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- 定義(ガロア群)
体の拡大
に対して、体
上の自己同型群を
と書いて、
の ガロア群 という。
- 定義
体の拡大
と
の部分群
に対して、その不変体を
とする。不変体は
の中間体であることに注意。
命題1[編集]
体の代数拡大
に対して以下は同値。
(i)
は分離かつ正規拡大である
(ii) 
(iii)
のある部分群
で
となるものが存在する
さらに、有限次拡大であれば以下も同値である:
(iv)
- 証明
(i) ⇒ (ii):
は自明。逆の包含を示す。
を取り、最小多項式を
とする。
の次数を
とする。ガロア理論/正規拡大#命題1(iii) によって、
が存在して
となる。分離性によって、
である。
上の体の同型
を、ガロア理論/代数的閉体#定理2 によって、ある代数閉包
の自己同型
に延長する。このとき、ガロア理論/正規拡大#命題1(ii) によって、
である。
だから、
である。
(ii) ⇒ (iii):
自明。
(iii) ⇒ (i):
の最小多項式を
とする。
に対し
だから、
の取りうる値は有限個である。
は
の正規部分群であり、
に対して
は、
の取り方によらない。また、この対応は単射だから
は有限群であり、行き先は
の根全体の集合である。…(*)
は、各
によって係数が不変である。実際、
は
たちの置換を引き起こすからである。すなわち、係数は
に属するから、
であり、(*)によりこれは
の次数以下である。したがって、
である。このことから、
は分離的であり、かつ
で一次の積に分解されることがわかった。つまり、分離かつ正規拡大である。
最後に、
が有限次拡大であるとしよう。ガロア理論/分離拡大#命題_1 と ガロア理論/正規拡大#命題1 をあわせると、分離かつ正規拡大であることと、
が同値であることがただちにしたがう。実際、分離性は、
の等号が成立することで、正規性は
の等号が成立することを指しているからである。
上の命題の条件を満たす体の拡大を、Galois 拡大という。
- 例
は Galois 拡大である。
は Galois 拡大ではない。なぜなら、
の残り二つの共役元を含まず、正規拡大でないからである。
である。