コンテンツにスキップ

将棋/石田流

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

【石田本組】

[編集]

本組▲9七角型

[編集]

本組▲9七角型に組みたい場合は、早く△8五歩と伸ばされると▲7七角とする必要があるので難しいが、居飛車側も早石田を避けたい際には、無理なく組むこともできる。組み方に関しては下記のとおりが考えられる。

初手▲7六歩に△8四歩のとき、

  1. ▲7八飛で△8五歩は▲7七角で、本組▲5七角型もしくは▲6八角~7九角~9七角
  2. ▲7八飛△3四歩▲6六歩で
    1. △8五歩は▲7七角で、その後▲7五歩とし、▲6八角から本組▲5七角型もしくは▲6八角~7九角~9七角
    2. その他の手は▲7五歩。以下△8五歩▲7六飛

初手▲7六歩に△3四歩で▲7五歩とし、以下△4二玉、△1四歩、△6二銀、△8四歩いずれも▲6六歩としてしまう。

  1. △4二玉▲6六歩-△8四歩▲7八飛△8五歩▲7六飛
  2. △1四歩▲6六歩-△8四歩▲7八飛△8五歩▲7六飛△4二玉もしくは△6二銀
  3. △6二銀▲6六歩-△8四歩▲7八飛△8五歩▲7六飛△4二玉もしくは△6四歩
  4. △8四歩▲6六歩には、以下
    1. △8五歩は▲7七角で、本組▲5七角型もしくは▲6八角~7九角~9七角
    2. その他の手は▲7八飛。以下△8五歩▲7六飛

初手▲7六歩に△3四歩で▲6六歩もある。後手が相振り飛車を警戒し△1四歩などとすれば、▲7八飛△8四歩(△7四歩には▲7五歩△同歩▲同飛)▲7五歩もしくは、▲7五歩△8四歩▲7八飛。

初手▲7八飛は、△8四歩のとき以下▲7六歩で、▲7六歩△8四歩▲7八飛に合流。

初手▲7八飛に、△3四歩は▲7六歩ならば△8八角成▲同銀△4五角。よって▲6八銀とし、以下△8四歩▲7六歩で△8五歩ならば▲7七角に、

  1. △同角成には▲同桂もしくは▲同飛。▲同銀は△4五角
  2. △7四歩には▲2二角成から▲5五角など
  3. その他の手であれば、▲6六歩もしくは▲7五歩

初手▲7八飛に、その他であれば▲7六歩で△8四歩ならば▲7五歩。△3四歩ならば▲6六歩△8四歩▲7五歩。

本組▲5七角型

[編集]

本組▲5七角型は本組▲9七角型に比べ、スムーズに組むことができる。▲7七角-6七銀型にして、▲7七角を6八に引いてから、飛車を7六に浮いたら5七に持ってくる。

例えば、初手▲7六歩△3四歩に▲7七角として、先手▲7七桂戦法を後手が嫌って△4四歩とすれば、以下▲7八飛△8四歩▲7五歩。なおこの場合▲6六歩を決めなければ、▲7四歩△同歩▲5五角の含みを残せる。

持ち駒 なし
987654321 
  
     
   
      
         
      
  
       
 
持ち駒 角
図は ▲9六歩まで
図1 四間飛車からの変化1
持ち駒 なし
987654321 
  
     
    
      
       
       
 
        
 
持ち駒 角
図は ▲7四歩まで
図2 四間飛車からの変化2

また、図のように先手四間飛車で後手の△4二玉に先手が▲9六歩とし(図1)、△8五歩に▲9七角とする順もある。以下、△3二玉▲7八飛から7五歩。▲7八飛に△9四歩▲7五歩△9五歩ならば、▲7四歩とし(図2)、以下

  1. △同歩ならば、▲9五歩で、後手△9五香ならば▲3一角成△同玉▲9五香 
  2. △9六歩ならば、▲7三歩成△同桂(△同銀は▲5三角成)▲3一角成△同玉▲7四歩

が生じる。

ただし、角を渡すと△4五角があるので、通常は玉を3八まで動かしてそれでも△8四歩型ならば、▲9六歩から9七角を狙うといった指し方で進める。

【早石田】

[編集]

以下では、w:石田流のうち、先手での早石田について記述されている。

後手での早石田については、将棋/▲7六歩/△3四歩/▲2六歩#△3五歩を参照。

▲7八飛

[編集]

将棋/初手#▲7八飛参照。

▲7六歩△8四歩▲7五歩

[編集]

詳細は将棋/▲7六歩/△8四歩#▲7五歩を参照。

なし
987654321 
       
 
        
        
        
 
       
なし
3手目▲7五歩まで(石田流早石田の基本図A)

初手からの指し手
▲7六歩△8四歩▲7五歩

角道を開けた歩をもう1マス進めて、角道が通るように開けた歩を相手にぶつけていく予定。後手は早々と7四歩が出来ずかつ8一にいる桂馬の活用を難しくする。

この手に代えて3手目▲7八飛と飛車を振り、後手が△3四歩とすると、▲7五歩で、次記の▲7六歩△3四歩▲7五歩#△8四歩▲7八飛に合流する。後手が△3四歩に代えて△8五歩とすると、▲7七角とし、以下△3四歩に▲7五歩とすると、△7七角成ならば▲同桂でw:新鬼殺し。△7七角成に代えて△6二銀ならば、▲7四歩とし、以下△同歩なら▲2二角成△同銀▲5五歩△7三銀▲7四飛△6四銀 等で、早石田に合流する。

戻って、3手目▲7五歩に△3四歩▲7八飛ならば、普通の定跡に合流。3手目▲7五歩に△8五歩▲7七角で△3四歩に▲7八飛となると、上記の手順に合流。


▲7六歩△3四歩▲7五歩

[編集]
なし
987654321 
       
 
        
        
        
 
       
なし
3手目▲7五歩まで(石田流早石田の基本図B)

初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲7五歩

『トップ棋士頭脳勝負: イメージと読みの将棋観 3』(日本将棋連盟、2014年)によると、先手石田流▲7六歩△3四歩の出だしの3手目▲7五歩は、 2001年 (平成23年)には公式戦で192局、 2002年 (平成24年)では158局指されていた。

同書では以下の手については、各人4手目#△8四歩は後手が危ない手としている。

渡辺明は△8四歩は急戦型、#△6二銀は左美濃を中心とした持久戦で、後手の明確な対策は発見されていないとしている。

佐藤康光は、△8四歩はリスクが高いことが分かってきたとしている。そして以前は△8八角成や△1四歩も指したことがある。

谷川浩司は、△8四歩▲7八飛△8五歩▲7六飛では、後手が局面を収めるのは大変である、△6二銀が無難であるが、この手は持久戦を思考する手であろうとしている。他に#△3五歩は、相手振り飛車の得意の土俵で戦うことになるとみている。

久保利明は、居飛車党で相居飛車の研究に忙しい人は△6二銀で、乱戦を好む人は△3五歩を指すであろうとし、△8四歩~8五歩で後手良しとなったら、▲7五歩を突けなくなるとしている。

広瀬章人は、△8四歩は強手で乱戦必至、△3五歩は先手の手次第であるが、うまく組めば難しくなるとし、△6ニ銀は作戦としては有力であるが、目新しさはないとしている。

森内俊之は、△8四歩が自然と思っていたが、先手に手段が多く出ていており、実は危険な手になっているとし、自由な発想ならば△3五歩、安全策ならば△6二銀であるとしている。そして、後手の作戦も研究が進み、振り飛車党に対し▲7六歩に△1四歩として、▲7五歩に△1五歩と突き越してから端の貯金を生かした持久戦に、△1四歩に▲1六歩ならば相振り飛車からの端攻撃なども視野に入れることもある。

△8八角成

[編集]

△8八角成▲同銀△4五角と進行した場合。

△8八角成を▲同飛と取り、△4五角には▲7六角として、△4ニ玉と受けたら、取り合えず▲3八金として、玉を移動した後で金美濃等に組みなおす。

▲3八金でなく▲3八銀としたのは、2010年2月の棋王戦五番勝負第一局、▲久保利明棋王 対 △佐藤康光挑戦者 戦。以下、△5四角▲7八飛△7六角▲同飛に△2八角が生じた。以下、▲5五角△3三桂▲7四歩△同歩▲8二角成△同銀▲1八飛△3九角打、といった乱戦の将棋になっている。

『トップ棋士の感覚 イメージと読みの将棋観』(2015年)によると、当事者の久保はこれを指した5年前くらいから研究したり研究会でも指していたが、まさかタイトル戦で実際に指すとは思わなかったという。当時でも鈴木大介や永瀬拓矢は先手が十分という見解であったようだが、実際は互角か先手がやや苦しいとみている。

その他は、次の通り

  1. 渡辺明は、これは互角、いい勝負とみているが、先手がこれを(▲3八金でなく▲3八銀)選ぶかどうかの問題としている。
  2. 森内俊之は、これは不思議な定跡で自分には理解不可能という。その後の進行については、先手▲6八銀なら△7三桂▲3九金△同角成▲4八角で、後手も十分としている。また、▲6六飛△6二金▲3六歩△4五桂もあるが微妙で、勢いのある後手を持ちたいが、今後の課題としている。
  3. 郷田真隆は、上記森内の指し手や 3六歩 7三銀 ▲3九金△同角成▲4八角 同馬 同玉のあと、3八銀 4六銀 3八飛 3五歩が実現すれば先手もよくなるとみており、先手を持ってもいいが詳しいことはわからないとしている。
  4. 広瀬章人は、これが定跡化されたのが驚きであり、どちらも妥協しなければこうなるが、後手はどこか無理をしている感じがするので、先手をよしとしたいという。後手は2枚の角がとられそうで負担は後手が大きく、先手うまくいけば圧勝しそうというが、自分の中で結論は出ていないという。
  5. 豊島将之は、どちらをもっても嫌なところがあるが、後手は悪い手を指すと一気に悪くなるとみている。この場面では先手に無難に収める権利を持っているが、無難に収めた局面は後手のほうがすこしいいとみている。

△6二銀

[編集]

銀を使って石田流に備える手として、△6二銀を指すと、先手が石田流を目指すと5手目以降は▲7八飛、△4二玉などが予想される。

△4二玉は、後手から角交換からの△4五角打のとき、▲7六角を無効にさせるためで、これを避けるために7手目または5手目に▲6六歩と指せば、△8四歩がまだであるので、▲7八飛~7六飛で本石田に組むことができる。

△3五歩

[編集]

4手目△3五歩については、玉頭位取り戦法にする手もあるが、基本的には相石田の相振り飛車戦型を狙っている。

相石田であれば、5手目以降は▲7八飛△3二飛となることが考えられる。

先手から角交換して先手の6五角打ちには3四角打ちを用意している。

△5四歩

[編集]

4手目△5四歩については、角道を開いているため、角交換に5筋は突くなに反しているが、居飛車と振り飛車両面作戦の指し方。

先手が石田流を志向し、5手目に▲6六歩ならば△4二銀または△3二飛であれば振り飛車志向、△6二銀または△4二玉などであれば居飛車志向である。

そして先手が角道を閉じたのですぐの角交換が無くなり、しばらくは駒組みになる事が考えられる。

飛歩
987654321 
 
       
    
      
        
        
  
      
  
図は▲7八同金まで
4手目△5四歩のときの進行例

元は△4二玉同様、石田流封じに使用されていた。△5四歩が突いてあるために、▲7八飛であると、角交換からの△4五角に▲7六角打または▲6五角打がきかないのであり、▲5五角打も無いのである。

5手目に▲2二角成△同銀▲5三角打には、△6二銀▲2六角成△6五角などである。またこのとき4手目の△5四歩は、後手の飛車のこびんを開けてから角交換後の先手からの5五角打を消している。

5手目に▲7八飛には、前述の通り△8八角成▲同銀△4五角打と、先手の浮いた歩への両あたりになり、成りこむことができるが、先手も▲8五角打で、狙われている一方の歩を守りつつ相手の浮いた3段目の歩に当て、馬作成を狙うことができる。

以降△8四歩に▲6三角成△5二金右とし、▲6四馬(9四に引くのもある)に△6二飛と馬に当て、▲4六馬△6七角成▲6八歩打△6六馬もしくは△7八馬▲同金(図)などで激しい戦いになることが予想される。

図以下は▲7四歩があるので、△8二銀か△6三金が必要となっている。

△1四歩

[編集]

4手目に△1四歩というのは端歩を突き、相手が端歩を受けるか様子を見ている。

後手としては8筋の歩を突いていないため、相手の手によっては振り飛車にすることも考えられる。

先手が石田流を志向している場合、5手目は端歩を受ける▲1六歩の他、▲7八飛、▲6六歩などが考えられる。

5手目に端歩を受けないと、6手目に△1五歩とすることも考えられる。この手は先手が美濃囲いなどになった場合の争点を作っておくという意味合いもある。

△4二玉

[編集]

4手目△4二玉については、先手の5手目▲7八飛をけん制している。 つまりは▲7八飛に△8八角成▲同銀△4五角。このとき、先手の角打ち返し▲7六角で4三の歩を狙われるのを、あらかじめ受けている。

△4五角打により、2七と6七のどちらか一方は受からない。このとき先手からの7六角は、6七を受ける効きしかない。

この場合の5手目は▲6六歩と、角交換を避けるのが一般的とされており、持久戦になることが考えられる。

△8四歩

[編集]

△8四歩なら▲7八飛として、その2回進めた歩の筋に攻め駒の飛車を動かし攻撃の陣形を整える。

▲7八飛 △8五歩 に ▲6六歩 と角道を止めると、△8六歩 ▲同歩 △同飛 がくる。

△8四歩には▲7八飛△8五歩と進むことが考えられるが、これならその後、先手は飛車を7六の場所に浮いて戦う石田流、もしくは▲7六に銀を持ってくる三間飛車などが狙える。

仮にここで7手目を▲2二角成とし、以下△同銀▲7四歩に△同歩であれば▲5五角には△6五角。

この他、▲4八玉(w:石田流#升田式石田流)、または▲7六飛(菅井流w:石田流#新・早石田)などの手がある。

▲4八玉(升田式)に

  1. △8六歩 ▲同歩 △同飛は、▲2二角成△同銀▲3三角。もしくは▲8八飛。
  2. △6二銀なら、▲2二角成△同銀▲7四歩で、これを△同歩ならば▲5五角△7三銀▲7四飛△6四角▲7三飛成△5五角▲8二龍△同角で、
    1. ▲8三飛△7二金▲8五飛成ならば、通常の早石田
    2. ▲8四飛。上記と違って、△9五角が効かない。以下△7二金なら▲8三銀。

2000年代後半からは続く7手目は、▲7四歩(w:石田流#新・早石田鈴木流や久保システム)から角交換をからめた序盤ラッシュの速攻が研究されて指され始めた。

▲7八飛に △8八角成 ▲同銀 △4五角打 とした場合(角交換型の石田流)、次に ▲7六角打 と、6七の地点を受けつつ4三の歩に狙いを当てる手順がある。歩を2回突いてから飛車を振るのは、前述のとおり7六地点を空白にするためである。以下は、高野秀行 三間飛車の人気戦法「石田流」で気をつけるべきポイント。「△8四歩には▲7八飛、△4二玉には▲6六歩」【はじめての戦法入門-第8回】 参照。

脚注

[編集]


参考文献

[編集]

外部リンク

[編集]

△4二玉

△1四歩

△5四歩

△3五歩

△6二銀

△8四歩

動画
このページ「将棋/石田流」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。