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さて一般に, が存在するための十分条件は,導入章にも言及しておいたように,
が次の関係を満たすことである.すなわち が十分大きいところで,
(4.10)
となることである.このとき を指数 位の関数ということは前にも述べた.
を特に意識する必要のないときは, を省略して呼ぶことにする.
例93
が指数位の関数であるとき, も も指数位の関数であることを示せ.
解答例
と は実数を定義域とした実数値関数とすると,
この式が成立するためには と の両方が有限の値に収束しなければならない.
すなわち, と の両方が指数位である必要がある.
が指数位 の関数であるとき, に対して,
が存在することは明らかである.事実,
で, のとき,
であるから,複素数値関数の基本的性質Ⅴから の存在が保証されるのである.
例94
は任意の に対して指数位の関数である.
事実,
であるから, のとき[1],
[2]
したがって の Laplace 変換が存在する.
[3]
であるから, ならば, のとき,
これを逐次繰り返すことによって,
を得る.
補題 4.2
が指数位の関数ならば もそうである.
証明
複素数値積分の基本的性質Ⅳと式 (4.10) により, のとき,
ここに, である.
- ^
- ^ , より
- ^
式 (2.8b) と同じ考え方である.