商標法第43条の11

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商標法第43条の11

登録異議の申立ての取り下げについて規定する。本条は防護標章登録について準用されている。

条文[編集]

(申立ての取下げ)

第43条の11 登録異議の申立ては、次条の規定による通知があつた後は、取り下げることができない。

2 第56条第2項において準用する特許法第155条第3項の規定は、登録異議の申立ての取下げに準用する。

解説[編集]

登録異議の申立てをしたものの、主張の誤り、ライセンス契約の締結見込みなどの事情により手続を続行させる意思を失った異議事件を特許庁に係属させておく必要性は低く、また審判官を他の事件の処理に当たらせることができることから、申立人の自由意志による登録異議の申立ての取り下げを認めても構わない。 しかし、取消理由が通知された異議事件まで登録異議の申立ての取り下げを認めると、商標登録に瑕疵があり無効とされる蓋然性が高いにもかかわらず、無効とするためには別途商標登録無効審判の請求を待たなければならず、公益的観点から特許処分の見直しを図ろうとする登録異議申立制度の趣旨に合致しない。このため、登録異議の申立ての取り下げは取消理由通知があるまで認めることとした。したがって、取消理由通知があった後は商標権者の同意があったとしても[1]登録異議の申立ての取り下げは認めないこととした(本条1項)。

なお、登録異議の申立てが取り下げられたときは、特許庁長官がその旨を相手側(商標権者、補助参加人)に通知する(準特施規50条の5)。職権審理による続行も認められない。

申立ての取り下げの書面は特施規様式65の5が準用される(準特施規50条の2)。


登録異議の申立ての請求が指定商品、指定役務ごとにできることとの均衡上(43条の2柱書後段)、登録異議の申立ての取り下げも指定商品、指定役務ごとにできる(本条2項で準用する特155条3項)。

改正履歴[編集]

  • 平成8年法律第68号 - 追加

脚注[編集]

  1. ^ そもそも、登録異議申立制度では特155条2項を準用していないから同意権は無い。

関連条文[編集]

前条:
43条の10
商標法
第4章の2 登録異議の申立て
次条:
43条の12