公認会計士試験/平成30年論文式/租税法/第2問問題1問1/解答解説

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※以下、単位円

当社について[編集]

業種
機械部品の製造販売
資本金
500,000,000円>1億円

受取配当等についての申告調整[編集]

A社株式(関連法人株式等)[編集]

税務上A社株式帳簿価額
95,179,250+10,000,000=105,179,250
控除負債利子[1]
15,000,000×(前期末A社株式105,179,250+当期末A社株式105,179,250)/(前期末総資産8,184,314,600+当期末総資産)=188,100
益金不算入額
2,000,00-188,100 =1,811,900(減算)

B社株式(非支配目的株式等)[編集]

300,000×20%=60,000(減算)

C社株式(外国子会社配当等)[編集]

10,500,000×95%=9,975,000(減算)

D社による自社株買いについての申告調整[編集]

D社株式(源泉所得税等についての申告調整を除く。)[編集]

取得金銭等
@1,900×2,500株=4,750,000
資本金等
200,000,000×2,500株/200,000株=2,500,000
みなし配当
4,750,000-2,500,000=2,250,000
益金不算入
2,250,000×20%=450,000(減算)

子会社の清算についての申告調整[編集]

「4.子会社の清算に関する資料」の会計処理について[編集]

11,000,000(加算)※完全支配関係があるため損益否認

減価償却についての申告調整[編集]

機械装置F(中古資産)[編集]

耐用年数
未経過年数5年+経過年数5年×20%=6年
∴償却率0.333
保証額の判定
(1)期首帳簿価額30,000,000×償却率0.333=9,990,000
(2)取得価額30,000,000×保証率0.09911=2,973,300
∴通常償却
償却限度額
期首帳簿価額30,000,000×償却率0.333×10月/12月=8,325,000
償却超過額
10,000,000-8,325,000=1,675,000(加算)

機械装置G[編集]

従前部分[編集]

保証額の判定
(1)期首帳簿価額64,000,000×償却率0.200=12,800,000
(2)取得価額150,000,000×保証率0.06552=9,828,000
∴通常償却
償却限度額
期首帳簿価額64,000,000×償却率0.200=12,800,000
償却超過額
12,800,000-12,800,000=0

資本的支出部分[編集]

保証額の判定
(1)期首帳簿価額15,000,000×償却率0.200=3,000,000
(2)取得価額15,000,000×保証率0.06552=982,800
∴通常償却
償却限度額
期首帳簿価額15,000,000×償却率0.200×10月/12月=2,500,000
償却超過額
費用処理15,000,000-2,500,000=12,500,000(加算)

パソコンH(一括償却資産)[編集]

損金算入限度額
@150,000×20台×12/36=1,000,000
限度超過額
(償却費750,000+除却損1,500,000)-1,000,000=1,250,000(加算)

ソフトウェアJ[編集]

償却限度額
取得価額5,000,000×償却率0.200=1,000,000
償却超過額
1,670,000-1,000,000=670,000(加算)

役員給与についての申告調整[編集]

専務取締役K(定期同額給与の増額改定)[編集]

改定前給与
1,000,000+渡切交際費50,000=1,050,000
改定後
1,150,000+渡切交際費50,000=1,200,000
損金不算入
(1,200,000-1,050,000)×3月=450,000(加算)

常務取締役L(使用人兼務役員でない役員)[編集]

損金不算入
(900,000-800,000)×3月=300,000(加算)

非常勤取締役M[編集]

非同族企業が非常勤役員に支給するものは,事前確定届出がいらないから,調整不要

租税公課についての申告調整[編集]

⑴について(納税充当金の当期取崩し)[編集]

(前期積立て150,000,000-当期未取崩し20,000,000)-法人税77,000,000-住民税14,500,000=38,500,000

⑵について[編集]

法人税・住民税
38,500,000+7,250,000=45,750,000(加算)
納税充当金
71,000,000(加算)
116,750,000(加算)

⑶について[編集]

4,000,000(減算)

⑷について[編集]

延滞税及び延滞金6,200+反則金30,000=36,200(加算)

源泉所得税等及び外国税についての申告調整[編集]

内国法人の配当・利息[編集]

B社株式所得税の月数按分
1カ月/12カ月<1/2 ∴簡便法
株式
A社408,400+B社45,945×1/2=431,372
その他
定期預金15,315
446,687(加算)

外国法人の配当・利息[編集]

C社株式
1,575,000(加算)
N外国債券
税額100,000<当該国所得1,000,000×35% ∴100,000(加算)
1,675,000(加算)

D社自社株買い[編集]

みなし配当2,250,000×20.42%=459,450(加算)[2]

合計[編集]

2,581,137(加算)

交際費等についての申告調整[編集]

⑴について[編集]

支出交際費
社内飲食費300,000+ゴルフプレー2,200,000+接待飲食費3,000,000=5,500,000
接待飲食費:(1)社外の者に対する接待のための飲食費であって,(2)1人当たり5,000円超
交際費等の損金不算入額
5,500,000-接待飲食費3,000,000×50%=4,000,000(加算)

⑵について[編集]

仮払交際費認定損
855,000
交際費等の損金不算入額
855,000-855,000×50%=427,500(加算)
427,500(減算)

寄附金についての申告調整[編集]

その他の調整額[編集]

前期未払寄附金認容
2,500,000(減算)
未払寄附金否認
3,000,000(加算)
500,000(加算)

支出寄附金の損金算入限度額超過額[編集]

指定寄付金
ゼロ
特定寄附金
4,700,000
一般寄附金
地域祭事1,500,000+宗教法人2,500,000=4,000,000
支出寄附金計
8,700,000
特定寄附金の損金算入限度額
{期末資本金1,005,000,000×12月/12月×3.75/1,000+(別表四の仮計450,000,000+支出計8,700,000)×6.25/100}×1/2=16,218,750
16,218,750>4,700,000 ∴4,700,000
一般寄附金の損金算入限度額
{期末資本金1,005,000,000×12月/12月×2.5/1,000+(別表四の仮計450,000,000+支出計8,700,000)×2.5/100}×1/4=3,495,000
損金不算入額
支出計8,700,000-特定限度4,700,000-一般限度3,495,000=505,000(加算)

欠損金についての申告調整[編集]

「11.欠損金に関する資料」について[編集]

当社欠損金
15,000,000
E社欠損金
支配後欠損金4,000,000+3,000,000+10,750,000+1,250,000=19,000,000
34,000,000
限度額
34,000,000<欠損控除前所得金額640,000,000×55% ∴34,000,000(減算)

法人税額の計算[編集]

所得税額控除額及び復興特別所得税額控除額[編集]

A社株式408,400+B社株式22,972+定期預金15,315+D社みなし配当459,450=906,137

外国税額控除額[編集]

N外国債券
別表四で加算した額100,000<控除限度額300,000
∴100,000

脚注[編集]

  1. ^ 基本通達3-2-5
  2. ^ 計算期間にもとづいて分配されるわけではないから期間按分不要。法人税法施行令140条の2第1項参照。
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