刑法第222条
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条文
[編集](脅迫)
- 第222条
- 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。
- 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
改正経緯
[編集]2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)懲役
- (改正後)拘禁刑
解説
[編集]- 保護法益・罪質
- 意思決定の自由(団藤;西田75:意思活動の自由への危険犯;林[幹])
- 私生活上の平穏ないし安全感(高橋91:抽象的危険犯;平野173;中森48;前田:安全感)
- 「安全感を害することによる意思活動の危殆化」(山口173)
- 行為
- 脅迫:害悪の告知(危険犯)
- 加害の対象:本人またはその親族の生命、身体、自由または財産(制限列挙:高橋93)
- 法人に対する脅迫罪の成否
- 肯定説(西田77;松澤)
- 否定説(通説:高橋94など)
- →法人に対する侮辱罪の成否
- 適法な事実の告知
- 判例
- 違法な事実に限定する見解(高橋96)→ドイツ刑法においては「犯罪」
- →権利行使と恐喝罪の議論も参照
- *ドイツ刑法240条(2021年改正)との比較
参照条文
[編集]特別法
- 暴力行為等処罰ニ関スル法律
- 以下の態様で行う脅迫行為について加重
- 集団で行うもの
- 常習的に行うもの
- 利益目的に集団で、または、常習的に面会を強要または強談威迫するもの。
- 以下の態様で行う脅迫行為について加重
判例
[編集]- 公務執行妨害(最高裁判決 昭和27年07月25日)刑法第95条1項
- 脅迫行為にあたる事例
- 被告人が、司法巡査から被疑者として取調を受けるにあたり、同巡査に対し、「お前を憎んで居る者は俺丈けじやない。何人居るか判らない。駐在所にダイナマイトを仕掛けて爆発させ貴男を殺すと云つて居る者もある。」「俺の仲間は沢山居つてそいつ等も君をやつつけるのだと相当意気込んで居る」と申し向けた行為は、脅迫行為にあたる。
- 逮捕、監禁、暴行、脅迫、食糧管理法第違反、傷害、銃砲等所持禁止令違反(最高裁判決 昭和28年11月27日)
- 不法監禁中になされた暴行脅迫行為が別罪を構成する事例
- 暴行脅迫が不法監禁中になされたものであつても、不法監禁の状態を維持存続させるため、その手段としてなされたものでなく、全く別個の動機、原因からなされたものであるときは、右暴行脅迫の行為は、不法監禁罪に吸収されることなく、別罪を構成する。
- 爆発物取締罰則違反、住居侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反、脅迫(最高裁判決 昭和34年07月24日)
- 脅迫罪の成立する事例
- 国家地方警察佐賀県本部警察部隊長〇○の官舎附近に備付の塵箱に「○○に告ぐ、三月貴様は勤労者、農民を仮装敵として演習を行つたが勝つ自信があるか、独立を欲する国民の敵となり身を滅ぼすより民族と己のために即時現職を退陣せよ」と記載したビラ一枚を貼付し、その頃同隊長に右ビラの記載内容を了知せしめたときは、同隊長に対する脅迫罪を構成する。
- 脅迫(最高裁判決 昭和35年03月18日)
- 脅迫罪の成立する事例
- 二つの派の抗争が熾烈になつている時期に、一方の派の中心人物宅に、現実に出火もないのに、「出火御見舞申上げます、火の元に御用心」、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」という趣旨の文面の葉書を発送しこれを配達させたときは、脅迫罪が成立するものと認めるを相当する。
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