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商法第588条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法商法コンメンタール商法第2編 商行為 (コンメンタール商法)商法第588条

(運送人の被用者の不法行為責任)

第588条
  1. 前条の規定により運送品の滅失等についての運送人の損害賠償の責任が免除され、又は軽減される場合には、その責任が免除され、又は軽減される限度において、その運送品の滅失等についての運送人の被用者の荷送人又は荷受人に対する不法行為による損害賠償の責任も、免除され、又は軽減される。
  2. 前項の規定は、運送人の被用者の故意又は重大な過失によって運送品の滅失等が生じたときは、適用しない。

解説

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請負契約では一般的に仕事を完成させて目的物を引き渡しても請負人への責任追及ができなくなるわけではない。しかしそれでは運送人が運送物を荷受人に引き渡すと証拠保全が困難なまま、予期せず一部滅失や損傷があったとして責任を追及されたときに運送人の請求原因不存在の主張が認められなくなる恐れがある。そこで商法は、荷受人が運送物を受取って費用を支払う時まで(前払い特約があれば運送物受取りの時まで)に一部滅失や損傷のあることを運送人に告げなければ運送人が免責されることを定めた。

  • 引渡しの時の「悪意」とは
滅失、毀損の故意またはその隠蔽の故意とする説
商法第589条商法第566条が運送人にも準用される。566条3項の運送取扱人の「悪意」と同様に解釈すべきである。
短期消滅時効を援用できない「悪意」と588条の「悪意」とを区別していない。
一部滅失又は毀損があることを知っていたこととする説
588条で保護されない運送人とは、証拠保全をすべき運送人のことである。一部滅失又は毀損があることを知っていた運送人は将来債務不履行責任を追及されることを予測して証拠保全をすべきである。これが通説である。
(責任の特別消滅事由)第四十六条
  1. 当店の貨物の一部滅失又はき損についての責任は、荷受人が留保しないで貨物を受け取ったときは、消滅します。ただし、貨物に直ちに発見することのできないき損又は一部滅失があった場合において、貨物の引渡しの日から二週間以内に当店に対してその通知を発したときは、この限りではありません。
  2. 前項の規定は、当店に悪意があった場合には、これを適用しません。

前条:
商法第587条(運送人の不法行為責任)
商法
第2編 商行為

第8章 運送取扱営業

第2節 物品運送
次条:
商法第589条(旅客運送契約)


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