暴行罪
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このページでは暴行罪について解説する。
暴行概念
[編集]- 最広義の暴行
- 広義の暴行
- 狭義の暴行
- 不法な有形力が人の身体に対して加えられる場合。暴行罪(→刑法第208条)。
- 最狭義の暴行
暴行罪
[編集]- 暴行とは
- 人の身体に加えられる不法な有形力
- 暴行の故意
- 「有形力を加える」か「有形力を加え致傷させる(傷害罪の故意)」かを問わない。
- 「違法・不法な」有形力の行使であることを要するか?
- (判例)要しない。
- 傷害致死被告事件(東京高裁判決昭和31年11月28日)
- 加持祈祷を業とする者が病気平癒のため病気により衰弱した女性の身体に対し強圧強拒を加え遂に死に至らしめた所為は業務上過失致死罪か傷害致死罪か
- 加持祈祷を業とする者が、病気により衰弱した女性の身体に対し、強圧、強扼を加える所為は、たとえ、病気平癒の目的に出でたものであつても、客観的には違法な有形力の行使であつて刑法上の暴行に該当し、その者に暴行の認識ありと認められるから、よつて死に致さしめた場合には傷害致死罪の成立を免かれない。
- 被告人に暴行の事実の認識がありながら迷信のためにこれを有効な治療行為だと誤信したのは「違法性の錯誤」なので故意を阻却しない。
- 傷害致死被告事件(東京高裁判決昭和31年11月28日)
- (批判)違法性の認識に欠けるので、「暴行・傷害」の故意はなく、過失傷害と評価すべき[2]。
- (判例)要しない。
- 暴行の既遂
- 未遂は処罰されないが、既遂時期として有形力が実際に身体に接触することを必要とするか?
- 接触不要説 - 判例・通説
- 不要とする。暴行罪を、一種の危険犯と認識する。基本的には妥当であるが、危険が行為者の主観において認識・認容されていたことは要する。
- 判例:
- 暴力を振るう勢いで追いかけてきたので、慌てて逃げ転倒し打撲傷を負った。(暴行を認定し傷害罪とした 最高裁判決昭和25年11月09日)
- 狭い四畳半の室内で被害者を脅かすために日本刀の抜き身を数回振り廻した。(暴行 最高裁決定昭和39年01月28日)
- 判例:
- 不要とする。暴行罪を、一種の危険犯と認識する。基本的には妥当であるが、危険が行為者の主観において認識・認容されていたことは要する。
- 接触必要説 - 学説による批判各種
- 暴行は結果犯であって、有形力が身体に接触したことが結果となる。危険の発生とするのは文理上妥当ではないし、可罰対象行為の拡大となる。
- 少なくとも、命中の具体的危険性の発生は必要。
- 少なくとも、傷害の具体的危険性の発生は必要。
- 接触不要説 - 判例・通説
- 傷害の発生
- 暴行の結果、傷害にいたった場合、暴行罪は傷害罪に吸収される(法条競合)。