 『【高校受験】推薦入試に落ちてしまう人の特徴とは?落ちる原因を元に対策を徹底解説 | オンライン家庭教師ピース 2024年01月01日に閲覧.
  20. ^ 『高校受験の「推薦入試」ってどんな制度?わかりやすく解説!【塾探しの窓口】』2023.11.01 2024年01月01日に閲覧.
  21. ^ 『2024(令和6)年度より、通学区域を変更します | 筑波大学附属駒場中・高等学校【公式】』2023年7月20日 更新 2024年03月31日に確認.
  22. ^ YouTube動画 山内太地 著『知られざる文系高専4校の進学・就職事情』,2024年02月06日 2024年02月06日に確認.
  23. ^ 渥美功介 著『学費は5年間で126万円!知られざる「高専」の世界…“学費以外にかかるお金”の落とし穴【高専出身FPが解説】』2023.2.8 2024年02月06日に確認.
  24. ^ 『国公立短大一覧(14校)【スタディサプリ 進路】』 2024年02月06日に確認.
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  28. ^ 『スポーツ推薦を受けるにはいつごろどんな手続きや対策が必要?スポーツ推薦を受け付けている東京の高校もご紹介』 2024年1月30日
  29. ^ 塾講師ステーション 著『スポーツ推薦のあれこれ【高校受験編】』2021/12/172024年03月31日に確認.
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  31. ^ 『高校の志望理由書の書き方は?印象に残る志望理由の考え方 | 明光プラス』2024年03月31日に確認.
  32. ^ ※たとえば宝仙学園 中学校・高等学校
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  34. ^ ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P42
  35. ^ ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P43
  36. ^ ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P43
  37. ^ 動画 SBSnews6『「楽しみにしていたので…」「悲しむ姿で胸が苦しくなる」公立高校の合格掲示取りやめで受験生悲喜こもごも』2024/01/18 2024年03月31日に確認.
  38. ^ 動画 CBCニュース『公立高校の合格発表 “掲示板のはり出し”が今年で最後に DXの流れや先生の負担を減らすため「かなり神経使う…」 愛知県』 2024/03/08 2024年03月31日に確認.
  39. ^ 動画 『「言葉に表せないくらいうれしい」大阪府の公立高校で合格発表 恒例『張り出し』は今年で最後に…来年からはHP発表のみ(2024年3月19日)』2024/03/192024年03月31日に確認.
  40. ^ まなビタミン 著『高校受験の「定員割れ」について正しく理解しよう!』更新日:2021/03/26 2024年03月31日に確認.
  41. ^ おおた としまさ 著『日比谷高校“まさかの”2次募集 なぜか学芸大附属校長が「不適切表現で反省」のワケ』文春オンライン、2019/03/142024年03月31日に確認.
  42. ^ 四谷学院『補欠合格のチャンスをつかむ!通知方法や電話に出られなかった場合の対応方法を解説』最終更新日:2024/03/022024年03月31日に確認.
  43. ^ 明光プラス『繰り上げ合格とは?合格通知のタイミングや仕組みについて解説!』初版 2021.04.28 ・更新 2023.10.07、 2024年03月31日に確認.
  44. ^ 『補欠合格とは?繰り上げ合格になる可能性や通知を待つ際の注意点』
  45. ^ ツイッター 東京高校受験主義、 午後11:44 · 2024年3月5日2024年03月31日に確認.
  46. ^ 『神奈川県公立高校入試 「繰り上げ合格」実質的に「ない」』2021年2月23日
  47. ^ 柿崎明子 著『海城、浦和明の星女子、成城…完全一貫校化でどう変わった? 校長らに聞く』2020.03.13 2024年03月31日に確認.
  48. ^ 栄光ゼミナール『公立中高一貫校のメリット・デメリット』更新日 2024/01/10 2024年03月31日に確認.
  49. ^ 柿崎明子 著『海城、浦和明の星女子、成城…完全一貫校化でどう変わった? 校長らに聞く』2020.03.13 2024年03月31日に確認.