民法第551条
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法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
条文
[編集](贈与者の引渡義務等)
- 第551条
- 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
- 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
改正経緯
[編集]2017年改正により、以下のとおり改正。
- 見出し 改正前は「贈与者の担保責任」とされていた。
- 第1項 改正前条文は以下のとおり。
- 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
- 但し書き「贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったとき」とは故意の場合であり、過失の場合は含まないとされていた。
- 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
解説
[編集]- 無償契約である以上、債権者に対する責任が限定される。したがって、贈与の目的である物又は権利の性状が、受贈者の期待にかなわなかった場合であっても、「特定した時(債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したとき:第401条)」の状態で引渡し・移転をすれば足り、贈与者は追完の責任や不足分・瑕疵分についての損害賠償責任を負わない。
- しかしながら、負担付贈与の負担は実質的に対価的な性格を持つことから、有償契約と同様に対価的(等価的)均衡を図る。よって贈与者の給付が受贈者の負担と等価になればよく、その範囲を限定する。しかしながら、対価性の評価は単純にできるものではなく、受贈者の負担が給付に対して相当の等価性を有するのであれば、贈与によらず、第586条の交換等を経由し売買契約の法理により律する(第553条)。但し、その責任の範囲は、対価である受贈者の負担を限界とする。
参照条文
[編集]- 民法第400条(特定物の引渡しの場合の注意義務)
- 民法第483条(特定物の現状による引渡し)
- 債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。
- 民法第998条(遺贈義務者の引渡義務)
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