刑法第253条
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条文
[編集](業務上横領)
- 第253条
- 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の拘禁刑に処する。
改正経緯
[編集]2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)懲役
- (改正後)拘禁刑
解説
[編集]参照条文
[編集]判例
[編集]★主に「業務」に関する判例、「横領」の成否については刑法第252条の判例に集約。
- 業務上横領(最高裁判決昭和23年6月5日)
- 刑法第253条の業務
- 復員事務官でA上陸地連絡所庶務課勤務を命ぜられた者が他課の所管ではあるが復員者に対する旅費の交付及びこれに充てる国庫の前渡資金保管の事務についても平素から事質上担当主任事務官の輔佐としてこれに従事し関係上司においてもこれを認めていた以上特にその命令に出でたものでなくてもその事務の処理は刑法第253条のいわゆる業務に該当するものと解すべきである。
- 業務上横領(最高裁判決昭和25年3月24日)
- 刑法第253条にいわゆる「業務」の意義と民生委員の担当事務が業務に該る一例
- 刑法第253条にいわゆる業務とは法令によると慣例によると将に契約によるとを問わず苟も一定の事務を営業として反覆する場合を指称するのである。従って本件において判示給与金品の伝達事務が被告人の民生委員としての法令上当然の業務でなくても判示a村において判示日時以降民生委員を通して給与金員を支給されることになり被告人が民生委員としてその事務を担当するに至つた事実のある以上その事務は被告人の業務と解すべきである。
- 業務上横領等(最高裁判決昭和26年6月12日)
- 会社がその業務に関係なく受託保管した物を保管する右会社の物資保管担当者の不法領得行為と業務上横領罪の成立
- 被告人の本件特殊物件の保管が、同被告人の業務(「会社」の生産部長事務取扱として同会社の所要資材の調査出納保管の事務を担当す)に属するものである。そしてまた、「会社」が運輸省のために右特殊物件を保管したことが、「会社」の業務に属するものでないとしても、被告人の右物件の横領行為に対しては業務上横領罪が成立する。
- 横領(最高裁判決昭和31年6月5日)刑法第65条
- 業務上横領罪の共犯ではあるが身分なき被告人に対し刑法第253条を適用したる違法と判決への影響
- 業務上の占有者たる身分なき被告人が他人の業務上横領罪に共同正犯として加功した事実を認めながら刑法253条を適用処断したのは性質上判決に影響を及ぼすことの明らかな法律適用の誤りがあるものというべきこと論をまたない。
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