コンテンツにスキップ

高等学校歴史総合/もっと知りたい オリンピックの歩み

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
小学校・中学校・高等学校の学習>高等学校の学習>高等学校地理歴史>高等学校歴史総合>もっと知りたい オリンピックの歩み

オリンピックと国際政治の関わり

[編集]

国際スポーツ大会と国際政治問題の関係は、20世紀の歴史でずっと問題になってきました。大きな国際戦争が起きると、オリンピックはどうしても後回しになります。なぜなら、民族と一緒に楽しみ、同じルールで競えないからです。歴史を見ると、戦前に東京オリンピックを開こうとしました。しかし、日中戦争が大きくなると、東京オリンピックを諦めました。また、オリンピックは政治の考えも影響しています。特に、敗戦国はオリンピックに招待されていません。このような歴史の繰り返しを見ると、オリンピックは当時の国際関係を小さく映し出しています。

20世紀のオリンピックは、参加者数の変化から社会の動きも見えてきます。当時のオリンピック大会参加者は男性選手しか許されていなくても、次第に女性選手も増えました。1972年のミュンヘン大会になると、女性選手が初めて1000人を超えました。また、大会の規模も開催場所ごとに変わりました。セントルイスオリンピック大会・ロサンゼルスオリンピック大会・メルボルンオリンピック大会の参加者は前回のオリンピック大会より減りました。なぜなら、交通手段が限られたり、政治問題も大きくなったり、経済問題も大きくなったからです。このように、当時の経済事情・社会事情・スポーツの国際化から参加者数も変わりました。

当時の国際関係もオリンピックから分かります。第二次世界大戦以前のヨーロッパは、独裁政府の力をオリンピックで見せました。大きな建物を建てたり、特別な儀式をしたりして、国際社会から好意的に見られるようにしました。冷戦時代になると、アメリカ国内の人種差別問題がオリンピックでも話題になりました。オリンピック選手の政治的な表現は、大会組織側と揉めて、スポーツと人権活動の境界線について世界中で話し合われるようになりました。モスクワオリンピックはアフガニスタン侵攻に反対するために、不参加国も現れました。このように、オリンピックは、当時の政治問題と社会問題も映し出しています。