拍子

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音楽は多くの場合、心臓の鼓動や人の足音のような、一定の間隔を持った音の繰り返しが、その基本になっています。このとき、この音のひとつひとつを「」といいます。

拍はまた、2つ、または3つ、または4つ、集まってひとつのまとまりを成し、同じ個数の拍によるまとまりが反復します。これを拍子と言います。ひとつのまとまりに幾つ拍があるかによって、2拍子、3拍子、4拍子のように呼ばれます。また、まとまりのことを小節と呼びます。

単純拍子[編集]

基本的な拍子を単純拍子と呼びます。

2拍子[編集]

2拍子は、2つの拍から成る拍子です。2つの拍のうち、小節の中で先に来るものを一般に「強拍」、後に来るものを「弱拍」と呼びます。一般に、人が歩くときのリズムが、その元になっていると言われています。強拍は利き足、弱拍はもう一方の足に相当するでしょう(場合によっては逆かも知れません)。多くの行進曲は、2拍子で書かれています。しかし、一方、2拍子を踊りのリズムとして捉えることも大切です。強拍は足をしっかりと下に向けてステップする拍、弱拍は足を振り上げる拍です。そう考えると、強拍、弱拍と考えるよりも、下拍、上拍と考えた方がいいかも知れません。事実、英語ではdown beat、up beat、ドイツ語でもAntakt、Auftaktと呼びます。

3拍子[編集]

3拍子は、3つの拍から成る拍子です。3つの拍のうち、小節の最初に来るものが「強拍」、残りが「弱拍」です。3拍子は、馬の歩くリズムが元になっていると言われています。しかし、3拍子は踊りとより深く結びついています。強拍は足をしっかりと下に向けてステップする拍、弱拍は足を振り上げる拍です。

4拍子[編集]

4拍子は、4つの拍から成る拍子です。2拍子の曲では、自然に2つずつの小節がひとつのまとまりを持ちます。このとき、その2つの小節をひとつにまとめて考えると、4つの拍から成る拍子ができます。4つの拍のうち、小節の最初に来るものが「強拍」、残りが「弱拍」ですが、3つめは元の状態では小節の頭だったのですから、ここにも少し強い拍(中強拍)が来ます。

拍子記号[編集]

曲が何拍子であるかということは非常に大切な事柄です。ですから、必ず楽譜の最初にそれが何拍子であるかを書きます。

しかし、ひとつの拍は、時として、2分音符で書かれたり、4分音符で書かれたり、8分音符で書かれたりします。ですから、拍がどのような音価の音符で書かれるかも、何拍子であるかと同じくらい重要な事柄です。ですから、楽譜の最初に、その2つを組み合わせて書かれます。つまり、五線の下半分に音価を表す数字を書き、五線の上半分に拍子を表す数字を書きます。これを拍子記号と言います。(まれに、音価を表す数字が書かれないことがあります)

ひとつの拍が2分音符で書かれる2拍子を2分の2拍子といいます。楽譜の最初では、五線の下半分に2を書き、上半分に2を書きます。同じく3拍子を2分の3拍子と言います。楽譜の最初では、五線の下半分に2を書き、上半分に3を書きます。同じく4拍子を2分の4拍子といい、下に2を、上に4を書きます。

ひとつの拍が4分音符で書かれる2拍子を4分の2拍子といいます。楽譜の最初では、五線の下半分に4を書き、上半分に2を書きます。同じく3拍子を4分の3拍子と言います。楽譜の最初では、五線の下半分に4を書き、上半分に3を書きます。同じく4拍子を4分の4拍子といい、下に4を、上に4を書きます。

ひとつの拍が8分音符で書かれる2拍子を8分の2拍子といいます。楽譜の最初では、五線の下半分に8を書き、上半分に2を書きます。同じく3拍子を8分の3拍子と言います。楽譜の最初では、五線の下半分に8を書き、上半分に3を書きます。同じく4拍子を8分の4拍子といい、下に8を、上に4を書きます。

2分の2拍子は、特にalla breve(アラ・ブレーヴェ)と呼ばれます。また、左半円(C字形)に縦の棒を差したような形で書かれることがあります。また、4分の4拍子は左半円(C字形)で書かれることがあります。2分の4拍子はあまり見かけませんが、左半円(C字形)と右半円を左右に並べ、それぞれ縦の棒を差したような形で書かれることがあります。

複合拍子[編集]

1つの拍を3等分したリズムが曲を通して使われることが、よくあります。ところが、上に書かれた二分音符、四分音符や八分音符は、2分割、4分割、8分割....するには便利ですが、3分割するためには、三連符を使わなければなりません。とはいえ、曲を通して三連符の記号を書き続けるのは、煩雑に過ぎます。

そこで、1拍を3等分しやすい音符を1拍の音価とすることが考えられました。1拍を3等分しやすい音符とは、付点音符です。というのは、付点音符は付点の付かない音符の1.5倍、すなわち2分の3の長さなのですから、付点音符の3分の1の長さは、付点の付かない音符の半分の長さに等しいからです。

こうして、付点二分音符や付点四分音符を1拍とする拍子ができました。これらの拍子を複合拍子と呼んでいます。

6拍子[編集]

付点音符を1拍にした2拍子を、6拍子と一般に呼んでいます。たとえば、付点四分音符を1拍にした2拍子を考えてみましょう。これは、本来は、「付点四分の2拍子」と呼ぶべきです。しかし、「付点四分の2拍子」では呼びづらいし、楽譜に書くのに「付点四」では、数字になりません。そこで、3等分した音符(ここでは八分音符)を1拍であるかのように見立てて、それが2拍子(本来の)では1小節内に3×2で6つ入りますから、これを8分の6拍子のように呼び、楽譜にも8分の6のように書くのです。しかし、それでも、2拍子であることに変わりありません。また、このとき、8分の6を「約分」して、「4分の3」のように書くことは間違いとされています。同じように、付点二分音符を1拍にした2拍子を4分の6拍子のように呼び、4分の6のように楽譜に書きます。また、1拍が付点八分音符なら「16分の6拍子」です。

9拍子[編集]

9拍子とは付点音符を1拍にした3拍子です。ひとつの拍にそれを3等分した「拍に見たてるもの」が3つありますから、それが3拍で9つの「拍に見たてるもの」になるからです。付点四分音符を1拍にした3拍子を「8分の9拍子」、付点二分音符を1拍にした3拍子を「4分の9拍子」と言います。また、1拍が付点八分音符なら「16分の9拍子」です。

12拍子[編集]

12拍子とは付点音符を1拍にした4拍子です。ひとつの拍にそれを3等分した「拍に見たてるもの」が3つありますから、それが4拍で12つの「拍に見たてるもの」になるからです。付点四分音符を1拍にした4拍子を「8分の12拍子」、付点二分音符を1拍にした4拍子を「4分の12拍子」と言います。また、1拍が付点八分音符なら「16分の12拍子」です。

混合拍子[編集]

拍子に関する基本的な理論は、西ヨーロッパの音楽を中心に作られたと言って過言ではありません。このほかの地域には、さまざまな拍子があります。特に、19世紀の半ば以降、西ヨーロッパの音楽と大きく関わりを持った東ヨーロッパ、つまり、スラブの音楽には、5拍子、7拍子といった拍子が多く見られます。これらを混合拍子といいます。

5拍子[編集]

5拍子は、ひとつの小節が、2拍子と3拍子から成っていると考えられています。

2+3拍子
ひとつの小節の中で、2拍子が先になり、3拍子が後になる5拍子です。5つの拍は、強 - 弱 - 中強 - 弱 - 弱 の順に来ます。
3+2拍子
ひとつの小節の中で、3拍子が先になり、2拍子が後になる5拍子です。5つの拍は、強 - 弱 - 弱 - 中強 - 弱 の順に来ます。

どちらものように楽譜に書きますが、のように組み合わせを明示することもあります。

7拍子[編集]

7拍子は、ひとつの小節が、4拍子と3拍子、または2つの2拍子と1つの3拍子から成っていると考えられています。

4+3拍子
強 - 弱 - 中弱 - 弱 - 中強 - 弱 - 弱
2+2+3拍子
強 - 弱 - 中強 - 弱 - 中強 - 弱 - 弱
3+4拍子
強 - 弱 - 弱 - 中強 - 弱 - 中弱 - 弱
3+2+2拍子
強 - 弱 - 弱 - 中強 - 弱 - 中強 - 弱
2+3+2拍子
強 - 弱 - 中強 - 弱 - 弱 - 中強 - 弱

7拍子はのように楽譜に書きますが、等々のように組み合わせを明示することもあります。

その他の複合拍子[編集]

11拍子、13拍子等が書かれることがあります。

拍子の変化[編集]

古典的な楽曲では拍子は曲中で変化しませんが、新しいものになるにつれ、曲中で拍子が変わることが起こってきます。このときは、新しい拍子の拍子記号が、新しい拍子が起こった最初の小節に書かれます。場合によっては1小節ごとに拍子が変わることもあります。

不完全小節[編集]

曲がひとつの小節のはじめからでなく、途中から始まることがあります。それを弱起といいます。弱起の曲では、最初の小節は小節の途中から書かれます。

普通、この弱起は、小節の頭が省略されたのではなく、最初の小節の前に準備的な拍が加わったものと考えられます。

弱起の小節のように小節の一部しか書かれない小節を不完全小節と呼びます。弱起によって加わった拍の分は、どこかで埋め合わせをするべきです。それは曲の最後から取られます。ですから、弱起で始まった曲では、弱起の拍の分だけ、最後の小節が少なくなります。こうして、曲の最後にも不完全小節が置かれます。

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弱起
不完全小節
不完全小節

ただし、実際の楽曲、特にある程度以上の長さのあるような曲では、弱起で始まる曲でも最後に不完全小節ではなく、完全な小節が置かれることもあります。