刑法第156条
条文[編集]
(虚偽公文書作成等)
- 第156条
- 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条【第154条、第155条】の例による。
解説[編集]
作成権限のある公務員が虚偽内容の公文書を作成し、又は真正な公文書に変更を加えて内容虚偽にすることを処罰する規定である。つまり公文書の無形偽造に対する規定である。
参照条文[編集]
判例[編集]
- 最高裁判所第一小法廷昭和27年12月25日判決
- 1.公務員の身分を有しない者が、虚偽の内容を記載した証明願を村役場の係員に提出し、情を知らない同係員をして村長名義の虚偽の証明書を作成させた行為は、刑法第156条の間接正犯として処罰すべきではない。
- 2.公務員の身分を有しない者が、虚偽の内容を記載した証明願を村役場の係員に提出し、情を知らない同係員をして作成させた村長名義の虚偽の証明書を行使しても、虚偽公文書行使罪にあたらない。
- 3.係員を欺罔して旅券の下附を受ける行為は、詐欺罪にあたらない。
- 4.アメリカ領事館員は、刑法にいわゆる「公務員」にあたらない。
- 最高裁判所第二小法廷昭和32年10月4日判決
- 作成権限者たる公務員を補佐して公文書の起案を担当する公務員が、行使の目的で内容虚偽の公文書を起案し、情を知らない右上司を利用してこれを完成した場合は、虚偽公文書作成罪の間接正犯が成立する。
- 最高裁判例 昭和51年05月06日
- 市長の代決者である課長を補助し、一定の手続に従つて印鑑証明書の作成にあたつていた補助公務員が、右手続の要求する申請書の提出と手数料の納付をせずに、自己の用に供するため印鑑証明書を作成した行為は、判示の事情のもとにおいては、作成権限に基づくものとして、公文書偽造罪を構成しない。
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