高等学校政治経済/経済/企業の種類と株式会社

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権利・義務の主体と、権利能力[編集]

権利・義務の主体[編集]

仮に、生き物でない石コロなどに、権利や義務を与えても、法律的になんにも役立たない。つまり、石コロは、権利をもつ資格が無く、義務を負う資格も無い。

権利をもったり、義務を負ったりする資格をもつ者のことを「権利・義務の主体」という。そして、権利・義務の主体になることのできる資格を「権利能力」という。(※ いちおう、山川出版の検定教科書(『詳説政治経済』ページ115)に、脚注でイイワケ程度に「権利・義務の主体」という用語が書かれているが、ろくに解説されてない。)

私たちのような実在の生きている人間の個人個人は、権利義務の主体になりうる。 私達のような実在の人間の他にも、会社や協同組合・学校などの組織も、権利・義務の主体になってもいいというのが、日本の法律である。

一方、イヌやネコは権利能力をもてないし、権利・義務の主体にもなれない。

会社や協同組合などを、契約などの権利・義務の概念から見た場合、法人(ほうじん)という。

一方、生きている人間の個人個人のことを自然人(しぜんじん)という。

日本の法律で単に「人」と言った場合、自然人と法人との両方を含む場合もあるが、単に自然人のみを言う場合もあるので、どちらの意味で用いているかの注意が必要である。

なお外国人に対しても、権利能力は原則として認められている。

なお、法人には、選挙権や相続権は無い。(※ 石原豊昭『法律トラブルを解決するなら この一冊』、自由国民社、2013年 第3版、126ページ)選挙権を持てるのは自然人だけであり、さらに法律の定める有権者としての資格を満す必要がある。

株式会社[編集]

株式会社は、法人である。法人は、「権利・義務の主体」である。なので、株式会社は「権利・義務の主体」である。

このため、株式会社は、その株式会社じしんの名義で、裁判を起こしたり、不動産や設備を所有できる。株式会社の代表者の名義で裁判を起こすという事ではなく(代表者の個人的な名義で裁判を起こしても構わないが)、株式会社じしんの名義によっても裁判を起こせるという意味である。


このように、株式会社などの会社には、大きな権利が与えられているので、会社設立の手続きは、会社法(かいしゃほう)などによって厳格に定められている。(※ 検定教科書の範囲内、第一学習社の教科書に会社法について説明あり)

なお、会社法は2006年から施行されている。会社法とは、それまで商法など複数の法律にまたがっていた会社についての法律をまとめた法律である。

また、会社設立のための資本金の、法律上の下限が引き下げられ、法律上は資本金1円でも会社設立できるようになった。(とはいえ、実際には各種の手続きの費用のため、30万円くらいの費用が会社設立の際には最低でも掛かる。)


基礎知識[編集]

用語「社員」[編集]

商法または会社法でいう「社員」とは、株主のことである。「社員」といっても、従業員のことではない。

「株主」とは、「株券」や「株式」などと言われる物を買って、会社に出資している出資者である。

株主の有限責任[編集]

株主は、どんなに、その会社がダメな経営をしていても、株主は、けっして賠償責任などの責任を負わない。せいぜい、会社の信用が無くなり、その会社の株の価値が減ったりして損するだけであり、株主は出資額以上は金銭を失わない。会社が巨額の金銭的な債務を負っても、株主には、その債務を弁済する義務は無い。このようなことを、株主の有限責任という。

いっぽう、経営者には、法的にも、その会社の経営に責任がある。たとえば、もしも会社が違法な経営をしており、それによって消費者や取引先などに損害を与えれば、経営者に対する賠償請求などの訴訟などを起こされる場合もある。

※ なお、合名会社と合資会社は、有限責任でなく、無限責任なので、要注意。

会社の種類[編集]

(※ 東京書籍のウェブサイトの検定教科書デジタルパンフレット(平成28年用)で、「合名会社」などの記述を確認。)

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  • 合名会社
  • 合同会社
  • 合資会社

公開会社と非公開会社[編集]

(※ 東京書籍のウェブサイトの検定教科書デジタルパンフレット(平成28年用)で、「公開会社」の記述を確認。)

株式には「この株を、会社(その株を発行してる会社自身)の許可なく第三者に譲渡してはいけない」という規則をつけることが出来る。このような株を譲渡制限株式(じょうとせいげん かぶしき)という。ある会社のすべての株式が、譲渡制限株式の場合、そういう会社を非公開会社という。

中小企業では、ヤクザや詐欺師などに株が渡らないようにするため、あるいは大企業や競合他社などに買収されないようにするため、つまり会社にとって好ましくない者に株が渡らないようにするため、株式を譲渡制限にしてる場合もあり、自社を非公開会社にしてる会社も多い。

譲渡制限などの規則は、「定款」(ていかん)で定める必要がある。

定款(ていかん)とは、その法人(つまり、その会社)のルールを定めた文書であり、会社設立の際などには定款を作成しないといけない。

さて、ある会社の株式が、定款上、ひとつでも株式に譲渡制限がついてなければ、(つまり、定款上、自由に譲渡できる株式が少なくとも一つの種類さえあれば)そのような会社のことを公開会社という。

なお、上場企業(東京証券取引所などの証券取引所には上場してる会社)は必然的に公開会社である。もちろん、設立時に公開会社にしたからといって、けっして、それだけで証券取引所に上場できるわけではない。

株の譲渡について、会社法では、定款に特に定めがないかぎり、自由に譲渡してよいものとされている。

東京証券取引所のグロース市場

2023年の現在、東京証券取引所に、マザーズ市場とJASDAQ市場は無く、それらの市場は現在では「グロース市場」というものに当たります[1]

※ 高校で習う範囲内です。

現在、東京証券取引所の市場は、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3市場が設けられている[2]

  1. ^ 実教出版
  2. ^ 実教