高等学校数学II/いろいろな関数

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本項は高等学校数学IIの式といろいろな関数の解説である。

三角関数[編集]

復習[編集]

180°までの三角比については、数学Iで既に習っている。

180°まででは、下記のように定義した。


xy 座標平面上に、原点を中心にして半径 1 の円を取る。P(x, y) を円上の点とする。このとき、Pとx軸の成す角をaとすると、
である。


一般角[編集]

General angle of trigonometric functions japanese.svg
Negative general angle.svg

数学IIでは、三角比を定義を 180° 以上にも拡張する。

右図のように、定点Oを中心として回転する半直線 OP を考える。 なお、このときの回転する半直線のことを「動径」(どうけい)という。

また、x軸の正の向きを、角度の基準にして、半直線OXを角度の基準とする。この基準となるOXのことを「始線」(しせん)という。

そして、動径の回転した角度を考え、時計まわりとは反対方向を、角度の正負の基準にする。

つまり、動径が時計回りをした場合、回転した角度は負である。

動径が反時計回りをした場合、回転した角度は正である。


さて、360°以上回転をした場合も、数学IIでは必要に応じて扱う。

負の角度や360°以上回転する角度も考えに入れた角のことを 一般角 (いっぱんかく)という。


象限[編集]

Quadrant japanese.svg

xy座標で第1象限(しょうげん)から第4象限までの位置を、図のように定義する。

位置と象限の番号の対応の覚え方は、x軸の正方向を基準に、反時計周り(左回り)に番号が大きくなっていくと覚えればいい。

Quadrant and xy.svg

それぞれの象限と、X、Yの値との関係は、左図のとおり。


一般角をつくる動径OPが原点Oのまわりを回転をする場合、一般角とそれぞれの象限の位置関係の例は、図のようになる。

Quadrant and general angle japanese.svg


公式[編集]

このとき、

が成り立つ。実際、180°足されたときPは、Q(-x, -y) に移動し、Q を表す角がa + 180°で表されるからである。

  • 問題例
    • 問題
  •  ::
    を計算せよ。
    • 解答
    角θに対応する点を P(x, y) とする。このとき、角 θ + 90°に対応する点を P'(x', y') とすると、この点の座標は、P'(-y, x) に対応する。このことから、P'について sin, cos を計算すると、
    が得られる。
    同様にして、90°- θ に対応する点を P' '(x' ', y' ') とすると、
    となる。よって、
    が得られる。

三角関数のグラフ[編集]

sin と cos のグラフ[編集]

Sin and cos general angle introduction.svg

角θの動径と単位円との交点を P(x,y) とすると、右の図のように

sinθ=y、  cosθ=y

となる。

このことを利用して関数

y=sinθ、 および y=cosθ

のグラフを書くことができる。

Y=sin(theta).svg
Y=cos(theta).svg


cos θ のグラフは sin θ のグラフを θ軸方向に だけ平行移動したものである。

y= cos θ や y= sin θ の形をした曲線のことを 正弦曲線 (せいげんきょくせん)という。


tan のグラフ[編集]

Tangent function introduction.svg

右図のように 、角 θ の動径と単位円との交点をPとして、 直線OPと 直線x=1 との交点を T とすると、 Tの座標は

T (1, tan θ)

になる。

このことを利用して、 y=tan θ のグラフをかくことができる。


y=tan θ のグラフは、下図のようになる。
Y=tan(x).svg

y=tan θ のグラフでは、θの値が に近づいていくと、 直線 に限りなく近づいていく。

このように、曲線がある直線に限り無く近づいていくとき、近づかれる直線のほうを 漸近線 (ぜんきんせん)という。

同様に考え、次の直線も y=tanθ の漸近線である。

は y=tanθ の漸近線である。


一般に、

直線   (nは整数)

はy=tanθのグラフの漸近線である。


周期関数[編集]

sin(θ+2π)=sinθ 、 cos(θ+2π)=cosθ

というふうに、これらの関数は 2π ごとに同じ形が繰り返される。

また、tanθも

tan(θ+π)=tanθ

というふうに、 π ごとに同じ形が繰り返される。


一般に関数 f(x)について、ゼロでない定数pが存在してすべてのxに対して

f(x+p) = f(x)

を満たすときに、pを 周期 (しゅうき)といい、また、このような関数f(x)のことを「pを周期とする周期関数」のように言う。


pが関数f(x)の周期の場合には、2p や 3p や -p も関数f(x)の周期になるが、ふつう「周期」といえば正の周期のうちで最小のものを指す。


この「周期」や「周期関数」という用語を使って sinθ や cosθ や tanθ を説明するなら、

関数 y=sinθ は周期を2πとする周期関数である。
関数 y=cosθ は周期を2πとする周期関数である。
関数 y=tanθ は周期をπとする周期関数である。

のように言える。

単に、

sinθ の周期は 2π である。
cosθ の周期は 2π である。
tanθ の周期は π である。

と言う場合もある。

偶関数と奇関数[編集]

cosθのグラフは、y軸に関して対称である。

三角関数でなくても、 y = x2 や y = x2+1 のように、y軸に関して関数のグラフの対称な関数は存在する。

これらの関数では、

cos(-θ) = cosθ
(-x)2 = x2
(-x)2+1 = x2+1

のような関係式が成り立っている。


関数 f(x) が、任意のxに対して

f(-x) = f(x)

を満たす場合、その関数 f(x) は 偶関数 (ぐうかんすう)であるという。


一方、sin θ や y = x2 や y = x2+1 のグラフは、原点に関して対称である。

関数 f(x) が、任意のxに対して

f(-x) = -f(x)

を満たす場合、その関数 f(x) は 奇関数 (きかんすう)であるという。

sinθ は奇関数である。

y=xは奇関数である。


例題

tanθは偶関数かそれとも奇関数か調べよ。

(解法)

f(θ)=tanθ として、f(-θ)を調べればいい。

なので、よって tanθは奇関数である。


問題

y=4x は奇関数であるか、偶関数であるかを調べよ。

いろいろな三角関数[編集]

Y=sin(theta-pi div 3).svg

関数 のグラフは、のグラフを θ軸方向に だけ平行移動させたものになり、周期は である。(平行移動しても、周期は変わらず、sinθと同じく周期は のままである。)



Y=2sin(theta).svg

関数 y=2sin θ のグラフの形は y=sin θ をy軸方向に2倍に拡大したもので、周期は y=sin θ と同じく 2π である。

ー1 ≦ sin θ ≦ 1  なので、

値域は  ー2 ≦ 2sin θ ≦ 2  である。



Y=sin(2 theta) and y=sin(theta).svg


関数 y=sin2θ のグラフはy軸を基準にθ軸方向に 倍に縮小したものになっている。

したがって、周期も 倍になっており、y=sinθ の周期は だから、y=sin2θ の周期は である。


基本的な性質[編集]

sin と cos は似た性質を持つ。実際、

が成り立つ。これは、点 (x, y) を原点を中心にして 90°回転させると、(y, -x) となることによる。

図のように、sin, cos はそれぞれ 360°、tan は 180°を周期とした周期関数である。

  • 問題例
    • 問題
    (i)  sin 2θ
    (ii)  sin 4θ
    (iii)  sin (3θ+60°)
    (iv) tan 2θ
    の周期 をそれぞれ答えよ。
    • 解答
    それぞれについて、θ→θ+aa は何らかの実数)の置き換えを行い、得られる値が元の値と等しくなるようにa の値を求めればよい。
    (i)については、
    となるが、これはa = 180°×nn は整数)のときに、
    となって元に戻ることが分かる。
    結局、この場合は 180°周期で変化することが分かる。
    より一般的には、同じ計算を行うことで sin bθ (b は実数) は、360°/ b の周期を持つことが分かる。
    (ii) 上の話から 360°/ 4 = 90°の周期を持つことが分かる。
    (iii)  sin (3θ+ 60°) は、θ' = θ+ 20°と置き換えると、sin 3θ' と表すことが出来るが、これは sin のグラフでいえば、原点を右に 20°だけ動かしたことに相当する。原点を動かすことはグラフの形を変えないので、sin (3θ+ 60°) の周期は、sin 3θ' の周期と等しく、360°/ 3 = 120°となる。
    (iv)  tan 2θ についても(i)のときと同じような議論が出来る。ただし、tan θ の周期は 180°であるので、tan bθ (b は実数)に対する周期は、180°/ b となる。よって、tan 2θ の周期は、180°/ 2 = 90°となる。

加法定理[編集]

三角関数の加法定理(かほうていり)

が成り立つ。

加法定理の導出[編集]

加法定理の幾何的導出も参照)

a の表す点をA (cos a , sin a ) 、角(a+b)の表す点をM (cos (a +b ), sin (a +b ) ) とおく。このとき

となる。またこのとき、AとMのなす角はb であり、AとMはx軸から見て全体にa だけ回転しているので、 は、ベクトル (cos b , sin b ) から、(1, 0) をひいたもの((cos b - 1, sin b ))を、角a だけ時計回りに回転したものに等しい。

回転した後のベクトルが回転行列を用いて、

となることを用いると、

となる。特にこのベクトルのy成分を取ると、

したがって

となり示された。

また、上式に対し aa + π/ 2 と置き換えると

より、

が得られる。

  • 問題例
    • 問題
    を計算せよ。また、その結果を用いて、
    を計算せよ。
    • 解答
    三角関数の加法定理を用いると、
    が得られる。
    一方、これらの最後の2式
    に対し、xx / 2 の置き換えをすると、
    が得られる。
    • 問題
    三角関数の加法定理を用いて、sin 75°、cos 75°を計算せよ。
    また、その値を用いて、sin 15°、sin 165°を計算せよ。
    • 解答
    75°= 45°+ 30°となることに注目すると、加法定理を適用して、
    が得られる。同様に cos 75° についても計算を行うと、
    が得られる。
    さらに、
    を用いると、
    が得られる。

加法定理

に対し b → -b と置き換えると

が得られる。

更に

が成り立つ。この式に対し b → -b と置き換えると

を得る。一方、

に対し ba と置き換えると

より

が成り立つ。

さらに

が成り立つ。

今までの定理をまとめると、次のようになる。

三角関数の加法定理
2倍角の公式
半角の公式

和積公式と積和公式[編集]

三角関数の加法定理を用いると、三角関数の和積公式(わせきこうしき)、および積和公式(せきわこうしき)が得られる。それぞれ

積和公式
和積公式

となる。

導出
積和公式の最初の式の右辺に、三角関数の加法定理を用いると、
が得られる。
他の積和公式も同様に右辺に加法定理を適用することで示される。
また、積和公式の最初の式
に、x → (x +y )/ 2, y → (x -y )/ 2 の置き換えをすると
より
となり、和積公式の一番上の式が得られる。
残った和積公式の式も同様に積和公式のそれぞれの式に対し x → (x +y )/ 2, y → (x -y )/ 2 と置き換えることで得られる。

三角関数の合成[編集]

三角関数の和

において、a = b = 0 でないとき、

となるようなαを -π < α ≤ π の範囲にただ1つとることができ、このαを用いて次のような変形ができる。

  • 問題例
    • 問題
    の形に変形せよ。
    • 解答
    より

弧度法[編集]

ラジアン[編集]

角度を測るために、これまでは専ら「°」(度、degree)を用いてきた。ラジアン(radian, 記号:rad)は国際単位系(SI)における角度の単位である。弧度(こど)ともいい、平面角の大きさをラジアンで測ることを弧度法(こどほう)という。

1radian japanese.svg

径 1 の扇形において弧の長さが 1 のときの中心角を 1 rad、同様に弧の長さがθのときの中心角をθ radと定義する。この定義より 180° =π rad、360° = 2π rad 、さらに

となる。また弧度法の単位(rad)はしばしば省略される。

弧度法を用いると、三角関数の微積分を考える際に便利である。(このことは数学IIIで学ぶ)

扇形の弧の長さと面積[編集]

扇形の半径をr 、弧度法で定義された角度をθとするとき、弧の長さl と面積S

と表せる。

三角関数の基本公式[編集]

  • 周期性(n は整数)
  • 偶関数、奇関数
  • 問題例
    • 問題
    (i)
    (ii)
    (iii)
    の値を求めよ。
    • 解答
    (i)
    (ii)
    (iii)


楽器の音と三角関数
※ 東京書籍、啓林館の教科書の章末に、関連する記述あり。

音も波の一種なので、三角関数で表現できる。

オシロスコープで おんさ の音を測定すると、正弦波に近い波形が観測される。

しかし、実際の楽器の音は、正弦波とは違う。オシロスコープでギターやバイオリンなどの楽器の音を測定すると、正弦波でない波形が繰り返されている。

これら実際の楽器の音の波形は、周期の異なる複数個の正弦波を重ね合わせた波形になっている。

(※ 範囲外 :) 大学などで習うフーリエ解析で、このような正弦波でない波形の解析について詳しく習う。三角関数以外の周期的な関数を、三角関数を介して表現する手法が知られている(※ 実教出版の章冒頭コラムに紹介あり)。


数学者オイラー
オイラー(Euler)
※ 啓林館の教科書の教科書の冒頭に、関連する記述あり。

高校の範囲では紹介しきれないが、虚数単位 と三角関数をあわせて使うことで、  (e=2.7188 で、「自然対数の底(てい)」という)となることが発見されており、発見者の数学者オイラーの名前を冠して「オイラーの関係式」と言われている。


指数関数と対数関数[編集]

指数法則については、数学Iで すでに学んだ。

指数の拡張[編集]

累乗根[編集]

a が実数のときで、n が2以上の正の整数のとき、 n 乗して a になる数、すなわち

となるx のことを、an 乗根という。a の2乗根、3乗根、4乗根、......を総称して、a累乗根という。

平方根は2乗根である。なお、3乗根のことを立方根(りっぽうこん)ともいう。

この章の学習では、最終的に n を正の整数だけでなく、実数にまで拡張していくが、とりあえず学習当初の当面は n を整数で考えておこう。

2の4乗は16である。ー2の4乗も16である。よって、16の4乗根は 2 と ー2 である。

単に「n乗根」といった場合、係数に負の数がつくのを除外しないことに注意。


さて、nが奇数の場合のn乗根について、考えてみる。

(ー2)を3乗しても、8にはならず、ー2 の3乗は ー8である。

(ー3)を3乗しても、27にはならず、ー3 の3乗は ー27である。


このように、負の実数の奇数n乗は、かならず、負の数になる。


なので、8の3乗根には、負の数は ふくまれず、8の3乗根は 2だけである。

同様に、27の3乗根は、正の3だけである。

このように、nを奇数の自然数としたとき、実数 a のn乗根 は1通りである。


(I)  23 = 8 であるから、8の3乗根は2。
(II)  34 = (-3)4 = 81 であるから、81の4乗根は ± 3。


an 乗根 x について考える。

Radical root graph odd japanese.svg

(1)  n が奇数のとき、実数 a のn乗根 はただ1つであり、これを で表す。


Radical root graph evev japanese.svg

(2)  n が偶数のとき、正の実数aのn乗根は、正と負の2つの数がある。

負のほうは で表す。正の方は 、で表す。

a < 0 のとき、実数の範囲では an 乗根はない。

n が偶数か奇数かにかかわらず、0のn乗根は0なので、

である。

(I)  x4 = 3 であるとき、
(II)  x6 = -16 を満たすx はない。

特に2乗根 と書く。

  • 問題例
    • 問題
    次の値を求めよ。
     (i)  
     (ii)  
     (iii)  
     (iv)  
    • 解答
     (i)  
     (ii)  
     (iii)  
     (iv)  


累乗根の性質

a > 0 のとき、xn = a の解は であるから、

また


累乗根の公式

a > 0, b > 0 で、m, n, p が正の整数のとき

1  


2  


3  
4  
5  


  • 計算例
    (i)  
    (ii)  
    (iii)  

指数の拡張[編集]

有理数を指数とする場合[編集]

有理数を指数とする累乗を、次のように定義する。

有理数の指数

実数 a に対し、2つの正の整数mとnがあるとした場合、



これは、指数が有理数の場合にも、指数法則が成り立つように定義したのである。実際、次が成り立つ。

指数法則

a > 0, b > 0 で、p, q が有理数のとき

  1.  
  2.  
  3.  
  4.  
  5.  

たとえば、x1/3 は、3乗すると x1 = x に等しいので、x の3乗根 に等しい。

また、x0 については

と考えることが出来る。よって、0以外の全ての実数x に対して、

が成り立つ。

  • 問題例
    • 問題
    それぞれの計算を行い、式を簡単化せよ。
    (i)
    (ii)
    (iii)
    (iv)
    (v)
    (vi)
    (vii)
    • 解答
    (i)
    (ii)
    (iii)
    (iv)
    (v)
    (vi)
    (vii)

指数法則1に、r = 3, s = -3 を代入すれば

ゆえに

指数法則2に、r = 2/3, s = 3 を代入すれば

となるから、a2/3a2 の3乗根ということになる。つまり、

指数法則1に、r = -2/3, s = 2/3 を代入すれば

ゆえに

指数の拡張

a > 0 で、m, n が正の整数のとき

指数が無理数の場合[編集]

たとえば の場合、 これは、 であるが、

,   ,   ,   ,   , ・・・

を考えると、その項は一定値 4.72880 ・・・ に近づくので、その値を と定める。


このようにして、累乗の指数が無理数の場合にも定義を拡張することで、指数を実数にまで拡張できる。また、実数の場合も上述の指数法則が成り立つ。

指数関数[編集]

指数関数のグラフ[編集]

Exponential function y = 2^x.svg

実数aを a>0 で a≠1 とするとき、 で表される関数のことを「 aを(てい)とする指数関数」のようにいう。

※ 指数関数の底aには、1の場合をふくめない。なぜなら、1は何乗しても1のままなので、もし1を底とする指数関数のグラフを書いてもy=1のグラフと同じになる。これは、数学的につまらない上に、他の底の指数関数とは大きく性質が異なり、例外扱いしなければならなくなる。ゆえに、ここではaに1をふくめないことにする。

さて、指数関数の例として、たとえば、

があげられる。

指数関数 のグラフを右に示す。指数関数ははきわめて速く増加する関数であることが分かる。


Exponential function y=2^-x.svg

次に のグラフを書いてみよう。結果は、右のグラフの実線のようになる。

さきほどのグラフと比較すると分かるように、y軸を対称軸として、 のグラフと のグラフは対称になっている。

一般に、 のグラフは、y軸に関して のグラフと対称である。


また、

a>1 のとき、グラフの形は右上がりである( と同様)。

いっぽう、

a<1 のとき、グラフの形は右上がりである( と同様)。

なお、グラフの傾きをみれば分かるように、指数関数のグラフは、一次関数や二次関数のグラフと比べると、急激に増加または急激に減少していく。

  • 問題

指数法則を用いて指数関数を簡単化せよ。

(i)  

(ii)  

解答

(i)  指数法則3
を用いて、
となる。
(ii)  1/3 = 3-1 より、
が得られる。

指数関数の性質[編集]

指数関数の値域は正の実数全体である。

また、どんな正の実数も、0乗すると1になるので、よって指数関数 のグラフは必ず点 (0,1) を通る。

対数関数[編集]

対数の定義[編集]

指数関数のグラフ
(※ 対数関数のグラフではないので、混同しないように!)

a>0, a≠1 のとき、前章で習った指数関数のグラフの形からも分かるように、

任意の正の実数Mに対して、 をみたす p はただ1つに定まる。

この p と書き

aを(てい)とするMの対数(たいすう)

という。 すなわち、

である。

なお、対数は英語で logarithm (ロガリスム)という。


指数と対数

a>0 , a≠1  の関係のとき、 M > 0 のとき、


である。この場合、2 を log2 8 = 3 乗すると、8が得られるという関係になっている。

公式

について 以下の式が成り立つ。

  1.  
  2.  
  3.  
導出
  1. の両辺について各々の式をb の指数として使ったものを計算する。
    まず log の定義にしたがうと、
    がわかる。次に、右辺についても同じことを考えてみると
    となり、左辺を用いて計算した結果と一致する。よって
    が成立する。
  2.  2つ目の式について、a1 = a であることを用いると、loga a は確かに 1 である。
  3.  同様に x0 = 1 であることを用いると(これは x0 = x1-1 = x /x = 1 であることから従う)、logx 1 = 0 であることが分かる。
  • 問題例
    • 問題
    それぞれの表式を簡単化せよ。
    (i)  
    (ii)  
    (iii)  
    (iv)  
    (v)  
    • 解答
    (i)  9 = 32 を用いると、
    (ii)
    (iii)
    (iv)
    (v)
    • 問題
    a = log10 2, b = log10 3 を用いて、
    (i)  
    (ii)  
    (iii)  
    (iv)  
    を計算せよ。
    • 解答
    (i)
    (ii)
    (iii)
    ここで、(ii)の結果を用いると、
    (iv)

対数関数とそのグラフ[編集]

Y = log 2base x.svg

対数関数を

  (a は実数)

で定義する。

このグラフの定義域(ていぎいき)は、x > 0 に限られる。これは、仮にx < 0 を考えたとすると、

つまり、

となるが、 a が正の数であることから、左辺は常に正であり、右辺がx < 0 であることと矛盾するためである[注 1]

グラフの概形を右に示す。図を見ると、この関数は非常にゆっくりと増大する関数であることが分かる。

更に、グラフの特徴として、

から、対数関数のグラフは、点 (1, 0) および 点 (a , 1) の2点を必ず通過することが分かる。


対数関数と指数関数[編集]

Y=2^x and y =log2base x.svg

右図のように、対数関数のグラフは、対応する指数関数のグラフと y=x に関して対称である。

一般に のグラフは のグラフと直線 y=x に関して対称である。


  • 問題例
    • 問題
    次の関数のグラフを描け。
    (i)  
    (ii)  
    (iii)  
    • 解答
    (i)  2点 (x , y ) = (5, 1), (1, 0) を通りy軸が漸近線になることに注意してグラフを描けばよい。
    (ii) 
    となる。したがって、2点 (x , y ) = (10, -1), (1, 0), (0, +∞) を通りy軸が漸近線になることに注意してグラフを描けばよい。
    (iii) 
    となる。(i)と同じようにグラフを描けばよい。


対数関数の性質[編集]

1.  高校で習う範囲では、対数の定義域は正の実数全体、値域は実数全体である。
2.  対数関数のグラフは点 (1, 0) および 点 (a , 1) の2点を通り、y軸が漸近線(ぜんきんせん)である。


対数の基本公式[編集]

指数法則と対数の定義とを組み合わせることにより、次の公式が導かれる。

  1.  
  2.  
  3.  
証明

( 1. の証明)
,   とおくと、 ,   であるから

よって   


( 2. 以降の証明)
※ ( 1.)の証明法と同様に右辺を指数に置きかえて計算したあとに再び対数に変形することで証明できる。(証明は省略)


追加の公式

上記の公式の特別な場合として、次の公式が成り立つ。

  1.  
  2.  


その他

次の公式が成り立つ。

 

常用対数[編集]

10を底とする対数を常用対数(じょうよう たいすう)という。1.00から9.99までの値に対する常用対数の値は常用対数表に示してある。また、近年ではコンピュータや関数電卓を用いて、対応する対数の値を知ることもできる。ただし、これらの値は計算上の制約を受けるため、盲目的にその値が正しいと考えてはならない。コンピュータ内の計算については、高等学校情報などを参照。

  • 問題例
    • 問題
    常用対数表を用いて、次の値を求めよ。
    (i)  
    (ii)  
    (iii)  
    • 解答
    (i)  
    (ii)  
    (iii)  底の変換公式より

235の桁数を常用対数を使って考えよう。

が成り立つ。各辺の常用対数をとると

すなわち

逆に、235が を満たすならば、上の計算を逆にたどって

よって、235は3桁の整数である。桁数が不明な大きな数に対して同様に常用対数をとることによって、おおよその大きさを知ることができる。

  • 問題例
    • 問題
     230 は何桁の整数か。ただし、log10 2 = 0.3010 とする。
    • 解答
    ゆえに
    よって
    したがって、230 は10桁の整数である。

コラムなど[編集]

科学と対数

自然科学で用いられる数量のなかには、対数で表現されているものもある。

たとえば、星の等級(一等星や六等星など)は、指数で明るさの等級が決められており、 等級が1下がるごとに明るさが

倍となるように定められている。これは、等級とは明るさの対数だということである(※ 東京書籍の章末コラムに関連の話題あり。)

地震のエネルギーを表すマグニチュードも、指数をつかった関係式で地震のエネルギーをEとし、地震のマグニュチュードをMとすると、

となるようにマグニチュードが定められている。(※ 啓林館の対数の章の冒頭コラムに関連の話題あり。) つまり、マグニチュードはエネルギーの対数ということである。

このほか、音の大きさをあらわすデシベル(※ 東京書籍の章末コラム)や、化学における酸性度の単位 pH (※ 啓林館の巻末コラムに話題あり。)も、対数である。 また、放射性年代測定も、残存している放射性同位体の量の対数を考えることにより可能になる。

一般に、非常に大きくなる量、または非常に小さくなる量をあらわすのに、対数を用いることが便利なのである。上記に紹介した、星の等級、地震のマグニチュード、音の大きさ、酸性度は、すべて、対数を使わないそのままでは桁(けた)が大きくなり扱いにくくなので、利便性のために対数を用いているということである。


片対数方眼紙


対数方眼紙というのがあり、右図のようになっている。


脚注[編集]

  1. ^ 大学生以上の読者への注意: x の範囲を複素数に拡張すれば上の話は必ずしも当てはまらない。ただし
    (ただしr は実数)を複素数としたときの log z の値は、
    n は整数)となるので、定義域を複素数へと拡張しても、実部は正のままである。