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将棋/▲7六歩/△8四歩/▲7八金

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

2手目△8四歩に対して、先手も▲7八金と左金を上がる出だし。

『高田流新戦略3手目7八金』(高田尚平、2002年、毎日コミュニケーションズ)によると、3手目▲7八金は、もともとは初手から▲7六歩△8四歩▲7八金とすれば、先手が飛先不突き、▲2七歩のままの角換わりができるのではないかという発想から生まれた指し方。

矢倉戦では飛先不突き矢倉が開発されてから大きな進歩を遂げた。その意味は、序盤に後回しにできる手は後回しにして、他に有効な手を指してリードすることと、作戦の幅が広くなることである。この思想は、やがてさまざまな戦型に波及。角換わりでも先手飛先保留型(▲2六歩で止めて、桂馬の活用を図る)、後手一手損角換わりが開発され、新たな道を歩き始めたのである。

▲7六歩に△8四歩とされたとき、一般的には▲6八銀(矢倉や振り飛車)もしくは▲2六歩(角換わり)、振り飛車にするなら飛車を移動もしくは▲5六歩と指すのが一般的であるが、▲7八金は3手目に工夫を凝らし、後々の様々な変化をにらんでいるという点で、ある意味画期的とされる。

後手には、主に二つの選択肢がある。大した得ではないと素直に飛先不突き角換わりを受けるか、それを嫌って他を選ぶかである。

この時点ではどういった戦法になるかは不明で、相手の出方によって矢倉や飛先不突型角換わり、力戦型の中飛車など、いろいろ変化するが、居飛車、振り飛車ともに指す者でないと戦略としては意味をなさない。高田の前掲書も中盤までのさまざまな展開を解説している。先手も後手の動きに呼応して、矢倉三手角や5筋位取り中飛車など、さまざまな戦型を指しこなす必要があるので、かなり大変かもしれない。

3手目▲7八金に対しては、△3四歩、△3二金、△8五歩が有力とされている。

△3四歩

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△3四歩は▲2六歩△8五歩▲2五歩△3二金で横歩取りに進む可能性が高い。この他一手損角換わり、または▲7八金を見ての陽動振り飛車の狙いもありいずれも一局。後手に矢倉を狙わせる手もあり、そうしてから先手急戦も可能性がある。

このとき横歩取りは後手が純粋な横歩取り党であれば2手目に△3四歩と指すはずであり、相手の得意戦法、矢倉や角換わりなどを外したという意味がある。

△3二金

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△3二金は公式戦で一番多く指されているとされ、▲6八銀△3四歩▲6六歩から矢倉を目指すのが多い指し方。この他に中飛車(▲5筋歩交換、▲6六銀型、▲高田流力戦型で相手の戦型は△6四歩型/△6三歩型とある)などができる。

先手矢倉に対して△3二銀・3一玉型の低い構えで仕掛ける左美濃急戦(居角左美濃)が流行しており、これならば早い△3二金のおかげで左美濃にはならず、後手の急戦策の幅が狭まっていることになる。

相手に合わせる意味でもこの手が一番自然とみられるが、ここで先手から▲2六歩、▲5六歩、▲6八銀、▲7七角という指し手に分かれる。プロの実戦では▲2六歩が多いとされる。

△3二金と上がっているので、後手も駒組みが結構難しいが、この形は先手が▲7八金を決めているマイナスも大きく、後手の勝率も高い形とされている。

△8五歩

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△8五歩には飛先不突き角換わりに合流できるが、▲7七角△3四歩にここで▲8八銀や▲6八銀いずれも、先手の作戦を角換わりに限定させる意味はある一方で先手に飛車先不突にされるのは、あまり得策とはいえない。このため角交換を避ける手段もある。その際には先手の戦型として居角型で▲3手角/▲右四間飛車/▲力戦四間飛車、さらに▲8八銀型vs△棒銀などが予想できる。

△8五歩は2016年の電王戦でもPONANZAが実戦で指している。対戦者の山崎隆之は△8五歩に▲6八銀とした。以下△3二金▲7七銀から手の順序は異なるものの△3二金の矢倉コースに合流した。

参考

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