木星

木星は太陽系で最も大きな惑星であり、太陽系から5番目に位置する第5惑星です。ガス惑星として知られ、その巨大さと特異な大気構造は天文学者たちの興味を引き続けています。

大気と内部構造

木星の中心には、鉄や岩石などからなる固体の核が存在すると考えられています。この核は、極度の圧力下で金属水素層に囲まれており、その外側にはヘリウムも豊富に含まれています。

木星の大気は主に水素とヘリウムで構成されていますが、表層近くにはアンモニアや水の氷、メタンが含まれていることが観測されています。大気は非常にダイナミックで、木星独特の雲帯や嵐が見られます。

木星の象徴ともいえる大赤斑は、直径約16,350 kmの巨大な嵐で、地球の約1.3倍の大きさに相当します。この嵐は350年以上にわたり持続しており、現在も縮小を続けていますが、その規模とエネルギーは依然として驚異的です。最新の観測では、大赤斑の収縮が進行していることが確認されています。

木星には、土星のような明瞭な環はないものの、1979年にボイジャー1号によって薄い環が発見されました。これらの環は、主に微小なケイ酸塩の粒子やダストで構成されており、木星の衛星に隕石が衝突した際に形成されたと考えられています。環は非常に薄く、反射率が低いため、肉眼や望遠鏡では観測が困難です。

詳細は「ガリレオ衛星」を参照

木星には79個以上の衛星が確認されており、その中でも特に有名なのが、ガリレオ衛星と呼ばれる4つの大型衛星（イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト）です。これらの衛星はそれぞれ独自の特徴を持っており、ガニメデは太陽系で最大の衛星、エウロパはその地下に広がる氷の海が注目されています。

木星のラグランジュ点L₄およびL₅には、木星と共に公転する小惑星群が存在し、これを木星のトロヤ群と呼びます^[1]。トロヤ群の小惑星は木星とほぼ同じ公転周期を持ち、その起源や構造は現在も研究が進められています。

木星はガス惑星であり、固体の表面を持たないため着陸探査は不可能です。これまで木星の探査はフライバイ（接近飛行）によるものが中心となっています。

1973年、パイオニア10号が初めて木星に接近しました。
1979年、ボイジャー計画により詳細な画像が撮影されました。
1995年、ガリレオ探査機が木星に到達し、長期間にわたり詳細なデータを送信しました。
現在は、ジュノー探査機が木星の磁場や内部構造、大気の動態を調査しています。ジュノーは極軌道を利用して、これまでにない詳細な観測を行っており、木星の内部や磁場の構造についての理解が進んでいます。