古典力学

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古典力学 (classical mechanics) とは、量子力学と対をなす用語で、量子論から見て古典的 (classical) な、非量子論的な力学一般を指す言葉です。古典力学に含まれる理論は、大きく分けてニュートン力学 (Newtonian mechanics) と相対性理論 (relativity theory) の 2 つがあります。ニュートン力学は、この理論を創始した自然哲学者のアイザック・ニュートンに因むもので、相対論と区別して、非相対論的 (non-relativistic) な力学 (mechanics) と呼ばれることがあります。 相対論は特殊相対論 (special relativity theory) と一般相対論 (general relativity theory) の 2 つに分けられます。特殊相対論と一般相対論の大きな違いは、特殊相対論では重力 (gravitation) が扱われないことにあります。

ニュートン力学と相対論の違いは、一つは時間に対する取り扱いにあります。ニュートン力学では、私達が日常的にそうしているように、時間は普遍的なものとして扱われ、誰にとっても時間の進み方は同じであることを仮定しています。相対論では、誰にとっても時間は同じではなく、それぞれが固有の時間を刻むことが結論されます。 逆に、2 つの理論に共通する事柄として、因果律 (causality) の成立があります。因果律とは、原因となる事象 (event) が結果として生じる事象より先に必ず現れること、あるいは未来の出来事が現在の出来事に影響を及ぼさないことを言います。この「未来」や「現在」の取り扱いはニュートン力学と相対論で大きく異なりますが、いずれの理論においても因果律が生じるのです。 因果律の成立は、離れた場所を結ぶ情報伝達や力の影響の仕方について大きな制約を与えます。ニュートン力学においては時間がすべての物にとって共通していたため、因果律はまだ大きな役割を演じることはありませんが、相対論においては、情報が伝播する最大速度に対する制限として現れることになります。この最大速度は、電気磁気に関する研究(電磁気学)から、何もない空間を光が進む速さに一致することが知られています。 この光速を中心に据えてニュートン力学について述べるなら、光速が無限に大きいと見なせるような世界の力学がニュートン力学であると言うことができるでしょう。

さて、はじめに述べた通り、古典力学は相対論とニュートン力学の総称と言ってよいものですが、相対論とニュートン力学では、そこで取り扱われる原理やそれを支える物理学的な思想に大きな隔たりがあり、単に技術的な部分にのみ注目しても、相対論で扱われる問題とニュートン力学で扱われる問題とでは要求される知識が質的に異なっています。したがって、多くの書籍や講義などと同じように、本書においてはニュートン力学だけを紹介することとします。

イントロダクション[編集]

ニュートンは、りんごが木から落ちるのを見て万有引力 (universal gravitation) を発見したという有名な逸話があります。この逸話は、後世の創作であると見なされていますが、しかし、地上でりんごに及ぼされる重力と、天上にある太陽惑星の間に働く引力が、同じ万有引力の法則によって記述されるという不思議さを、あざやかに示したものだと言えるでしょう。実際、私達の日常にある地上での現象のみならず、などの天体の運動のような非常にスケールの大きなものに至るまで、ニュートン力学の知識によって説明を与えることができます。私達の身のまわりで起こる現象のほとんどは、巨視的 (macroscopic) な現象ですが、生物を構成するタンパク質のような微視的 (microscopic) な対象についても、ニュートン力学からその機能を理解することができ、理論の適用範囲は非常に広範です。ニュートン力学の及ばない現象については、相対性理論量子力学のような理論が必要となるのですが、これらについては別の機会に述べることとしましょう。

力学は、物体の運動を支配するメカニズムに関する理論です。ニュートン力学においては、物体の運動は (force) と呼ばれる量を中心として説明されます。この力は、物の重さや物に触れたときに感じる手応えのような、私達の日常の感覚を反映したものです。その意味でニュートン力学は、力と物の運動という日常に存在する現象の関係性についてを述べる理論だと言うことができます。

物体の運動[編集]

古典力学において、運動を記述する対象は物体 (body) と呼ばれます(ただし物体の個数は「三体問題」のように「体」で数えます)。物体には必要に応じて様々な性質が与えられ、たとえば形状や物体を構成する物質、あるいは分子モーターのような動力などが、物体の運動を特徴づけ、あるいは運動そのものを決定する要素として考察されます。 物体の中でも、動力を持たず形状が無視できるものを粒子 (particle) と呼びます。形状が無視できるということは、たとえば物体の自転が注目している運動の性質に寄与しないことなどから判断されます(このような判断は必ずしも古典力学の立場から保証されるようなものではなく、多くの場合にはむしろ粒子の運動として記述できないような性質が実験などを通じて明らかになることによって、モデルに不足している要素を捉えられるようになります)。粒子は特徴的な大きさを持たず、状のものとして扱われます。注意すべきこととして、粒子が点として扱われることは、原理的に粒子の大きさが決定できない場合を除き、単純に興味のある運動のスケールに比べて粒子の大きさが非常に小さい場合や、大きさを決定するための情報が不足していることに起因していて、実際に物体が点状であるかどうかを議論の対象としているわけではありません(もちろん、扱うモデルから逸脱しないのであれば、そのモデルの中では「実際に」物体は点状であると言えます)。

物体の位置と速度[編集]

物体の運動を記述する最も基本的な要素は、物体の位置 (position) と速度 (velocity) です。位置はしばしば座標 (coordinate) とも呼ばれます。物体の位置は空間上の一点によって表され、具体的には適当な座標系 (coordinate system) を用いて表されます。最もよく知られる座標系としてデカルト座標系 (Cartesian coordinate system) があります(図1)。

図1: 2次元のデカルト座標系。縦軸は変数 y、横軸は変数 x の値に対応する。縦軸と横軸の交わる点(紫色の点) (x,y) = (0,0)原点 (origin) と呼ばれる。縦軸と横軸の向きは特に決まっていないが、横軸は右が正であることが多い。この図では縦軸は正の方向を上にとっているが、画像や画面をスキャンする順序に対応させる場合など、縦軸を下向きにして表すことも多い。物理学においては、座標系の取り方は自由に変えてよく、座標系に依存する数量などは意味を持たないので、その時々に便利なものが扱われる。

デカルト座標系では物体の位置を、互いに直交し原点を共有するいくつかの座標軸上の数の組として表します。たとえば、平面上の物体であれば、横方向と縦方向の座標軸について「原点から右に 2 メートル、上に 3 メートル進んだ場所」といったように物体の位置を表すことができます。通常はより簡便な記法として、(2 [m], 3 [m]) のように表します。 物体の位置は原点から測った距離によって表現されるため、長さの次元 (dimension) を持ち、具体的な数量は長さの単位と数値の積で表されることになります。このことは座標系によらず言えることです。

速度は物体の位置の時間変化率として定義されます。たとえば 2 秒の間に 4 メートルだけ物体が動いた場合、1 秒当たり 2 メートルだけ移動したことになるので、その間の物体の平均速度 (average velocity) は 2 メートル毎秒となります。これが平均の速度であることは、たとえば最初の 1 秒間に 4 メートルだけ進んで残りの 1 秒間は止まっているような場合でも速度が同じになることから理解できるでしょう。平均速度は、指定された時間に一定の速度で物体が動くと仮定した場合のその速度を表しています。速度も位置と同じように、デカルト座標系を用いて、それぞれの座標軸に対する物体の位置の時間変化率の組として表現することができます。たとえば先に挙げた平面上の座標系を用いれば、(−3 [m/s], 1 [m/s]) は「毎秒左に 3 メートル、上に 1 メートルの速さ」を表していることになります。

物体の位置から物体の速度を求めるには 2 つの異なる時刻における物体の位置を比較して、その時間経過の間にどれだけ位置が異なっているかを求める必要があります。最も単純な場合として直線運動をする物体の速度を例にとりましょう。物体が直線的な運動をしている場合には、物体の位置を表す量は、物体の軌道上にある原点から測った物体までの距離となります。原点の取り方は自由ですが、物体の運動を記述し始めた最初の時刻における物体の位置を原点として与えることにします。言い換えれば、物体ははじめにある座標系の原点を出発点として運動をしているということです。 ある時刻における物体の位置とその時刻の関係は位置と時刻の組が描く曲線として表され、特に物体の運動が直線上に限定される場合には位置と時刻がなす平面上の曲線として描くことができます。物体の速度は、位置と時間の曲線の異なる 2 点を結ぶ直線傾きとして求めることができます。時刻を t で表し、時刻 t における物体の位置を x(t) と表せば、時刻 t_1 から t_2 の間の物体の速度は次のように表されます。

v(t_1; t_2) = \frac{x(t_2) - x(t_1)}{t_2 - t_1} \quad(t_1 < t_2).

これが (t,x) = (t_1,x(t_1)) という点と (t,x) = (t_2,x(t_2)) という点を結ぶ直線の傾きになっていることは 2 点を通る直線の方程式を求めることで分かります。(t,x) 平面上の直線は傾き a切片 b によって特徴づけられ、一般に

x = at + b

と表されます。この直線が (t, x) = (t_1, x(t_1)) および (t, x) = (t_2, x(t_2)) を通るためには、

x(t_1) = at_1 + b

および

x(t_2) = at_2 + b

を満たす必要があります。2 つの方程式から、切片 b を求めれば、

b = x(t_1) - at_1

および

b = x(t_2) - at_2

という関係が得られます。ここで求められた 2 つの切片は一致していなければならないので、

x(t_1) - at_1 = x(t_2) - at_2\left(= b\right)

となる必要があります。最後に、直線の傾き a を求めれば、

a = \frac{x(t_2) - x(t_1)}{t_2 - t_1}

であることが分かります。これは先に示した物体の速度 v(t_1; t_2) そのものです。

平均の速度と瞬間の速度[編集]

ここまでで紹介した平均の速度

v(t_1; t_2) = \frac{x(t_2) - x(t_1)}{t_2 - t_1}

t_1 および t_2 の 2 つ時刻の選び方に依存します。しかしながら、物体の運動に関して「物体が速度を持つ」という場合、速度は 1 つの時刻に対して一意に定まるようなものでなければなりません。まず、物体の平均速度が時刻によらないような例を考えると、v(t_1; t_2) = v として、

v = \frac{x(t_2) - x(t_1)}{t_2 - t_1}

t_1 および t_2 に関する項に分離することができ、

x(t_1) - vt_1 = x(t_2)  - vt_2

x(t) - vt は時刻 t によらず一定であることが言えます。この関係を満たすような x(t) は、

x(t) = vt + x(0)

であり、これは (t,x) = (t,x(t)) が傾き v、切片 x(0) の直線をなすことを意味しています。この場合には物体の速度はどのような時間でも v となり、この速度は物体が持っているものだと考えることができるでしょう。つまり任意の時刻 t における瞬間の速度 (instantaneous velocity) は v(t) = v と表すことができます。 一般の運動についても、ある時刻と時刻の間で曲線 (t,x(t)) が直線と見なせる場合には同様にして瞬間の速度を見出すことができます。物体の位置 x(t) が滑らかに変化し、どの時刻についても曲線 (t,x(t))接線が一つだけに定まるとき、時刻 t における物体の速度 v(t) は時刻 t で曲線 (t,x(t)) に接する接線の傾きとして定義されます。この接線の傾きは、充分短い時間における平均の速度によって与えられます。時刻 t から t+h までの平均速度について、時間間隔 h が 0 の近傍にある場合、時刻 t における瞬間の速度 v(t)

v(t) = \lim_{h \to 0} \frac{x(t + h) - x(t)}{(t + h) - t}

と定まります。これは t の近傍の時刻 t+h における物体の位置 x(t+h)

x(t+h) \approx x(t) + v(t)h

という形に漸近し、x(t+h)x(t) + v(t)h の差分が h より大きな次数の項となること表します。h の 2 次以上の項は、h の 1 次の項より素早く小さくなるので、x(t+h) に関して h の影響は 1 次の項で押さえられます。

瞬間の速度を定義する際に使った極限操作を、位置 x(t) の時刻 t に関する微分 (derivative of position x(t) with respect to time t)、あるいは省略して位置 x(t)時間微分 (time derivative) といいます。微分を表す記法にはいくつかあり、

ライプニッツの記法v(t)=\frac{dx(t)}{dt},
ニュートンの記法v(t)=\dot{x}(t),
ラグランジュの記法v(t)=x'(t),

などがあります。一般的にはライプニッツの記法が好まれますが、記述が煩雑になる場合にはニュートンやラグランジュの記法が用いられ、特に時間微分に対してはニュートンの記法が慣習的に使われています。

[例題]
(a)

x(t) = Vt + x(0) で表される物体の運動について、物体の位置 x(t) を時刻 t について微分し、物体の各時刻における瞬間の速度 v(t) を求めよ。ただし V および x(0) は定数とする。

[解]

位置 x(t) の時間微分は次のように計算できる。

\begin{align}
\frac{dx(t)}{dt} &= \lim_{h \to 0} \frac{x(t+h) - x(t)}{(t+h) - t} \\
                 &= \lim_{h \to 0} \frac{\left(V(t+h) + x(0)\right) - \left(Vt + x(0)\right)}{h} \\
                 &= \lim_{h \to 0} \frac{Vh}{h} \\
                 &= \lim_{h \to 0} V \\
                 &= V.
\end{align}

位置の時間微分はいま物体の瞬間の速度に等しいのだから、

v(t) = \frac{dx(t)}{dt}

より瞬間の速度は

v(t) = V

と求まる。ここで V = 0 とすれば物体は x(t) = x(0) で(ある座標系に対して)静止していることになる。このとき直ちに位置の時間微分は 0 となることが示される。つまり、変数 t に対して定数として振る舞う項の t 微分は 0 である。

(b)

x(t) = \frac{1}{2}at^2 + Vt + x(0) で表される物体の運動について、物体の位置 x(t) を時刻 t について微分し、物体の各時刻における瞬間の速度 v(t) を求めよ。ただし aV および x(0) は定数とする。

[解]

位置 x(t) の時間微分は次のように計算できる。

\begin{align}
\frac{dx(t)}{dt} &= \lim_{h \to 0} \frac{
                    \left(\frac{1}{2}a\left(t + h\right)^2 + V(t+h) + x(0)\right) 
                  - \left(\frac{1}{2}at^2 + Vt + x(0)\right)}{h} \\
                 &= \lim_{h \to 0} \frac{ ath + \frac{1}{2}h^2 + Vh}{h} \\
                 &= \lim_{h \to 0} \left(V + at + \frac{1}{2}h\right) \\
                 &= V + at.
\end{align}

従って物体の瞬間の速度は

v(t) = V + at

と求まる。特に t=0 の場合について v(0) = V が成り立つ。時刻 t=0 における物体の速度 v(0) はその物体の初速 (initial velocity) と呼ばれる。この問題では、V は物体の初速 v(0) に等しいので、こちらも初速と呼ばれる。

物体の速度 v(t) の時間変化率を考えると、v(t) の時間微分は \dot{v}(t) = a となることが分かる。速度の時間微分は加速度 (acceleration) と呼ばれる。先ほど示した関係は、この問題における物体の加速度が一定であることを示している。加速度が一定であるような状況はたとえば、物体を地表付近で投射したときの物体の運動について、空気抵抗などを無視できるような場合などが当てはまる。あるいは傾斜が一定の斜面を物体が滑る場合についても同様に、物体の受ける加速度が一定であると見なすことができる。

日常的な意味で「加速」とは速度が増すことを言い、速度が遅くなることは「減速」と言って区別するが、物理学においてはどちらの結果が生じる場合でも、速度の時間変化率は「加速度」と呼ばれる(ただし分かりやすさを求める上で、速度を減じるような加速度を特別に減速度 (deceleration) と呼ぶことはときどきある)。また、「負の加速度」が必ずしも物体の速度を遅くするわけではなく、同様に「正の加速度」が加わっても物体の速度が増すとは限らないことに注意。たとえば「負の速度」を持つ物体に「負の加速度」を加えれば、物体より速く負の方向へ動いていくことになる。このことは一次元的な運動から離れて平面上の自由な物体の運動を考えてみると分かりやすい。平面上の運動では、正負の二方向に限らずあらゆる方向に速度を持つことができ、同様に加速度も平面上の様々な方向へ加えられる。このとき、速度や加速度が正であったり負であったりということの区別はそれほど意味を持たない。

(c)

x(t) = L\left(\frac{t}{\tau}\right)^n で表される物体の運動について、物体の位置 x(t) を時刻 t について微分し、物体の各時刻における瞬間の速度 v(t) を求めよ。ただし L\tau は定数であり、n は整数とする。

[解]

指数 n によって場合分けをする。n=0 の場合、a^0=1 より x(t)=L だから v(t) = 0(ただしベキの計算について 0^0 = 1 と定義する。あるいは n=0 の場合に x(t)=L となるように x(t) を定義する)。 n=1,2 の場合は例題 (a), (b) の結果を参考にすればよい。n \ge 1 の場合について、

\alpha^n - \beta^n = \left(\alpha - \beta\right)\left(\alpha^{n-1} + \beta\alpha^{n-2} + \beta^2\alpha^{n-3} + \dots + \beta^{n-2}\alpha  + \beta^{n-1} \right) = \left(\alpha - \beta\right)\sum_{k=0}^{n-1}\alpha^{n-1-k}\beta^k

因数分解できることに注意すれば、位置 x(t) の時間微分は次のように計算できる。

\begin{align}
\frac{dx(t)}{dt} &= \lim_{h \to 0} \frac{L\left(\frac{t+h}{\tau}\right)^n - L \left(\frac{t}{\tau}\right)^n}{h} \\
                 &= \frac{L}{\tau^n} \lim_{h \to 0} \frac{\left(t + h\right)^n - t^n}{h} \\
                 &= \frac{L}{\tau^n} \lim_{h \to 0} \frac{1}{h}
                    \left\{\left((t + h) - t\right) \left((t + h)^{n-1} + t(t + h)^{n-2} + \dots + t^{n-1}\right) \right\} \\
                 &= \frac{L}{\tau^n} \lim_{h \to 0} \left\{\sum_{k=0}^{n-1}(t + h)^{n-1-k}t^k\right\} \\
                 &= n\frac{L}{\tau^n}t^{n-1}  \quad (n \ge 1).
\end{align}

この関係が指数 n が非負の整数であるとき成り立つことはすぐに確かめられる。n が負である場合について t^n = 1/t^{-n} だから、

\begin{align}
\frac{dx(t)}{dt} &= \lim_{h \to 0} \frac{L\left(\frac{t+h}{\tau}\right)^n - L \left(\frac{t}{\tau}\right)^n}{h} \\
                 &= \frac{L}{\tau^n} \lim_{h \to 0} \frac{1}{h}\left(\frac{1}{\left(t + h\right)^{-n}} - \frac{1}{t^{-n}}\right) \\
                 &= \frac{L}{\tau^n} \lim_{h \to 0} \frac{1}{h}\frac{t^{-n} - \left(t + h\right)^{-n}}{t^{-n}\left(t + h\right)^{-n}} \\
                 &= \frac{L}{\tau^n} \lim_{h \to 0} \frac{-\sum_{k=0}^{-n-1}(t + h)^{-n-1-k}t^k}{t^{-n}\left(t + h\right)^{-n}} \\
                 &= -\frac{L}{\tau^n} \lim_{h \to 0} \left\{\sum_{k=0}^{-n-1}(t + h)^{-1-k}t^{k+n}\right\} \\
                 &= n\frac{L}{\tau^n}t^{n-1} \quad (n < 0)
\end{align}

となる。指数 n の正負の違いを除けば先に求めたものと全く同じ形になっている。つまり、任意の整数 n について、

\frac{d}{dt}\left(L\left(\frac{t}{\tau}\right)^n\right) = n\frac{L}{\tau^n}t^{n-1}

である。

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物体[編集]

古典物理学で扱われるような物体が持つ性質としては、質量・電荷・形状があります。このうち電荷については電磁気学で扱い、本項目の古典力学では質量と形状のみを扱います。そのような、力学的な物体のうち質量のみを持ち、大きさを持たない物体を質点といいます。実際の物体は大きさを持つが、運動の大きさに対して物体の大きさが無視できるほど小さければ質点と見なせます。大きさを持つ物体であれば力を加えると変形したりするなどして、物体の運動に全ての力が使われない事も多いため、そのような要因を排除して位置の変化による運動のみを考えるために理想化された物体です。もちろん「質点」のような物体は現実にはありませんが、しかし単純化したモデルについてまず考えることは、力学の本質の理解に役立ちます。

複数の質点の集まりを質点系といいます。質点系の内、質点同士の相対的な位置関係が力を加えても変わらない物体を剛体といいます。実際の物体は力を加えると多少なりとも変形しますが、力を加えても変形が無視できるほど硬ければ剛体と見なしてよい。

大きさを持ち、力を加えると変形するが、力を加えるのを止めると元の状態に戻る物体を弾性体といいます。

気体や液体のように決まった形を持たず、流れる物体を流体という。流体については古典力学ではなく流体力学で扱います。

力学で扱われる物理量[編集]

物理量 (physical quantity) とは、客観的に測定できる量のことである。

力学で扱われる物理量には、(この後日本語の右側に来る英字は慣用的にその量を表わすのに使われる文字。違う文字を用いる場合もある)時間t、質量m、位置rがある。質量mは時間tに依存せず質点ごとに定められた定数。質量が大きいと物体は動かしづらくなり、また重くなる(細かく言うと、動かしづらくなる度合いが質量、重さは「重量」と呼び区別すべきだが、ここではこだわる必要はない)。位置rは、運動する質点の位置を示す変数であり、直線上の運動であれば、数直線に対応させrを実数と見なすことができる。しかし平面上(或いは三次元空間内)の運動ということになれば、位置ベクトル\vec{r}によって、質点の位置を表すことになる。位置rは時間に依存する量であり、そのことを明示したい場合には\vec{r}(t)とも書く。

位置\vec{r}を時間tで微分した\vec{v}=d\vec{r}/dt速度速度ベクトル)という。さらに、速度を時間tで微分した\vec{a}=d\vec{v}/dt加速度加速度ベクトル)という。加速度は位置の二階微分{d^2\vec{r}}/{dt^2} でもある。

多くの力学に関する実験結果によれば、ある時点で観測対象としている全ての質点の位置と速度が分かっていればその後、質点がどのような運動をするのか?ということが決まってしまう。この事実はニュートンの決定性原理と呼ばれる。

質点の速度を変化させ続ける要因をという。力の原因は多くの場合、他の質点(物質)との相互作用である。代表的なのは万有引力、電磁気力、及び接触しているほかの物体から受ける力である。力は、速度を変化させるという性質により、加速度を用いて書かれる。つまり、古典力学は、時間t、質量m、位置r、速度v、加速度a(力F)を用いて記述されることになる。

運動の三法則[編集]

運動の三法則とは次の3つの法則のことである。

  1. 運動の第1法則(慣性の法則):
    物体に力が働かないとき、物体は静止状態か等速度運動を続ける。
  2. 運動の第2法則(運動の法則):
    加速度の大きさは力の大きさに比例し、物体の質量に反比例する。
  3. 運動の第3法則(作用反作用の法則):
    ある物体が他の物体に力を与えるとき、ある物体は他の物体から大きさが等しく、逆向きの力を受ける。

第1法則は運動というものが物体と観測者の相対的な関係であるため必要となる。つまり物体がとまっていても、観測者が複雑な運動をしていれば物体は(観測者から見て)複雑な運動をする。このような見かけ上の運動まで含めると力学は不必要に複雑になる(少なくとも入門レベルでは)。これを除くには観測者にも制限をつけなければならない。第1法則がその制限となる。つまり、運動の第2第3法則が成り立つのは、第1法則が成り立つような観測者であることを前提にした場合に限ることになる。このような観測者が用いる座標系を慣性系とよぶ。慣性系は運動をもっとも簡単に(あるいは「素直」に)記述できる座標系と考えてよい。

この第1法則に述べられている内容は、物理法則は全ての慣性系において等しく、慣性系に対して等速直線運動をしている系は全て慣性系であるというガリレイの相対性原理に基づいたものである。

運動の第2法則を式で表すと、運動方程式 F=maとなる。ここで、Fは物体に加えられた力である。次元の高い運動であり、位置rがベクトルで書かれる場合、この式は

 \vec{F} = m\vec{a} = m\frac{d^2\vec{r}}{dt^2}

という形になる。質量mはスカラーであり、位置rと力Fはベクトルである。

微分方程式論における初期値問題のよく知られた結果から、ある時点での\vec{r}\vec{v}を与えれば、この微分方程式の解は一意に存在するということが分かるため、質点の位置と速度によりその後の質点の運動は全て決定される。

これはニュートンの決定性原理の主張するところと同じである。

数学的には、\vec{r}の三階以上の時間微分を含む方程式を考える事もできるが、ニュートンの決定性原理により古典力学の記述にはそのような高階の微分が不要であることが分かっているのである。

第3法則は、力の釣り合いに関するものではなく、2体間の力の及ぼし合いに関する法則である。我々が地面に立つとき、自らの重さによって地面を押していることになるが、逆に同じだけの力によって地面に押し返して貰っているために地面の上で静止できるのである。地面から離れて跳び上がろうと思えば、普段より強い力で地面を蹴ることにより、同じだけの力を地面から与えられ、跳び上がることができるようになる。ただこの場合は、反作用の力を受けるのは地面を蹴った時だけであるから、地面を離れた後は、引力と反対方向の力が得られず、再び地面に引き寄せられてしまうことになる。

運動の三法則をどう使うか[編集]

力学の主要な目的は法則を使って物体の運動を定量的あるいは定性的に予測すること。「運動」は物体の位置ベクトル\vec{r}が時間とともにどう変化するか、言い換えると\vec{r}が時間のどのような関数\vec{r}(t)になるかで表される。それで作業は\vec{r}(t)が満たす「運動方程式」を求め、次にそれを解くという二段階に分けられる:

1.(運動方程式の導出)問題とする状況において物体が受ける力を求める。重力や電磁気力の法則を使うが、複数の物体がからむ問題では第3法則も重要な働きをする。物体が受ける力は一般にはその位置\vec{r}および時刻tに依存するので\vec{F}=\vec{F}(t,\vec{r})となるが、特に位置への依存性が重要な問題が多い。その結果を第2法則に代入すると

m\frac{d^2\vec{r}}{dt^2}=\vec{F}(t,\vec{r})

となる。これが運動方程式。数学的には\vec{r}が満たす2階微分方程式に他ならない。

2.(運動方程式を解く)運動方程式を解いて運動を求める。原理的には適切な初期条件を与えた上でそれを解けばよい。二階なので初期条件は初期時刻tiでの位置\vec{r}(t=t_i)と速度d\vec{r}/dt(t=t_i)が必要。物理的にはある時刻の位置と速度を決めると、それ以降の運動が完全に決まることを意味する(ボールを投げる場合を思いおこせばよい。ボールが手から離れる瞬間の位置と速度でその後のコースが決まるわけである)。

とはいえ、二階微分方程式は二次方程式のように一般的な解の公式があるわけではない。それどころか力が少々複雑になると、解が既知の関数の組合せで表せないことも普通。そこをどうするかが力学の問題となる。幸い"good news"がある:

  1. 物理として重要な基本的な問題には、厳密に解けるものが多い。代表的な例は地球表面近く(つまり重力が一様一定)でのボールの運動、太陽の周りの惑星の問題、バネにつながれた物の運動など。解けないものも、これら厳密に解けるものが「いくらか複雑化」したものとみなすことである程度理解できる。
  2. 厳密な解が得られなくても、重要な定性的性質が得られることもある。例えばいつまでも動きつづけるのか否か、有限な範囲を動き回るのか、どこまでも遠くに去ってしまうのか、など。

いずれの場合も、「保存量」がキーになる。保存量とは位置と速度をある形で組み合わせた式で、その値が運動の初めから終わりまで変わらない一定値をとるもの。力がある条件を満たす場合に存在する。これがあると運動の自由度が減るので解きやすくなる(保存量の個数が十分なら、2階の方程式を一階に直して積分で解くことが可能になる)し、また大きな制限となるので定性的性質も分かりやすくなる。代表的な保存量の候補はエネルギー、運動量、角運動量。

一方、保存量が存在しない運動、あるいは自由度に比べ保存量の数が少ない運動はたいてい複雑で、解くことも定性的性質を捉えることも難しい。そのような運動を調べるには計算機上の数値計算などが必要となる。実はこのような運動も独自の興味と重要性を持つことがある。代表的なのはカオス的な運動と呼ばれるもので、多くの研究がされてきている。

以上のような事情から、力学ではまず保存量のような基本的な概念と厳密に解ける基本的な運動を扱い、その中で多くの運動に通じる正しい直観を身に付ける。基本的な運動には等加速度運動、放物運動、円運動、楕円運動、単振動などがあり、多くの現象をこれらの運動が「複雑化」したものとして理解できる。その範疇から外れたカオス的な運動のようなものはこれらの基礎を十分身に付けた後で、いわば特論として取り組むのがよい。また運動の法則をより数学的に整理した解析力学といわれるものがある。これは保存量を系統的に求める方法や座標系を換える方法など各種の高級な技術を提供し、さらに量子力学などより進んだ物理に進むには必要不可欠なのだが、抽象的でわかりずらい面もある。やはりある程度直観を身に付けてから学ぶのがよい。

運動の保存量の例:エネルギー[編集]

エネルギーの発見[編集]

物理ではエネルギーや運動量などの保存量が重要な働きをする。力学においてもそれは同様であるが、特に自由度の小さい系での運動を扱う場合には、保存量の利用により運動がほとんど決定されてしまう。 もっとも簡単(でしかも重要)な例は直線上の粒子の運動で、エネルギーが保存される場合。粒子の座標をxとし、それがxだけに依存した力F(x)を受けるとする。例えばバネにつながれた粒子では、F(x)=−kxになる。このとき運動方程式は

m \frac{d^2x}{dt^2}=F(x)

これをxについての微分方程式とみて初期条件 「t=tiで(x,dx/dt)=(xi,vi)」で解けばよい。しかし二階だと面倒なので、両辺にdx/dtを掛けてみる。すると

m \frac{dx}{dt}\frac{d^2x}{dt^2}=\frac{dx}{dt}F(x)

ここで合成関数の微分側を使うと、左辺は

m \frac{dx}{dt}\frac{d^2x}{dt^2}=\frac{d}{dt}\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2

となる。

ここでF(x)の原始関数を f(x)とすると(原始関数とはdf/dx=F(x)を満たす関数f(x)。例えばf(x)=(k/2)x2F(x)=kxの原始関数である。)

\frac{d}{dt}f(x)=\frac{dx}{dt}F(x)

となるので

\frac{d}{dt}\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2=\frac{d}{dt}f(x)

左辺、右辺両方ともある関数の微分なので、右辺を左辺に移行してまとめると

\frac{d}{dt}\left\{\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2-f(x)\right\}=0

ここで、{}の中身は時間に依存しない定数、即ち保存量になる。中身を足し算で書くためU(x):=−f(x)とすると

\frac{d}{dt}\left\{\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+U(x)\right\}=0

となる。以上の結果をまとめよう。物体がその位置だけに依存する力F(x)だけを受けて直線運動をする場合に、U(x)dU/dx=−F(x) を満たす関数として定義し、さらに位置と速度を引数とする関数E(x,dx/dt)を次で定義する。

E\left(x, \frac{dx}{dt}\right):=\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+U(x)

すると、E の値は運動の間、値が変わらない定数になる。つまりE(x,dx/dt)は保存量である。これはエネルギーと呼ばれる。 エネルギーの値は初期条件で決まる。つまりt=tiの時の値と同じなので、

E\left(x(t),\frac{dx(t)}{dt}\right)=\frac{m}{2}v_i^2+U(x_i)

エネルギーは二つの項の和になっている。最初の項(m/2)v2は速度で決まるので運動エネルギー、 二番目の項Uは位置で決まるので位置エネルギーまたはポテンシャルエネルギーと呼ばれる。運動エネルギーと位置エネルギーは、それぞれ個別に見ると運動の間変化する。 しかしそれらの和は変化しない、定数になるのである。

エネルギー保存に基づく定性的な解析[編集]

エネルギーが保存されるという事実だけから、運動の様子がかなり分かる。エネルギーの値をEiとすると、運動の間、常に

\frac{m}{2}v^2+U(x)=E_i

が成り立つ。書き換えると

E_i-U(x)=\frac{m}{2}v^2\ge 0

従って運動でxが動くのは E_i\ge U(x) が成り立つ範囲に限られる。つまり横軸にx、縦軸にy=U(x)のグラフを書いた場合、 水平線y=E_iの下に曲線y=U(x)がある領域が運動の範囲となる。この二つの線が離れている領域ほど運動の速度は速い。 運動の間、vとxの間には

v=\pm \sqrt{\frac{2}{m}(E_i-U(x))}

が成り立つ。複号のどちらをとるかは初期条件と時刻で決まる。例えばv_i>0の場合、vは連続にしか変わらないのでいきなり符合が変わることはありえず、 しばらくはv>0のまま同じ方向(x増加の方向)に動く。符号が変わりうるのはv=0、即ちy=E_iy=U(x)の 交点。大雑把には交点に達するまでは同じ方向に動きつづけ、交点に達すると一瞬v=0になり、それから速度の符号が変わって逆向きに動く。 但しこれは交点で交わる角度が0よりも大きいことが前提。角度が0、つまりy=E_iy=U(x)が 接する場合にはより細かい解析が必要で、交点に永遠に達しない時もあるし、達したところで静止することもありうる。 この交点周囲の振る舞いを調べるには運動方程式に戻る。

以上のことを直観的に捉えるにはジェットコースターの軌道のように上下する軌道の上においたボールの運動をイメージすればよい。

エネルギー保存から得られる厳密解[編集]

エネルギー保存則から運動方程式の解を積分の形で得られる。簡単のため、初期時刻でv_i=dx/dt>0とし、上の式で右辺が正の間の運動を考える(負の場合も同様の考え方で分かる)。v=dx/dtを入れると dx/dt=\sqrt{\frac{2}{m}(E_i-U(x))} 右辺は正なのでxとtの対応は一対一となり、逆にtをxの関数とみなせる。すると dt/dx=1/\sqrt{(2/m)(E_i-U(x))} となるので、両辺をxで積分して初期条件(t=tiでx=xi)を使うと

t=t_i+\sqrt{\frac{m}{2}}\int_{x_i}^x  \frac{dx'}{\sqrt{E_i-U(x')}}

これで一般解が得られた。力F(x)が与えられれば、そこからUを求め、上の右辺の積分を実行し、必要ならx=h(t)という形に直せば運動が得られる。積分が面倒そうとか、最初にx=h(t)ではなくt=g(x)という形になるのがいまいちと思うかも知れないが、それでも厳密解が定積分という閉じた形で得られることは大きな意味をもつ。

上の右辺の積分が初等的にできる特に重要な例は、バネにつながれた物体(f(x)=-kx,  U(x)=kx^2/2、すぐ下で詳しく扱う)。また太陽の周りの惑星の運動も後で述べる角運動量保存側を使うと1次元の問題に還元でき、太陽からの距離rとtの関係が上と同じ形の積分で表される(q,kを定数としてU(r)=\frac{q}{r^2}-\frac{k}{r}。第一項が遠心力、次が重力を表す)。これも非常に幸いなことに、積分を初等関数で表すことができる。

なお、ルートがあるためU(x)の関数形が少し複雑になっただけで積分は難しくなる。それでも前節の定性的な解析はU(x)のグラフを睨むだけでできることに注意してほしい。例えばU(x)が三次関数のように山と谷を持つような場合には運動が山を越えるかそれとも谷に閉じ込められたまま振動するかが重要なポイントになるが、それは初期条件のE_iが山より高いかどうかを見れば分かるのである。まず定性的な性質をグラフで調べてから積分に取り組むことで、式をまとめる方針も見えてくる。

例としてバネにつながれた質点の運動を求めよう。力はF(x)=-kxで与えられるので、

U(x)=\frac{k}{2}x^2

この場合エネルギーは0以上である(E_i=mv_i^2/2+kx_i^2/2 \ge 0)。厳密解の公式に代入すると

t=t_i+\sqrt{\frac{m}{2}}\int_{x_i}^x  \frac{dx'}{\sqrt{E_i-\frac{k}{2}x'^2}}

あとは数学の問題として積分を計算すればよい。。。のではあるが、計算も物理的な考察を加えながら行うことでよりきれいにできる。まず運動のスケールを特徴づける 量を考える。定性的な解析から分かるように、運動の範囲はE_i-\frac{k}{2}x'^2\ge0を満たす領域、即ち -\sqrt{2E_i/k}\le x \le \sqrt{2E_i/k} よってL:=\sqrt{2E_i/k}とおくと、このLが運動の(長さの)スケールになる。座標xも、「このLの何倍か(何割か)」と表すのがよい。そこで

X=x/L

とおいて公式に代入し整理すると、一番面倒な積分の部分がきれいになる。被積分関数からkやE_iなどのパラメータを取り除けるのである。

t=t_i+\sqrt{\frac{m}{2}}\int_{X_i}^X  \frac{LdX'}{\sqrt{E_i-\frac{k}{2}(\sqrt{2E_i/k}X')^2}}=t_i+\sqrt{\frac{m}{2E_i}}L\int_{X_i}^X  \frac{dX'}{\sqrt{1-X'^2}}=t_i+\sqrt{\frac{m}{2E_i}}L(\sin^{-1}X-\sin^{-1}X_i)

式の中に現れる\sqrt{\frac{m}{2E_i}}Lという係数は時間の単位を持つので、時間のスケールになっているはず。それを\frac{T}{2\pi}とおく(2\piを入れたのは、sinの周期が2\piであることを睨んで)。また\sin^{-1}X_i\phi_iと書く:

\frac{T}{2\pi}:=\sqrt{\frac{m}{2E_i}}L=\sqrt{\frac{m}{2E_i}}\sqrt{2E_i/k}=\sqrt{\frac{m}{k}},   \phi_i:=\sin^{-1}X_i

するとt=t_i+\frac{T}{2\pi}(\sin^{-1}X-\phi_i)が得られ、それをX=の形に直すと

X=\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T}+\phi_i)

という簡単な式になる。つまり質点はsinの形の振動をするのである。さらにXをxに直してまとめると

x=L\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T}+\phi_i), T=2\pi\sqrt{\frac{m}{k}},L:=\sqrt\frac{2E_i}{k}=\sqrt\frac{mv_i^2+2kx_i^2}{k},  \phi_i:=\sin^{-1}X_i=\sin^{-1}\frac{x_i}{L}

この式は振動的な運動の基本であり、振幅L、周期T、初期位相\phi_iの単振動と呼ばれる。

なお基礎にした公式は元のもの(複号を持つ)の+の方のものだけなので、上の導出から得られる式は論理的にはdx/dt>0の範囲でしか保証されない。しかし結果的には ありがたいことにその制約をとっぱらった領域でも解になっている。そのことを手早く確かめるには上の解を運動方程式d^2x/dt^2=-kxに代入し、任意のtで 方程式が成り立っていることを確認すればよい。また初期条件に直接結び付けるには以下のように加法定理を使いsinを展開したほうがやりやすい。

x=L\cos\phi_i\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T})+L\sin\phi_i\cos(2\pi\frac{t-t_i}{T}), v=\frac{dx}{dt}=2\pi\frac{L}{T}\cos\phi_i\cos(2\pi\frac{t-t_i}{T}i)-2\pi\frac{L}{T}\sin\phi_i\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T}i)

ここでt=t_iでの初期条件x=x_i,v=v_iを使って上に出てくるL,\phi_iの組合せを表す。上の式にt=t_iを代入すると

x_i=L\sin\phi_i,v_i=2\pi\frac{L}{T}\cos\phi_i

これらからL\sin\phi_i=x_i, L\cos\phi_i=\frac{v_i T}{2\pi}となるので、これをxの式に入れると

x=\frac{v_i T}{2\pi}\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T})+x_i\cos(2\pi\frac{t-t_i}{T})

これが、指定した初期値から決まる運動の式となる。ここまででバネにつながれた質点の運動は完全に解かれた、と言ってよい。

運動の保存量の例:運動量[編集]

運動量を


\vec p = m \vec v

で定義する。ここでmは物体の質量、


\vec v

は物体の速度である。 このとき運動方程式を用いると、物体に力が働いていないとき、


\frac{\partial{{}}}{\partial{t}} \vec p = m \frac{\partial{{}}}{\partial{t}} \vec v = 0

となり、物体の持つ運動量が、時間的に保存することが分かる。 これを運動量の保存則と呼ぶ。

運動量が保存している系では系について物体の速度を変えずに位置だけをずらしたとき 物体の運動が変化しないことが知られている。例えば、全く力が働いていない 系では位置を変化させたとしても物体の運動は変化せず、物体は静止し続けるか もともと運動していた方向に等速直線運動を続ける。また、ある1方向にだけ 一様な力が働いている系では力が働いている方向には物体の運動量は 保存しない。しかし、それ以外の方向については物体の運動方程式は 物体に何の力も働いていないときと同一であるので、そちらの方向の運動量は 保存する。これはある1方向に力が働いている時にもそれ以外の方向の 移動に対してはこの物体の運動は変化しないことと対応している。 物体をある方向に直線的に移動することを並進と呼び、並進によって物体の運動が 変化しないことを系の並進対称性と呼ぶ。後に解析力学でネーターの定理と 呼ばれる定理を学ぶが、この定理は系の対称性は必ずその対称性に対応する 保存量があることを主張する。実際系の並進対称性に対応する保存量がまさしく 運動量に対応していることが後に示される。

また、系の運動量は物体が持つ運動量だけでなく電磁場などが持つ運動量も 存在する。系全体の運動量保存を考えるときには物体の場の両方が持つ 運動量の保存を考えなくてはならない。これは、電磁気学,電磁気学II で導入される。

複数の物体に対して各々の間に内力(それぞれの物体の間に働く力のこと。) だけが存在し、外界から力が働いていないとき物体の集まりが持つ全運動量は 保存する。全運動量とは物体系のそれぞれの粒子が持つ運動量を 全て足し合わせたものである。 これは、それぞれの物体の運動量について運動方程式から


 \frac{\partial{{}}}{\partial{t}}  p = f _i

が成り立つ中で、(f _iはそれぞれの物体にかかる内力を指す。iはintrinsicの略。) それぞれの物体についての運動方程式を全て足し合わせると、 左辺については


\frac{\partial{{}}}{\partial{t}} P

(Pは全運動量。)が成り立ち、 右辺についてはそれぞれの和は0となる。 これは作用反作用の法則から、物体にかかる力はそれぞれ大きさが同じで 反対方向をむいている対応する力を持っており、物体系全体について 足し合わせたときにそれぞれの寄与が打ち消しあい、結果として 和が0に等しくなるからである。

運動の保存量の例:角運動量[編集]

ある質点に対して ある1点を取り、その一点からのベクトルを\vec rとし、 その質点が持つ運動量を\vec pとしたとき、 
\vec L = \vec r \times \vec p
を角運動量と呼ぶ。


物体が中心力以外の力を受けないとき、角運動量は時間的に保存する。

(導出) 
\frac {\partial {}}{\partial t } \vec L  = \frac {\partial {}}{\partial t } \vec r \times \vec p + \vec r \times \frac {\partial {}}{\partial t }\vec p 

= \frac 1 m \vec p \times \vec p + \vec r \times f(r) \vec r

= 0
( 
\vec a \times \vec a = 0 
を用いた。)


ある軸を中心とした角運動量が保存する系では、一般にその軸に対する回転に関して 系の状態は変化しない。例えば、太陽のまわりの地球の運動が完全な円運動であったと するとき、この運動は地球が含まれる平面に直交して太陽を通過する軸を中心とした 回転について不変である。これは、太陽から地球にかかる引力が、地球と太陽の 距離のみによっており、上で述べたような軸を中心とする回転では地球と太陽の距離は 変化しないからである。このことは系の中に回転対称性があることに対応している。 解析力学で述べられるネーターの定理を用いると、この系は回転対称性に 対応する保存量を持つことが分かる。実際にはこの保存量が正に角運動量に 対応しているのである。


  • 問題例
    • 問題

平面上を半径rの円上を角速度\omegaで運動している物体があるとする。 このとき、この物体が円の中心に対して持つ角運動量を定義にしたがって求めよ。 ただし、物体の質量はmであるとする。

  • 解答

このとき物体の座標は時間の原点を適当に選ぶことで、


\vec r = (x,y) = r(\cos \omega t ,\sin \omega t ,0)

とかける。ただし、物体が運動する平面をxy平面とした。このとき、物体の 速度は


\vec v = \dot {\vec r }
=r\omega ( -\sin \omega t ,\cos \omega t ,0)

で与えられる。よって、物体の持つ角運動量L


\vec L = r(\cos \omega t ,\sin \omega t ,0) \times m r\omega ( -\sin \omega t ,\cos \omega t ,0)

= m r^2 \omega (0, 0, \cos^2  \omega t + \sin ^2  \omega t)

= m r ^2 \omega (0,0,1)

となる。もしくは、角速度を


|\vec v| =  | \vec r| \omega

の関係を用いて速さで書き直すと


= m r v (0,0,1) = r p (0,0,1)

が得られる。これは物体の位置と物体の速度が直交していることから その2つのベクトルの大きさは2つのベクトルの絶対値に等しくなるのである。 また、物体の位置と速度を含むベクトルはxy平面に含まれるのでそれら2つに直交する ベクトルである角運動量ベクトルは必ずxy平面に直交する。そのため、このベクトルは z方向を向くのである。

等加速度直線運動[編集]

  • 速さの公式: v=v_0+at
  • 変位の公式: x=x_0+v_0t+\frac{1}{2}at^2
  • v^2-{v_0}^2=2a(x-x_0)


以上は容易に導かれる。以下ではその数学的演算(数学Ⅱまたは数学Ⅲの初歩程度)を詳しく述べる。

  • 運動方程式: m\frac{d^2x}{dt^2}=f (ただし、\frac{d^2x}{dt^2}=a…(1))
  • 式(1)を時間tで積分すれば、左辺は\int\frac{d^2x}{dt^2}dt=\frac{dx}{dt}であり、右辺は\int adt=at+C_0(C_0は積分定数)より、\frac{dx}{dt}=at+C_0。いま、t=0を代入すれば\frac{dx}{dt}|_{t=0}=C_0であるから、C_0t=0のときの速度である。従って、v=v_0+at…(2)が導かれる。
  • 式(2)を時間tで積分すれば、左辺は\int\frac{dx}{dt}dt=x+C_1であり、右辺は\int (v_0+at)dt=v_0t+\frac{1}{2}at^2 + C_2(C_1, C_2は積分定数)より、x=v_0t+\frac{1}{2}at^2 + C_2-C_1。いま、t=0を代入すればx_{t=0}=C_2-C_1であるから、C_2-C_1t=0のときの変位である。従って、x=v_0t+\frac{1}{2}at^2 + x_0…(3)が導かれる。
  • 式(2)をt=\frac{v-v_0}{a}と変形し、式(3)に代入すると、x=v_0\frac{v-v_0}{a}+\frac{1}{2}a\frac{(v-v_0)^2}{a^2} + x_0。この式において、x_0を左辺に移項し、右辺を展開し、両辺に2aを乗じると、2a(x-x_0)=v^2-{v_0}^2を得る。

放物運動[編集]

放物運動は等速度運動と等加速度運動を合成したものと考えることができる。

初速度v_0

初速度の水平成分v_x=v_0 \cos \theta

初速度の鉛直成分v_y=v_0 \sin \theta

最高点に到達するまでの時間T=\frac{v \sin \theta}{g}

最高点の高さ

円運動[編集]

  • 運動方程式の極形式表示: ma_r=f_r, ma_\phi=f_\phi \left(a_r=\frac{d^2r}{dt^2}-r\frac{d\phi}{dt}^2, a_\phi=2\frac{dr}{dt}\frac{d\phi}{dt}+r\frac{d^2\phi}{dt^2}\right)…(A)
  • 円運動の運動方程式: mr\frac{d\phi}{dt}^2=-f_r, mr\frac{d^2\phi}{dt^2}=f_\phi…(B)
  • 等速円運動の運動方程式: mr\frac{d\phi}{dt}^2=-f_r (\phi成分は0)…(C)

以下、上を証明する。

    • 証明 (A)の証明: x=r\cos\phi, y=r\sin\phiを2階時間微分し、\frac{d^2x}{dt^2}=(\frac{d^2r}{dt^2}-r\frac{d\phi}{dt}^2)\cos\phi-(2\frac{dr}{dt}\frac{d\phi}{dt}+r\frac{d^2\phi}{dt^2})\sin\phi,\frac{d^2y}{dt^2}=(\frac{d^2r}{dt^2}-r\frac{d\phi}{dt}^2)\sin\phi+(2\frac{dr}{dt}\frac{d\phi}{dt}+r\frac{d^2\phi}{dt^2})\cos\phi…(1)。また、(f_x, f_y)(f_r, f_\phi)は、f_x=f_r\cos\phi-f_\phi\sin\phi, f_y=f_r\sin\phi+f_\phi\cos\phi…(2)、(a_x, a_y)(a_r, a_\phi)は、a_x=a_r\cos\phi-a_\phi\sin\phi, a_y=a_r\sin\phi+a_\phi\cos\phi…(3)の関係がある。(1), (2), (3)を、運動方程式m\frac{d^2x}{dt^2}=f_x, m\frac{d^2y}{dt^2}=f_yに代入すると、(0)を得る。
    • ここで、rが一定値である(すなわち、\frac{dr}{dt}=0, \frac{d^2r}{dt^2}=0)ことを仮定すれば、円運動の運動方程式(B)が得られる。
    • さらに、\frac{d\phi}{dt}が一定値である(すなわち、\frac{d^2\phi}{dt^2}=0)ことを仮定すれば、等速円運動の運動方程式(C)が得られる。


万有引力による運動[編集]


m ( \ddot r - r \dot \theta^2) = f(r)

の式で、 (上でいう ma_r=f_r に対応する。 )


f(r) = -G \frac {m m _1} {r^2 }

とおくと、 \ddot rが、まるで


 m r \dot \theta^2  -G \frac {m m _1} {r^2 }

の力を受けて運動しているように見えることが分る。 上式の第1項を遠心力と呼ぶ。遠心力については相対運動の ところでより詳しく扱う。また、第2項は重力を表わす力である。

ここで、面積速度をhとすると、


\frac 1 2 r^2 \dot \theta = h

の関係から上の力は


 m r (\frac {2h} {r^2}  ) ^2  -G \frac {m m _1} {r^2 }

= m  \frac {4h^2} {r^3}   -G \frac {m m _1} {r^2 }

となる。この力はrだけを変数としてみたときにこの物体にかかる実効的な力と 考えることが出来る。仮にこの力をポテンシャルを用いて解析したとすると この物体の運動がどのような範囲で行なわれるかを知ることが出来る。 例えば、単振動においてはポテンシャルは振幅が大きくなるとき、無限に 大きくなるので運動は無限に大きくなることは出来ない。その様な手法を用いて この運動を解析するのである。ある1次元の運動ではある力f(x)が与えられたとき その位置エネルギーU(x)は


U(x) = -\int  _{x _0} ^x f(x') dx'

で与えられる。ここで、x _0は自由に選んでよい定数であるが、実際には多くの場合に 慣用的な値が決まっている量である。位置エネルギーの例として、x方向に一様な力-fを 受けるときのその力に対する位置エネルギーを計算する。実際に式に代入すると


 U(x) = -\int  _{x _0= 0} ^x (-f) dx'

= fx

が与えられる。ただし、x _0=0とおいた。この位置エネルギーは質量mを持つ 物体に一様な重力がかかるときの位置エネルギーに対応する。

ここで、


f(r) =  m  \frac {4h^2} {r^3}   -G \frac {m m _1} {r^2 }

の場合についても位置エネルギーを計算することが出来る。 実際に計算すると


U(r) = - \int  _\infty  ^r
(m  \frac {4h^2} {r'^3}   -G \frac {m m _1} {r'^2 }) dr'

= - (m \frac 1 {-2}  \frac {4h^2} {r^2}   -G(-1) \frac {m m _1} {r })

=  m   \frac {2h^2} {r^2}   -G \frac {m m _1} {r }

となり、


\frac 1 {r^2}


- \frac 1 r

の和で書かれる関数となる。この関数は典型的に図のような形をしている。

ここで横軸は円運動の中心からの距離であり、縦軸は物体の位置エネルギーである。 ある物体は運動の間常に等しいエネルギーを持っているので、この図形上では 常に等しいエネルギーを持って左右に移動する。そして、ポテンシャルエネルギーの 図形に衝突するとそれ以上に進むことが出来なくなりはねかえる。これは、 あるエネルギーを持った物体は自身が持っているエネルギーよりも高い位置エネルギー をもつ点には入り込めないことによっている。ここで、上の図形の中で エネルギー的に許される運動をエネルギーが低い順に見ていく。 ただし、面積速度が0に等しいときには上で書いた図とは異なった図形が 解析の対象となる。

この場合、解析は非常に単純であり、物体は必ず中心の物体の重力に引きつけられて 最終的には中心の物体と衝突する。

元の図形に戻ると、 図形上で位置エネルギーが最も低い点は窪み状になっている。この点の高さよりも 更に低い全エネルギーを持った物体は存在し得ない。これは全エネルギーが 運動エネルギーと位置エネルギーの和であり運動エネルギーが正であることから 全エネルギーは必ず与えられた点での位置エネルギーよりも大きくなっていなくては ならないからである。最も低い窪みにあるエネルギーと等しいエネルギーを 持っている物体は位置エネルギーに挟まれて図形上で動くことが出来ないため、 常に等しい動径方向成分を持って運動する。この運動はまさに円運動に対応している。 一方、窪みとエネルギー0の線の間に位置するエネルギーを持つ物体は動径方向の 成分を変化させながらも、中心の物体からはなれること無く、そのまわりを 何らかの仕方で回転することが予想される。後に分かるのだが、これはまさに 中心のまわりを楕円運動することに対応する。これは、地球を含む全ての惑星が 太陽のまわりを運動する軌道を表わす情况であり、惑星の性質を扱う上で 非常に重要な運動である。 更に、エネルギー0よりも大きい全エネルギーを持つ物体は、rが0に近づく方向では 位置エネルギーが無限大まで存在するため、r=0となることは出来ず、適当な 位置ではねかえる。しかし、


r \rightarrow \infty

となる方向には位置エネルギーの壁が存在しないためこの物体は無限遠まで 飛んでいってしまうことが分かる。これも後に分かることだがこの物体は 双曲線軌道を描くことが知られている。例えば、太陽系外から天体が飛来して来て 太陽の重力で軌道を曲げられてそのまま飛び去って行くときにはその物体の 軌道は双曲線を描くのである。また、エネルギー0のときでも


r \rightarrow \infty

となる方向での位置エネルギーの壁が存在しないため、無限遠まで飛んで行くことが わかる。この軌道は放物線に対応することが後に分かる。


例として、r = a = const. という情况について考えてみる。 このとき、 面積速度が一定であることから


\omega = \dot \theta = \textrm{const.}

が分る。 このとき 式


m ( \ddot r - r \dot \theta^2) = f(r)

を解くと、


m ( \ddot r - r \dot \theta^2) = -G \frac {m m _1} {r^2 }

 - a  \omega^2 = -G \frac {m _1} {a^2 }

  a^3   \omega^2 = G  m _1

  a^3   =\frac { G  m _1 } { \omega^2}

  a   =(\frac { G  m _1 } { \omega^2}) ^{1/3}

となり、円運動の条件を満たす解が存在することが分る。 また、上の式は、どのようなaに対してもある一定の\omegaが対応することを示している。 これは正に上であげた円運動の場合に対応している。

単振動[編集]

  • 運動方程式: m\frac{d^2x}{dt^2}=-k(x-x_c) (x_cは振動の中心)
  • 一般解: x=x_c + A\sin(\omega t+\delta) (\omega=\sqrt{k/m})(A, \deltaは、初期条件から決まる)

以下、単振動の例を示す。

  • (例1) バネをaだけ伸ばし、それを放す。
    • 初期条件は、 x_{t=0}= x_c+a, \frac{dx}{dt}_{t=0}=0。これを一般解とその1階時間微分に代入すると、x_c + A\sin\delta = x_c + a, A\omega\cos\delta = 0。従って、A=a,\delta=\pi/2
  • (例2) 自然長の位置から、初速度v_0を与える。
    • 初期条件は、 x_{t=0}= x_c, \frac{dx}{dt}_{t=0}=v_0。これを一般解とその1階時間微分に代入すると、x_c + A\sin\delta = x_c, A\omega\cos\delta = v_0。従って、A=v_0/\omega,\delta=0

強制振動[編集]

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力には様々な種類が存在するが、遠隔力(場の力)と直接働く力の2つに大きく分けられる。

万有引力 質量を持つ物体同士が引き合う力である。万有引力は万有引力の法則F=G\frac{mM}{r^2}によって表される。Gは万有引力定数と呼ばれる物理定数で、約6.67\times 10^{-11} \frac{\rm{m}^3}{\rm{sec}^{2} \rm{kg}}。距離の二乗に反比例することが重要な特徴である。これを逆二乗の法則と呼ぶ。
重力 万有引力と自転の遠心力の合力である。重力はW=mgによって表される。gは重力加速度と呼ばれる物理定数である。
クーロン力 電荷を持つ物体同士が引き合ったり押し合ったりする力である。クーロン力はクーロンの法則F=\frac{qQ}{r^2}=qEによって表される。ただし用いる単位系によってはF=k\frac{qQ}{r^2}となり、kの値に用いた単位系の性質が反映される。上のようにk=1となるのはガウス単位系と呼ばれるもの。とはいえ、力学ではkの値にはあまりこだわらない。それよりクーロン力もやはり逆二乗の法則が成り立つことが重要である。万有引力には引力しかないが、クーロン力には引力も斥力もあることも忘れてはならない。
ローレンツ力 F=q(v \times B)
弾性力 ばねから受ける力である。弾性力はフックの法則F=-kxによって表される。
張力 ひもや糸から受ける力である。通常でTで表される。大きさは未知である。
抗力 接している面から受ける力である。垂直抗力と摩擦力がある。
垂直抗力 物体を置いたり、壁を押したときに受ける面に垂直な力である。通常Nで表される。大きさは未知である。
摩擦力 接している面から水平に受ける力である。静止摩擦力と動摩擦力がある。
静止摩擦力 静止している物体が滑ろうとしている向きと反対方向に受ける力である。
動摩擦力 運動している物体が滑っている向きと反対方向に受ける力である。
浮力 流体から受ける力である。鉛直上向きである。圧力の合力である。浮力はアルキメデスの原理F=Vdgによって表される。


剛体の運動[編集]

慣性モーメント[編集]

特に剛体に対して角運動量を考えるとき、 慣性モーメントという量を定義すると都合がよい。 慣性モーメントは数学的には2階のテンソルであり、 ベクトルにかかったときにベクトルを得るという働きを 持つ。特にこの量については 
\vec L = \vec I \vec \omega
または、 
L _i = I _{ij} \omega  _j
が成り立つ。 ここで、Lは角運動量、Iは慣性モーメント、\omegaは、角速度である。


剛体を質点が密に結合したものと考えると、 角運動量はそれぞれの質点の和で与えられる。 ある回転軸を取ってその回りの角運動量を考えると、 
L = \sum m _i r _i^2 \omega
(r _iは質点iの回転軸からの距離、m _iは、質点iの質量。) (全ての質点は密に結合しているので、それらが同一の角速度を持つことに注意。 (導出?)) 特に、x軸、y軸、z軸方向について考えるとこの値は 
I _{kl} = \sum  _i m _i (x _{ik}x _{il} - \delta _{kl} r _i^{2})
が得られる。 これはテンソルの形をしているので、これが正しい慣性モーメントの表式で あることが分る。

計算例1

ある平面上の円(面密度\sigma,半径a)について慣性モーメントを計算する。 原点を円の中心、z軸を円に垂直な方向に取ると 
I _z = \int _S \sigma (x^2 + y^2 ) dxdy

( 
\int  _S
は円の面積全体での面積分を表わす。 ) 
=\sigma \int  _0 ^a r dr \int^{2\pi }  _0  d\phi r^2

(z軸の方向を保って円柱座標を取る。) 
=\sigma 2\pi \int ^a  _0 r^3 dr

=\sigma  \frac  \pi 2 a^4
となる。 ( 
\sigma
は、 
\sigma a^2
で質量となることから、この結果が正しい次元を持っていることがわかる。)

さらに、 y軸方向の回転に対する慣性モーメントも計算する。 このときには、 
I _y = 4\int  _0 ^a x^2 \sqrt{a^2-x^2} \sigma dx 
(1/4 円について計算してそれを4倍する。)


= 4 a^4\sigma  \int  _0 ^1 u^2 \sqrt{1-u^2} du
(u = x/a と置き換えた。積分内の数値は無次元であることに注意。)


= 4 a^4\sigma  \int  _0 ^{\pi /2} \sin^2 t \cos t \cos t dt
( 
u = \sin t
と置き換えた。 )

この計算を行なうと、 積分の値が 
\pi /16
で与えられることが分る。 よって 
I _y =  \frac \pi 4 \sigma a^4
となる。 ここで回転に対する対称性から 
I _x = I _y = \frac \pi 4 \sigma a^4
となることに注意。 ここで、 
I _z =  I _x + I _y
となっているが、この等式は厚みがない剛体に対して 一般に成り立つ。

(導出)


I _z = \sum _i m  _i (x _i^2+y _i^2 )
, 
I _x = \sum _i m  _i (y _i^2+z _i^2 )
, 
I _y = \sum _i m  _i (z _i^2+x _i^2 )
であるが、厚みがない物体に対して厚みがない面と垂直な方向に z軸を取ると、 I _x,I _yについて 
I _x = \sum _i m  _i y _i^2
, 
I _y = \sum _i m  _i x _i^2 
が成り立つ。(厚みがないのでz _i=0となる。)このことから 
I _z = I _x + I _y
が得られる。