高等学校歴史総合/もっと知りたい 災害と私たち

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2つの大災害と日本[編集]

 過去に何度も大きな自然災害が日本列島を襲っています。ここ数年、大雨や台風、地震など大小様々な被害が発生する一方で、復興対策や防災対策への必要性が高まっています。特に、阪神・淡路大震災と東日本大震災は、社会に大きな影響を与えました。

 阪神・淡路大震災は、1995年1月17日に兵庫県南部で発生したマグニチュード7.3の直下型地震です。震源地に近い神戸市などでは大規模な火災が発生して、6000人以上の死者を出しました。その上、インフラの被害や家屋などの倒壊も発生しました。2011年3月11日、宮城県沖でマグニチュード9の地震(東日本大震災)が発生しました。この地震は、関東大震災以来、最悪の自然災害となりました。地震後に発生した巨大津波は、東北・関東地方の沿岸部に大きな被害をもたらしました。約1万8400人が死亡・行方不明となり、最大で47万人が自宅を離れなければなりませんでした。また、津波により福島原子力発電所が被災したため、放射性物質が大量に放出される大規模な原子力事故が発生しました。

震災は私達に何をもたらしたか[編集]

炊き出し(災害派遣)

 阪神・淡路大震災は、高度経済成長期から続いてきた日本の「安全神話」が崩れたと感じさせました。また、政府が危機に対処する方法を理解していませんでした。また、東日本大震災は、科学技術の悪い面や日本の原発政策、防災政策、災害時の立ち直り方などの問題点を示しました。そのため、2つの地震をきっかけに、災害への備えや原子力をどう扱うかについて、国民的な議論が行われています。特に、放射性物質の除染や原子力発電所の停止などの問題は、今後も人々にとって大きな問題となるでしょう。

 一方、阪神・淡路大震災では、救援や復興のために多くの人がボランティアとして参加しました。これは、「ボランティア元年」と呼ばれました。そして、震災のあった1月17日を「防災とボランティアの日」と定めました。東日本大震災では「絆」がキーワードとなり、海外でも多くの国や地域から救援金や支援隊が派遣されるなど、国境を越えた支援の輪が広がりました。災害は多くの被害をもたらしますが、その一方で、日本や世界の人々が互いに助け合いながら、災害を乗り越えてきました。ここ数年、高校生をはじめとする多くの若者がボランティアとして災害復興に携わっています。また、大規模な被害が発生した場合、日本から支援隊や自衛隊を派遣するなど、より国際的な対応も行われるようになりました。

 今後、大小様々な自然災害が世界中で起こる可能性がある中、私たちは災害に対して何が出来るのか、復興に向けて何をしなければならないのか、そして私達にとって「豊かさ」とは何なのかを問い続けなければなりません。