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民法第615条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文

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(賃借人の通知義務)

第615条
賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

解説

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賃借人は返還義務を負っているため、その結果、善管注意義務を負っている(第400条)。通常の保管義務を負う者は修繕をする義務まで負っている一方、賃貸借においては修繕の義務は賃貸人が負担することを本則としているために通常は賃借人には修繕の義務はない。しかしながら、賃借物が修繕を要する場合において、放置することで破損する危惧がある時に善管注意義務を負っている者は、自ら修繕をしないまでも、修繕を賃貸人に対処を促すことで義務を全うする。そのため、賃借人は、遅滞なく賃貸人に通知するものとしている。
賃借人は、賃借物の利用という自己の利益のために、本条の規定がなくても賃貸人に対処を促すことが通例ではあるが、修繕によって賃借人は一時的に利用できなくなるのを避けるため、賃借人が通知を怠ったため、あるいは、賃貸借が終了間際で修繕が必ずしも賃貸人の利益にならないと判断したために修繕を促さないこともありえる。このような場合で、修繕を怠ったため、賃借物に破損が生じた場合には、賃借人は賃貸人に対し損害賠償の責任を負う。
善管注意義務者として、もし、賃借物に関して権利を主張する者がある場合、同様に遅滞なく賃貸人に通知するものとしている。
賃借人は賃借物を占有しているため、その目的物(賃借物)について権利を主張する場合、賃貸人のもとへではなく賃貸人のもとに向かうことも稀ではない。この場合、賃借人が権利の主張者と議論したところで賃借人は賃貸人の権利について知悉しているわけではないので、賃貸人自らの利益を十分に保護することはできない。特に、訴訟にあたっては占有訴権以外の根拠で賃借人が自ら当事者となって訴訟に参加することはできない。こうして、十分な対処ができないために賃貸人の権利に回復のできない損害を与える可能性もないではない。そのため、この場合においても、遅滞なく賃貸人に通知し、相当の処置ができるようにするのが善管注意義務者としての当然の義務であるとする。

参照条文

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判例

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参考文献

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前条:
民法第614条
(賃料の支払時期)
民法
第3編 債権

第2章 契約

第7節 賃貸借
次条:
民法第616条
(賃借人による使用及び収益)
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