商法第588条
ナビゲーションに移動
検索に移動
法学>民事法>商法>コンメンタール商法>第2編 商行為 (コンメンタール商法)>商法第588条
第588条
- 運送人ノ責任ハ荷受人カ留保ヲ為サスシテ運送品ヲ受取リ且運送賃其他ノ費用ヲ支払ヒタルトキハ消滅ス 但運送品ニ直チニ発見スルコト能ハサル毀損又ハ一部滅失アリタル場合ニ於テ荷受人カ引渡ノ日ヨリ二週間内ニ運送人ニ対シテ其通知ヲ発シタルトキハ此限ニ在ラス
- 運送人の責任は荷受人が留保せずに運送品を受取りかつ運送賃その他の費用を支払ったときは消滅する。ただし運送品に直ちに発見することのできない毀損又は一部滅失がある場合において荷受人が引渡しの日より2週間内に運送人に対してその通知を発したときはこの限りで無い。
- 前項ノ規定ハ運送人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
- 前項の規定は運送人に悪意があった場合には適用しない。
解説[編集]
請負契約では一般的に仕事を完成させて目的物を引き渡しても請負人への責任追及ができなくなるわけではない。しかしそれでは運送人が運送物を荷受人に引き渡すと証拠保全が困難なまま、予期せず一部滅失や損傷があったとして責任を追及されたときに運送人の請求原因不存在の主張が認められなくなる恐れがある。そこで商法は、荷受人が運送物を受取って費用を支払う時まで(前払い特約があれば運送物受取りの時まで)に一部滅失や損傷のあることを運送人に告げなければ運送人が免責されることを定めた。
- 引渡しの時の「悪意」とは
- 滅失、毀損の故意またはその隠蔽の故意とする説
- 商法第589条で商法第566条が運送人にも準用される。566条3項の運送取扱人の「悪意」と同様に解釈すべきである。
- 短期消滅時効を援用できない「悪意」と588条の「悪意」とを区別していない。
- 一部滅失又は毀損があることを知っていたこととする説
- 588条で保護されない運送人とは、証拠保全をすべき運送人のことである。一部滅失又は毀損があることを知っていた運送人は将来債務不履行責任を追及されることを予測して証拠保全をすべきである。これが通説である。
- (責任の特別消滅事由)第四十六条
- 当店の貨物の一部滅失又はき損についての責任は、荷受人が留保しないで貨物を受け取ったときは、消滅します。ただし、貨物に直ちに発見することのできないき損又は一部滅失があった場合において、貨物の引渡しの日から二週間以内に当店に対してその通知を発したときは、この限りではありません。
- 前項の規定は、当店に悪意があった場合には、これを適用しません。
|
|