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刑法第260条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
  1. 法学刑事法刑法コンメンタール刑法
  2. 法学コンメンタールコンメンタール刑法

条文

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(建造物等損壊及び同致死傷)

第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の拘禁刑に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

改正経緯

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2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。

(改正前)懲役
(改正後)拘禁刑

解説

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Wikipedia
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ウィキペディア建造物等損壊罪の記事があります。

参照条文

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判例

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  1. 大審院明治43年4月19日判決 騒擾等ノ件
    1. 兇徒嘯聚の罪(旧刑法第137条)及ひ騒擾の罪(刑法第106条)は多衆か共同の意思を以て共同して暴行又は脅迫を為すに依り成立す而して其共同して暴行又は脅迫を為すの意思か多衆集合の当初より存在すると否とは問ふ所に非す
    2. 旧刑法第137条の暴動に該当する行為と雖も同時に官吏の職務執行を妨害するものなる以上は旧法の適用に於ては兇徒嘯聚罪の外別に官吏の職務執行を妨害する罪(同第139条)をも構成すへきものとす
    3. 建造物毀壊罪(旧刑法第417条)又は損壊罪(刑法第260条)の構成には建造物の全部若くは其一部を損壊するを以て足り必すしも其損壊の為めに建造物の用方を全然不能ならしむるを要せす又其損壊の部分は建造物の主要なる構成部分たることを要せさるものとす
    4. 兇徒の嘯聚に応し煽動して勢を助けたる者か特別減軽の情状なきときは其犯罪事実を判示するに当り特に軽き情状の存在せさることを明示するの要なし
  2. 大審院昭和5年11月27日判決 刑法第260条ニ所謂建物ノ損壊
    建造物を移動し其の用方に従ひ使用すること能はさる状態に至らしむることは刑法第260条に所謂建造物の損壊に該当す
  3. 建造物損壊、建造物侵入、暴力行為等処罰ニ関スル法第律違反(最高裁判例 昭和41年06月10日)
    いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が刑法第260条にいう建造物の損壊に該当するとされた事例
    A公社職員をもつて構成するB労働組合東海地方本部副執行委員長等の地位にある被告人らが、多数の者と共謀の上、闘争手段として、当局に対する要求事項を記載したビラを、建造物またはその構成部分たる同公社東海電気通信局庁舎の壁、窓ガラス戸、ガラス扉、シヤツター等に、3回にわたり糊で貼付した所為は、ビラの枚数が一回に約4、500枚ないし約2500枚という多数であり、貼付方法が同一場所一面に数枚、数10枚または数100枚を密接集中させて貼付したこと等原審の認定した事実関係のもとにおいては、右建造物の効用を減損するものであり、刑法第260条にいう建造物の損壊に該当する。
  4. 建造物侵入、暴力行為等処罰に関する法第律違反、建造物損壊(最高裁判例 昭和43年01月18日)刑法第261条
    いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が刑法第260条の建造物損壊および同法第261条の器物損壊に該当するとされた事例
    会社の労働組合執行委員長等の地位にある被告人らが、多数の労働組合員と共謀のうえ、会社当局に対するいわゆる闘争手段として、四つ切大の新聞紙等に要求事項を記載したビラを、会社本社の2階事務室に至る階段の壁、同事務室の壁、社長室の扉の外側、同室内部の壁に約50枚、同事務室の窓ガラス、入口引戸、書棚、社長室の窓ガラス、衝立に約30枚、それぞれ糊を用いて貼りつけ、これらのビラの大部分を会社側がはがしたあとに合計50枚の同様のビラを貼りつけ、更にその大部分を会社側がはがしたあとに合計60枚の同様のビラを貼りつけ、更にその一部分を会社側がはがしただけで相当数が残存しているところに重複して合計約80枚の同様のビラを貼りつけた行為は、原審の認定した事実関係のもとにおいては、刑法第260条の建造物損壊および同法第261条の器物損壊に該当する。
  5. 建造物損壊(最高裁判例 昭和61年07月18日)
    刑法260条の「他人ノ」建造物に当たるとされた事例
    被告人所有の建物につき根抵当権の設定を受けた甲が抵当権実行の結果自らこれを競落して、同人に対する所有権移転登記が経由された後、執行官が右建物につき不動産引渡命令の執行をしようとした際、被告人が同建物の損壊に及んだ等の判示の事実関係の下では、たとえ被告人が右根抵当権設定の意思表示は甲の側の詐欺によるものとしてこれを取り消したから同建物は依然として自己所有の物であると主張し、将来民事訴訟等において右詐欺の主張が認められる可能性を否定し去ることができないとしても、同建物は刑法260条の「他人ノ」建造物に当たるというべきである。
  6. 建造物損壊被告事件(最高裁判例 平成18年01月17日)
    公園内の公衆便所の外壁にラッカースプレーでペンキを吹き付け「反戦」等と大書した行為が刑法260条前段にいう建造物の「損壊」に当たるとされた事例
    公園内の公衆便所の白色外壁に,ラッカースプレーで赤色及び黒色のペンキを吹き付け,「反戦」,「戦争反対」及び「スペクタクル社会」と大書し,その建物の外観ないし美観を著しく汚損し,原状回復に相当の困難を生じさせた行為は,刑法260条前段にいう建造物の「損壊」に当たる。
  7. 建造物損壊,公務執行妨害被告事件(最高裁判例 平成19年03月20日)
    1. 建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かの判断基準
      建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほか、当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮して決すべきである。
    2. 住居の玄関ドアが建造物損壊罪の客体に当たるとされた事例
      住居の玄関ドアとして、外壁と接続し、外界とのしゃ断、防犯、防風、防音等の重要な役割を果たしている物は、適切な工具を使用すれば損壊せずに取り外しが可能であるとしても、建造物損壊罪の客体に当たる。

前条:
刑法第259条
(私用文書等毀棄)
刑法
第2編 罪
第40章 毀棄及び隠匿の罪
次条:
刑法第261条
(器物損壊等)
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