商法第578条
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法学>民事法>商法>コンメンタール商法>第2編 商行為 (コンメンタール商法)
条文
[編集](複合運送人の責任)
- 第578条
- 陸上運送、海上運送又は航空運送のうち2以上の運送を1の契約で引き受けた場合における運送品の滅失等(運送品の滅失、損傷又は延着をいう。以下この節において同じ。)についての運送人の損害賠償の責任は、それぞれの運送においてその運送品の滅失等の原因が生じた場合に当該運送ごとに適用されることとなる我が国の法令又は我が国が締結した条約の規定に従う。
- 前項の規定は、陸上運送であってその区間ごとに異なる2以上の法令が適用されるものを1の契約で引き受けた場合について準用する。
改正経緯
[編集]2018年改正以前、複数の運送人による運送の責任については「相次運送人の連帯責任」として、以下のものが定められていた。
- 数人相次テ運送ヲ為ス場合ニ於テハ各運送人ハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付キ連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ス
2018年改正にて、本条に単一の契約に基づき複数の輸送手段を組み合わせた輸送を行う場合(複合輸送契約)について規定し、次条において、複合輸送契約を含め複数の輸送人が関与する相次運送に関する規定を改正した。
解説
[編集]- 複合輸送契約に基づき、陸上輸送、海上輸送、または航空輸送の2つ以上の輸送手段を組み合わせた輸送を行う場合、各輸送手段に適用される法律や条約は異なることが多く、輸送中に貨物の損失(紛失、損傷、または遅延到着)が発生した場合、運送業者の責任をどのように決定するかは曖昧であった。輸送手段が異なる場合、各々の輸送手段は、旧本条に定められた相次運送人を構成しないことが判例(大審院判決明治44年9月28日)であり、輸送を依頼する場合、運送取扱営業がこのリスクを解消した。
運送業の近代化・大企業化に伴い、貨物管理が運送業において高度化したことに伴い、運送取扱営業によらず運送業のレベルで、これを解決するよう2018年商法改正で対処がなされた。
貨物運送の一般規定が複合運送契約に適用されることを前提に、複合運送において貨物の損失が発生した場合、その損失の原因が運送のどの区間において発生したかに関わらず、損失の原因 (「各運送区間における貨物損失の場合」)、運送業者は、当該運送区間に適用される法律及び条約に従い損害賠償責任を負う旨、本条に定められた。同様に、鉄道輸送区間と貨物車両輸送区間を含む陸上輸送の請負の場合、各区間に適用される法律や規則が異なる場合がある。この場合、貨物の損失の原因が発生した区間に適用されるべき法律や規則に従って処理することとした(本条)。さらに、複合運送契約において、複合運送業者は通常、運送の全部または一部を他の運送業者に委託する。この場合、委託運送に関する特別規則(第584条第3項、第585条第3項)が適用される。
参照条文
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