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高等学校 地学基礎/地球の内部構造

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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※本節は、地殻・マントル・核について学びます。

地球の内側はどうなっているでしょうか?人間は深さ約12kmまでしか掘れていません。地球の大きさから見ると浅い部分しか地球の内側が分かりません。地球の内側がどうなっているのかは地震波から「たぶんこうなっているかもしれない。」と考えるしかありません。その結果、地球の中心に近づけば近づくほど物質も変わっています。また、地球は地殻・マントル・核から出来ています。地球の内側は深く行けば行くほど圧力と温度も上がります。したがって、鉱物の形や性質も変わります。このように、地球の内側は科学的な観察から少しずつ分かるようになっています。

キーワード[重要用語]

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地殻・大陸地殻・海洋地殻・モホロビチッチ不連続面(モホ不連続面)・マントル・核・外核・内核

地殻とマントル

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地殻

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薄い層(地殻)が地球の一番外側にあります。地殻は硬い岩で出来ており、私達はこの上で暮らしています。地殻は大陸地殻海洋地殻に分けられます。大陸地殻は陸地の下にあり、深さ30〜60kmもあります。大陸地殻は様々な種類の岩石(花崗岩斑糲岩など)から出来ています。一方、海洋地殻は海底にあり、深さ5〜10kmしかありません。海洋地殻は玄武岩・斑糲岩だけで出来ています。

1909年、クロアチアの地震学者アンドリア・モホロビチッチがザグレブ近郊の地震調査から深さ約50kmで地震波の異常高速域(モホロビチッチ不連続面)を見つけました。モホロビチッチ不連続面は発見者の名前から付けられました。モホロビチッチ不連続面は地殻とマントルの間にあります。その結果、マントルは地殻よりも重いと考えています。


マントル

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マントルはモホロビチッチ不連続面の下から始まり、地球の大部分を占めています。マントルは地面からかなり深い部分まで続いています。地震の揺れがマントルの中を通ると、地面からの深さによって速さも変わります。鉱物の形は深さ410kmと深さ660kmで大きく変わるので、地震の揺れも急に速まります。マントルは上部マントルと下部マントルに分かれています。上部マントルは橄欖岩で出来ています。上部マントルと下部マントルの境目は深さ660kmになります。

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不思議な世界が地球内部に広がっています。地球の中心部分は科学者の研究から金属で出来ています。この研究結果は地震の揺れを調べたり、岩石に熱と圧力を加えたり、隕石を調べたりして少しずつ明らかになりました。なお、中心部分は他の惑星も同じように金属から出来ています。地球のは下部マントルの下にあります。核は地球の中心部分に近く、中心に近ければ近いほど温度もかなり熱くなります。核は外核内核に分かれます。外核は約3000〜4000℃なので、金属も液体になります。一方、内核は約5000〜6000℃あっても、地球の引力で強く押し戻されるので中々溶けません。そのため、金属は原型のまま残ります。鉄が外核と内核で中心ですが、ニッケルなども僅かに含まれています。液体の金属が動くと、静電気も生まれます。その結果、地球が大きな磁石のようになっています。外核は深さ約2900kmから深さ5100kmにあります。一方、内核は深さ約5100kmから深さ約6400kmまでを占めています。

地球内部の物質はどのように調べますか?

地球内部調査の限界と取り組み

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地球の中を覗くような技術はまだ十分に発達していません。科学者達が地球の深さを調べても、地球の中をかなり深くまで調べられません。日本の地球深部探査船ちきゅうは海底に穴を掘って地震の発生方法を調べています。特に、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)・南海トラフ地震について研究しています。科学者達は地震の揺れを調べて地球内部がどうなっているかを考えています。実際の岩石を取ると、本当にそうなのかを確かめられます。科学者達はロシアのコラ半島で、長い時間をかけて深さ12kmまで掘りました。人類が最も深い所から岩石を取っても、地球の表面を僅かに漁っているだけにすぎません。海洋地殻は大陸地殻よりも薄いですが、あまり掘れません。マントルの部分はまだ誰も直接手に取っていません。

捕獲岩

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捕獲岩を調べると、地球内部がどうなっているか教えてくれます。マントルが地殻の下にあります。マントルの一部が高熱で溶けるとマグマになります。マグマが地表に向かって上がってきたら、小さな岩石の破片も一緒に運んできます。この小さな岩石の破片が捕獲岩です。科学者はこの特別な岩石を調べて、地球の内側について研究しています。

高温・高圧実験

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地球の中はどうなっているか、まだよく分かりません。人類が地球の中心部分まで穴を掘らなくても、地球の中心部分に最も近い環境を実験室で作れるようになりました。これを調べると地球内部についてさらに分かるようになります。

隕石

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隕石を調べたら、地球内部の仕組みも分かります。なぜなら、地球の材料が隕石に含まれているからです。隕石を調べると地球がどのような物質で出来ているのかも分かります。

資料出所

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  • 新興出版社啓林館『高等学校 地学基礎』磯崎行雄ほか編著 2022年
  • 浜島書店『二訂版ニューステージ地学図表』2024年度版