日本語/非母語話者むけ/はじめに

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日本語は1億3,000万人が話す言葉です。そのため、母語話者が世界で9番目に多い言語です。日本語の分類については言語学者の間で議論があり、有力な説の1つでは、日本語は孤立言語であるためそれ自体が日本語族という語族であると考えられます。別の著名な仮説では、トルコ語、モンゴル語、ツングース語、および朝鮮語などと同様に中央アジアを中心に広がるアルタイ語族とされています。どちらの説も依然として一般的には受け入れられていません。

日本語は、日本でのみ唯一の公用語です(ただしアンガウル州では日本語が第3公用語です)。しかし、他国にも話者がたくさんいます。主な理由として、アメリカ合衆国(特にカリフォルニアとハワイ)、ブラジル、およびフィリピンなどへの移住が挙げられます。さらに、日本が東アジアと東南アジアを占領して植民地化した際に、現地住民が日本語教育を受けています。現在でも、韓国、台湾、および一部の中国の高齢者が日本語を話せます。

日本語は数世紀にわたって着実に発展しましたが、他の多くの文化とは異なり、最近まで他の影響をそれほど受けませんでした。しかし、かなりの部分の語彙は何世紀にもわたり、中国語、ポルトガル語、ドイツ語、およびフランス語から借用され、近年はほとんど英語から借用されています。

文法[編集]

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詳細は日本語/非母語話者むけ/文法を参照

日本語は規則的ですが、著しく英語と異なります。日本語は「主語、目的語、動詞」 (SOV) で主題優勢の言語です。なお、英語は「主語、動詞、目的語」 (SVO) で主語優勢の言語です。

たとえば、“Cats eat mice” という英語の文には、主語 (cats)、動詞 (eat)、および目的語 (mice) がSVOという語順で並んでいます。"cat" には複数形を表す語尾がついて "cats" になり、"mouse" は母音交替が起こって複数形のmiceになっていますが、語順のみが主語と目的語を表しています;語順によってどっちが食べていて、どっちがエサになっているか分かります。


(ねこ) (ねずみ) ()
Neko wa nezumi o

主題優勢というのはこの例でははっきりしません;英語では「猫」が主語(動作主)ですが、日本語では主題(この文が何についてか)です。上の例では、「猫は」が主題で、「鼠を食う」が主題についての解説です。

なお、日本語教育の理論では、主題 と その主題についての解説 との関係をまとめて「題術」(だいじゅつ)といいます。

「食う」は動物が別の動物を食うときに使います。人間が食材と食べるときは「食べる」を使うのが適切です[1]

日本語には冠詞(aやthe)も、数(単数、複数)を示す必要もありません。上の文の例では、「猫」は一匹の可能性も複数匹の可能性もあります。"mouse"と "mice" のような母音交替も起こりません。日本語は膠着語(語尾によって文法的情報を追加する)で非常に規則的です。日本語では、複数形は接尾辞「たち」「ら」をつけることで表します。したがって、複数形を表すには「猫たち」としますが、「猫」だけでは単数・複数どちらの意味にもとれます。ただし、「たち」と「ら」は必ずしも交換可能ではなく、「猫ら」はかなり不自然です。そのため、初心者は複数を表す語尾は気にせずに学習するべきです。

日本語文法を学ぶ英語話者にとって、最大の障壁はおそらく、日本語文の思考過程や、種類が無限にあると思われる動詞語尾とそれらを組み合わせる順序を学ぶことでしょう。

SVOやSOVという文法パラダイムは、日本語学習とインド・ヨーロッパ語族以外の言語の間では無関係です。実のところ、単に些末であるだけではなく、正しくなく、学習者の流暢さを損なわせます。というのも、これはインド・ヨーロッパ語族の構成をそれ以外の言語に対して人工的に押し付けたものにすぎないからです。日本語は、w:タガログ語など他の多くの言語と同様、構文ではなく接尾辞で文法的関係を明示しています。日本語では、語順は文の意味を変えません。しかし、感情的性質を変えます。SVOの語順は日本語では正しくありませんが、母語話者は感情の高ぶりを表すときに頻繁に使います。したがって、「あれは何だ?」は単なる質問です。しかし、「何だあれは?」は末尾に感嘆ポイントがあります。というのも、語順によって話者が明らかに動揺し、あるいは少なくとも「あれ」によって悩まされていることが分かるからです。

したがって、日本語はSOVではありません。話題をT、動詞をVとすると、TVなのです。動詞は本当に、流暢さの習得に成功するための秘訣です。したがって、動詞の活用形の学習に最大の注意をするべきなのです。

時制は2種類あります:過去と現在です。現在時制は未来の出来事も表せます。過去時制の動詞の文末には必ず、「た」または「だ」があります。現在時制の場合はいつも、肯定文ではuで終わり、否定文では「ない」で終わります。ただし、唯一の例外として「だ」があります。これは現在時制で"be"の意味を表します。おそらく全ての言語と同様に、この動詞はかなり不規則でその用法は単純に暗記しなければなりません。英語話者にとってこの2種類の時制はかなり覚えやすいでしょう。なぜなら、英語では過去時制は一般的に"-t"または"-d"で終わり、単純現在時制動詞"do"は"u"で終わるからです。"-nai"という文末は英語の"nay"に似ているでしょう。日本語の会話では、完全な文は現在時制または過去時制の動詞で終わるでしょう。上記のとおり、他にもたくさん文末表現がありますが、完全な文では使われませんし、動作動詞の文末にも使われません。

動詞の他にも、動詞に関連する語句の機能を表す語があります。最も重要なのは、「は」、「が」、「の」、「を」、「に」、「で」です。「は」は議題になっていることをマークします。「が」は動作主の後ろにつけます。つまり、誰かが何かをしているときは能動態で、誰かが動作を受けているときは受動態です。どちらにおいても、「誰」をマークします。「に」は対象・目標を表します。「の」は所有や由来を表します。「を」は直接目的語をマークするので、能動態の他動詞のときだけ使います。さいごに、「で」は場所名につくと動作の場所を表します。また、物体につくと動作の道具、つまり何で動作を行ったかを表します。

例:猫は、ピッちゃんが家に帰ってきて、台所で犬のえさを食った。
猫は、 ピッちゃんが 家に 帰ってきて、 台所で 犬のえさを 食った。
主題 主語 目的地 動詞(「~て」は文がまだ終わらないことを表す) 場所 直接目的語 動詞

したがって、どの語句に対しても、その語句の機能と動詞との関係とを明示する語尾がつきます。

ポライトネスの段階[編集]

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詳細は日本語/非母語話者むけ/ポライトネスを参照

日本の文化・社会は「目上(めうえ)目下(めした)」に基づいています。それ自体として、3段階のポライトネスがあります。日本語は主として「タテ社会」なので、全関係には相対的立場の要素が含まれます。たとえば、生徒は教師よりも目下なので、生徒は教師と話すときには敬語を使いますが、教師は常体を使います。顧客と話す販売員は、顧客よりもはるかに目下であると位置づけて、敬語を使います。一方、顧客はどちらを使う場合もあり得ます。

敬語は、敬体・常体と異なる分類ではありませんが、異なる概念で異なる規則があります。敬語を使うときには、名詞や動詞、形容詞を変形して、自分やウチの人間を謙譲させたり、ソトの人間を立てたりします。常体と敬体は聞き手によって決まりますが、敬語は、話題になっている人物との相対的地位関係によって決まります。尊敬語は、教授や重役、大臣、顧客など、敬意を払うべき人物に使います。尊敬語は必ず他者に対して使い、決して自分には使わないでください。しかし、謙譲語は自分やウチの人間にのみ使います。非常に社会的序列が低くても、たとえば乞食に対する謙譲語は不適切です。

書記体系[編集]

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詳細は日本語/非母語話者むけ/文字を参照

日本語はひらがな、カタカナ、漢字という3種類の文字を使います。漢字は4世紀以降に伝来した中国の文字です。中国語とは異なり、日本語は膠着語であり、格や数などによって語尾が変わります。このため、ひらがなやカタカナと言った音節文字が作られました。ひらがなは主に活用などの語尾変化を表し、片仮名は主に外来語に使います。

漢字[編集]

詳細は日本語/非母語話者むけ/漢字を参照

日本語の書記体系は中国の表音文字(漢字(かんじ)、中国語では汉字 hanzi)に由来します。一般的に中国の伝統字に似ています。漢字は中国に由来しますが、その用法は日本語文法で規定されています。各文字は文脈に応じて複数の読みがあります。

漢字は4万から8万字あると見積もられています;しかし現代日本語で広く使われているのはごくわずかです。教育を受けた日本人であれば、一般的に2,000から4,000字読めます。日本語の読み書きができるようになるには、内閣が定めたおよそ2,000字の常用漢字を頑張って覚えなければなりません。

ひらがなとカタカナ[編集]

詳細は日本語/非母語話者むけ/かなを参照

仮名(かな)という音節文字は紀元後900年ごろに漢字を簡略化して発展し、ひらがな(平仮名)と直線的なカタカナ(片仮名)が誕生しました。ひらがなは曲線的で、カタカナは角ばっていて直線的です。空海(774から835年、弘法大師とも)という、真言宗を開いた有名な僧侶も貢献したといわれています。

ひらがなとカタカナはほぼ完全に表音的です―英語のアルファベットよりも表音的です。ですが、どちらもアルファベットというよりもむしろ表音文字と言われます。というのも、どの文字も子音が1つだけの音節を完全に表しているからです(最近追加されました)(詳細は発音をご参照ください)。日本語の音節表は五十音(ごじゅうおん)といわれます。というのも、5列10行だからです。しかし、現在は使われない音があるため、五十音表には空白があります。現代日本語ではかなが46文字ずつあります。

実用面では、ひらがなはたとえば、(おく)仮名(がな)(動詞や形容詞のw:活用の語尾)や、助詞(じょし)助動詞(じょどうし)、漢字で書けない(または、漢字表記が一般に知られていない)語、()仮名(がな)などに使います。カタカナはたとえば、外来語、オノマトペ、強調する語句(英語におけるイタリック体)、そして動植物や鉱物の名称など学問的・技術的用語に使います。

目次

脚注[編集]

  1. ^ 「食べる」(「『食う』と『食べる』の違いは何か?)