教育基本法

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教育基本法(きょういくきほんほう)は日本の教育における基本となる法律であり、全18条から成る。

沿革[編集]

  • 1945年9月15日 文部省が戦後の新しい教育の根本方針として「新日本建設ノ教育方針」を発表する。
  • 1945年10月22日 連合国軍最高司令官総司令部が教育内容、教育関係者、教科目・教材などのあり方について記した「日本教育制度ニ対スル管理政策」を日本政府に交付する。
  • 1946年4月7日 GHQ/SCAPの要請によりアメリカ合衆国政府が派遣した第一次教育使節団が報告書を公表する(アメリカ教育使節団報告書)。この報告書では日本の教育に関する様々な提言が行われたが、後の教育基本法に繋がる新法制定については触れていなかった。
  • 1946年8月10日 内閣総理大臣の下に教育刷新委員会を設置し、教育に関する重要事項の調査と審議を開始する。
  • 1946年12月27日 教育の基本理念について討議した第一特別委員会の決議に基づき、教育基本法の必要性とその内容を内閣総理大臣に報告する。
  • 1947年3月4日 第1次吉田内閣が教育基本法案を閣議決定する。
  • 1947年3月12日 枢密院会議で一部の語句を修正したうえで可決され、第92回帝国議会に教育基本法案として提出される。
  • 1947年3月17日 政府案がそのまま衆議院で可決される。
  • 1947年3月26日 政府案がそのまま貴族院で可決される。
  • 1947年3月31日 教育基本法(昭和22年法律25号)として公布され、即日施行される。全11条。
  • 1948年6月19日 教育勅語が廃止される。(衆議院は「教育勅語等排除に関する決議」を決議し、参議院は「教育勅語等の失効確認に関する決議」を決議する。)
  • 2003年3月20日 中央教育審議会が教育基本法改正の必要性を明記した答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」を発表する。
  • 2006年4月28日 第3次小泉改造内閣が教育基本法全部改正案を閣議決定、第164回国会に提出。
  • 2006年12月15日 継続審議となっていた第165回国会で改正案が成立。
  • 2006年12月22日 改正法を公布、即日施行。

条文[編集]

現行法の条文について、2006年改正以前の旧法と適宜比較しつつ解説する。条文そのものについてはwikisourceを参照のこと。

  • 前文では、旧法では日本国憲法により「民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した」ことを述べ、教育の力によりこの理想を実現するものとしていた。現行法ではこれまでの間にそのような国家を国民の「たゆまぬ努力によって築いてきた」とした上で、それを「更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願う」とした。また、旧法で述べられていた個人の尊厳の重視と真理と平和を希求する人間の育成、普遍的で個性ゆたかな文化の創造をめざす教育の普及徹底のほかに、「公共の精神を尊」ぶ人間を育成すること、「伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する」ことを述べている。
  • 第1条は教育の目的として次のものを挙げている。
  1. 人格の完成
  2. 平和的な国家と社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期する

旧法にも同様の条文があったが、改正により第2条の「目標」がより詳細な箇条書きとなったため、そちらへ移された内容もある。

  • 第2条は第1条に掲げた目的を達成するための具体的な教育の目標として次のものを挙げている。
  1. 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
  2. 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
  3. 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
  4. 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
  5. 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

目的の達成の仕方については旧法第2条においても記述されているが、より詳細になった。特に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」との文言は改正の際に議論を呼んだ。

  • 第3条は生涯学習社会の実現を求めている。生涯学習の概念は旧法施行時にはなかった新しい概念であり、改正により追加された条文である。
  • 第4条は教育の機会均等について定めている。すべて国民は、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地により差別されない、国と地方公共団体は経済的理由によつて修学困難な者に対する奨学の方法を講じなければならない、との旧法からあった規定に加え、国と地方公共団体は障害者に対して「教育上必要な支援を講じなければならない」との規定が追加された。
  • 第5条は義務教育について定めている。義務教育の無償に関する規定は旧法と変わりないが、具体的に年限が「九年」とされていたのは削られ、より柔軟に改正が可能な学校教育法にのみ記述されることとなった。また、義務教育の目的を明記したほか、国と地方公共団体が義務教育の機会の保障と水準の確保に対し責任を負うことが明記された。
  • 第6条は学校の設置者について制限を加え、学校においては「体系的な教育が組織的に行われなければならない」と定めている。
  • 第7条は大学に関する規定であり、改正で追加された内容である。社会における大学の位置づけが定められている。
  • 第8条の私立学校に関する規定も改正で追加された内容である。国や地方公共団体は各学校の自主性を尊重するとともに助成などにより私立学校教育の振興に努めることが求められている。
  • 第9条は教員に関する規定である。旧法同様に教員が「自己の崇高な使命を深く自覚」することおよび教員の身分の尊重と待遇の適正を求めるとともに、改正により新たに教員は「絶えず研究と修養に励」むことと教員に対しての「養成と研修の充実」も求められることとなった。
  • 第10条は家庭教育に関する規定である。旧法でも言及されてはいるが、改正により教育に対する家庭の責任と、家庭における教育に対して国と地方公共団体が支援すべきであることが明確化された。
  • 第11条は幼児期の教育の振興に努めることを定めた条文で、これも改正により追加された内容である。
  • 第12条は社会教育の奨励と社会教育施設の設置を求めるものであり、旧法第7条にほぼ同様の定めがある。
  • 第13条は教育に対して学校、家庭および地域住民が相互に連携することを求めている。地域住民の参画について触れた点が新しい。
  • 第14条は良識ある公民たるに必要な政治的教養を尊重することと、特定の政党に対する支持や反対のための教育を禁止することを定めている。旧法第8条とほぼ同様である。
  • 第15条は教育における宗教の自由を求める一方で、中央政府と地方公共団体が設置する学校が特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動を行うことを禁じている。旧法第9条とほぼ同様である。
  • 第16条は教育行政についての規定である。旧法と比べて国と地方公共団体それぞれの教育に対して負うべき役割が明確化された。
  • 第17条は国が教育振興基本計画を定めることと、それを受けて地方公共団体も同様の計画を定めることが規定されている。改正によって追加された内容である。
  • 第18条は必要な法整備を求めるものである。

関連項目[編集]

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