太陽

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地球から望む太陽、スコットランド

太陽[編集]

太陽は、銀河系の恒星の一つで、太陽系の物理的中心と位置づけられる。

ガス球であるため、地表と大気の区別がない。

中心部では6.7 × 108t /s(毎秒6億7000万トン)の速さで水素の原子核融合が起こり、莫大なエネルギーを放出している。地球に到達する太陽エネルギーは、太陽が放出する全エネルギーのうちほんのわずかな分でしかない。

  • 赤道直径 … 1,392,000km
  • 自転周期(大きな球体であるため緯度により自転速度が異なる)
    • 赤道 … 27.275日
    • 緯度30° … 28.186日
    • 緯度60° … 30.8日
    • 緯度75° … 31.8日
    • 銀河を一周する時間 … 2.2 × 108 年(2億2000万年)
  • 密度 … 1.411g / cm3
  • 体積 … 6.09 × 1027 m3
  • 質量 … 1.9891 × 1030 kg

太陽の構造[編集]

外部から、コロナ、遷移層、彩層、光球、対流層、放射層、中心核となっている。

  • コロナ
    100万~200万℃ほどの層があり、皆既日食の際には白く見える。太陽風はコロナから来ている。
  • 彩層
    コロナと光球の間にある層。また、彩層とコロナの間にも遷移層と呼ばれる層がある。皆既日食において観測が可能で、赤い部分が彩層である。彩層の一部が噴出することでフレアが生じる。
  • 光球
    光球には、黒点と呼ばれる低温領域が約11年周期で増減を繰り返す。また、プロミネンス(紅炎)という巨大な爆炎がつねに噴出しつづけている。
  • 対流層と放射層
    中心のエネルギーを表面に輸送している。
  • 中心核
    核融合が行われている。

光球を形成する物質[編集]

  • 水素 … 73.46 %
  • ヘリウム … 24.85 %
  • 酸素 … 0.77 %
  • その他(炭素,鉄,ネオンなど)… 0.82 %

温度[編集]

  • コロナ … 1.5 × 106 K(約100万 - 200万℃)...表面よりも温度が高いことは解明されておらず、「コロナ加熱の謎」といわれ、今でも研究が続いている。
  • 黒点 … 4000 - 4500 K(約4000 - 5000度)
  • 彩層~光球表面 … 5780 K(約6000℃)
  • 中心 … 1.58 × 107 K(約1580万℃)

太陽黒点[編集]

NASAにより撮影された太陽の黒点の拡大図。

太陽の光球の部分には周りと比べて比較的温度が低く、温度では約4000Kである黒い部分がある。この部分のことを黒点という。黒点はふつう、黒い部分とその周りにある少し黒い部分から構成される。この黒い部分を暗部、少し黒い部分を半暗部という。写真を見るとわかりやすい。

なお、この節で太陽黒点としたのは黒点は太陽に限らず、他の恒星にも存在するためである。変光星の一種であるりょうけん座RS型の変光星は太陽の数10倍もの黒点をもつものが発見されている。

黒点はその年によってよく見られる年とあまり見られない年がある。例えば、マウンダー極小期と呼ばれる期間では30年間で50個しか見られないなど、特異的なこともある。しかし、これはあまりに特殊的な例で、通常は11年間ごとのサイクルでその個数は決まってくる。この11年の周期のことを、太陽活動周期という。また、この太陽活動周期を表す指標として黒点相対数というものがあり、黒点相対数をR、kを定数、gを黒点群の数、sを黒点の総数とすると、

で表せる。kは観測の方法などによって異なってくる。