民法第424条の8

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権

条文[編集]

(詐害行為の取消しの範囲)

第424条の8
  1. 債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求するこ とができる。
  2. 債権者が第424条の6第1項後段又は第2項後段の規定により価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。

解説[編集]

  1. 2017年改正により新設。なお、債権者代位権についても第423条の2において同趣旨の規定が定められている。
  2. 債権者が請求できる取消しの範囲は、債権の額に限定されることを定めた。判例(大判明治36年12月7日民録9輯1339頁,大判大正9年12月24日民録26輯2024頁等)で確立された法理を法文化したもの。
  3. 例示として、AはBに対して2000万円の貸金債権を有しているところ、BはCに唯一の資産である国債[1](3000万円相当)を廉価で譲渡し、ほぼ資力がなくなった時、AはBの資産保全のため、当該廉価譲渡を取り消しうるが、その場合、全額ではなく、保有する2000万円に相当する譲渡に対してのみ取消しを請求できることとなる。
  4. 一方、反対解釈及び判例(最判昭和30年10月11日民集9巻11号1626頁)としては、被代位権利の目的が不可分である場合は、自己の債権の額を超えて取消権を行使することができることとなる。上記の例で、BがCに対して譲渡したものが3000万円相当の不動産である場合、これは行為として分割不能なので、譲渡行為全体に対して取消請求できる。
  5. なお抵当権の付着した不動産の譲渡については、譲渡不動産の価額から抵当債権額を引いた額が取り消しの上限範囲となる(大判昭和7年6月3日民集11巻1163頁)が、抵当権設定登記が残っている場合には,詐害行為の全部を取り消しても、抵当権付きのままの原状を回復することができることから、詐害行為の全部が取り消されうるとるるのが判例である(最判昭和54年1月25日民集33巻1号12頁)。
  6. 中間試案においては、債務者の全体財産保全の観点から、「債権者は、詐害行為取消権を行使する場合において、その詐害行為の全部の取消しを請求することができるものとする。この場合において、その詐害行為によって逸出した財産又は消滅した権利の価額が被保全債権の額を超えるときは,債権者は,その詐害行為以外の債務者の行為の取消 しを請求することができないものとする。」とされていたが、判例が維持された。

参照条文[編集]

判例[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 例示として株式としたかったところだが(非公開株式等廉価売買の対象となりやすい)、価値の変動要素が大きく可分の例としては不適当で誤解を生ずるおそれがあるため、ここでは国債とする。当然、株式譲渡も可分であるので、適当な評価の下、取消しうる部分とそうでない部分が分けられる。

前条:
民法第424条の7
(被告及び訴訟告知)
民法
第3編 債権

第1章 総則
第2節 債権の効力

第3款 詐害行為取消権
次条:
民法第424条の9
(債権者への支払又は引渡し)


このページ「民法第424条の8」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。