地方自治法第2条

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法学コンメンタール地方自治法

条文[編集]

【地方公共団体の法人格、事務、自治行政の基本原則】

第2条  
  1. 地方公共団体は、法人とする。
  2. 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
  3. 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第5項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。ただし、第5項に規定する事務のうち、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理することができる。
  4. 市町村は、その事務を処理するに当たつては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。
  5. 都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第2項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。
  6. 都道府県及び市町村は、その事務を処理するに当つては、相互に競合しないようにしなければならない。
  7. 特別地方公共団体は、この法律の定めるところにより、その事務を処理する。
  8. この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。
  9. この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
    1. 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。)
    2. 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法定受託事務」という。)
  10. この法律又はこれに基づく政令に規定するもののほか、法律に定める法定受託事務は第一号法定受託事務にあつては別表第1の上欄に掲げる法律についてそれぞれ同表の下欄に、第二号法定受託事務にあつては別表第2の上欄に掲げる法律についてそれぞれ同表の下欄に掲げるとおりであり、政令に定める法定受託事務はこの法律に基づく政令に示すとおりである。
  11. 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づき、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえたものでなければならない。
  12. 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。この場合において、特別地方公共団体に関する法令の規定は、この法律に定める特別地方公共団体の特性にも照応するように、これを解釈し、及び運用しなければならない。
  13. 法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が自治事務である場合においては、国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない。
  14. 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
  15. 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。
  16. 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
  17. 前項の規定に違反して行つた地方公共団体の行為は、これを無効とする。

解説[編集]

関連条文[編集]

判例[編集]

  1. 職員給与支出差止等請求事件(最高裁判決 平成16年01月15日)地方公務員法第24条1項,地方公務員法第30条,地方公務員法第35条,職務に専念する義務の特例に関する条例(昭和28年岡山県条例第49号)2条,岡山県職員給与条例(昭和26年岡山県条例第18号)14条,職務に専念する義務の特例に関する規則(昭和28年岡山県人事委員会規則第10号)2条,民法第90条民法第709条,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号
    1. いわゆる第3セクター方式により設立された株式会社に派遣された県職員に対する給与支出が違法であるとされた事例
      県が,職務専念義務の免除をするとともに勤務しないことの承認をして,いわゆる第3セクター方式により設立された株式会社に県職員を派遣し,その給与を支出した場合において,上記派遣が,同社に事業収入がなく,同社が十分な人材を確保していないことを考慮して行われたこと,同社の事業内容は遊園施設等の経営であったこと,派遣職員が従事した職務の内容は同社の業務全般に及んでいたこと,派遣人数は延べ13人,派遣期間は約7年間に及んだことなど判示の事実関係の下においては,上記給与支出は,違法である。
    2. 県といわゆる第3セクター方式により設立された株式会社との間で締結された県職員を同社に派遣してその給与を県が負担することを内容とする協定が私法上無効であるとはいえないとされた事例
      県が,いわゆる第3セクター方式により設立された株式会社との間で,県職員を同社に派遣してその給与を負担することを内容とする協定を締結し,派遣職員につき職務専念義務の免除をするとともに勤務しないことの承認をして給与を支出した場合において,上記協定が地方公務員法24条1項,30条及び35条の趣旨に反して違法であるとしても,上記協定締結当時,地方公務員の派遣に関する法制度が整備されないまま,全国各地の地方公共団体において第3セクター等への職員派遣が行われており,職務専念義務の免除による職員派遣の場合には派遣職員の給与を支出する例が多かったこと,その適否については定説がなく,裁判例も分かれていたことなど判示の事情の下においては,上記協定が私法上無効であるということはできない。
    3. 県がいわゆる第3セクター方式により設立された株式会社との間で県職員を同社に派遣してその給与を負担することを内容とする協定を締結して派遣職員に給与を支出したことにつき知事に過失があるとはいえないとされた事例
      県が,いわゆる第3セクター方式により設立された株式会社との間で,県職員を同社に派遣してその給与を負担することを内容とする協定を締結した当時,地方公務員の派遣に関する法制度が整備されないまま,全国各地の地方公共団体において第3セクター等への職員派遣が行われており,職務専念義務の免除による職員派遣の場合には派遣職員の給与を支出する例が多かったこと,その適否については定説がなく,裁判例も分かれていたこと,県の同社への職員派遣は条例等の定める職務専念義務の免除等の法的手続を踏んで行われたことなど判示の事情の下においては,上記協定を締結して派遣職員に給与を支出したことにつき知事に過失があるとはいえない。

前条:
地方自治法第1条の3
【地方公共団体の種類】
地方自治法
第1編 総則
次条:
地方自治法第3条
【地方公共団体の名称】
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