国籍法第2条

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条文[編集]

(出生による国籍の取得)

第2条
子は、次の場合には、日本国民とする。
  1. 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
  2. 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
  3. 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
(昭和59年5月25日法律第45号改正[1]

改正前[編集]

昭和25年5月4日法律第147号[編集]

(出生による国籍の取得)

第2条
子は、左の場合には、日本国民とする。
  1. 出生の時に父が日本国民であるとき。
  2. 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
  3. 父が知れない場合又は国籍を有しない場合において、母が日本国民であるとき。
  4. 日本で生れた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

旧国籍法(明治32年3月15日法律第66号)[編集]

第1条
子ハ出生ノ時其父カ日本人ナルトキハ之ヲ日本人トス其出生前ニ死亡シタル父カ死亡ノ時日本人ナリシトキ亦同シ
第2条
父カ子ノ出生前ニ離婚又ハ離縁ニ因リテ日本ノ国籍ヲ失ヒタルトキハ前条ノ規定ハ懐胎ノ始ニ遡リテ之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ父母カ共ニ其家ヲ去リタル場合ニハ之ヲ適用セス但母カ子ノ出生前ニ復籍ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス
第3条
父カ知レサル場合又ハ国籍ヲ有セサル場合ニ於テ母カ日本人ナルトキハ其子ハ之ヲ日本人トス
第4条
日本ニ於テ生マレタル子ノ父母カ共ニ知レサルトキ又ハ国籍ヲ有セサルトキハ其子ハ之ヲ日本人トス

解説[編集]

本条は、出生による国籍の取得について規定している。出生による国籍の取得については、「出生地主義」(父母の国籍を問わず、子の出生地である国の国籍を取得する主義)と「血統主義」(子の出生地を問わず、親と同じ国籍を取得する主義)の2つがある。

制定当時の1950年(昭和25年)は、多くの国で父の国籍(血統)を優先する父系優先血統主義が採用されていたことから、日本でも父系優先血統主義を原則とした。しかし、1970年代から父の国籍を優先しない父母両系血統主義へと改正する国が増え、1981年(昭和56年)発効の女子差別撤廃条約9条2項において、「締約国は、子の国籍に関し、女子に対して男子と平等の権利を与える。[2]」と規定されたことから、日本においても1984年(昭和59年)に父母両系血統主義へ改正した。

本条1号および2号は、血統主義による国籍の取得について規定している。ここでいう「父」「母」は、血縁関係としての親子に限らず、法律上の親子関係にある者を含める。本条3号では、純粋な血統主義によれば無国籍の子が生じる危険性があるため、「父母がともに知れないとき」または「父母がともに国籍を有しないとき」に限定して出生地主義による国籍の取得について規定している。

参照条文[編集]

  • 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第9条

判例[編集]

  • 最高裁判所第二小法廷判決、昭和40年6月4日、昭和38年(オ)第1343号、『国籍存在確認請求事件』、最高裁判所民事判例集19巻4号898頁。
  • 最高裁判所第二小法廷判決、平成7年1月27日、平成6年(行ツ)第71号、『国籍確認事件』、最高裁判所民事判例集49巻1号56頁。
  • 最高裁判所第二小法廷判決、平成9年10月17日、平成8年(行ツ)第60号、『国籍確認事件』、最高裁判所民事判例集51巻9号3925頁。
  • 最高裁判所第二小法廷判決、平成14年11月22日、平成10年(オ)第2190号、『国籍確認等請求事件』、最高裁判所民事判例集208号495頁。
  • 最高裁判所第一小法廷判決、平成15年6月12日、平成13年(行ツ)第39号、『国籍確認請求事件』、最高裁判所民事判例集210号27頁。
  • 最高裁判所第一小法廷判決、平成15年6月12日、平成18年(行ツ)第135号、『退去強制令書発付処分取消等請求事件』、最高裁判所民事判例集62巻6号1367頁。
  • 最高裁判所大法廷判決、平成20年6月4日、平成19年(行ツ)第164号、『国籍確認請求事件』、最高裁判所民事判例集228号101頁。

脚注[編集]

  1. ^ 法律第四十五号(昭五九・五・二五)”. 衆議院. 2021年10月30日閲覧。
  2. ^ 女子差別撤廃条約全文”. 内閣府男女共同参画局. 2021年10月30日閲覧。

参考文献[編集]

  • 木棚照一 『逐条国籍法 ―課題の解明と条文の解説―』 日本加除出版、2021年4月6日ISBN 9784817847171
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前条:
国籍法第1条
(この法律の目的)
国籍法
次条:
国籍法第3条
(認知された子の国籍の取得)