アブハズ語/形容詞

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形容詞[編集]

アブハズ語の形容詞は後置修飾です。後置修飾する際は名詞側で既に属格が宣言されているため接頭辞は必要ありません。

  • аҵәа бзиа 良いリンゴ
    • аҵәа(りんご) бзиа(良い)

ただし、形容詞が述語をとる時は例外を除き絶対格が必要です。(→アブハズ語/名詞参照)

  • Ари аҵәа бзиоуп このりんごは良い。
    • 「良い」が指している「りんご」が直前にあり、人間でないため絶対格が省略されている。
  • Ари аҵәа даара ибзиоуп. このりんごはとても(даара)良い。
    • 「良い」が指している「りんご」が直前にないため、非人間絶対格 и-が付いた。

後置修飾のため、「今日は良い日だ」と言う時、日本語では「日だ」が述語にあたりますが、アブハズ語では形容詞を述語に持ってきます。

  • Иахьа амш бзиоуп. 今日(иахьа)は良い日(амш)だ。

形容詞に「とても」という表現を修飾して言いたい時は даара (とても) という単語が存在しますが、それ以上の「とても」という表現に接尾辞 -ӡаがあります。

  • Лара дыҧшӡоуп 彼女は美しい。 (а-ҧшӡа 美しい)
  • Лара даара дыҧшӡоуп. 彼女はとても美しい
  • Лара дыҧшӡаӡоуп. 彼女は極めて美しい

副詞[編集]

形容詞に -ны を付ける事で副詞を表す事ができます。

  • иҭабуп! 感謝します! (ありがとう)
  • иҭабуп идуӡӡаны! 多大に感謝します! (иҭабупよりも強い感謝を表す表現)

先述の通り、даара は弱い表現なので感謝を述べる際はあまり使われません。
アブハズ語では慣例的にидуӡӡаныという表現を用います。これはа-ду (大きい, big) という形容詞に先ほど紹介した接尾辞-ӡаがついたものです。いくつかの形容詞では強調接尾辞-ӡаが-ӡӡаに濁ります。

状態動詞[編集]

アブハズ語の辞書で状態動詞は必ず語尾が-заараで終わります。 状態動詞には2種類存在します。

形容詞から派生したもの[編集]

今迄特に何も言わずに紹介してきましたが、そもそも形容詞は名詞を修飾するだけの単語なので、述語を取るときは言語学上「状態動詞」に分類されます。

  • абзиазаара to be good.
    • ибзиоуп. それは良い。

-заара は状態動詞の不定形につく接尾辞なので、活用する時は消えます。 ただし、辞書で形容詞から派生した状態動詞は紹介されていないものが殆どを占めます。

純粋な状態動詞[編集]

使い方は今まで通りです。状態動詞の時制は アブハズ語/名詞を参照してください。

  • аҟазаара ある (自動詞)
    • Аҵәақәа ҩба иҟоуп. - 2個のリンゴがある。
    • Аҵәа ыҟоуп. - リンゴがある。

аҟазаараは絶対格にアクセントが置かれるため、目的格が非人間でかつ直前に来ていても、絶対格は省略せずに ы- を用います。

  • аҭазаара ~にいる (自動詞)
    • Ашкол дҭоуп. 彼/彼女は学校にいる。
  • ашәызаара 着ている (他動詞)[1]
    • Уара иушәыз акәымжәы ыҟоуп. あなたが着ていたコートがある。 (コート:акәымжәы)

状態動詞の中には他動詞が存在します。自動詞と他動詞の違いはアブハズ語/動詞を参照してください。

  • аҿызаара 携わる (自動詞)
    • Сара аҧсшәа аҵара саҿуп わたしはアブハズ語を勉強中です。
      • аҵара 勉強する(不定形) с-аҿы-уп.

аҿызаараは、現在進行形を迂言的に表す事ができます。正書法の規則により、саҿыупとはなりません。 → アブハズ語/音韻/異音化

参考文献[編集]

  1. ^ 柳沢民雄 "Analytic dictionary of Abkhaz" ひつじ書房、2010年