民法第520条の2
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法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
条文
[編集](指図証券の譲渡)
- 第520条の2
- 指図証券の譲渡は、その証券に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、その効力を生じない。
改正経緯
[編集]2017年改正にて新設。
改正前、「指図債権」として以下の条項を定め取り扱われていたものについては、有価証券である「指図証券」として概念することとし、譲渡の裏書は対抗要件ではなく効力要件となった。
(指図債権の譲渡の対抗要件)
- 第469条
- 指図債権の譲渡は、その証書に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
解説
[編集]指図証券の譲渡は、「裏書」及び「証券の交付」が効力要件である。
- 次の場合を考える。譲渡人G1が指図債権をG2とG3に二重譲渡した。このうちG1はG2に債権譲渡したことを債務者Sに通知したが、G3に債権譲渡したことは通知せず、G3は、「Sが債務を負担する」という文句のあるG1の裏書きのある指図証券を所持している。履行期にG3が証券を呈示して弁済を請求し、G2も履行を催告した。Sはどうすればよいか。
- 事例の場合G2への指図債権の債権譲渡は無効である。
裏書の効力は権利移転的効力・資格授与的効力・担保的効力があるが、改正民法には資格授与的効力(第520条の4)が定められている。ただし残り二つは解釈上認められる(はずである)。資格授与的効力は裏書の連続により所持人に証券上の権利があることが法律上の推定を受けることをいう。
- 次の場合を考える。裏書が連続していない証券の所持人がその証券を呈示して債務者が「不連続の裏書に資格授与的効力がない」ことを理由に弁済を拒絶した。
- この場合所持人は裏書の実質的な連続を立証すれば債務者に債務の履行を求めることができる。
- 次の場合を考える。Sが債務を負担する証券がGに裏書きされた。しかしGは紛失してしまい、Iが所持しており裏書人欄にはG・Hによる裏書の連続があった。Gは証券を呈示しなければSからの弁済を受けることができない。そこでGは証券の紛失を主張して指図債権譲渡の事実を否定しIに証券の返還を請求した。
- この場合資格授与的効力があるのでIはGへの返還義務を負わない。ただしGはIがHが無権利者であったことを知っていたか知らなかったことについて重過失があったことを立証すれば返還してもらえる。
参照条文
[編集]判例
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