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高等学校情報/社会と情報/情報社会の権利と法

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

知的財産権

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※ 『中学校技術/情報通信ネットワークと情報モラル』に、知的財産権や著作権や産業財産権などについての説明があります。

人間が書いた文章や、人間が作った音楽、さらには人間が考えて作った工業製品、人間が作ったコンピュータソフトウェアなど、人間が考えて公表したアイデアはすべて知的財産(ちてき ざいさん)です。

法律では、その知的財産を考えた人の権利を、知的財産権として守っています。


知的財産権は、発明などにかかわる産業財産権(さんぎょう ざいさんけん)と、小説や音楽や絵画などにかかわる著作権(ちょさくけん)とに分かれます。

著作権と産業財産権

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産業財産権は、特許庁に出願して登録を認められる必要がある。

商標権や意匠権、特許権、実用新案権が、産業財産権である。

  • 商標権(しょうひょうけん) ・・・ ブランド名やロゴマークなどの権利。
  • 意匠権(いしょうけん) ・・・ 工業製品の形や模様などのデザインの権利。
  • 特許権(とっきょけん) ・・・ たとえば液晶に関する発明や、リチウムイオン電池に関する発明など、発明のうち高度なものについて与えられる、独占的な権利。最長で20年間、与えられる。
  • 実用新案権(じつよう しんあんけん) ・・・ 製品の形状や構造などの発明についての権利。


なお、過去の特許や意匠権などをインターネット上で調べたい場合は、独立行政法人工業所有権情報・研修館のwebサイトで調べられる。

関連する法律
特許;特許について日本では、特許法によって、特許権について定められている。
実用新案権
実用新案権については、日本では実用新案法によって定められている。
商標権
商標権については、日本では商標法によって定められている。
意匠権
意匠権については、日本では意匠法(いしょうほう)によって定められている。
また、不正競争防止法の「形態模倣規制」にも意匠権について定められている。

立体商標のように、商標法と不正競争防止法の複数の法令で保護している場合もある。

著作権

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著作権の対象は、おもに小説、音楽、絵画、映画などであり、書籍や新聞、書籍、音楽や絵画などでの作品などが対象だが、コンピュータのソフトウェアも著作物に含まれる。

※ (範囲外: ) つまり、「1600年 関ヶ原の合戦」「2017年1月5日、天気は晴れ。」のように単なる出来事を記録したものは、著作権の保護対象にはならない。著作権で保護されるためには、思想や感情を表現する事が必要である。なので、単なる出来事やデータの記述は、著作権の保護対象にならない。

たとえ幼児の描いた絵画であっても、あるいはアマチュア作曲家の作曲した曲でも、著作権での保護対象になる。著作権法で要求される芸術性あるいは創作性とは、作家が芸術性や創作を目指したものであれば充分であり、けっして技巧のうまさは要求しない。けっして、その作品の価値が、えらい肩書きをもった芸術家に認められなくても、あるいは美大や音大や芸大の教授に作品価値を認められなくても、誰かが小説や絵画をつくりさえすれば、その作品は著作権の保護対象物である。

つまり、プロかアマチュアかに関係なく、芸術性・創作性のある著作物をつくれば、著作権の保護対象になる。著作者が、大人か子供かにも関係なく、芸術性・創作性のあるのある作品を作りさえすれば、著作権の保護対象になる。

つまり、ある著作物が、著作権法で保護されるためには、その著作物が、思想や感情を(小説や絵画などの)創作的手法で表現したものである事が必要である。だが、その思想や感情そのものの創作性は、いっさい要求されない。つまり、すでに充分に知られた思想であっても、それを(小説や絵画などの)創作的手法で表現さえしていれば、著作権法での保護に値する。


著作権は、その著作物を創作した時点で権利が発生し、その創作者自身が著作者となり、創作者自身が著作権者になる。

著作権法により、著作権についての決まりが定められている。

著作権の保護期間は、日本では、原則として、公表後から著作者の死後70年まで、である。ただし映画は、公表後から著作者の死後70年まで、である。

(※ 範囲外 : 映画の著作者) 「映画の著作者とは誰か?」というのは、法律でも不明確である。映画の監督なのか、主要なスポンサー企業なのか、脚本家なのか、原作小説があれば原作者なのか、いったい誰が著作権者なのだろうか。映画の著作権の有効期間の計算では、誰に合わせるべきか。また、制作会社の企業を仮に法人(ほうじん)、つまり法律上の人として考えた場合、企業は人間と違って、寿命が無い。このような問題もあってか、映画の著作権の有効期間の計算では、その映画の初公開を基準に計算する。
※ 著作権法では、実は「映画」とは何か、細かい定義は無い。なので、映画館で見ないビデオ作品やビデオ録画映像やテレビ番組などは、はたして「映画」に入るのかどうか、実は、なやみどころであるようだ。とはいえ、判例や国際的な著作権動向などにより、市販されてるビデオ作品などは、たいてい「映画」と見なされるようである。たとえば参考文献『現代法入門』(三省堂)では、テレビの報道番組は、映画の著作物と見なされる、と紹介している。

また、著作権の一部は、財産的な権利であると見なされるので、他人に譲渡できるし、著作者の死後には相続もできる。

  • 著作者人格権
    • 公表権  — 著作物を公開するかどうかを、著作者自身が決める権利。
    • 氏名保持権  — 公開するさいに自分の氏名を公表するかを、著作者自身が決める権利。また、公開するさいに自分の名称(氏名やペンネームなど)をどう表記するかを決める権利。
    • 同一性保持権  — 著作物を許可なく改変されない権利。
  • 著作権
  • 著作隣接権
    • たとえば、音楽作品のレコード製作者やCD製作者などの、著作物を伝達する仕事の人にも、著作隣接権(ちょさく りんせつけん)という権利がある。
    • このため、たとえばベートーベンやバッハなどの、中世や近世のクラシック音楽を、現代の人が演奏したCDやレコードなどは、たとえ作曲家がずっと昔に死んで著作権が切れていても、現代のCD製作者の著作隣接権は切れてないし、そのCDに演奏を提供した演奏者の著作隣接権もまだ切れていないのが普通なので、クラシックCDであっても、決してCD製作者などの権利者に無許可ではインターネット上に公開してはいけない。
  • 複製権(ふくせいけん)  — 著作物を、著者などの権利者に無断で複製されない権利。
  • 上演権・演奏権・上映権  — 著作物を無断で上演・演奏・上映されない権利。
  • 口述権(こうじゅつけん)・展示権(てんじけん)  — 著作物を無断で口述したり展示したりされない権利。
  • 頒布権(はんぷけん)  — 著作物が映画の場合の権利で、著作物(映画)を無断で譲ったり貸したりされない権利。
  • 翻訳権(ほんやくけん)・翻案権(ほんあんけん)  — 無断で翻訳、加工、編曲などされない権利。
  • 譲渡権(じょうとけん)・貸与権(たいよけん)  — 無断で譲ったり貸与されたりしない権利。

著作権について

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著作権

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人間が作った文章や、人間が作った音楽や歌詞、人間が描いた絵やアニメーション、人間が撮影した写真やテレビ映像や映画などの動画には、すべて著作権(ちょさくけん)があり、勝手に他人が公開してはいけません。 著作権法(ちょさくけんほう)という法律によって、著作権のありかたが決められています。

なお、著作権についての国際条約としてベルヌ条約があり、日本国もベルヌ条約に加盟しています。なので、日本の著作権は、ベルヌ条約などの著作権に関する国際条約に、なるべく整合性をもつようになっています。

さて、著作権は、その作品を最初に作った人に、権利があります。なので、たとえ他人が作った作品を書き写したりしても、著作権は最初に作った人にあるままです。

※ 著作権は、登録を必要としません。たとえ、なにかの機関(たとえば「著作権保護団体」のような団体名を名乗る機関)に作品を登録しなくても、作品を創作さえすれば、著作権は発生します。(※ 検定教科書の範囲内。たとえば、数研出版『情報の科学』に、そのような記述あり。)

さて、たとえ お金を出してお店で買ったイラスト集や音楽CDや映画DVDなどでも、著作権のため、けっしてインターネットなどで公開してはいけません。

イラスト集や音楽CDなどを買ったときに購入品とともに付いてくる権利は、単に、その作品を自分が見てもいいという権利と、自分の家族などがその作品を見てもいいという権利だけなので、インターネットの第三者には勝手に作品を公開してはいけません。


著作権のある物を、著作者以外が許可なく利用することは、法律できびしく罰せられる場合があります。


インターネット上でデジタル化された文章や音楽や映像にも、著作権があります。

また、大人や子どもの区別なく、作品をつくれば、その作品についての著作者になります。たとえば、中学生でも、何か作品を作って発表すれば、作った作品についての著作権をもちます。


なお、写真を撮影した場合は、撮影した人のもつ著作権とは別に、撮影された被写体の人に肖像権(しょうぞうけん)があります。


  • 範囲外
※ じっさいには、衣服など工業製品の形にも、その形を考えた人の権利( 意匠権(いしょうけん)など )があったりする場合があるのだが、かといって衣服を撮影できないと裸を撮影するハメになってしまうので、慣習では、衣服の場合は例外的に、人物の写真などを公開するという目的なら、インターネットにも公開しても良いという慣習になっている。
また、他人の作品を公開するかどうかの有無にかかわらず、他人がつくった作品を「自分が作りました」という行為は、法律で罰せられる場合がある。
※ 著作権は、作家のアイデアを直接には保護しません。(※ 参考文献: 有斐閣『知的財産権概論』、紋谷暢男、2012年第3版) 具体例を考えてみましょう、たとえば、アメリカのあるアニメ会社が「ネズミを主人公にしたアニメをつくったら面白いんじゃないか?」と思ったとして、そのアメリカの会社が実際にそういうアニメを作ったとしましょう。それに対して、数年後に日本のあるマンガ家が、「動物を主人公にしたマンガを書いたら面白いんじゃないか? そうだ、ライオンを主人公にしたマンガを書こう。」とか思って、そういうマンガを書いたとしましょう。一切、その日本のマンガ家の作品は、著作権を侵害したことになりません。

※ 発明家のアイデアを保護する制度は、特許権や実用新案権の制度です。著作権は、アイデアを保護しません。 ※ (絵画を描いたり、作曲するなりして、)作品を創作すれば、たとえ、その作品に大したアイデアが無くても、著作権によって保護されます。つまり、アイデアと著作性とは、切り離されています。 ※ ある著作物が、「著作権法によって保護される」には、要件として思想や感情が必要ですが、しかし、その思想や感情のアイデアの利用権は、著作権法では保護しません。 ※ ただし、間接的には、不正競争防止法などによって、商品のアイデアが守られる可能性があります。 (※ 不正競争防止法については、情報科の検定教科書の範囲外。記述が見当たらない。ただし、公民科目の「政治経済」や「現代社会」のほうで、ひょっとしたら紹介されてる可能性はあるかも?) 芸術作品だって、それを販売したり商用利用すれば、りっぱな商品でしょう。不正競争防止法により、他社商品と類似しすぎている商品は、規制されます。この規制は、いわゆる「コピー商品」を規制する目的です。たとい模倣品が、完全に同じコピーでなくても、ほとんど同じ機能・形態なら、実質的なコピー商品だろうと見なされ、不正競争防止法などにより規制されます。不正競争防止法による「コピー商品」排除の保護期間は、元ネタの商品の販売開始日から3年間です。

その他の権利

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自分の顔や すがた には肖像権(しょうぞうけん)があり、この肖像権によって、顔写真など(自分を特定できる写真)が無断で撮影されるのを拒否できたり、無断で似顔絵などを書かれるのを拒否できる。

肖像権は著作権ではない。また、肖像権についての法律による定めがない。 しかし、日本では、判例などによって肖像権が認められている。

引用や二次利用

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引用のさいのルール

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文章で書かれた書籍などの文章作品は、必要最低限かつ評論や紹介などの正当な目的ならば、著作者の許可がなくても自分の作品の一部に組み入れて発表できます。

このような、他人の著作物を自分の著作物にとりこむ行為を引用(いんよう)といいます。

引用のさいには、つぎのルールを守る必要があります。

  • もとの著作物の題名(出典)および著作者の名称、出版社などを明示すること。
  • 引用された文章は、かぎ括弧(『』や「」など)を付けるなどして、引用された部分を、自分の著作した部分と区別できるようにすること。
  • あくまで自分の文章が中心で、その中で紹介・批評するために必要な分だけ取り込んでいること。
  • 改変を行わない。ただし、文意を損なわないのであれば「(中略)」「(後略)」などで一部を省略してもよい。
  • 未発表の著作の引用はできない。

絵画や写真も先ほどのルールを守れば引用することが出来ます[1]。誤解されがちですが、歌詞もルールを守れば引用は可能です[2]。ただし、絵画や写真、映画はもちろん、楽曲や歌詞などの芸術作品は普通の文章に比べてどこまでが必要かの判断が難しいので、気になる場合には著作権に詳しい人に相談した方がよいでしょう。なお、授業での発表など学校内の活動の場合、出典の明記などのルールを守れば、まず大丈夫です[3]

また、芸術作品の場合、引用そのものは適切であったとしても公開方法によってはその他の権利を侵している場合もあります。もし著作権などの権利を侵しているかもしれないと思うのならば、書籍や新聞などの文章だけを引用するのが安全でしょう。

そして、著作権法の範囲ではありませんが、以下の点にも気をつけましょう。自由研究をする場合や大学に入学してからは特に気を付けてください。

  • 他人が先に発表した研究成果を、あたかも自分が先に発見したかのように主張しない。
他人の研究業績を盗む行為であるため、研究者たちの業界からは追放されるおそれが有ります。また、場合によっては、不正競争防止法(ふせいきょうそう ぼうしほう)などに違反する可能性もありうるかもしれない。
研究業界では、盗作・盗用・剽窃(ひょうせつ)などといった用語が、他人が先に発表した研究成果を、あたかも自分が先に発見したかのように主張した者への批判の意味で使われることもあります。
  • 他人が先に発表した研究成果を紹介する場合には、誤解を招かない形で他人の発見であることを明記する。
  • 先行研究者や団体名が不明な場合は、それらの成果を紹介しない。どうしても必要であれば「研究者は不明」などと明記した上で、「なになにという研究成果がある。」と紹介するにとどめる。

出典の表示のしかた

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  • 書籍から引用する場合  — 最低でも、著者名、その出版物のタイトル、出版社名、出版年、引用ページ番号、を書くこと(こうした情報を書誌情報という)。
  • ウェブサイトから引用する場合  — 最低でも、タイトル、URL、確認した年月日、を書くこと(引用後にページ内容が変更される場合があるので、ページをいつ確認したかを表示する必要がある)。
  • 新聞から引用する場合  — 記事タイトル、新聞紙名、出版年月日、朝刊/夕刊、版、発行地域、該当ページを表示する[4]

※ 範囲外: 「無断引用」という用語について

たまに作家や出版者などが、発表した著作物に「無断引用を禁止します。」などの一文を掲載していることがあるが、法律的にも慣習的にも著作者に引用の可否を決める権利はない。

そもそも引用は、出典の明記や最低限の範囲の使用、改変をしないなどの条件を満たしているかぎり、著作権者に無断で行うことが法律的にも倫理的にも認められている。そして、ルールを順守した掲載行為のことを引用というのである。だから、「無断引用」という言葉自体が不正確である。ルールを守らず、他人の著作物を自分の著作であるかのようにいつわる行為は「盗作」「剽窃(ひょうせつ)」などという言葉がある。

では、なぜ引用は無断でもかまわないのだろうか。一般的な考えでは「言論の自由」を確保する目的のためであるとされる。もし、政治などで無断の引用を禁止するような慣行がある場合、権力者が自分たちに不都合な批判に対して「引用の許可を与えない」などと主張して、言論弾圧をすることも可能になってしまう。そのため、「引用を認めません」などと主張する人物がいるのなら、その人の主張は公正な検証を拒否しているとも言える。

なお、類似の言葉に無断転載という言葉がある。これは、著作者に連絡・許可を得ずに別の媒体(論文・レポート・雑誌・ホームページなど)に著作をコピーして掲載することである。これは著作権法第21条と第23条に違反するとされる、明確な違法行為である。

「無断引用」という言葉は、明確な違法行為である「無断転載」と混同して生まれたのではないかと考えられる。

著作物の二次利用の許可

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自由利用マーク
※ 情報Iでも「自由利用マーク」を習う(たとえば数研出版『情報I』)。

著作者が自分の著作物を、他の利用者も自由に利用してもいいと認める場合には、その意志を表示するためのマークがあります。

たとえば、文化庁のさだめた「自由利用マーク」があります。もし、文化庁の「自由利用マーク」を実際に利用する場合には、文化庁のホームページに細かい決まりが書いてあるので、それを確認してください。


  • 自由利用マーク
自由利用マーク

日本では、文化庁が「自由利用マーク」を定めており、このマークによって、著者が他人に、その著作物をコピーなどしていい事を意思表示できる。(※ 中学校の検定教科書でも、「自由利用マーク」が紹介されている。)

しかし、この「自由利用マーク」は日本国内でしか流行ってないマークであり、国際的には普及していない。

※ クリエイティブ・コモンズについては「情報I」の範囲内。科目「社会と情報」の範囲外だった。科目「情報の科学」にてクリエイティブ・コモンズについて習っていた。


フリーウェア、フリーコンテンツの著作権

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インターネット上では、著者みずからが無料で公開してるコンテンツ(小説、絵画、音楽などの作品)や、無料で使わせてくれるソフトウェアなどがあります。

このような、無料のソフトウェアを「フリーウェア」「フリーソフト」といいます。また、このような無料コンテンツを「無料ソフト」「無料コンテンツ」などといいます。

これら無料のソフトウェアやコンテンツは、一般に、著作者は著作権を放棄していません。

ユーザが無料で出来ることは、あくまで、ユーザが個人で利用する範囲内です。そのため、商業利用する場合には何らかの許可をとる必要がある場合もあります。また、あたかも自分の著作物であるかのようにいつわることは著作権の侵害にあたります。

発展: 著作権法はアイディアを保護しない

著作権法では、アイディアは保護されないのです。著作権法とは、文章や絵画・映像や音楽などの具体的な表現の成果物の権利を守る法律であり、けっして、そのアイディアを保護しないのです。


  • マンガを例に考えよう

たとえば、マンガの著作権の例なら、たとえば『サザエさん』の設定をまねて、昭和の時代に東京に住む一家の日常をコメディ調に描いたマンガを発表したとしても、著作権法では、きっと合法でしょう。なぜなら、昭和の時代を描くこと自体には著作権による規制はないからです(もしそうだとしたら、誰も昭和時代を描いた著作物を創作できなくなってしまう。もしそうだとしたら(『サザエさん』以降のマンガ家が昭和の時代の日常をコメディ調に描くこと自体に著作権による規制があるとしたら)『ちびまこちゃん』すらも著作権侵害になってしまう)。また、東京に住む一家の日常をマンガで描くことも、著作権では、きっと合法でしょう(主人公が東京都の住人のマンガや小説、映画の一覧はw:東京を舞台とした漫画・アニメ作品一覧を参照)。 『サザエさん』の原作者の長谷川町子の画風をまねて、自分で形状を新しく考えたキャラクターを描くことにすら、著作権は保護しません(画風に著作権など、ない)。

しかし、もし具体的なサザエやカツオなどのデザインを真似たり、カツオやワカメなどの個々の人物の性格や言動などを真似たりすれば、裁判所に訴えられたときに著作権侵害としての判決を受ける確率が、ぐっと高まるでしょう。

また、画風を『ちびまるこちゃん』風または『アンパンマン』風などにしてサザエやカツオたちのような風貌と性格の人物を描いたり、その人物を主人公にしてマンガやアニメを発表することは、たとえ画風が『サザエさん』風でなくても、裁判所に訴えられたときに著作権侵害としての判決を受ける可能性が、高いかもしれません。

このように、著作権法では、アイディアは保護されません。著作権法で保護されるのは、具体的な表現だけなのです。(実際の著作権裁判では、アイディアと表現の境界が複雑な場合もあります[要出典]が、本項ではおいておきます。)

ファイル共有ソフトと著作権侵害とウイルス

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ファイル共有ソフトを導入したコンピュータどうしのネットワークでは、有料のソフトウェアや有料の動画や音楽などのコンテンツなどを不正コピーしたファイルが、無料で出回っていることがある。

このような、不正コピーは、著作権侵害行為であり、違法行為である。

ファイル共有ソフト自体は、単にコンピュータどうしの送受信の手段のソフトであり、著作権侵害ではないし、違法ソフトでもない。しかし、ファイル共有ソフトのネットワークでは、ウイルスも多く出回っており、しかも、それらのウイルスが、アイコンを動画ファイルや音楽ファイルなどのアイコンに偽装している場合もある。

※ 一般のネットワークと異なり、ファイル共有のネットワークには管理者などが居ないので、ウイルスなどが放置されやすい。

このような危険性もあるので、ファイル共有ソフトは、あまり用いないほうが安全である。


クリエイティブ コモンズ

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ソフトウェアでは、Linux(リナックス)のようなオープンソースがある。著作物にも、著者みずからが無料でコピーや配布や改良を許可した著作物がある。

このように、すでにある著作物をもとに、正規にコピーや配布や改良をすることを、一般に「二次利用」(にじ りよう)などという。

  • クリエイティブ・コモンズ
表示 表示
(Attribution,
アトリビューション)
著作権者の氏名や作品名などの表示をすれば、利用を認める。
非営利 非営利
(Noncommercial,略称:NC
ノン コマーシャル)
非営利目的での利用に限る。
改変禁止 改変禁止
(No Derivative Works,略称:ND
ノー デリバティブ ワークス)
改変を禁止する。
継承 継承
(Share Alike,略称:SA
シェア アライク)
改変してもいいが、改変のさいは、
元になった作品と同じ利用条件を継承させなければならない。

※ 情報Iの範囲。(※ 第一学習社、東京書籍)

国際的には、クリエイティブ・コモンズというマークが、著者による二次利用の意思表示を示すマークとして、普及している。


これらのマークで著者じしんがコピーや配布をOKと意志表示している場合、その著作物をコピーして配布しても、著作権法の違反にはならない。

コピーや配布のさいの条件などをつけている場合があるので、条件を確認してから、二次利用すること。


その他の情報モラル

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※ 資料集の範囲

書店などで、書籍の中身を撮影するのは犯罪です。(※ 数研出版の『情報モラル 14th Edition』に書いてある。)

いわゆる「デジタル万引き」です。


発展: 論文における先行研究の調査と著作権

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高校生の皆さんは大学に入学する人も少なくないだろう。場合によっては大学院まで進学するかもしれない。大学以上ではレポートや論文を書くことが多くなる。その際に気を付けるべきことをここで紹介したい。

まず、論文を書くさいには研究成果の盗用の禁止、すなわち「他人の先行研究を、あたかも自分が最初に発見したかのように紹介してはいけない」というルールがある。これは研究の世界では厳しく運用されており、先進国各国の教育行政もそれを容認している。

もし「他人の先行研究を、あたかも自分が最初に発見したかのように紹介してはいけない」というルールにある学生が違反した場合、最悪の場合、その学生はその大学を退学させられる処分になる可能性すらある。また、文部科学省などの教育行政も、そういう論文不正者への退学処分を容認している。それほどまでに、このルールは厳格に運用されている。

しかし、そのことと、著作権法とは別です。

しばしば、大学教員のなかには、この厳格な論文ルールの根拠を勘違いして、「著作権法の根拠によるもの」だという勘違いをしている人が、時々います。

しかし、そうではないのです。著作権法とは無関係に、大学制度の教育行政の慣習として、適用されているルールなのです。

裏をかえすと、この論文ルールを、論文以外の発表の場所で要求することもまた、著作権法に反している行為でしょう。たとえば「豚が、ぶった。」「布団が、ふっとんだ。」という、よくあるダジャレを発表するさいに、いちいち「誰が発明者か? 先行研究者か?」とか、紹介する義務はないし、そのダジャレを聞いた相手がそのダジャレの発明者を勘違いしてもダジャレ発言者に責任はないし、もしダジャレ発表にそんな先行者紹介の義務(?)とやらを要求してきたり裁判を起こす人がいたら、きっと裁判官には違法な要求だと判断されるでしょう。

しばしば、大学教員のなかには、厳格な論文ルールの根拠を「著作権法によるもの」だと勘違いして、論文発表以外(あるいは学術書以外)の出版物でも、そのルールを要求してくる人がいます。しかし、著作権法では、先行研究者紹介の義務などは、ありません。

  • 先行研究は、どこまで調べるべきか?

よく、大学の論文指導で「先行研究を調べろ。」と指導される。他人の過去の研究を調べるのは必要だが、現実には、過去のすべての関連研究は調べられない。

例えばJAXAの研究者ですら、講談社ブルーバックス文庫 『小惑星探査機「はやぶさ」の超技術―プロジェクト立ち上げから帰還までの全記録 (ブルーバックス)』 などの書籍で、先行研究を調べ尽くすのは無理だと主張している。

よって、論文などを書く際における先行研究の調査は、自分の調べられるかぎりで調べ、関連性の高そうな先行研究だけを論文では紹介すればいい。

先に述べた研究の「盗用」(「他人の先行研究を、あたかも自分が最初に発見したかのように紹介してはいけない」)の心配については、意図的に他人の先行研究を隠すようなことをせず、自分の参考にした先行研究をすべて紹介すれば問題は生じない。

もちろん、自分の研究に自分の知らなかった先行研究が見つかったら(もしくは、教えてもらったら)、自分の今後の論文やインターネットの自分のホームページなどで、先行研究を紹介する内容の訂正を追加すればいい。

また、先行研究が見つかりづらい分野とは、そもそも、まだ、その理論がまだまだ分かりづらいなどの理由により、実用化が不十分なために、先行研究が見つかりづらいわけです。だから、少なくとも、あなたの研究しようとしている分野においては、その先行研究の実用化が不十分なわけで、先行研究が見つかりづらいワケですから、まだ実用化の不十分な理論を、実際に実用化させようとするための実験や計算もまた、研究対象になります。

脚註

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  1. ^ 論文・レポートを書くために|レポート作成にあたって|学習のアドバイス|air U(エアー・ユー)学習ガイド”. guide.air-u.kyoto-art.ac.jp. 京都芸術大学. 2022年7月22日閲覧。
  2. ^ どこまでならOK? ウェブサイトにおける歌詞の掲載~JASRACと京都大学の式辞に関する論争を契機に~”. 骨董通り法律事務所 For the Arts. 2022年7月22日閲覧。
  3. ^ テンプレート:PDFlink”. 文化庁著作権課. p. 6 (2021年3月26日). 2022年7月22日閲覧。
  4. ^ テンプレート:PDFlink”. 近畿大学中央図書館レファレンス課 (2022年5月1日). 2022年7月22日閲覧。 “④-1 新聞記事(紙の新聞);記事タイトル.新聞紙名.出版年月日,朝刊/夕刊,版, 該当ページ.
    セブン&アイ巨額買収に見る流通の未来.日本経済新聞.2020-08-04, 朝刊,p.4.”