刑事訴訟法第248条
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条文
[編集]【起訴便宜主義】
- 第248条
- 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。
解説
[編集]- 訴追機関に訴追の裁量を認める制度を起訴便宜主義といい、日本の刑事司法はこれを採用している。一方、訴追裁量権を認めず法律上の公訴提起の要件を満たす限り必ず起訴しなければならないとする制度を起訴法定主義という。
参照条文
[編集]関連事項
[編集]判例
[編集]- 強盗(最高裁判決昭和23年10月6日)日本国憲法第14条
- 犯情の類似した犯人間の處罰の差異と憲法第14條第1項
- 犯人の處罰は、憲法第14條にいわゆる人種、信條、性別、社會的身分又は門地による差別的處遇ではなく、特別豫防の要請に基いて各犯罪各犯人毎に妥當な處置を講ずるのであるから、その處遇の異ることのあるべきは當然である。事實審たる裁判所は、犯人の性格、年齡及び境遇並に犯罪の情状及び犯罪後の情況等を審査してその犯人に適切妥當な刑罰を量定するのであるから、犯情の或る面において他の犯人に類似した犯人であつてもこれより重く處罰せられることのあるのは理の當然であり、これを目して憲法第14條の規定する法の平等の原則に違反するということはできない。
- 物価統制令違反(最高裁判決昭和26年9月14日)日本国憲法第14条
- 多数の同種の違反者が起訴されず被告人らのみ起訴処罰された場合と憲法第14条
- 犯情の類似した被告人間の処罰の差異が憲法第14条に違反しないことは、当裁判書の判例(昭和23年(れ)第435号同年10月6日大法廷判決)とするところであつて、この趣旨は、他の多数の違反者が検挙されず或は起訴されなかつた場合の被告人等のみが起訴処罰された場合にも推し及ぼされるべきものである。従つて論旨のようにたとえ他の違反業者が検挙処罰されなかつたように事情があつたとしても、いやしくも、起訴公判に附されてこれが審理の結果被告人等を有罪とした原判決を目して憲法第14条に違反するものと論ずることはできない。
- 不当処分取消並びに憲法擁護尊重義務履行等請求(最高裁判決昭和27年12月24日)
- 検察官のした不起訴処分に対する民事訴訟ないし行政訴訟の適否
- 検察官のした不起訴処分に対する民事訴訟ないし行政訴訟の提起は、わが国法上許されない。
- わが国法上検察官の不起訴処分に対してはその監督官に対し抗告をするか若しくは検察審査会に対しその処分の当否の審査を申し立て得るに過ぎないのであつて、民事訴訟乃至行政訴訟を提起することは許さない。
- 詐欺(最高裁判決 昭和32年5月24日)日本国憲法第39条
- 一旦不起訴にした犯罪を起訴することと憲法第39条
- 検察官が一旦不起訴にした犯罪を後日起訴しても、憲法第39条に違反するものではない。
- 詐欺、覚せい剤取締法違反(最高裁判決昭和33年10月24日)日本国憲法第14条
- 共同正犯者中一人のみの起訴処罰と憲法第14条。
- 共犯者中一人のみが、起訴処罰されたとしても憲法第14条に違反しない。
- 判決理由に、昭和23年10月6日最高裁判決を引く。
- 傷害(「チッソ川本事件」 最高裁決定昭和55年12月17日)
- 検察官の訴追裁量権の逸脱と公訴提起の効力
- 検察官の訴追裁量権の逸脱が公訴の提起を無効ならしめる場合がありうるが、それはたとえば公訴の提起自体が職務犯罪を構成するような極限的な場合に限られる。
- 公訴の提訴を無効ならしめるような訴追裁量権の逸脱があるとはいえないとされた事例
- 本件公訴提起が著しく不当であつたとする原審の認定判断(原判文参照)はただちに肯認することができず、まして、本件の事態が公訴提起の無効を結果するような極限的な場合にあたるとはいえない。
- 原判決の認定によれば、本件犯罪事実の違法性及び有責性の評価については被告人に有利に参酌されるべき幾多の事情が存在することが認められるが、犯行そのものの態様はかならずしも軽微なものとはいえないのであつて、当然に検察官の本件公訴提起を不当とすることはできない。本件公訴提起の相当性について疑いをさしはさましめるのは、むしろ、水俣病公害を惹起したとされるA株式会社の側と被告人を含む患者側との相互のあいだに発生した種々の違法行為につき、警察・検察当局による捜査権ないし公訴権の発動の状況に不公平があつたとされる点にあるであろう。原判決も、また、この点を重視しているものと考えられる。しかし、すくなくとも公訴権の発動については、犯罪の軽重のみならず、犯人の一身上の事情、犯罪の情状及び犯罪後の情況等をも考慮しなければならないことは刑訴法248条の規定の示すとおりであつて、起訴又は不起訴処分の当不当は、犯罪事実の外面だけによつては断定することができないのである。このような見地からするとき、審判の対象とされていない他の被疑事件についての公訴権の発動の当否を軽々に論定することは許されないのであり、他の被疑事件についての公訴権の発動の状況との対比などを理由にして本件公訴提起が著しく不当であつたとする原審の認定判断は、ただちに肯認することができない。まして、本件の事態が公訴提起の無効を結果するような極限的な場合にあたるものとは、原審の認定及び記録に照らしても、とうてい考えられない。
- 本件公訴提起が著しく不当であつたとする原審の認定判断(原判文参照)はただちに肯認することができず、まして、本件の事態が公訴提起の無効を結果するような極限的な場合にあたるとはいえない。
- 刑訴法411条にあたらないとされた事例
- 原判決が本件公訴を棄却したのは判決に影響を及ぼすべき法令違反であるが、本件事案のもとでは(判文参照)、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。
- (詳細は、刑事訴訟法第411条・判例参照)
- 原判決が本件公訴を棄却したのは判決に影響を及ぼすべき法令違反であるが、本件事案のもとでは(判文参照)、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。
- 検察官の訴追裁量権の逸脱と公訴提起の効力
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