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行政手続法第8条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学コンメンタール行政手続法

条文

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(理由の提示)

第8条
  1. 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
  2. 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

解説

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立項趣旨

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本条の規定は、処分庁をして、判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制せしめるとともに、その処分の理由を相手方に知らせて不服の申し立てに便宜を与える趣旨に出たものである。

理由を付記させることは、単に被処分者に処分の理由を示すにとどまらず、漫然たる処分がないよう処分の公正妥当を担保する趣旨をも含む。

よって、被処分者が処分理由を推知できるか否かに関わらず、処分の性質と理由付記を命じた各法律の趣旨・目的に沿って理由付記すべきであり、これを欠く処分は取り消しを免れない。(泉 1985)

判例要旨

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理由の提示は、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分等がされたのかということを、相手方においてその記載自体から了知し得るものでなければならず、「単に根拠規定を示すだけでは、原則として不十分である。」(東京地裁 1998)(富越, 團藤 & 水谷)この判決が出る以前から最高裁は理由提示についての法理を展開していた。(泉 1985)

参照条文

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引用文献

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  • 泉, 徳治 (1985(昭和60)-06). 最高裁判決解説, 民事. 
  • 富越, 和厚; 團藤, 丈二; 水谷, 里枝子. “申請に対する拒否処分が、行政手続法八条の規定する理由提示義務に違反するとして取り消された事例”. 判例時報 (1660): 44- 48. 

判例

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  • 一般旅券発給拒否処分取消等(最高裁判例 昭和60年01月22日)旅券法13条1項、旅券法14条
  • 東京地裁 (1998(平成10)-02-27), 判決, 馬主登録申請拒否処分取消請求事件 

前条:
第7条
(申請に対する審査、応答)
行政手続法
第2章 申請に対する処分
次条:
第9条
(情報の提供)


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