刑法第148条
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条文
[編集](通貨偽造及び行使等)
- 第148条
- 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の拘禁刑に処する。
- 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
改正経緯
[編集]2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)懲役
- (改正後)拘禁刑
解説
[編集]本罪の客体は、「通用する貨幣、紙幣又は銀行券」である。また、「通用する」とは、我が国において強制通用力があることをいう。
第1項冒頭「行使の目的で」及び第2項「又は行使の目的で」の規定は、目的犯の典型とされる。すなわち、通貨として使用する目的(使用した場合、目的は成就される)で貨幣等を偽造・変造・交付・輸入した場合のみ本罪は成立する。したがって、通貨として使用する目的でなく(例.パーティグッズのような玩具等としての使用、興味本位での類似物の作成)、貨幣等に類似するものを製造・交付等しても、本罪に問われることはない。ただし、そのような貨幣等に類似するものが第三者に流出し偽造貨幣等として行使される(第2項に該当)ことを防止するため「通貨及証券模造取締法」が存在し、通貨としての使用目的なく製造等を行なった場合であっても罰せられ、3年以下の拘禁刑となる。なお、日本の紙幣に使用される透かしは「黒透かし(白地に黒く姿が浮き出る)」と言われるが、政府の許可なく黒透かしの入った紙を製造することは「すき入紙製造取締法」により禁止されており、違反には刑事罰が定められている。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 大審院明治43年3月10日判決 兌換券偽造行使ノ件
- 重罪事件の公判に於て弁護人か被告の人違なきや否やを確むる為めの訊問に立会せさるも被告の利害に消長する所なけれは訴訟手続に違法ありと云ふを得す
- 刑法第148条第2項に行使の目的を以て之を人に交付しとあるは偽貨を流通に置く意思を以て他人に交付するの謂なり従て交付者か被交付者に其偽貨なる実を告けて交付すると他人の行使する情を知て交付するとは問ふ所に非す
- 刑法第148条第2項は偽貨なる実を告け他人をして行使せしむる為め之を交付する所為を以て独立罪と為したるものとす故に被交付者か行使の目的を実行せさるも交付者は尚ほ同条項の責任を免るることを得す又之を実行したるときと雖も教唆の法条を適用すへきものに非す
- (偽造通貨を行使させるため他人に交付した場合は交付罪のみが成立し、被交付者が当該偽貨を行使しても、教唆は成立しない)
- 大審院昭和7年6月15日判決 偽造又ハ変造通貨行使罪ノ成立
- 偽造又は変造したる通貨を真正の通貨として其の用法に従ひ使用する以上は之か対価を得さるも偽造又は変造通貨行使罪を構成す
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