商法第14条
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法学>民事法>商法>コンメンタール商法>第1編 総則 (コンメンタール商法)
条文[編集]
- 第14条
- 自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
解説[編集]
いわゆる、「名板貸(ないたがし)」の要件と効果を規定する。
「名板貸」とは、自己の商号の使用して事業を行うことを他人に許諾する行為であり、「暖簾分け」など、古くから見られる商習慣であり、現在においても「フランチャイズ契約」に典型的に見られる。但し、商号の有効範囲は非常に狭いものであるため、多くのフランチャイズ契約は「商標」による名板貸行為によっており、本条を直接適用する局面は非常に限られたものとなっている。
法の趣旨としては、他人に対して自己の行為と紛らわしい外観を形成するのに責任ある場合は、他人の行為について責任を有するという権利外観理論の発露のひとつである。
要件[編集]
- 他人に、自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを許諾していること
- 許諾を受けた者(以下、「名板借人」。一方、許諾したものを「名板貸人」という)が、当該商号を掲げて営業又は事業を行ったこと
- 名板借人が、名板貸人のもともとの事業から大きく離れて営業をした場合その営業については、名板貸の効果は及ばない。
- (例)名板貸人の事業は「料亭」であったが、名板貸人は、これに加え「旅館営業」を始めた。
- 売掛代金請求(最高裁判例 昭和43年06月13日)
- 他人に自己の商号を使用して営業を営むことを許諾した場合においても、その許諾を受けた者が当該商号を使用して業種の異なる営業を営むときは、特段の事情がないかぎり、責任を負わない。*取引相手が、名板借人を相手方であると誤認して取引を行ったこと
- 売掛代金請求(最高裁判例 昭和43年06月13日)
- (例)名板貸人の事業は「料亭」であったが、名板貸人は、これに加え「旅館営業」を始めた。
- 誤認に対して重大な過失がある場合を除く
- 例えば、名板貸人の下で働いていた者が「暖簾分け」で、名板貸により店を出し(又は、もとの店を買い受け)、従来の卸業者などが誤認することは、重大な過失があるとまではいえないが、銀行が融資を行う場合など、相手方に対して、十分な注意を要する場合は、名板貸を認めることは困難となる。
- 売掛代金請求(最高裁判例 昭和41年01月27日)
- 名板貸人は、自己を営業主と誤認するについて重大な過失があつた者に対しては、所定の責任を負わないと解するのが相当である。
- 売掛代金請求(最高裁判例 昭和41年01月27日)
- 例えば、名板貸人の下で働いていた者が「暖簾分け」で、名板貸により店を出し(又は、もとの店を買い受け)、従来の卸業者などが誤認することは、重大な過失があるとまではいえないが、銀行が融資を行う場合など、相手方に対して、十分な注意を要する場合は、名板貸を認めることは困難となる。
- 名板借人が、名板貸人のもともとの事業から大きく離れて営業をした場合その営業については、名板貸の効果は及ばない。
効果[編集]
- 名板借人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
- 「当該取引によって生じた債務」には、債務不履行などにより生じた損害賠償責任等も含む。
- 連帯責任であるので、取引相手は、名板借人を通さず、直接、債権の行使を求めうる。一方、名板貸人は、名板借人が有する法的権利(例.同時履行の抗弁)を行使することができ、債務の履行時には、名板借人に代位して債権を得る。
- 名板貸人は、名板借人に求償することができる。
判例[編集]
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