中学校理科 第1分野/力と圧力

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作用・反作用の法則[編集]

作用反作用の法則の例。
おもりがバネを引っ張リ下げると同時に、バネはおもりを引っ張り上げる。

バネが物体を吊り下げている場合に関して、物体が重力によってバネを引っ張った場合に、なぜ、重力を受けている物体は運動方程式にしたがって落下していかないのだろうか。それは、吊り下がっている物体が、バネを引っ張っている力と同じ大きさの力で、バネから引き上げる力を受けているからである。

このように、物体が他の物体に力を及ぼすときは、必ず相手の物体からも同じ大きさの力を受けている。これを作用・反作用の法則(さよう、はんさよう の ほうそく、action-reaction law)という。

いろいろな力[編集]

磁力[編集]

磁力でも、作用・反作用の法則が成り立っている。磁石が鉄を引きつけるとき、鉄もまた磁石を引きつけているのである。


静電気の力でも、風力でも、地球の引力でも、どんな力であっても、作用・反作用の法則が成り立っている。

重力[編集]

地球上のすべての物体は、地球による重力(じゅうりょく)によって、地球の中心方向へと引っ張られている。たとえば、ボールを落とすと落下するのも、重力がボールに働いているからである。

月(つき)の重力の大きさは、地球の重力の約6分の1である。

星(ほし)の重力の大きさは、その星の質量に比例する。月の重力が地球よりも小さい理由は、月の質量が地球よりも小さいからである。


重力は、接触(せっしょく)していなくても、はたらく。

じつは地球も、私たちによる引力によって引っ張られている。すべての物質は、周囲に重力を発生させている。わたしたちが、野球ボールやサッカーボールなどに引っ張られないのは、質量が小さすぎて、感じられないだけである。なので、重力のことを「万有引力」(ばんゆう いんりょく)ともいう。

月は地球のまわりを回っているが、月は、地球からの万有引力を受けている。同様に、地球も、月からの万有引力を受けている。


重力の法則は、生き物かどうかとか、星かどうかとかでは、まったく影響されない。物体なら、すべての物に、万有引力は同じ法則で、作用・反作用の関係で働く。


重力の発見の歴史
アイザック=ニュートン

重力の法則を発見した人物は、イギリス人のニュートンである。木から落ちるリンゴを見て、彼は重力の法則を思いついた、といわれている。たんに、物体(ぶったい)が下方向へと落下するだけなら、ニュートンでなくても、もっと以前に思いついていただろう。ニュートンが偉大なのは、地球もまた、リンゴによって引っ張られてるはずだ、という事に気がついた事である。そして、宇宙にある月などの星もまた、地球による重力によって引っ張られているはずだ、という事に気がついた事である。そして、地球もまた、月の重力によって、引っ張られてるはずだ、・・・というように。

では、なぜ、月は地球をめがけて落下しないのだろう。ニュートンはこう考えた。ボールを力強く投げると、遠くへ落下する。もっと力強く投げると、もっと遠くへ落下する。ところで、地球は丸いので、地球の半径や直径には限りがある。もし、とても力強くボールを投げて、地球よりも遠くへ落下したら、どうなるだろう、・・・と。結果的には、地球のまわりを、飛び続けるはずだ、と考えた。

なお、じつは、このしくみは、現代の人工衛星(じんこう えいせい)が地球のまわりを飛びつづけて地球のまわりを回り続ける原理でもある。


  • 静止している物体にはたらく重力

地面の上で静止しているボールにも、重力がはたらいている。なのに、ボールが地中へと落下していかないのは、地面がボールを押し返しているからである。

力の性質[編集]

止まっている物体を動かしたいときには、その物体を手で押したり、道具を使って押したりする。ここで、そのように止まっている物体を動かす性質を持つものを(ちから、force、フォース)と呼ぶ。力は、手を使ったり道具を使ったりして物体に対して与えることが出来る。また、磁石などを用いることで、物体に触れることなく力を与えることも出来る。

力には物体を動かす時、対象が粘土などの柔らかいものなら、物体を変形させることができる物体を変形させる働きや止まっている物体を動かしたり、動いている物体の行き先を逸らしたりできる物体の動きを変える働き、そして重力に逆らいながらものを抱えるなどができる物体を持ち上げたり、支えたりする働きがある。

  • 注意

実際には、あらゆる物体が分子(ぶんし、molecule、モルキュール)の集合によって出来ていることを考えると、物体を変形させることは、分子の並びを変化させることであり、物体を動かす働きの一つとして考えられることに注意。分子については後に扱う。

ここでは力のつりあいの条件について考える。力のつりあいとは、物体に複数の力が働いていて、しかも物体がはたらいてない場合のことを指す。変形しない物体に対して様々な方向から複数の力をはたらかせる実験を行なう。この実験の結果によると、物体に対して反対向きの方向に、同じ大きさの力をかけているときには、物体は動かないことが知られる。この情況を、物体に働く力がつりあっているという。また、同じ方向に2つの力をかけたときには、物体に働く力はそれら2つの力の和と同じだけの力がかかった時と同じふるまいを示す。また、反対方向に2つの力をかけたときには、物体にはたらく力はそれら2つの力の差と同じだけの力がかかった時と同じふるまいを示す。このように、物体にかかった力は、たがいに強めあったり弱めあったりすることがわかる。 また、まったく反対向きで同じ大きさの力がかかったときには、物体が動かないことがわかる。これは、物体に力のつりあいがおこっている状態と、物体にまったく力がはたらいていない状態は、同じ状態であることを示している。

力の大きさは単位はニュートンである。ニュートンの単位の記号は N で表わされる。1Nはおよそ質量が100gの物体に働く重力に近い。質量100gの物体にはたらく重力は、正確には0.98 N である。だが中学では、質量100gの物体にはたらく力は約 1 N である、と近似してよい。

月(つき)の重力の大きさは、地球の重力の約6分の1であるが、これを力の単位、ニュートンをつかって考えよう。

たとえば、質量600gの物体は、地球上では約6Nの重力がはたらき、月では約1Nの重力がはたらく。


力「ニュートン」の厳密な定義

(高校レベルだが、ニュートンの定義を正確に言うと、1kgの物体を静止状態から秒速1m/sに加速させる力の大きさで1ニュートンが定義される。また、重力の大きさを重力加速度というが、地球での重力加速度が9.81 N/kg と、大きさが約10 N/kg なので、近似で100gの物体に働く重力として扱える。 高校で物理を習うときや就職後の実務では、ニュートンの単位は、加速度にもとづいて定義が修正されるので注意のこと。)

(※ ニュートンは他の単位によって合成することもできるが、中学範囲外である。『高等学校理科 物理I』の範囲である。)


質量が1kgの物体に、1の加速度(かそくど)を与えるのに必要な力で、1ニュートン(1N)は定義される。


なお、重さと質量は区別する必要が有る。地球と月とで重力の大きさは、ちがう。また惑星などの星から遠く離れた宇宙の空間では、ほぼ無重力になる。このように重力の大きさは惑星や場所によって変わるので、もし重さと質量を同じ単位で扱うと混乱してしまう。


「質量」(しつりょう)とは、その物体の物質の量のことである。 質量の単位は、グラム[g]とキログラム[kg]を用いる。 1kgは1000gである。


キログラム原器
キログラム原器(アメリカのキログラム原器の画像)

1889年に質量1kgの基準として、国際キログラム原器(げんき)という分銅(ふんどう)が、さだめられた。白金90%、イリジウム10%のまざった合金で、円柱形の物体として、キログラム原器がつくられている。現在でも、キログラム原器が、質量の基準(きじゅん)として、つかわれている。

しかし、2007年、この原器の質量が、年数がたった事により、ほんのわずかばかり、小さくなっているという事が、わかった。そこで、より正確な基準をきめようと、研究されている。

なお、日本国にあるキログラム原器は、国際キログラム原器の複製(ふくせい)である。

重さの単位はニュートンを用いる。なぜなら、重さとは物体にかかる重力による力なので、したがって重さの単位にはニュートンを用いる。

ふるい単位

むかしは、製造業の機械工業などでは、力の単位に、ニュートンの他にも、「グラム重」(グラムじゅう)や「キログラム重」といった単位が使われていた時代もあった。

しかし、現在では、力の単位は、ニュートンを原則的に使用することが推奨されている。読者が中学範囲を学習しているなら、試験などでは原則的にニュートンを力の単位に用いるべきである。

さて、古い設備の有る工場などでは、キログラム重の単位を用いている測定機器が残っている場合も有るので、その場合は、換算が必要になる。換算は、

1ニュートン ≒ 約100グラム重

である。



参考 単位系の国際標準化

近年(きんねん)、力の単位をニュートン単位に統一した理由は、昔は国や業界ごとに単位が別々(べつべつ)であり、不便(ふべん)であったので、その不便を解消しようと国際的な取り決めがなされたからである。その国際的な取り決めによって、力の単位にはニュートンを用いることが決まり、質量の単位にはグラムまたはキログラムを用いることが決まり、重さと質量とを区別することが決まったのである。 また、この国際的に取り決めた単位系を国際単位系(こくさい たんいけい)と言い、略称ではフランス語を語源としてSI単位(エスアイたんい)とも言う。

また、国際単位系では、長さの単位にはメートルやミリメートル、センチメートルといったメートル法を用い、時間の単位には秒・分・時間を用いることが原則となっている。

高校や大学範囲での理科の学習では、物理量の単位系には、原則としてSI単位が用いられる。 中学範囲でも、原則として、SI単位を用いるので、質量の単位はグラムやキログラムだし、重さの単位はニュートンだし、長さはメートル法である。 中学範囲でSI単位以外を用いるとすれば、せいぜいグラム重とニュートンとの換算の計算練習をするときぐらいだろう。

読者は「長さがメートル法とか、重さがグラム単位なんて、当然じゃないのか?」と思うかもしれないが、日本では明治頃の古くから、メートルやグラムに親しみがあるが、実は外国では、国によってはメートル法やグラム単位はあまり当然では無かったのである。 たとえば、外国では、長さにインチ単位や、重さにポンド単位を用いている国も存在していたのである。


ともかく、読者が中学範囲学習者なら、原則として物理量の単位系には、

  • 力の単位には、原則としてニュートンを用いること。
  • 重さと質量は区別をすること。
  • 質量の単位にはグラムまたはキログラムを用いること。
  • 重さの単位にはニュートンを用いること。
  • 長さの単位はメートルやセンチメートル、キロメートルなどのメートル法を用いること。

以上に従うことが、中学範囲の理科でも、高校・大学範囲の理科でも原則である。

上皿天秤
上皿天秤に分銅を追加する図

質量を測定するときは、上皿天びん(うわざらてんびん)などの天びん(てんびん)を用いる。

上皿天びんの操作方法

物質の質量を測定する場合は、片側に被測定物をのせ、反対側に分銅を載せる。分銅を質量の基準とする。 両方の皿の釣り合いを見て、質量を判断する仕組みである。 なので、皿に物を乗せる前に、両方の皿が釣り合っているかどうかを確認する必要が有る。もし、釣り合っていなかったら天びん本体に調整用のねじ等が付いているので、それで両方の皿が吊り合うように調整してから、皿に物を乗せる。 粉末などを測定する場合は、粉末が溢れたりしないように薬包紙(やくほうし)などを用いる。この場合は薬包紙を分銅を載せる側の皿にも置いた上で上記の調整を施したり、もしくは薬包紙の質量をあらかじめ測定しておく。

分銅は、あまり直接には、手で触らないようにする。 手の皮脂などが分銅につくと、その皮脂などの質量が追加した分だけ、重さが変わってしまうからである。 軽い分銅を皿に載せたりおろしたりする場合なら、専用のピンセットが天びんに付属していることがあるので、その付属のピンセットなどを用いる。

上皿天びん以外の天びんでは、ピンセットでは運べないような重い分銅を用いる場合も有る。このような場合、ピンセットでの持ち運びが危険な場合なので、他の方法で分銅を運ぶ。たとえば理科実験用の手袋(一般の手袋や軍手は、不可。)などをして、手袋をした手で分銅をつかんで持ち運ぶ場合も有る。


重さの力を測定する場合は、ばねばかり や 台はかり などを用いる。

圧力[編集]

圧力の説明図。スポンジの上にある おもり 。
同じ重さの おもり でも、スポンジと接する部分の面積によって、めりこむ深さが違う。狭い面積で接するほど、その面積に重さの力が集中し、スポンジに深く、めりこむ。

圧力(あつりょく)とは、単位面積あたりに面に垂直にはたらく力のことである。

圧力は単位面積(1m2や1cm2のこと)あたりに働く力のことであり、働く面積が小さいときには単位面積当たりに働く力は強くなる。圧力の単位には、Pa(パスカル)がつかわれる。

つまり、

圧力[Pa] = 面を垂直に押す力[N] / 面積[N/m2

である。

ブレーズ=パスカル
圧力の単位「パスカル」は、フランスの科学者パスカルにちなんで名付けられた。パスカルは数学者、哲学者(てつがくしゃ)でもある。

まず、力の単位はN(ニュートン)で与えられる。いっぽう、面積の単位は、長さの2乗、つまり (平方メートル)などで与える。このとき、 圧力の単位は、N/m2(ニュートン毎平方メートル)などとなる。この単位は、Pa(パスカル)と略される。「Pa」の 頭文字 P は、大文字で書くのが普通である。


エンピツの両端の圧力

たとえば、えんぴつの両端を、図のように手で、つまんだとする。とがった先端(せんたん)をおさえてる指のほうでは痛く感じる。その理由は、とがったほうでは、力のかかる部分の面積が小さいため、圧力が高くなるからである。


ここで、空気が与える大気圧と、空気に重さがあることとの関係について述べる。

マグデブルグの半球
マクデブルクの半球実験

17世紀のドイツのマグデブルク市で行われた、物理学者ゲーリケによる古典的な実験として、大気圧の大きさを見せびらかすために、2つに割ることが出来る 鉄球を用意し、鉄球の中を真空(しんくう)にして、その2つの鉄球を分割しようとしたときに、非常に大きな力でないと鉄球を引き離せないことを実験した例が有る。 鉄球を引き離すには、一人の人間では到底は不可能で、馬を何頭も用意して、馬たちに引っ張らせて、やっと鉄球が引き離せる結果になった。

このような巨大な大気の力を、大気中にいる我々が普段の生活では、なぜ、感じないのだろうか。なぜ、われわれの体は大気の巨大な力に押しつぶされないのだろうか。それは、我々の体の中は真空ではないので、中からも空気の圧力がかかっているため、外側の力と打ち消し合い、押しつぶされないのである。(力には方向があった。逆向きの力は打ち消し合って、差引の力が物体に掛かるのであった。圧力もまた同様に、方向があって、逆向きの力は打ち消しあう。)


山頂と海面の気圧
大気圧の起きさ
トリチェリの実験

大気圧の大きさを測定するには、真空を利用すれば良さそうである。イタリアの物理学者のトリチェリは、ガラス管に液柱を満たして逆さまにする実験で、簡単に真空を作り、この液中の重さが大気圧と釣り合うことから、大気圧を測定した。

大気圧の大きさは、地表ではおよそ100,000Paである。高山では大気圧は山のふもとよりも低いため、ふもとから密閉された袋を持って行くと袋がふくらむ。なお100Paをヘクトパスカル[hPa]という。大気圧の100,000Paをヘクトパスカル単位で表せば、1000 hPaである。

※ 注意

トリチェリが実験で用いた液体は水銀(すいぎん)である。この水銀は猛毒なので、中学生は、この実験は行わない方が良い。トリチェリが実験で水銀を用いた理由は、水銀は比重が大きいので、実験のガラス管の長さを節約できるからである。

なお、トリチェリの実験で、逆さまにしたガラス管の上部に出来た真空をトリチェリの真空(トリチェリのしんくう)という。

  • 写真

このことから、大気圧は高度が低いところではより大きいことがわかる。これは、空気に質量(しつりょう)があるからである。高度が低い地点での空気は上方により多くの空気があるため、それらを支えるためにより多くの圧力を与えることになり、大気圧も大きくなるのである。空気に重さがあることは、後に気体を用いた実験を行なうことでわかる。

水圧と浮力[編集]

水圧の説明図。水深が深くなるほど、比例して水圧が強くなる。水圧の方向は、物体の面に垂直方向に働く。

水中の物体がまわりの水から受ける圧力を水圧(すいあつ)という。水圧は,同じ深さなら同じ大きさであり,深さが深いほど大きくなる。また,水圧は,あらゆる物体の面に垂直にはたらく。

水圧が深さが深いほど大きくなるのは、水圧が上にある水の重さによって生じているからである。

水中などの液体中にある物体や水面にある物体が、水から受ける、浮き上がる上向き方向の力のことを浮力(ふりょく)という。この浮力の原因は、物体の下の面が受ける水圧のほうが、物体の上の面が受ける水圧よりも大きいことによって生じる。

浮力の大きさ(N) = 空気中で測定した値(N) - 水中で測定した値(N)

圧力[編集]

力の矢印での、作用点と、向きと、力の大きさを説明する図。

一般に「力が強い」、「強い力が働く」、「学力」「気力」など力という言葉はいろいろな意味で用いられる。しかし、科学的な考え方をする時には、力は常に1つの意味で用いられる。

圧力

ある面積あたりに働く力を圧力(あつりょく、pressure、プレッシャ)という。 さて、ある面に働く圧力が一定だとすると、働く面積に比例してその面に働く力の合計は大きくなる。

大気圧

地表を取り巻く空気の層を大気(たいき、atmosphere、アトモスフィア)という。大気にも質量があるので、この質量により重さの力がかかり、大気中の物体に重さがかかるので、大気中の物質は大気から力を受ける。この大気から受ける力は、圧力で表示できる。大気がおよぼす圧力を大気圧(たいきあつ、atmospheric pressure)という。

浮力の例の説明図。水面に浮いていて静止している物体では、重力(gravity)と浮力(buoyancy)とが、つりあっている。
水圧の説明図。水深が深くなるほど、比例して水圧が強くなる。水圧の方向は、物体の面に垂直方向に働く。
浮力

液体の中にあるものに対しては、浮力(ふりょく、buoyancy)が働くことが知られているが、これは物体の上面に働く圧力と、下面に働く圧力との差によって与えられる。


ここからは、力と圧力の性質についてより詳しく見ていく。


フックの法則
フックの法則。
力は伸びに比例する。

ばねの伸びは、ばねに働く力の大きさに比例する。このことをフックの法則という。このことを利用すると、ばねの伸びからばねに働いた力の大きさを知ることができる。これを応用した器具がばねばかりである。


弾性(だんせい)

ばねなどから荷重を取り除くと元に戻るように、物体の中には、力を加えて変形しても、力を取り除くと元に戻る性質を持つものが有る。このような性質を弾性(だんせい)という。 ばねばかりのばねや、ゴムひもなどが、弾性の有る物体である。 また、ばねなどの弾性のある物体が、弾性によってものを引っ張ったり押したりする力のことを弾性力(だんせいりょく)という。

弾性(だんせい)と塑性(そせい)の説明図。弾性(だんせい)は加えられた力が小さい場合には、元にもどる性質。塑性(そせい)は、加えられた力が大きすぎつろ、元通りには もどらない性質。
(参考: 塑性(そせい) )

いっぽう、力を加えて変形すると、力を取り除いても元に戻らない性質の物体も有る。たとえば、工作用の粘土などがそうである。このような、力を取り除いても元に戻らない性質を塑性(そせい)という。

発展: 弾性限界(だんせい げんかい)
弾性のある物質でも、くわえる力が大きくなりすぎると、力を除いても元に戻らない。それ以上の力を加えられたら、もう戻れない限界の荷重を弾性限界(だんせい げんかい)という。  


摩擦力
摩擦力の図。
たとえば図中の左向きの矢印の方向に押したとすると、右向きに摩擦力が働く。摩擦力の大きさは、物体と床との重さに比例する。下向きの矢印が物体に掛かる重力で、上向きの矢印が床からの反作用。

物体を押して動かすとき、重さが同じでも、物体の置かれている床がデコボコしていたりザラザラしていたり、あるいは物体がデコボコしていたりザラザラしていると、動かすのに、余計な力が必要になる。このような動かそうとする力に対する抵抗を、摩擦(まさつ)といい、摩擦による抵抗力のことを摩擦力(まさつりょく)という。

もし、摩擦がなければ、少しでも力を加えれば物体が動いてしまうが、実際には、どんな物体にも摩擦があるので、そのようなことは起きない。

ボールや、コロ(丸太のような円柱状のもの)などが転がりやすい仕組みは、接触面を減らすことによって、摩擦を減らしているからである。

人間が、ぬれた床や道路などを歩くときに滑りやすいのは、床や道路の表面のザラザラした隙間に水が入り、ザラザラした隙間が埋まってしまうので、摩擦が減るからである。

摩擦について、一種の「抵抗力」というと損失と同一視されやすいが、ぬれた床の例のように、摩擦は必ずしも無ければ良いというものではない。もし摩擦がなければ、われわれ人間は歩くたびに滑って転んでケガをしてしまう。