高等学校数学II/微分・積分の考え

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高等学校数学II > 微分・積分の考え


本項は高等学校数学IIの"微分・積分の考え"の解説です。


微分・積分の考え[編集]

平均変化率[編集]

中学校では、一次関数と変化の割合を求めただろう。ここでは、同じものを平均変化率と呼ぶことにする。一般の関数の平均変化率を考えてみたい。中学校で学習したことと同様に考えると、において、からまで変化したときの平均変化率は、「の変化量/の変化量」で求められる。つまり、である。

において、が-1から3まで変化したときの平均変化率を求める。

極限[編集]

関数において、とは異なる値をとりながら限りなくに近づくとき、が限りなくに近づくことを、とかく。

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を求める。

を、と限りなく0に近づけてみる。すると、は、と、限りなく0に近づくことがわかる。

よって、を限りなく0に近づけると、は限りなく0に近づくので、である。

次に、 を求める。

を、と、限りなく1に近づけてみると、は、と、限りなく2に近づく。

なので、である。

これは、式に値を代入する前に、式自体を約分してしまった方が簡単に計算できる。すなわち、 であり、を1とは異なる値を取りながら限りなく1に近づけるときなので、これは約分でき、である。

なので、を求めるには、を求めれば良い。

であるので、と求めることができる。


※発展 最初の例では、を、と、限りなく0に近づけたが、や、のように近づけてみてもは限りなく0に近づく。他にも、などを0に近づかせる方法はいくらでも考えられる。

もちろん、この例では、をどのように近づけたとしても極限の値は変わらない。

しかし、を、と近づけたとき、に近づくが、を、と近づけたら、に近づかない。そんな関数だってあるだろう。

なぜと、近づけただけで、極限の値を求めることが出来るのか?と疑問に思う人もいるかも知れない。

極限を厳密に定義するには、イプシロンデルタ論法を使う必要がある。しかし、高校生には少し難しいと考える人が多いので高校ではあまり教えられていない。

なので、この本では、イプシロンデルタ論法を使わず、曖昧な方法で極限を定義した。なので、上のような疑問を持った人は、その疑問について深く考えずに先に進むか、イプシロンデルタ論法を学ぶかしてほしい。

微分係数と導関数[編集]

微分係数[編集]

関数f(x)に対して、 を、f(x)の、x=aにおける極限(きょくげん)とよぶ。 の極限とは直観的には、xをaに極めて近い数にすることである。極限はたいていf(a)に一致するが、そうでない場合もある。一致する場合としてはたとえば、 となる。しかし、グラフがちぎれているような場合、f(x)の、x=aにおける極限とf(a)は必ずしも一致しない。

極限が存在しない例


関数f(x)に対して、

をf(x)のaにおける微分係数(びぶん けいすう)とよぶ。また、導関数f'(x)を、

で定義する。ここで、f'(a)は、aにおけるfの微分係数と等しくなる。これを示すには、微分係数の定義の式で、 , とおけばよい。

簡単な場合に導関数の値を求めてみる。

となる。

導関数
  •  の導関数は 
  •  の導関数は 
  •  の導関数は 
  • は定数) の導関数は 

和の導関数・差の導関数・実数倍の導関数[編集]

aを実数として、fとgを微分可能な関数とするとき

が成り立つ。


  • 問題例
    • 問題

1.
2.
をそれぞれ微分せよ。

    • 解答

1.

2. であるから

導関数の応用[編集]

接線[編集]

導関数は関数f(x)の接線の傾きに対応する。 例えば、 という量をある小さい数hについて考えると,これは、fの地点xでの傾きにおおよそ等しい。 このことからhを限りなく小さくしたとき に対応する量が得られることが期待できる。 もっとも実際にはそうでない場合もある。 仮にx = aという特別な点で、f'(a)が得られたとした場合、得られた値をf(x)のx=aにおける傾き(かたむき)とよび、 y- f(a) = f'(a) ( x - a) によって表わされる直線を f(x)のx=aにおける接線(せっせん)と呼ぶ。

関数値の増減[編集]

f'(x)は、fの傾きを表わすので、 の点では、fは増大し、 の点では、fは減少することがわかる。 もちろん簡単にf'を求める手段が無ければ、これはほぼ無意味なことであるが、実際には多くの場合少ない手順でf'を求めることが出来るので、この関係は重要になることが多い。

三次関数のグラフ[編集]

三次関数は

の形で表され、それをxで微分すると

となる。このに0を代入して

xについて解すると

となり、ここでとおく。

のとき

のときは、より増加、より傾きが0、より減少、より傾きが0、より増加となる。

逆にのときは、より減少、より傾きが0、より増加、より傾きが0、より減少となる。

  • 例、

両辺をxで微分すると

を代入するととなり、より増加、より傾きが0、より減少、より傾きが0、より増加となる。

(重解)のとき

のときは、より増加、より傾きが0、より増加となり、より増加となる。

逆にのときは、より減少、より傾きが0、より減少となり、より減少となる。

  • 例、

両辺をxで微分すると

を代入するととなり、より増加、より傾きが0、より増加となり、より増加となる。

が虚数解(実数解なし)のとき

のときは、より増加となる。

逆にのときは、より減少となる。

  • 例、

両辺をxで微分すると

を代入するとxに実数解を持たないので、より増加となる。


関数の極大・極小[編集]

を微分すると

増減表は次のようになる。

+

この関数のグラフは、を境にして増加から減少の状態に変わり、を境にして減少から増加の状態に変わる。
このとき、において極大(きょくだい)になるといい、そのときのの値極大値(きょくだいち)という。また、において極小(きょくしょう)になるといい、そのときのの値極小値(きょくしょうち)という。極大値と極小値を合わせて極値(きょくち)という。

積分の考え[編集]

不定積分[編集]

不定積分(indefinite integral)とは、微分したらその関数になる関数を求める操作である。

つまり、関数に対して、となる、関数を求める操作である。

このときを、原始関数(primitive function)と呼ぶ。

例えば、は微分すると、になるので、の原始関数である。

しかし、や、なども微分するとになるので、や、の原始関数である。

一般に、(Cは任意の定数)で表される関数は、の原始関数である。

の原始関数は一つだけではなく、無数にあるのだ。


一般に、関数の原始関数の一つとするとき、原始関数に任意の定数を足した関数の原始関数になる。

なぜなら、の原始関数である、つまり、のとき、となるからだ。

関数の原始関数の全体を、と表す。この表記法は最初は奇妙に思うだろうが、このように表記する理由は後に説明するので、今は、そのまま覚えて欲しい。

まとめると、関数の原始関数の全体は、の原始関数の一つをとして、その関数に任意の定数を足した関数で表される。つまり、

は任意の定数としたが、この任意の定数積分定数(constant of integration)と呼ぶ。

※注意 は定義にもあるように、の原始関数の全体を表している。つまり、の原始関数の一つをとするとき、の右辺は、に定数を足した関数の全体を表している。つまり、は、や、や、などの、に定数を足した関数すべてをまとめてと表している。このことがあやふやになっていると、重大な間違いを起こす可能性があるので、注意が必要である。

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簡単な場合について、関数の原始関数を求めてみる。 とすると、以前の結果から が成り立つことを考えると、 の原始関数F(x)は、

となることがわかる。同様に では、

となり、 では、

となる。

定積分[編集]

関数の原始関数の一つをとする。この原始関数に値を代入して、その値の差を求める操作を、定積分と呼び、と書く。つまり、

である。

という表記で、を代入した値からを代入した値を引く、という意味を表すことにする。このようにすると、と計算できる。

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を求める。

は、微分すると、なので、の原始関数の一つである。よってである。

も、微分すると、なので、の原始関数の一つである。よって、と求めることもできる。

  • 問題例
    • 問題

をそれぞれ積分せよ。 ただし、 ,,は任意の定数である。

    • 解答

それぞれ、

が得られる。これは、それぞれの答えの式を、xで微分すると元の式が得られることからわかる。一般に関数の和の積分はそれぞれの関数を積分したものを足し合わせたものと積分定数の範囲で一致する。詳しくは高等学校数学III 積分法を参照。

定積分と微分[編集]

aを定数とするとき、定積分はxの関数になる。
関数の原始関数の一つをとすると

この両辺をxで微分すると、は定数であるから

の導関数

定積分と面積[編集]

関数の範囲で常に正であるとする。このとき、定積分によって、関数のグラフと、直線、直線軸で囲まれた部分の面積を求めることができる。

関数のグラフと、直線、直線と、軸で囲まれた部分の面積をとすることによって、関数を定める。(とする)

関数のグラフと、直線、直線と、軸で囲まれた部分の面積を考える(とする)。これは、である。ここで、なるをとってきて、その点におけるの値を高さとする長方形の面積を考えることで、を上手にとれば、とできる。両辺をで割り、の極限を考えると、

であるが、左辺は微分の定義よりであり、であることに注意すると右辺はである。文字をからに取り換えると、結局

が得られる。つまり、の原始関数の一つであることが分かる。

よって、であるが、この式の右辺は、関数のグラフと、直線、直線と、軸で囲まれた面積である。よって、左辺は、関数のグラフと、直線、直線と、軸で囲まれた面積を表している。

歴史的には、積分は、関数のグラフで囲まれた部分の面積を求めるために考え出された。この節で述べたような微分との関連は積分自体の発明よりずっと後になって発見されたことである。

例として、 の範囲で、y = xのグラフとx軸ではさまれた部分の面積を、積分を用いて計算する。 ( 実際にはこれは三角形なので、積分を用いなくても面積を計算することが出来る。 答は となる。 ) 定積分を行なうと、

となり確かに一致する。

面積(1)

 で、  のとき、

  • 問題例
    • 問題

放物線とx軸および2直線で囲まれた部分の面積Sを求めよ。

    • 解答

この放物線はでx軸の上側にあるから、




 において、常に  であるとき、2つの曲線  に挟まれる部分の面積Sは、次の式で表される。

面積(2)

 で、  のとき、

  • 問題例
    • 問題

放物線と直線によって囲まれた部分の面積Sを求めよ。

    • 解答

放物線と直線の交点のx座標は

の範囲でより




 で、  のとき、x軸と曲線によって挟まれていると考えられるので、

となる。

面積(3)

 で、  のとき、

  • 問題例
    • 問題

放物線とx軸で囲まれた部分の面積Sを求めよ。

    • 解答

放物線とx軸の交点のx座標は

この放物線はでx軸の下側にあるから、

(発展)曲線と 軸の間の面積[編集]

曲線と 軸の間の面積

で常に のとき、曲線 軸、および2直線 で囲まれた部分の面積

  • 問題例
    • 問題

放物線 と直線 および 軸で囲まれた部分の面積Sを求めよ。

    • 解答

この放物線は で常に あるから、


物理学と微分積分
ニュートン

微分積分は、物理学でも運動方程式の計算などに応用されている。

1600年代、ニュートンなどの研究により、運動の法則を微分積分を使った式で表現できることが解明された。

なお、ニュートンは著書として『プリンピキア』をあわらし、その著書でニュートンは運動の法則が微分積分で表されることを述べ、力学(りきがく)の理論を進歩させた。


なお、微分積分を研究した同時代の数学者には、ニュートンの他にもライプニッツがいる。

演習問題[編集]