高等学校公共/内閣

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本節は、中学の公民分野で習った内閣について解説します。

なお、大学の憲法テキストや公務員採用試験の憲法・社会科学の参考書には発展事項として内閣の仕事内容(権能)とかが掲載していますが、公民の教科書には掲載しておりません。(公民の図説にその内容が載っているくらいです。)

議院内閣制[編集]

日本の議院内閣制のしくみ

 議院内閣制とは、内閣の成立と存在が国会の信任に基づく制度です。つまり、内閣は、国会からの信頼なくして一切存在しません。

 議院内閣制は、権力間の牽制による権力濫用防止という権力分立の要請を一歩後退させて、国会・内閣間の連携(信頼関係)を要請します。

 内閣は、特に衆議院からの信頼が重要で、内閣総理大臣の指名は衆議院の優越が強くはたらきます。また、衆議院で内閣を信用してもらえなかったら(信頼喪失)、内閣は10日以内に衆議院を解散しない限り、総辞職しなければなりません。仮に衆議院を解散しても、その後の総選挙により衆議院議員が入れ替わると、改めて信頼関係を築ける内閣総理大臣が選び直されます。

内閣の構成[編集]

内閣総理大臣の執務の中心である総理大臣官邸

 内閣は、内閣総理大臣と14人以内(ただし、特別に必要がある場合に関しては17人以内)の国務大臣で構成される合議体の行政機関です。

 閣議とは、内閣が意思決定をするために開く会議です。内閣総理大臣と国務大臣が出席し、非公開で行われます。閣議での決定は、慣例上、全員一致でなされます。

内閣総理大臣[編集]

岸田文雄内閣総理大臣による第二次岸田改造内閣。岸田内閣の周りには多くの国務大臣がいます。

 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名され、天皇によって任命されます。内閣総理大臣は、明治憲法下では「同輩中の首席」の地位にとどまり、内閣において強力な権限を持ちませんでしたが、日本国憲法下では内閣の「首長」です。他の国務大臣の上位にあります。そして、内閣を統括し代表する強い権限を与えられています。

国務大臣[編集]

 国務大臣は内閣総理大臣によって、任命・罷免され、天皇が認証します。その過半数は国会議員の中から選ばれなければなりませんが、残りについては民間からの登用も出来ます。任命・罷免は内閣総理大臣が単独で行え、国会の承認や閣議決定などは不要です。各大臣は内閣の構成員です。同時に行政各部の長でもあります。国務大臣は通常各省の大臣となり、その省の主任大臣として行政事務を分担管理します。しかし、内閣の構成員の役割に特化した大臣(無任所大臣)の設置も出来ます。

文民統制(シビリアン・コントロール)[編集]

 行政府の最高責任者たる内閣総理大臣やその他の国務大臣は文民でなければなりません。戦前の日本では軍部の実力者が陸軍大臣や海軍大臣、内閣総理大臣に就任し、政治に対する軍部の影響力が極めて大きく、それによって軍部の独走を止めれずに日中戦争や太平洋戦争に突入したという経緯があります。このような事態を防ぐために、軍事を議会に責任を負う大臣(文民)が統制し、軍の独走の抑止を文民統制といいます。

文民
現在、職業軍人(自衛官)でない者・職業軍人の経歴をもたない者です。
日本国憲法 第66条
第1項 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣とその他の国務大臣で内閣を組織します。

第2項 内閣総理大臣やその他の国務大臣は、文民でなければなりません。

第3項 内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯責任を負います。

指名と任命
 「指名」に引き続いて「任命」がある場合、実質的決定は「国会」が担います。なぜ、国会にその決定権があるのかというと、国会で決めた人を国会が任命すると三権分立に相応しくないからです。したがって、天皇さんが国会の仕事を代わって国会で決めた人を任命しているのです。改めて説明しますが、日本国憲法の天皇さんは飾りに過ぎませんでした。
認証
 認証は一種の証明のようなものなので、実質的決定を担いません。日本国憲法の天皇さんは飾りに過ぎないからです。

衆議院の解散[編集]

 衆議院の解散は、衆議院議員の任期満了前に、その身分を失わせる制度です。その趣旨は、衆議院の内閣不信任決議への対抗手段(自由主義)と、解散後の総選挙を通じて民意を問う(民主主義)点にあります。もっとも、衆議院の解散は、衆議院による内閣不信任案の可決や内閣信任案の否決がある場合(日本国憲法第69条)に限定されません。

日本国憲法 第69条
 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決した時や衆議院で信任の決議案を否決した時は、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければなりません。

 衆議院の解散は天皇が行います。しかし、衆議院の解散は、その後の政局を左右することから政治色が極めて強くなります。そして、天皇は日本の象徴で、政治権力は認められません。そこで、衆議院の実質的解散権は、天皇の国事行為について定める日本国憲法第7条第3号を根拠に、内閣にあるとするのが通説です。つまり、内閣が国事行為の要件である「助言と承認」を通じて、実質的に決定していると考えます。

日本国憲法 第7条
第3号 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、衆議院を解散する行為を行います。

 衆議院が解散されると、参議院は同時に閉会となり(同時活動の原則)、国会の会期は終了します。そして、解散の日から40日以内に総選挙、総選挙の日から30日以内に特別国会が召集され、内閣は総辞職します。