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高等学校 地学/地層の連続とその分布

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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 地層や堆積岩は、過去の地球表層の環境(古環境)をよく知るために使われます。地層がどのように移動し、重なり合っているかを調べると、過去の環境がどのように変化したかを実感出来ます。

地層の観察

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 地層は、水によって運ばれた砂や泥の堆積物です。水の流れなどによって、粒子の大きさ、形、種類、並び方などから、地層にいろいろな模様が作られます。地層に含まれる化石や堆積構造から、地層が出来た当時の環境を解明出来ます。

地層の走向と傾斜

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 地層は、一般に、ほぼ水平に敷き詰められた板と考えられています。ある地点での地層の方向を見れば、他の場所の地層や地下の地層の大きさや厚さを推測出来ます。

地層の広がりと走向・傾斜

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クリノメーター

 層理面(地層面)が水平面に接する方向を地層の走向といい、それらが接する線を走向線といいます。地層の傾斜は、層理面(地層面)と水平面が作る角度とその角度の方向です。地盤がどのように傾いているか、どの方向に走っているかを測定するためにクリノメーターが使われます。走向と角度の2方向から、地層がどの程度離れているかを計算出来ます。水平な地表では、地上の瓦礫の層理面(地層面)は走向方向に一直線に見えます。

地層を調べる

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ルートマップ

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 地形図には、地層や岩石の特徴、化石、走向・傾斜など、野外調査で入手したデータを記号や模様で記録しています。このようにして作られた作業用の地図がルートマップです。ルートマップの情報は、その地域の地質がどのような仕組みで、どこから来たのかを知るために使われます。

地質図

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 地質図には、その地域の岩石、地層、地質構造が示されています。ただし、表土・植生・建物などは示されていません。地表の層理面は、ほとんどが地表の形に合わせて折れ曲がっています。

 地質図は、地層や岩石の種類とその境界(地層境界線)、走向・傾斜、断層・褶曲などの地質構造を記号や模様・色で表現しています。

地質柱状図

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 調査地域の地層を見やすく整理して表すために、地質柱状図が使われています。地質柱状図には、地層の上下関係や厚さ、特徴、産出化石などが示されています。継続的な調査データがなくても、複数の地質柱状図を比較すると、その地域の地質の全体像をつかめます。

地質構造

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 地層の切り口や曲がり方、割れ方などの構造は、 その地層やその地域が過去に受けてきた変化を表しています。

断層と褶曲

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 地層や岩盤に引張っている力や圧縮している力が働き、破断面で地層や岩盤が移動してずれた地層が断層です。断層は、力に応じて素早く起こる地層や岩盤の形状の変化です。

 これに対して、大きな圧縮の力が地層や岩盤にゆっくりと長い時間加えられると、地層や岩盤は壊れずにゆっくりと折れ曲がっていきます。この変形を褶曲といいます。

 断層や褶曲のような構造は、2枚のプレートが合わさった場所に作られます。

整合と不整合

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 地層累重の法則に従うと、地層は海底に堆積するような形で作られます。大きな地殻変動や気候変動の影響を受けず、堆積環境が同じなら、連続した地層が次々と作られます。このような地層の関係を整合といいます。一方、堆積が長期間中断したり、侵食作用によって地層の一部が削られたりすると、地層同士が合わない部分が見られます。このような地層同士の関係を不整合といいます。

 地殻変動や気候変動によって海底が陸地に移動すると、堆積作用は停止して風化や侵食が進みます。その後、地殻変動で陸地が海面よりも下に沈むと、堆積作用が再開され、新しい地層が加わると、古い地層と新しい地層の間に区切りが出来ます。これを不整合面といいます。不整合の真上には、基底礫岩と呼ばれる岩石層が出来る場合があります。この地層には、下層の岩石が風化・侵食されて出来た礫がよく見られます。

 断層や褶曲などの不整合は、地層の変形、堆積の中断・浸食などを表し、過去に地殻や気候がどのように変化したかを表しています。