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商標法第66条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

商標法第66条

防護標章登録に基づく権利の附随性について規定している。

条文

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(防護標章登録に基づく権利の附随性)

第66条 防護標章登録に基づく権利は、当該商標権を分割したときは、消滅する。

2 防護標章登録に基づく権利は、当該商標権を移転したときは、その商標権に従つて移転する。

3 防護標章登録に基づく権利は、当該商標権が消滅したときは、消滅する。

4 第20条第4項の規定により商標権が消滅したものとみなされた場合において、第21条第2項の規定により回復した当該商標権に係る防護標章登録に基づく権利の効力は、第20条第3項に規定する更新登録の申請をすることができる期間の経過後第21条第1項の申請により商標権の存続期間を更新した旨の登録がされる前における次条各号に掲げる行為には、及ばない。

5 第41条の2第6項の規定により商標権が消滅したものとみなされた場合において、第41条の3第2項の規定により回復した当該商標権に係る防護標章登録に基づく権利の効力は、第41条の2第5項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間の経過後第41条の3第2項の規定により商標権が存続していたものとみなされた旨の登録がされる前における次条各号に掲げる行為には、及ばない。

6 前項の規定は、第41条の3第3項において準用する同条第2項の規定により回復した商標権に係る防護標章登録に基づく権利の効力について準用する。

解説

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防護標章制度商標権の保護を十全ならしめることを目的としている以上、防護標章登録に基づく権利は防護すべき商標権の存在がその前提条件となり、商標権と分離した防護標章登録に基づく権利は観念できない。そうである以上、防護標章登録に基づく権利が附随した商標権が、移転した場合は防護標章登録に基づく権利はその商標権に従って移転し(本条2項)、消滅した場合は防護標章登録に基づく権利も消滅する(本条3項)ことは明らかであろう。

これらの移転、消滅は商標原簿の登録事項である(71条1項1号)。


商標権の存続期間の更新登録の申請をしなかったことにより、商標権が消滅したとみなされた場合(20条4項)において、期間徒過について正当な理由があり21条1項の規定により更新登録の申請をしたときは、商標権は回復する(同条2項)。本条4項は、商標権の回復によりこれに附随していた防護標章登録に基づく権利も回復することを前提として、防護標章登録に基づく権利が消滅したことを信頼して商標の使用を開始した第三者を保護するため、22条の場合と同様かかる権利を制限することとした。すなわち、防護標章登録に基づく権利は、更新登録の申請をすることができる期間の経過後、商標権の存続期間を更新した旨の登録(71条1項2号)がされる前における67条各号に掲げる行為に及ばない。 この規定は確認的なものとされる[1]

同様の理由により、後期分割登録料の納付を徒過した場合に救済が認められたときにも、防護標章登録に基づく権利は、かかる納付をすることができる期間の経過後、41条の3第2項の規定により商標権が存続していたものとみなされた旨の登録がされる前における67条各号に掲げる行為に及ばない(本条5, 6項)。これらの規定については確認的なものではない。


64条で述べたように、防護標章登録に基づく権利の指定商品または指定役務は防護する商標権のいずれかの指定商品または指定役務に対して認められると割り切れるとは限らない。このため、商標権を分割した場合(併せて移転したときを含む。)、防護標章登録に基づく権利が分割後のいずれの商標権を防護するのか明確とはいえない(複数の商標権の可能性もある。)。したがって、この場合権利関係を画一的に処理するため、防護標章登録に基づく権利は随伴する商標権の分割により消滅することした(本条1項)。 もっとも、64条1, 2項の要件を満たす限り、この消滅後にあらためて分割後の商標権について防護標章登録を受けることができる。

改正履歴

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  • 平成8年法律第68号 - 語句修正(見出し含む)、移転を伴わない商標権の分割制度導入に伴い2つの項に分割(1項、新2項)
  • 平成10年法律第51号 - 商標権の回復に伴う防護標章登録に基づく権利の効力の制限規定を追加(4項)
  • 平成27年法律第55号 - 後期分割登録料の納付期限を徒過した場合の救済措置の導入に伴いかかる場合の防護標章登録に基づく権利の効力の制限規定を追加(5, 6項)

平成8年改正は、移転を伴わない商標権の分割制度の導入に伴い、分割移転の場合と合わせて商標権の分割の場合とし、商標権の単なる移転の場合は別項で扱うこととした。

平成8年改正では、商標権が回復した場合の効力の制限規定も追加されたが(新22条)、平成10年改正に至って防護標章登録に基づく権利を伴っていた商標権が回復した場合に、防護標章登録に基づく権利も効力が制限される旨を明示した。この規定は確認的なものとされているため[1]、本稿では形式的な改正として扱った。

脚注

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  1. ^ 1.0 1.1 特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室編『工業所有権法の解説―平成10年改正』、発明協会(現発明推進協会)、1999、 p. 109

関連条文

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前条:
65条の10
商標法
第7章 防護標章登録
次条:
67条