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食と掩蔽

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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(しょく)は天文学において天体が別の天体により隠されることである。有名なものは日食月食で日常でもよく耳にすることは多い。本項目では食について詳しく解説する。

日食

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3種類の日食。左から部分日食、金環日食、皆既日食である。画像の言語はスペイン語。Aは月の中心、Bは太陽の中心であり、A≠Bのとき部分日食、A=Bで太陽視直径>月視直径のとき金環日食、太陽視直径<月視直径のとき皆既日食であると説明する。

太陽が月により隠される現象を日食(にっしょく)という。日食には3種類あり、一部だけ隠れた部分日食(ぶぶんにっしょく)、完全に全部隠れた皆既日食(かいきにっしょく)、月が太陽より小さく見える時に月が完全に中に入り、輪っかがみえる金環日食(きんかんにっしょく)がある。

日食は太陽と月の大きさ、地球との距離により起こる珍しい現象である。ふつうは天体と天体の距離、大きさの比が異なるため、輪っかが見えるような食はないが、太陽地球間の距離と月地球間の距離の比と、太陽の大きさと月の大きさの比が偶然同じなのである。つまり、太陽地球間の距離dS、月地球間の距離dM、太陽半径RS、月半径RMとすると、

となる。

アポロ12号で撮影された日食のときに見られたダイヤモンドリング。

日食のうち、特に皆既日食では月にあるクレーターによって一部だけ太陽の光が来ることにより、宝石のように見えることがある。これをダイヤモンドリングと言われる。

月食

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2015年9月28日に観測された月食。

月が地球の影に入り、起こる食現象を月食という。月食も日食と同様に、部分月食(ぶぶんげっしょく)、皆既月食(かいきげっしょく)がある。金環月食というものはない。

ふつう、皆既月食のときは、月が赤く見える。これは太陽光に含まれる光の波長のうち、短い方(可視光線では紫側)が散乱して、赤い方はそのまま月へ向かうため、赤く見えるのである。

食と掩蔽の厳密な分類

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食は天体が別の天体により隠される現象であると上述したが、厳密に言えばこれは誤りである。国立天文台が管理する暦wikiにある図をみていただけると分かりやすいが、食は影に入ることで生じる現象を指す。そのため、月食がこれに該当するが、日食は月が太陽を隠しているだけで影によるものではないため、厳密には食とは言わないが、慣用的に食と言われている。そして、厳密には掩蔽(えんぺい)と言われる。

掩蔽は天体が別の天体を隠す現象で、隠す天体をA、隠される天体をBとすると、「AによるBの掩蔽」と普通言われる。例えば月が金星を隠す時は月による金星の掩蔽という。なお、このように月が惑星を隠す時は、普通惑星食(わくせいしょく)、または星食(せいしょく)ということも多い。

日食は掩蔽に該当すると前述したが、実はこれは皆既日食のときだけである。そもそも、掩蔽は普通、完全に隠す現象を指すので、部分日食や金環日食ではこれに該当しない。このように、天体がそれより手前の天体により一部が隠される現象を通過という。高性能な望遠鏡を使わない限り、地球からは太陽の前を通過する現象しか観測できないので、太陽面通過が一般的である。

日食や月食が珍しい理由

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日食は昼に見られるので新月のとき、月食は夜に見られるので満月の時に見られるが、新月のとき、毎回日食が起こるわけでもなく、満月のとき、毎回月食が起こるわけでもない。地球と月は公転面が5°傾いているので、一直線になることが少ないのである。

また、日食と月食を比較すると月食の方が比較的観測は多い。しかし、実際には日食の方が起こりやすい。これは日食は場所が限定されるのに対し、月食は広範囲で見えるからである。