高等学校政治経済/政治/国会
当政治経済では、国会について簡単に記述する。より、詳しい内容は後日執筆する公共の項目を参照してほしい。
- 日本の統治機構Ⅱ(統治の基本原理)
- 国会の仕組みと働きⅠ(国会の地位)
- 国会の仕組みと働きⅡ(国会の構成)
- 国会の仕組みと働きⅢ(国会の活動)
- 国会の仕組みと働きⅣ(会議の諸原則)
- 国会の仕組みと働きⅤ(参議院の緊急集会)
- 国会の仕組みと働きⅥ(国会の権能)
- 国会の仕組みと働きⅦ(議員の権能)
- 国会の仕組みと働きⅧ(国会議員の特権)
国会と三権分立
[編集]国会(立法権)、内閣(行政権)、裁判所(司法権)を三権とよぶ。この三権が抑制と均衡の関係を持っていることを三権分立と呼ぶ。本節では、国会について記述する。
法律を作ることを立法と呼ぶが、日本の立法機関は国会であり、これは唯一である。このことは憲法41条に書かれている。条文を読んでみよう。
「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」(第41条)
ここで、国権の最高機関とは、三権のうちで最も重要であるということである。けっして、内閣(行政組織)、裁判所(司法組織)よりも強大な権限を持っているということではない。(※範囲外)なおこれを「政治的美称説」という。
- (※範囲外) ただし、三権のうち国会議員のみ国民からの選挙で選ばれていることに注目して[1]、国会議員(立法組織)だけ残りの2権よりも重視して最高機関だと見なす考え方もある。
- (※範囲外)国会は「最高機関」とは言えど、実際には国会は司法(裁判所)による違憲立法審査権などで審査やチェックをされる側でもあり、国会には抑制も求められる。(読者には、思想家ロックのチェック・アンド・バランスなどの概念とも関連づけて理解してもらいたい)
さらに、唯一の立法機関とは、法律を制定することができるのは国会のみであるということである。しかし国会議員しか(法律ではなく、その法の)法案を作れないという意味ではなく、官僚など国会議員以外が法案を考えることは可能である。なお、誰に法案を作ってもらっても、強制力のある法として制定するには、国会議員がまずその法案を国会に提出して、国会でその法が可決されなければいけない。内閣も総理大臣も国会議員であるので、内閣が国会に法案を提出しても良い。
また、もちろん、政令や省令、地方自治における条例など、国会以外も広い意味での法を作ることができるが、しかし狭義の法律、たとえば、公職選挙法などは、国会しか作ることができない。
国会の権限
[編集]上述のように、国会の権限としては、まず第一に立法である。そのほか、予算、条約の締結など、さまざまな権限を持っている。具体的には、以下の7つである。
1) 法律案の議決
2) 予算の議決
3) 条約の承認
4) 内閣総理大臣の指名
5) 国政調査権
6) 弾劾裁判所の設置
7) 憲法改正の発議
国会の運営方法
[編集]議員との全員が集まって行う会議を本会議と呼ぶ。有名なものとして、通常国会などがある。本会議の種類を以下にまとめる。
内容 | |
---|---|
通常国会(常会) | 毎年1回、1月から行われる。来年度の予算の審議が中心。会期は150日。 |
臨時国会(臨時会) | 内閣が必要と認めた時、あるいは、いずれかの議員の総議員の4分の1以上の要求があったときに召集される。秋ごろに開かれることが多い。 |
特別国会(特別会) | 衆議院の解散総選挙後30日以内に召集される。内閣総理大臣の指名が議題。 |
参議院の緊急集会 | 衆議院の解散中に緊急事態が起こった時に、内閣が招集。 |
以上のように、全員が集まって行う会議もあるが、日本の国会は、委員会制を採用しており、実質的な議論は委員会を中心に勧められる。委員会の議決を経て、本会議に上程され、最終的に議決されるという流れになっている。
また、委員会には常任委員会と特別委員会が存在する。常任委員会の例としては、たとえば、予算委員会や、懲罰委員会などがある。特別委員会の例としては、災害対策特別委員会などがあり、名称は法令に規定されていない。なお、特別委員会から常任委員会に昇格する例もある。
衆議院と参議院
[編集]日本の国会では、衆議院と参議院の両議院からなる二院制を採用しており、任期や選挙方法などに違いがある。
衆議院 | 参議院 | |
---|---|---|
議員定数 | 465人 | 248人 |
任期 | 4年 | 6年(3年ごと半数改選) |
解散 | あり | なし |
選挙権 | 満18歳以上 | 満18歳以上 |
被選挙権 | 満25歳以上 | 満30歳以上 |
なお、衆議院において、2022年11月に小選挙区を10増やし、10減らす、いわゆる「10増10減」を反映した改正公職選挙法が成立している。このように、公職選挙法の改正によって、定数などは変更されやすいので、注意が必要である。
衆議院の優越
[編集]上記の図を見ると、衆議院の方が任期が短い、かつ、解散があることにより、民意をより反映できそうである。これを理由として、衆議院を参議院よりも優先する場合がある。これを衆議院の優越と呼び、衆議院と参議院の決定の一致がなされなかった場合などに衆議院の決定を優先する。なお、以下は憲法に規定されているものの一覧である。
衆議院の議決における優越
[編集]1) 法律の再議決
2) 予算の議決
3) 内閣総理大臣の指名
衆議院のみの権限における優越
[編集]1) 内閣不信任決議
2) 予算の先議権