商法第584条
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法学>民事法>商法>コンメンタール商法>第2編 商行為 (コンメンタール商法)
条文
[編集](運送人の責任の消滅)
- 第584条
- 運送品の損傷又は一部滅失についての運送人の責任は、荷受人が異議をとどめないで運送品を受け取ったときは、消滅する。ただし、運送品に直ちに発見することができない損傷又は一部滅失があった場合において、荷受人が引渡しの日から2週間以内に運送人に対してその旨の通知を発したときは、この限りでない。
- 前項の規定は、運送品の引渡しの当時、運送人がその運送品に損傷又は一部滅失があることを知っていたときは、適用しない。
- 運送人が更に第三者に対して運送を委託した場合において、荷受人が第1項ただし書の期間内に運送人に対して同項ただし書の通知を発したときは、運送人に対する第三者の責任に係る同項ただし書の期間は、運送人が当該通知を受けた日から2週間を経過する日まで延長されたものとみなす。
改正経緯
[編集]2018年改正により、第588条にあった以下の条項を、現代語化・改正の上移動。
- 運送人ノ責任ハ荷受人カ留保ヲ為サスシテ運送品ヲ受取リ且運送賃其他ノ費用ヲ支払ヒタルトキハ消滅ス但運送品ニ直チニ発見スルコト能ハサル毀損又ハ一部滅失アリタル場合ニ於テ荷受人カ引渡ノ日ヨリ二週間内ニ運送人ニ対シテ其通知ヲ発シタルトキハ此限ニ在ラス
- 前項ノ規定ハ運送人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
- (旧法の解説)第3項における引渡しの時の「悪意」に関して以下の2説で争いがあったが、改正により判例・通説であった後説が採用された。
- 滅失、毀損の故意またはその隠蔽の故意とする説
- 商法旧第589条で商法旧第566条が運送人にも準用される。旧566条3項の運送取扱人の「悪意」と同様に解釈すべきである。
- 短期消滅時効を援用できない「悪意」と旧588条の「悪意」とを区別していない。
- 一部滅失又は毀損があることを知っていたこととする説
- 本条で保護されない運送人とは、証拠保全をすべき運送人のことである。一部滅失又は毀損があることを知っていた運送人は将来債務不履行責任を追及されることを予測して証拠保全をすべきである。
- (旧法の解説)第3項における引渡しの時の「悪意」に関して以下の2説で争いがあったが、改正により判例・通説であった後説が採用された。
本条項にあった以下の「貨物引換証の受戻証券性」に関する条項は、貨物引換証の廃止に伴い継承なく削除。
- 貨物引換証ヲ作リタル場合ニ於テハ之ト引換ニ非サレハ運送品ノ引渡ヲ請求スルコトヲ得ス
解説
[編集]請負契約では一般的に仕事を完成させて目的物を引き渡しても請負人への責任追及ができなくなるわけではない。しかしそれでは運送人が運送物を荷受人に引き渡すと証拠保全が困難なまま、予期せず一部滅失や損傷があったとして責任を追及されたときに運送人の請求原因不存在の主張が認められなくなる恐れがある。そこで商法は、荷受人が運送物を受取って費用を支払う時まで(前払い特約があれば運送物受取りの時まで)に一部滅失や損傷のあることを運送人に告げなければ運送人が免責されることを定めた。
参照条文
[編集]- 標準貨物自動車運送約款
- (責任の特別消滅事由)
- 第46条
- 当店の貨物の一部滅失又はき損についての責任は、荷受人が留保しないで貨物を受け取ったときは、消滅します。ただし、貨物に直ちに発見することのできないき損又は一部滅失があった場合において、貨物の引渡しの日から2週間以内に当店に対してその通知を発したときは、この限りではありません。
- 前項の規定は、当店に悪意があった場合には、これを適用しません。
- (責任の特別消滅事由)
判例
[編集]- 損害賠償請求(最高裁判決昭和41年12月20日)
- 商法(旧)第566条第3項、(旧)第588条第2項にいう「悪意アリタル場合」の意義
- 商法(旧)第566条第3項、(旧)第588条第2項にいう「悪意アリタル場合」とは、運送取扱人または運送人が運送品に毀損または一部滅失のあることを知つてこれを荷受人に引き渡した場合をいう。
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