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相続税法第1条の3

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

条文

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(相続税の納税義務者)

第1条の3
次の各号のいずれかに掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
一 相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した次に掲げる者であつて、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
イ 一時居住者でない個人
ロ 一時居住者である個人(当該相続又は遺贈に係る被相続人(遺贈をした者を含む。以下同じ。)が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)
二 相続又は遺贈により財産を取得した次に掲げる者であつて、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの
イ 日本国籍を有する個人であつて次に掲げるもの
(1)当該相続又は遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがあるもの
(2)当該相続又は遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれの時においてもこの法律の施行地に住所を有していたことがないもの(当該相続又は遺贈に係る被相続人が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)
ロ 日本国籍を有しない個人(当該相続又は遺贈に係る被相続人が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)
三 相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの(第1号に掲げる者を除く。)
四 相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの(第2号に掲げる者を除く。)
五 贈与(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により第21条の9第3項の規定の適用を受ける財産を取得した個人(前各号に掲げる者を除く。)
2 所得税法(昭和40年法律第33号)第137条の2(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)又は第137条の3(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定の適用がある場合における前項第1号ロ又は第2号イ(1)若しくはロの規定の適用については、次に定めるところによる。
一 所得税法第137条の2第1項(同条第2項の規定により適用する場合を含む。次条第2項第1号において同じ。)の規定の適用を受ける個人が死亡した場合には、当該個人の死亡に係る相続税の前項第1号ロ又は第2号イ(2)若しくはロの規定の適用については、当該個人は、当該個人の死亡に係る相続の開始前十年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたものとみなす。
二 所得税法第137条の3第1項(同条第3項の規定により適用する場合を含む。以下この号及び次条第2項第2号において同じ。)の規定の適用を受ける者から同法第137条の3第1項の規定の適用に係る贈与により財産を取得した者(以下この号において「受贈者」という。)が死亡した場合には、当該受贈者の死亡に係る相続税の前項第1号ロ又は第2号イ(2)若しくはロの規定の適用については、当該受贈者は、当該受贈者の死亡に係る相続の開始前10年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたものとみなす。ただし、当該受贈者が同条第1項の規定の適用に係る贈与前10年以内のいずれの時においてもこの法律の施行地に住所を有していたことがない場合は、この限りでない。
三 所得税法第137条の3第2項(同条第3項の規定により適用する場合を含む。以下この号及び次条第2項第3号において同じ。)の規定の適用を受ける相続人(包括受遺者を含む。以下この号及び次条第2項第3号において同じ。)が死亡(以下この号において「二次相続」という。)をした場合には、当該二次相続に係る相続税の前項第1号ロ又は第2号イ(2)若しくはロの規定の適用については、当該相続人は、当該二次相続の開始前10年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたものとみなす。ただし、当該相続人が所得税法第137条の3第2項の規定の適用に係る相続の開始前10年以内のいずれの時においてもこの法律の施行地に住所を有していたことがない場合は、この限りでない。
3 第1項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 一時居住者相続開始の時において在留資格(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第一(在留資格)の上欄の在留資格をいう。次号及び次条第3項において同じ。)を有する者であつて当該相続の開始前15年以内においてこの法律の施行地に住所を有していた期間の合計が10年以下であるものをいう。
二 外国人被相続人相続開始の時において、在留資格を有し、かつ、この法律の施行地に住所を有していた当該相続に係る被相続人をいう。
三 非居住被相続人相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有していなかつた当該相続に係る被相続人であつて、当該相続の開始前10年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがあるもののうちそのいずれの時においても日本国籍を有していなかつたもの又は当該相続の開始前10年以内のいずれの時においてもこの法律の施行地に住所を有していたことがないものをいう。
(平成15年3月31日法律第8号本条追加[1]、平成25年3月法律第5号改正[2]、平成27年3月法律第9号第2項追加[3]、平成28年3月法律第15号改正[4]、平成29年3月法律第4号第1・2項改正・第3項追加[5]、平成30年3月31日法律第7号第2・3項改正[6]、令和3年3月31日法律第11号第1・3項改正[7]

改正前

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平成15年3月31日法律第8号

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(相続税の納税義務者)

第1条の3
次の各号のいずれかに掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
一 相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
二 相続又は遺贈により財産を取得した日本国籍を有する個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの(当該個人又は当該相続若しくは遺贈に係る被相続人(遺贈をした者を含む。以下同じ。)が当該相続又は遺贈に係る相続の開始前5年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがある場合に限る。)
三 相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの(前号に掲げる者を除く。)
四 贈与(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により第21条の9第3項の規定の適用を受ける財産を取得した個人(前3号に掲げる者を除く。)

解説

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本条は、相続税納税義務者について規定している。

居住無制限納税義務者(1項1号)

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本条1項1号は居住無制限納税義務者について規定している。

すなわち、相続または遺贈により財産を取得した次に掲げる者で、当該財産を取得した時において日本に住所を有するものを居住無制限納税義務者とし、その者が相続または遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。

  1. 一時居住者でない個人
  2. 一時居住者である個人(当該相続または遺贈に係る被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除く。)

非居住無制限納税義務者(1項2号)

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本条1項2号は非居住無制限納税義務者について規定している。

すなわち、相続または遺贈により財産を取得した次に掲げる者で、当該財産を取得した時において日本に住所を有しないものを非居住無制限納税義務者とし、その者が相続または遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。

  1. 日本国籍を有する個人であって次に掲げるもの
    1. 当該相続または遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれかの時において日本に住所を有していたことがあるもの
    2. 当該相続または遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれの時においても日本に住所を有していたことがないもの(当該相続または遺贈に係る被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除く。)
  2. 日本国籍を有しない個人(当該相続または遺贈に係る被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除く。)

居住制限納税義務者(1項3号)

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本条1項3号は居住制限納税義務者について規定している。

すなわち、居住無制限納税義務者に該当しない者のうち、相続または遺贈により日本にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時において日本に住所を有するものを居住制限納税義務者とし、その者が相続または遺贈により取得した財産で日本にあるものに対し、相続税を課する。

非居住制限納税義務者(1項4号)

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本条1項4号は非居住制限納税義務者について規定している。

すなわち、非居住無制限納税義務者に該当しない者のうち、相続または遺贈により日本にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時において日本に住所を有するものを非居住制限納税義務者とし、その者が相続または遺贈により取得した財産で日本にあるものに対し、相続税を課する。

個人

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本法に規定する「個人」とは、自然人をいう[8]

相続は個人対個人で行われる財産の移転であるが、遺贈や死因贈与の場合は個人以外の者に財産が移転する場合がある。そのため、個人以外の者に財産を移転させて相続税を回避させないために、相続税法基本通達1の3・1の4共-2において人格のない社団等・持分の定めのない法人などについては個人とみなす旨を規定している[8]

参照条文

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脚注

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  1. ^ 法律第八号(平一五・三・三一)”. 衆議院. 2024年12月15日閲覧。
  2. ^ 法律第五号(平二五・三・三〇)”. 衆議院. 2024年12月15日閲覧。
  3. ^ 法律第九号(平二七・三・三一)”. 衆議院. 2024年12月15日閲覧。
  4. ^ 法律第十五号(平二八・三・三一)”. 衆議院. 2024年12月15日閲覧。
  5. ^ 法律第四号(平二九・三・三一)”. 衆議院. 2024年12月15日閲覧。
  6. ^ 法律第七号(平三〇・三・三一)”. 衆議院. 2024年12月15日閲覧。
  7. ^ 法律第十一号(令三・三・三一)”. 衆議院. 2024年12月15日閲覧。
  8. ^ 8.0 8.1 第1条の3《相続税の納税義務者》及び第1条の4《贈与税の納税義務者》共通関係”. 国税庁. 2024年12月15日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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